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ご訪問有り難うございます。当HPは、私の備忘録を兼ねたブログ形式で「桐と自己満足」をキーワードに各種データを上記14の大分類>中分類>テーマ>の三層構造に分類整理して私の人生データベースを構築していくものです。
なお、出典を明示頂ければ、全データの転載もご自由で、転載の連絡も無用です。しかし、データ内容は独断と偏見に満ちており、正確性は担保致しません。データは、決して鵜呑みにすることなく、あくまで参考として利用されるよう、予め、お断り申し上げます。
また、恐縮ですが、データに関するご照会は、全て投稿フォームでお願い致します。電話・FAXによるご照会には、原則として、ご回答致しかねますのでご了承お願い申し上げます。
     

R 7- 8- 9(土):毎週1回はカレー作り-ビンダルーに挑戦するも失敗1
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以上:21文字
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R 7- 8- 8(金):改正前民法価額弁償未請求者の遺留分減殺現物返還請求認容最高裁判決紹介
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○改正前相続法の事案ですが、遺留分権利者から遺留分減殺に基づく土地の持分の現物返還請求を受けた受遺者に対して当該持分の価額の支払を命じた原審の判断に違法があるとされた令和7年7月10日最高裁判決(裁判所ウェブサイト)を紹介します。

○事案は以下の通りです。
・亡Aは、平成19年9月、上告人に亡Aの遺産を相続させること等を内容とする公正証書遺言をし、平成28年12月、死亡
・亡Aの法定相続人は、いずれも子である上告人と被上告人ら外1名
・上告人は、上記遺言に基づき、原判決別紙物件目録記載1及び2の各土地について、相続を原因とする持分移転登記手続
・平成29年3月、被上告人らは上告人に対して遺留分減殺請求権を行使する旨の意思表示、上記各土地の持分のほか、預貯金等の一部を取得
・令和5年6月、被上告人らに対し、本件各持分について、民法1041条1項の規定により価額の弁償をする旨の意思表示
・令和5年8月、原審名古屋高裁は、上告人に対し、本件各持分について上告人がその価額を支払わなかったことを条件とする持分移転登記手続を命ずる


○最高裁判決は、受遺者が民法1041条1項の規定により遺贈の目的の価額を弁償する旨の意思表示をした場合でも、遺留分権利者が受遺者に対して価額弁償を請求する権利を行使する旨の意思表示をするまでは、遺留分減殺によって取得した目的物の所有権及び所有権に基づく現物返還請求権のみを有するとして、原審の本件各持分について上告人がその価額を支払わなかったことを条件とする持分移転登記手続を命じた部分を破棄しました。

*********************************************

主   文
1 原判決主文第2項(2)、(5)、第3項(2)及び(5)を次のとおり変更する。
(1)上告人は、被上告人X1に対し、37万3525円及びこれに対する平成29年4月1日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
(2)被上告人X1のその余の請求を棄却する。
(3)上告人は、被上告人X2に対し、171万1003円及びこれに対する平成29年4月1日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
(4)被上告人X2のその余の請求を棄却する。
2 上告人と被上告人X1との間の訴訟の総費用は、これを100分し、その99を被上告人X1の負担とし、その余を上告人の負担とし、上告人と被上告人X2との間の訴訟の総費用は、これを100分し、その94を被上告人X2の負担とし、その余を上告人の負担とする。

理   由
 上告代理人○○○○の上告受理申立て理由について
1 本件は、被上告人らが、亡Aの遺言により亡Aの遺産を相続した上告人に対し、民法(平成30年法律第72号による改正前のもの。以下同じ。)1031条の規定による遺留分減殺請求権の行使に基づき、亡Aの遺産のうち、不動産について持分移転登記手続等を求めるとともに、預貯金等について金員の支払を求める事案である。

