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一般担保財産減少行為に不当性がないとして詐害行為否定最高裁判決紹介

○「一般担保財産減少行為に不当性がないとして詐害行為否定高裁判決紹介2」の続きで、その上告審の昭和44年12月19日最高裁判決(判時585号38頁、判タ244号153頁)全文を紹介します。

○牛乳小売業者Aの債権者である上告人Xが、被上告人Yに対して支払遅滞を生じたAにおいて、被上告人からの取引の打切りや本件建物の上の根抵当権の実行等を免れ、従前どおり牛乳類の供給を受け、その小売営業を継続することを目的として、Aが本件建物を被上告人Yに対して譲渡担保に供しました。

○上告人の債権者が、このAへの担保提供行為が詐害行為に当たるとして、詐害行為取消権を行使し、第一審、控訴審共に詐害行為には該当しないとして請求を棄却していました。最高裁判決においても、本件の事情を考慮すると、債務者の本件行為は、それによって債権者の一般担保を減少させる結果を生ずるにしても、詐害行為には当たらず、これに対する他の債権者からの介入は許されないものと解するのが相当であるとしました。

○最高裁判決も、牛乳小売業者Aが、継続的に牛乳の卸売を受けて来た仕入先Yに対し、取引上の債務を担保するため、所有店舗に根抵当権を設定し代物弁済の予約を結んでいた場合において、代金の支払を遅滞したため、取引を打ち切り担保権を実行する旨の通知を受けるに及んで、これを免れて従前どおりの営業の継続をはかる目的のもとに、右仕入先Yと示談のうえ、債務の支払猶予を受け、前記店舗を営業用動産や営業権等とともに現在および将来の債務の担保として譲渡担保に供したとき、この行為は、当時の諸般の事情に照らし、営業を継続するための仕入先に対する担保提供行為として合理的限度をこえず、かつ、他に適切な更生の道がなかつたものと認められるかぎり、詐害行為とならないとしました。

○詐害取消訴訟においては、詐害行為の成否を、きめこまかな事実認定に基づく関係者間の実質的利益衡量の結果により、合目的的に決する傾向がありました。目的・動機の正当性と手段・方法の相当性の二つのメルクマールが、詐害行為の成否の判断基準として採り上げられます(最判昭42・11・9集21巻9号2323頁、最判昭42・12・14裁判集89号371頁、否認権についての最判昭43・2・2集22巻2号85頁参照)。

○本判決も、判例法理のこのような展開の延長線上に位置づけられる判断事例を加えたものということができ、学説の上でも、判例法理の指向するところを基本的には支持し、その法的構成と判断基準を明確化しようとする有力な提言が見られるます(飯原・判例を中心とした詐害行為取消権の研究121頁以下、下森・法協85巻11号1568頁以下、およびそれらに引用されている諸文献参照)。

○本件の事案の概要は次のとおりです。
・牛乳の小売業を営むA会社は、被上告人(被告)Y会社に対し、代表者Bを連帯保証人とし、かつ、A所有の店舗およびB所有の居宅を担保(極度額150万円の根抵当および代物弁済予約)に供して、継続的取引契約を結び、牛乳の卸売を受けて来た。
・ところが、買掛金の延滞が244万円となるに至つて、Yから、A・Bに対し、直ちに代金を支払わないと、取引を解除し、根抵当権または代物弁済予約上の権利を実行する旨の通知が来た
・Yから取引を打ち切られ、店舗等に対する担保権を実行されたのでは、たちまち営業の破綻を来たすA・Bとしては、Yに取引の継続を懇請するしか窮状打開の方途はないところから、Yに示談を申し入れた
・即決和解により、債務の支払猶予と取引継続の承諾を得て、その代償として、前記店舗・居宅を、敷地の賃借権や営業用の機械・什器および営業権(得意先)とともに、現在および将来の債務の担保として譲渡担保に供することを承諾し、建物については所有権移転登記がなされた
・Aは再び営業に行き詰つて1年後にはYに対する延滞債務が約400万円になつたので、Yは、取引を打ち切り、譲渡担保物件を処分してAに対する債権と清算し、残金200万円余をA・Bに返した
・上告人(原告)Xは、Bの連帯保証のもとに、Aに80万円を貸していた者で、譲渡担保に供された前記物件を除いてはA・Bに資産がなかった
・そこで、Xは右和解による譲渡担保設定行為が詐害行為になるとして、その取消と自己の債権額の範囲内での価額償還とをYに求めて、本訴を提起した


