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面会1回につき20万円の違約金支払誓約合意を有効とした地裁判決紹介

○原告が、被告は原告の妻と不貞行為をしたと主張し、①不法行為に基づく慰謝料400万円、②不貞関係調査費用110万円、③被告は、原告との間で、原告の妻と連絡を取るなどしない旨を誓約し、これに反した場合は違約金として1回につき50万円を支払う旨の合意をし、誓約違反合計10回分500万円と弁護士費用等合計1061万円の支払を請求しました。

○これに対し、①不貞行為慰謝料については80万円、②調査費用については33万円、③誓約書違反行為については1回20万円は有効で4回違反しているの80万円、弁護士費用等合計204万円の支払を認めた令和6年2月7日東京地裁判決(LEX/DB)関連部分を紹介します。

○1回でも連絡したら違約金として1回につき50万円を支払うとの誓約書なんて、私の感覚では典型的公序良俗違反で無効と思うのですが、20万円の範囲で有効として且つ4回分80万円の支払を認めているのには驚きました。このような事案と判例もあるとの意味で紹介します。

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主   文
1 被告は、原告に対し、204万円及びうち124万円に対する令和3年9月28日から、うち80万円に対する令和4年2月23日から各支払済みまで年3パーセントの割合による金員を支払え。
2 原告のその余の請求を棄却する。
3 訴訟費用は、これを5分し、その1を被告の負担とし、その余を原告の負担とする。
4 この判決は、第1項に限り、仮に執行することができる。

事実及び理由
第1 請求

 被告は、原告に対し、1061万円及びうち561万円に対する令和3年9月28日から、うち500万円に対する令和4年2月23日から各支払済みまで、年3パーセントの割合による金員を支払え。

第2 事案の概要
1 本件は、原告が、被告に対し、被告が原告の妻と不貞行為をしたとして、以下の各請求をする事案である。
(1)不法行為に基づき、損害金561万円(慰謝料400万円、調査費用110万円、弁護士費用51万円)及びこれに対する不法行為後の日である令和3年9月28日から支払済みまで民法所定の年3%の割合による遅延損害金の請求(以下「本件請求〔1〕」という。)

(2)被告は、原告との間で、原告の妻と連絡を取るなどしない旨を誓約し、これに反した場合は違約金として1回につき50万円を支払う旨の合意をしたところ、上記誓約に合計10回にわたって違反したとして、債務不履行に基づき、違約金500万円及びこれに対する催告期間の翌日である令和4年2月23日から支払済みまで民法所定の年3%の割合による遅延損害金の請求(以下「本件請求〔2〕」という。)

2 前提事実(当事者間に争いがないか、掲記の証拠又は弁論の全趣旨により容易に認められる事実等)

     (中略)

第3 当裁判所の判断
1 争点1(本件不貞による損害額)について

(1)慰謝料
 被告は、原告の元勤務先である本件会社における部下であり、被告の父は、本件会社の代表者である(前提事実(1))。また、被告とは、原告の家族ぐるみで交流をしていた(被告の内心は別として、この事実自体に争いはない)。このような関係の中で、被告がCと不貞行為に及んだことによる原告の精神的苦痛は小さくない。現時点で離婚は成立していないものの、原告は離婚調停を申し立て、不成立とはなったが(前提事実(5))現在、離婚訴訟の準備をしており、離婚に至る可能性が高い。他方で、被告とCが不貞関係にあった期間は長くない(被告によれば、肉体関係があった期間は1か月程度である。また、本件誓約書作成後に会っていたことは違約金として考慮すべきである。)。その他、本件に現れた一切の事情を考慮すると、本件不貞に対する慰謝料は80万円が相当である。

(2)調査費用
 証拠(甲2、3、9の1・2)によれば、原告は、令和3年11月25日及び同年12月28日、調査会社に対し、Cの行動調査を依頼し、その費用として各55万円の合計110万円を支払ったことが認められる。

 しかし、被告は、令和3年9月28日の時点でCと不貞関係にあったことを認め(争いがない)、同年10月頃には、原告と被告の父との面談において、本件不貞を認めていた(甲16)。また、原告は、その頃には、被告の父を介して、被告との間で本件不貞があったことを謝罪する内容の本件誓約書の作成準備をしていた(前提事実(3)ア、甲20、原告本人)。これらの事実によれば、原告が行動調査を依頼した時点で、被告は本件不貞を争っておらず、また、一定の証拠があったのであって、調査会社に対して上記調査を依頼する必要があったのかは疑問がある。

他方で、同年11月25日時点では本件誓約書は完成しておらず、本件不貞について否定できないほどの証拠があったわけではない。また、被告は、Cと会わないことなどを誓約する旨の記載がある本件誓約書の作成後にもCと会っていたように、本件不貞の発覚後も隠れてCと会っていた可能性があり、その事実を確認する必要があったことも否定し難い。
 これらを総合的に考慮すると、調査費用のうち、33万円の限度で本件不貞と相当因果関係がある損害と認めるのが相当である。

(3)弁護士費用
 前記(1)及び(2)の合計額113万円の約1割に当たる11万円は、本件不貞と相当因果関係のある損害と認められる。

(4)合計
 したがって、本件不貞と相当因果関係のある損害は124万円と認められる。

2 争点2(本件違約金条項の有効性)について
(1)本件違約金条項の認識について

 被告は、本件違約金条項についての認識を欠いたまま本件誓約書に署名したものであり、少なくとも本件違約金条項については、意思に基づく署名ではなく、無効であると主張する。
 しかし、本件誓約書は1頁しかないものである上に、被告と被告の父しかいない場所で被告が署名したものである(甲8、14、被告本人)。このような状況において、本件違約金条項の内容を確認できない理由はなく、被告の上記主張は採用することができない。

(2)公序良俗違反について
 本件違約金条項は,理由を問わず、被告がCと会い又は連絡をとるという本件誓約書1条に違反する行為をした場合は、1回につき50万円を原告に支払うという内容である(前提事実(3)イ)。
 本件違約金条項の解釈には争いがあるものの、原告の主張によれば、どのような内容であったとしても、例えばLINEアプリで1往復のやり取りをしただけで100万円(50万円×2回)の違約金が発生するというのであって、被告とCの不貞行為を防止するという目的を考えても、連絡1回につき違約金50万円という部分は明らかに過大な内容となっているといわざるを得ない。他方で、被告の主張するように関係清算等のために連絡を取る必要があるとしても、必ずしも会う必要があるとはいえないのであって、会った場合に20万円程度の違約金を設定することは、上記日的との関係で過大とはいえない。 
 したがって、本件違約金条項は、被告とCが会うという違反行為をしたの場合に1回当たり20万円の違約金を定める限度で有効であって、これを超える部分は公序良俗に反して無効と解するべきである。

3 争点3(本件違約金条項該当性及び違約金額)について
 前記2のとおり、本件違約金条項は、被告とCが会った場合に1回当たり20万円の違約金を定める限度で有効である。本件誓約書作成後に、被告とCが合計4回会ったことにつき当事者間に争いはないから、違約金は80万円(20万円×4回)となる。

4 結論
 よって、原告の請求は、主文記載の限度で理由があるから、主文のとおり判決する。
東京地方裁判所民事第26部
裁判官 安藤巨騎
以上:3,190文字

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