2 原審の適法に確定した事実関係等の概要は、次のとおりである。
(1)亡Aは、平成19年9月、上告人に亡Aの遺産を相続させること等を内容とする公正証書遺言をし、平成28年12月、死亡した。上告人は、上記遺言により、亡Aの遺産を相続した。
(2)亡Aの法定相続人は、いずれも子である上告人及び被上告人ら外1名である。
(3)上告人は、上記遺言に基づき、原判決別紙物件目録記載1及び2の各土地について、相続を原因とする持分移転登記手続をした。

(4)被上告人らは、平成29年3月、上告人に対して遺留分減殺請求権を行使する旨の意思表示をし、上記各土地の持分(以下「本件各持分」という。)のほか、預貯金等の一部を取得した。このうち預貯金等の取得額は、被上告人X1につき37万3525円、被上告人X2につき171万1003円である。

(5)上告人は、令和5年6月の原審口頭弁論期日において、被上告人らに対し、本件各持分について、民法1041条1項の規定により価額の弁償をする旨の意思表示をした。

3 原審は、上記事実関係等の下において、上告人に対し、本件各持分について上告人がその価額を支払わなかったことを条件とする持分移転登記手続を命ずるとともに、上記価額の支払及び被上告人らが遺留分減殺によって取得した預貯金等の額の支払を命じた。

4 しかしながら、原審の判断のうち、本件各持分の価額の支払を命じた部分は是認することができない。その理由は、次のとおりである。
 遺留分権利者から遺留分減殺に基づく目的物の現物返還請求を受けた受遺者が民法1041条1項の規定により遺贈の目的の価額を弁償する旨の意思表示をした場合において、遺留分権利者が受遺者に対して価額弁償を請求する権利を行使する旨の意思表示をしたときは、遺留分権利者は、遺留分減殺によって取得した目的物の所有権及び所有権に基づく現物返還請求権を遡って失い、これに代わる価額弁償請求権を確定的に取得するが(最高裁平成18年(受)第1572号同20年1月24日第一小法廷判決・民集62巻1号63頁),遺留分権利者が上記意思表示をするまでは、遺留分減殺によって取得した目的物の所有権及び所有権に基づく現物返還請求権のみを有するものと解するのが相当である。

 これを本件についてみると、本件各持分について、上告人が価額を弁償する旨の意思表示をしたのに対して、被上告人らが価額弁償を請求する権利を行使する旨の意思表示をしたことはうかがわれないから、被上告人らは、価額弁償請求権を確定的に取得したとは認められず、共有持分権及び共有持分権に基づく現物返還請求権のみを有するものである。 
 したがって、本件各持分の価額の支払を命じた原審の判断には、法令の解釈適用を誤った違法がある。

5 以上によれば、原審の上記判断には、判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反がある。論旨は理由があり、原判決のうち本件各持分の価額の支払を命じた部分は破棄を免れない。したがって、原判決主文第2項(2)、(5)、第3項(2)及び(5)を本判決主文第1項のとおり変更することとする。
 よって、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。
(裁判長裁判官 宮川美津子 裁判官 安浪亮介 裁判官 岡正晶 裁判官 堺徹 裁判官 中村愼)
以上:2,590文字
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R 7- 8- 7(木):裁判所鑑定結果による賃料増額請求を認めた地裁判決紹介3
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○「裁判所鑑定結果による賃料増額請求を認めた地裁判決紹介2」の続きで、裁判所鑑定結果による賃料増額請求を認めた地裁判決例として令和6年6月27日東京地裁判決(LEX/DB)全文を紹介します。

○本件土地の賃貸人である原告が、賃借人である被告に対し、借地借家法11条1項に基づき、賃料増額の意思表示をした日以降、本件土地の賃料が月額38万7000円から月額83万1000円に増額されたことの確認を求めたました。