○本判決でとくに注目されるのは、取引の打切りによる破滅を免れるための担保提供行為として「合理的な限度を超えない」と認められるという、弾力的な基準に立つた判断が、手段・方法の相当性を肯定するために示されている点です。ここでは、担保に供された物件の量的な面からだけの判断にとどまらず、譲渡担保という強力な担保形体が採られたこと自体の合理性が、諸般の事情との相関関係において判断されています。

○本件の行為が、一たん破綻に瀕した信用関係をつなぎとめて取引を継続するための増担保提供行為であること、譲渡担保物件の主体をなす家屋がすでに代物弁済予約の目的とされて仮登記も経由されており、債務者は所詮登記名義の移転を拒みえない事態にあつたこと、また、譲渡担保の内容が、債権者の処分清算義務の約定を伴う、それなりに合理的なものであつたこと等が、本件で合理性を肯定させた実質的根拠として重要な意味をもっています。

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主   文
本件上告を棄却する。
上告費用は上告人の負担とする。

理   由
上告代理人○○○○の上告理由第一点について。
 原審の事実認定は、挙示の証拠関係に照らし首肯することができる。そして、右事実関係に徴すれば、本件建物その他の資産を被上告会社に対して譲渡担保に供した行為は、被上告会社に対する牛乳類の買掛代金244万円の支払遅滞を生じた訴外有限会社Aおよびその代表取締役Bが、被上告会社からの取引の打切りや、本件建物の上の根抵当権の実行ないし代物弁済予約の完結を免れて、従前どおり牛乳類の供給を受け、その小売営業を継続して更生の道を見出すために、示談の結果、支払の猶予を得た既存の債務および将来の取引によつて生ずべき債務の担保手段として、やむなくしたところであり、当時の諸般の事情のもとにおいては,前記の目的のための担保提供行為として合理的な限度を超えたものでもなく、かつ、かかる担保提供行為をしてでも被上告会社との間の取引の打切りを避け営業の継続をはかること以外には、右訴外会社の更生策として適切な方策は存しなかつたものであるとするに難くない。

債務者の右のような行為は、それによつて債権者の一般担保を減少せしめる結果を生ずるにしても、詐害行為にはあたらないとして、これに対する他の債権者からの介入は許されないものと解するのが相当であり、これと同旨の見解に立つて本件につき詐害行為の成立を否定した原審の判断は、正当として是認することができる。論旨は、原審の認定しない事実関係および叙上と異なる見解を前提として原判決の違法をいうものであり、採用することができない。

同第二点について。
 記録上明らかな本件の第一審以来の訴訟の経過に照らすと、上告人が原審の第16回口頭弁論期日においてはじめて申し立てた新請求の追加を民訴法139条により却下すべきものとした原審の判断は相当であつて、原判決に所論の違法は存しない。それゆえ、論旨も採用することができない。
 よつて、民訴法401条、95条、89条に従い、裁判官全員の一致で、主文のとおり判決する。
(裁判長裁判官 草鹿浅之介 裁判官 城戸芳彦 裁判官 色川幸太郎 裁判官 村上朝一)

上告代理人○○○○の上告理由
第一点 原判決は判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違背があるので破棄さるべきである。(民法第424条)