○当事者双方の申出に基づき裁判所が鑑定を命じた不動産鑑定士による鑑定は、賃料額につき、差額配分法、利回り法及びスライド法により試算賃料を算出した上、各手法の特徴や本件の特殊性を考慮した各試算賃料に係る説得力を吟味し、これらを均等に関連付けて、月額59万2000円と評価し、同鑑定は信用することができるとして、原告の請求を一部認容し、一部棄却しました。

○直近合意時期平成22年7月1日から賃料増額意思表示をした令和3年5月11日までの僅か10年10か月の間に月額賃料が38万7000円が59万2000円と53%も上昇しています。東京が如何に不動産バブルになっているかが判る判例です。

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主   文
1 原告が被告に賃貸中の別紙物件目録記載の土地の賃料が、令和3年5月11日以降月額59万2000円であることを確認する。
2 原告のその余の請求を棄却する。
3 訴訟費用はこれを20分し、その11を原告の負担とし、その余は被告の負担とする。

事実及び理由
第1 請求

 原告が被告に賃貸中の別紙物件目録記載の土地(以下「本件土地」という。)の賃料が、令和3年5月11日以降月額83万1000円であることを確認する。

第2 事案の概要
 本件は、本件土地の賃貸人である原告が、賃借人である被告に対し、借地借家法11条1項に基づき、賃料増額の意思表示をした日(令和3年5月11日)以降、本件土地の賃料が月額38万7000円から月額83万1000円に増額されたことの確認を求めた事案である。

1 前提事実
 以下の事実は、当事者間に争いがない。
(1)本件土地を所有していたCは、被告との間で、賃貸人をC、賃借人を被告、賃貸期間を昭和42年6月11日から平成9年6月10日まで、賃料を月額9000円とし、本件土地を賃貸する旨の賃貸借契約(以下「本件賃貸借契約」という。)を締結し、昭和42年6月11日、被告に対し、本件土地を引渡した。
 Cは、平成9年4月1日死亡し、D及びEが、本件土地を相続により取得するとともに、本件賃貸借契約の賃貸人の地位を取得した。
 D及びEと被告は、平成22年7月1日(直近合意時点)、本件賃貸借契約の賃料を38万7000円とする旨合意した。
 D及びEは、平成28年12月20日、原告に本件土地を売却し、原告が本件賃貸借契約の賃貸人の地位を取得した。
(争いがない)

(2)原告は、令和3年5月11日(増額請求時点)、被告に対し、同日以降の本件賃貸借契約の賃料を月額83万1000円に増額する旨の意思表示をした。

2 争点
 増額請求時点における現行賃料の不相当性及び相当賃料額

3 争点に関する当事者の主張
(1)原告の主張
 原告が依頼した不動産鑑定の結果(甲6)によれば、本件土地の適正継続賃料額は、月額83万1000円である。
 本件土地の賃料は、直近合意時点(平成22年7月1日)に月額38万7000円とする合意がされてから、増額請求時点(令和3年5月11日)まで約10年10か月にわたり改定されていない。本件土地の適正継続賃料額と現行賃料との間に相当の乖離が存在すことは、現行賃料が不相当に低廉となったことを示すものである。

(2)被告の主張
 争う。仮に賃料増額が認められるとしても、被告が依頼した不動産鑑定の結果(乙1)によれば、その額は月額51万3400円を上回らない。

第3 当裁判所の判断
 当裁判所は、当事者双方の申出に基づき、不動産鑑定士F(以下「鑑定人」という。)に対し、鑑定事項を、直近合意時点を平成22年7月1日とした場合の令和3年5月11日時点における本件土地の適正な継続賃料額とする鑑定を命じ,鑑定人は、その結果(以下「本件鑑定」という。)を不動産鑑定評価書をもって当裁判所に報告した。

 本件鑑定は、要旨、上記鑑定事項の賃料額につき、差額配分法、利回り法及びスライド法により試算賃料を算出した上、各手法の特徴や本件の特殊性を考慮した各試算賃料に係る説得力を吟味し、これらを均等に関連付けて、月額59万2000円と評価した。 

 本件鑑定は、専門家たる鑑定人が中立かつ公正な立場から、その学識経験に基づき鑑定評価を行ったもので、採用した基礎資料や鑑定評価の過程に不合理な点は見当たらず、本件鑑定は信用することができる。

 そして、上記鑑定評価額である月額59万2000円を相当に下回る本件土地の現行賃料額は、直近合意時点から増額請求時点までの間の経済事情の変動等により不相当になったものと認められ、増額請求時点における本件土地の相当賃料額は、月額59万2000円と認められる。

 したがって、本件賃貸借契約の賃料は、令和3年5月11日の原告の賃料増額請求により、同日以降月額59万2000円に増額されたものと認められる。

第4 結論
 よって、原告の請求は主文1項の限度で理由があるから、その限度でこれを認容し、その余は理由がないから棄却することとし、主文のとおり判決する。
東京地方裁判所民事第44部 裁判官 高橋貞幹

別紙 物件目録
所在 渋谷区α
地番 ××番×
地目 宅地
地積 789.19平方メートル
但し、上記土地のうち、別紙図面赤線内部分
(契約書上の地積:90.00坪(297.52平方メートル))

別紙図面

以上:2,393文字
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R 7- 8- 6(水):令和7年誕生日雑感-初めて七夕花火祭を有料観客席で鑑賞し迫力満喫
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R 7- 8- 5(火):組合員のマンション法3条管理組合管理文書閲覧請求限度判断地裁判決紹介
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○マンションの自分の部屋からの漏水事故について、その原因を調査するためマンション管理組合にマンション設計図を閲覧させるよう要求しているが認められずに困っているとの相談を受けています。これに関係する裁判例を探していたら、判例時報最新号の令和7年8月1日号に、建物の区分所有等に関する法律3条所定の団体が管理する文書について、その構成員は、同法及び規約の定めの限度で閲覧をさせるよう求めることができるにとどまるとされた令和6年10月24日名古屋地裁判決(判時2624号○頁)が掲載されていましたので、全文紹介します。

○管理組合管理文書について組合員が閲覧請求できるのは期約の定めの限度に従うとの結論で、規約の定めは以下の通りです。
(イ) 組合は、次の各号に掲げる帳簿を備え、必要事項を記載し保管を行い、組合員の請求があったときは、これを閲覧させなければならない。
1号 会計帳簿
2号 管理共有物台帳
3号 備品台帳


○2号管理共有物台帳、3号備品台帳とは具体的に如何なる文書なのか不明で、判決主文1項記載別紙文書目録1記載の各文書も別紙が省略されており如何なる文書か不明です。残念ながら相談事例の参考にはなりませんでした。

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主   文
1 被告は、原告に対し、別紙文書目録1記載の各文書について、閲覧をさせよ。
2 原告のその余の請求を棄却する。
3 訴訟費用は、これを3分し、その1を被告の負担とし、その余を原告の負担とする。

事実及び理由
第1 請求

 被告は、原告に対し、別紙文書目録2記載の各文書について、閲覧及び写真撮影をさせよ。

第2 事案の概要
 本件は、建物の区分所有等に関する法律3条所定の団体である被告の組合員である原告が、被告に対し、被告の規約又は民法645条の類推適用により、被告が管理する文書の閲覧及び写真撮影をさせるよう求めるものと解される事案である。

1 前提事実(弁論の全趣旨により認められる。)
(1) 当事者
 被告は、肩書地に所在する分譲住宅に係る共有物を管理すること等を目的とする建物の区分所有等に関する法律(以下「区分所有法」という。)3条所定の団体である。
 原告は、上記分譲住宅の区分所有者であり、被告の組合員である。