1 原判決は、被上告人がその債権244万円の担保として昭和36年7月25日、債務者有限会社上田乳業、同Bの財産一切(不動産、営業用動産、営業権)の所有権を取得したこと、当時債務者らには他に資産がなく、一方上告人の債務のほか他にも570万ないし590万円に上る債務を負担していたことを認定している。
そうして被上告人の当時における債権のうち、150万円については既に抵当権が設定されており、無担保債権は94万円であつたこと、1年後被上告人が債務者らの右財産を処分したところ、不動産640万円、営業権100万円であつたこと抵当権債務が合計109万2072円であつたことを認定している。そうすると被上告人が有していた抵当権債権150万円を差引いても、担保財産は約480万円程度の余力があつたものと推定されるのである。

2 ところで、本件譲渡担保は原判決も認定しているとおり債務者らの不動産、動産、営業権の一切の所有権を被上告人に移転したものであつて、昭和36年7月25日債務者らは対外的には無資産となつてしまい、事業の生殺与奪の権は被上告人の手中に握られたのである。勿論債務者はいかに債務超過、支払不能の状態に陥入つたときでも、自己の財産を担保にし、或は処分して経済的更生を計る自由を有するものである。しかしその場合債務者の財産は担保権が設定されていなくても一般債権者のために潜在的に担保となつているわけであるから、その担保設定或は処分はあくまで公正にして合理的な方法でなくてはならないのである。それは債務者の更生のために必要最少限に止めるべきであり、これにより債務者は更生ができ、ひいては一般債権者のためにもなるわけである。
譲渡担保特に本件の場合のように債務者の財産一切を特定の債権者に譲渡するような譲渡担保は、債務者は無資産となり最早それ以後において他から信用を得ることができなくなり当該債権者のみに頼るということになるのであるから、最終のそしてこの方法しかないという場合に限らるべきである。
大審院昭和5年3月3日の判例が「唯一ノ手段」と判示し、最高裁判所昭和37年3月6日の判例が譲渡担保は原則として詐害行為となるが特段の事情がある場合は許容されると判示しているのは右の理由によるものと思料されるのである。

3 原判決は、前記事実を認定した上で、特段の事情があるものとして上告人の主張を斥けている。しかしながら前記数字によつて明らかなとおり債務者らの財産は既存の担保付債権を差引いても充分の余力があつたのである。そうだとすれば被上告人において真に債務者らの経済的更生を計る意思があつたとすれば、不動産について抵当権の設定で事足りたわけである。まして営業用動産、営業権など一切を移転させる必要は全くなかつたのである。
前述のように債務者らは財産一切を被上告人に移転したので被上告人に依存するほかはなくなつたのであるが、これに対し被上告人の債務者らに与えた信用は僅かに旧債の分割弁済に過ぎない。新しい牛乳代金は一回でも支払を怠つた場合は旧債の期限の利益を失わしめ、牛乳の継続販売契約を解除しかつ債務者らは建物を明渡すという厳しいものである。
原判決の認定したように債務者は右譲渡担保設定当時において既に牛乳代金の支払が遅滞していたのであるから、客観的にみて、債務者が経済的に行詰まり結局財産全部を被上告人に処分されることは火をみるより明らかなのである。

4 被上告人と債務者らが右のような譲渡担保を設定したのは債務者らは、被上告人より継続的牛乳等販売契約を解除する旨の通告をうけたので、これを復活するためには、いかなる条件であつても被上告人と和解せざるを得なかつたこと及び経済的破綻を生じた場合、被上告人に頼り他の債権者を排除して、何分の利得を掴もうとしたこと、被上告人において抵当権の実行または代物弁済予約の完結(最近の判例に徴しこれは精算的なものであることが明瞭である)では優先債権150万のみの回収となり、94万が未回収となるので、これを避けるためには多少の時間と売掛金の増大を見込んでもこの際債務者らの財産一切を手中に収めることが得策であつたためである。そこには、債務者らの他の債権者に対する将来の弁済計画或は債務者らの更生手段に対する合理的配慮は全くなく、たゞ被上告人と債務者らの利得のみに基き契約されたものである。
以上の次第で原判決は譲渡担保の性質ひいては民法第424条の解釈、適用を誤つたものである。
以上:5,058文字

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