(2) 被告の規約の定め
ア 被告の規約には、被告における文書の閲覧について、次のとおりの定めがある。
(ア) 理事長又は理事会において指名された理事は、議事録(区分所有法34条にいう集会である被告の総会の議事録を指す。)を保管し、利害関係人の請求があったときは、これを閲覧させなければならない。

(イ) 組合は、次の各号に掲げる帳簿を備え、必要事項を記載し保管を行い、組合員の請求があったときは、これを閲覧させなければならない。
1号 会計帳簿
2号 管理共有物台帳
3号 備品台帳

イ 被告の規約には、上記アのほか、被告において保管される文書の閲覧についての定めは置かれていない。また、被告の規約には、被告において保管される文書の謄写又は写真撮影についての定めは全く置かれていない。

2 争点
(1) 閲覧及び写真撮影をさせるよう求める権利の有無及び範囲
[原告の主張]
 原告が、被告とa銀行との間の取引報告書を検討した結果、不透明な取引が多数あることが分かった。これらを調査するために、別紙文書目録2記載の各文書をよく調査する必要がある。そこで、原告は、被告に対し、上記各文書について、閲覧及び写真撮影をさせるよう求めることができる(大阪高裁平成28年(ネ)第1420号、同第1934号同年12月9日判決・判例タイムズ1439号103頁(以下「平成28年大阪高判」という。)参照)。

[被告の主張]
ア 平成28年大阪高判は、団体そのものとその構成員との間に準委任類似の関係を認め、民法645条の報告義務の規定を類推適用しているが、団体そのものが個々の団体構成員に対して受任者的地位に立つという考え方を採ることはできず、上記類推適用をすることはできない。また、団体の役員は、団体に対して受任者的立場に立つということはできるかもしれないが、その場合でも、個々の役員は、個々の構成員に対して個別に受任者の立場に立つものではなく、団体との関係で報告義務を負うにすぎない。したがって、同条を類推適用して、原告に対し、被告の規約に定めのない文書の閲覧謄写請求権を認めることはできない。

イ 被告の規約には、謄写請求権に関する定めは置かれていない。したがって、原告の請求のうち、被告において保管される文書の写真撮影をさせるよう求める部分は、理由がない。

ウ 別紙文書目録2記載の各文書のうち、理事会議事録及び会計帳簿の裏付けとなる資料(領収書、請求書、見積書、工事の発注書、受注書、作業報告書、完了報告書、契約書など)については、被告の規約に閲覧請求権に関する定めが置かれていない。したがって、原告の請求のうち、これらの文書の閲覧をさせるよう求める部分は、理由がない。

(2) 権利濫用
[被告の主張]
 原告は、被告の預金口座が凍結された事件の加害者であり、被告は、原告の行為により多大な損害を受けている。原告に別紙文書目録2記載の各文書を開示すると、被告は更なる損害を受けるおそれがある。したがって、原告の請求は、権利濫用に当たり、許されない。

[原告の主張]
 被告は権利濫用の主張をするが、その根拠となる事実はないし、そもそも被告の主張する理由は、原告の請求を認めるか否かの判断には関係しない。

第3 当裁判所の判断
1 争点(1)(閲覧及び写真撮影をさせるよう求める権利の有無及び範囲)について

(1) 区分所有法30条1項は、同法3条所定の団体における建物又はその敷地若しくは附属施設の管理又は使用に関する区分所有者相互間の事項について、同法に定めるもののほか、規約で定めることができる旨を定める。

 そして、区分所有法は、同法3条所定の団体において保管される文書のうち、規約及び集会の議事録については、利害関係人の請求があったときは、正当な理由がある場合を除いて、閲覧を拒んではならない旨を定めるが(同法33条2項、42条5項)、これらの文書の謄写又は写真撮影に関する定めは置かれておらず、また、その他の文書の閲覧及び謄写又は写真撮影に関する定めは全く置かれていない。

 このように、区分所有法が、同法3条所定の団体において保管される文書の一部についてのみ閲覧に関する定めを置きつつ、同団体において保管される文書について謄写又は写真撮影に関する定めを全く置いていないこと(一般社団法人及び一般財団法人に関する法律が、社団法人において保管される文書について広範に閲覧及び謄写等に関する定めを置いている(同法32条2項、129条3項、121条1項等)のとは異なる定め方をしていること)等に照らすと、区分所有法3条所定の団体における規約及び集会の議事録以外の文書の閲覧や、当該団体において保管される文書の謄写又は写真撮影については、当該団体の規約の定め等(いわゆる団体自治)に委ねられているものと解される。

(2) 前提事実(2)のとおり、被告の規約には、総会の議事録、会計帳簿、管理共有物台帳及び備品台帳の閲覧についての定めが置かれているのみで、被告において保管されるその他の文書の閲覧についての定めは置かれておらず、被告において保管される文書の謄写又は写真撮影についての定めは全く置かれていない。その他に、被告の組合員が被告において保管される文書の謄写又は写真撮影を行う権利を根拠付ける総会の決議がされたなどの事情も認められない。そうすると、被告においては、区分所有法及び規約の定めの限度で、文書の閲覧が認められるにとどまるというべきであり、その他の文書の閲覧や、被告において保管される文書の謄写又は写真撮影については、少なくとも権利としてこれらを認めることはできないというべきである。

 なお、原告が言及する平成28年大阪高判は、民法645条の報告義務の規定を類推適用することにより、被告のような団体の構成員が、当該団体に対し、当該団体において保管される文書の閲覧及び写真撮影をさせることを求める権利を広範に認めた。しかしながら、区分所有法3条所定の団体と当該団体の構成員との間に準委任類似の関係を認め、民法645条を類推適用することにより、団体の構成員に対する報告義務を導くことができるとしても、具体的に、どの範囲の文書について閲覧させ、また、謄写又は写真撮影をさせることによって、上記報告義務が果たされるかは、一義的に決せられるものではない。結局のところ、この点は、当該団体に適用される法令の定めを前提としつつも、上記報告義務の内容をどのように具現化するかに関する個々の団体の判断(団体自治)によって決せられるべきものと解するのが相当である。そうすると、原告と被告との関係について民法645条の類推適用を肯定するとしても、被告において保管される文書の閲覧及び写真撮影をさせるよう求める権利の範囲が区分所有法及び規約の定めの限度にとどまる旨の上記の判断を左右するものではない。

(3) 前提事実(1)のとおり、原告は被告の組合員であり、組合の運営に関して利害関係を有することは明らかである。そうすると、原告は、被告に対し、区分所有法42条5項が準用する同法33条2項及び被告の規約(前提事実(2)ア(ア))に基づき、被告の総会の議事録(別紙文書目録2記載1の文書が該当する。)を閲覧させるよう求める権利を有し、また、被告の規約(前提事実(2)ア(イ))に基づき、前提事実(2)ア(イ)各号に掲げる帳簿(同目録記載3の文書のうち、元帳、仕訳帳及び毎月の収支計算書(月次報告書)並びに同目録記載4の文書が該当するものと解される。)を閲覧させるよう求める権利を有する。
 他方、原告は、別紙文書目録2記載のその他の文書を閲覧させるよう求める権利を有さず、また、同目録記載のいずれの文書の写真撮影をさせるよう求める権利も有しない。


2 争点(2)(権利濫用)について
 被告が主張する「被告の預金口座が凍結された事件」の加害者が原告であるか否かはおくとしても、上記1(3)のとおり原告が被告に対して閲覧させるよう求める権利を有する文書は、いずれも、被告の運営に関する極めて基本的な文書であり、原告がこれらを閲覧したとしても、それによって被告が不当な損害を受けることはおよそ想定し難い。したがって、原告が被告に対して上記文書を閲覧させるよう求める請求が権利濫用に当たるということはできない。

3 結論
 以上によれば、原告の請求は、主文第1項の限度で理由があるから、その限度で認容し、その余は理由がないから棄却する。
 よって、主文のとおり判決する。
 名古屋地方裁判所民事第10部 (裁判官 大竹敬人)
 
 〈以下省略〉
以上:4,481文字
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R 7- 8- 4(月):介護による寄与分について一定金額を認めた家裁審判紹介3
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○「介護による寄与分について一定金額を認めた家裁審判紹介2」の続きで、平成19年2月8日大阪家裁審判(家庭裁判月報60巻9号110頁)関連部分を紹介します。

○申立人らが、相手方長男に対し、遺産分割および寄与分を定めることを求めて申立したところ、相手方長男は、平成元年に被相続人の妻Fが入院して以降,被相続人方の家事等生活の面倒を見て、平成14年ころから,被相続人の認知症が進行し始めた後は,介護支援を行ってきたこと,被相続人が行っていた駐車場の経営を引き継いで管理,経営を行ったことにより,被相続人の財産の維持増加に貢献し、7366万7600円の寄与分があると主張しました。

○これに対し、申立人らは、寄与分7366万円は過大すぎると主張したところ、審判は相手方が被相続人の介護にあたっていた点につき、3年間の特別の寄与を認め、親族による介護であることを考慮し1日当たり8000円として合計876万円の寄与分を認めました。

○また、相手方が被相続人所有の土地上に自宅を建設し無償使用していた点については、被相続人が長男である相手方にそばに居てほしいとの考えから特に土地使用料もとらなかったものであり特別受益として扱うことを予定していなかったとして、寄与分の判断において土地無償使用の点が考慮されていることとの対比からも、特別受益とするのは相当でないとして、具体的相続分を算定の上、遺産の分割法法を定めました。

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主   文
1 相手方の寄与分を876万円と定める。
2 被相続人の遺産を次のとおり分割する。
(1)別紙遺産目録A記載1及び2の不動産を申立人A,申立人B及び申立人Cの持分各3分の1の共有取得とする。
(2)同目録A記載3及び4の不動産を申立人A及び申立人Cの持分各8分の3,申立人Bの持分8分の2の共有取得とする。
(3)同目録A記載5の土地を相手方の単独取得とする。
(4)同目録B記載1,2,4ないし7の各預金及びその利息並びに8の現金は,相手方の取得とする。
(5)同目録B記載3の預金については,申立人A及び申立人Cが各204万7653円,申立人Bが267万2580円,相手方が391万9028円を取得する。同預金に平成18年11月14日以降の利息が発生している場合には,各人の取得金額の割合に応じて取得する。
3 本件手続費用は各自の負担とする。

理   由
 一件記録によれば,以下のとおり認定及び判断することができる。
1 相続の開始及び相続人
 被相続人は,平成17年×月×日死亡し,相続が開始した。その法定相続人は,同人の子供である申立人A,同B,同C及び相手方の4名であり,法定相続分は各4分の1である。

2 遺産の範囲
 別紙遺産目録A記載の不動産,B記載の預貯金及び現金が被相続人の遺産であることは,当事者間に争いがなく,本件記録によってもこれを認めることができる。
 なお,別紙遺産目録B記載の7の預貯金の残高については,平成18年×月×日の審判期日における当事者の合意及びその後の調査結果に基づき,別表のとおり,相続開始時である平成17年×月×日時点の残高に,その後振り込まれた平成17年4月分の賃料を加算し,そこから固定資産税の4か月分等及び駐車場の預かり保証金76万円を差し引いたものである。

 また,同目録B記載の8の相手方保管の現金については,同様に,450万円から葬儀費用等の409万8252円を差し引き,これに相手方の口座に振り込まれた被相続人の年金28万3879円を加えた68万5627円から,相手方が立て替え払いした被相続人の税金11万8900円を差し引いた金額である。

3 寄与分
(1)相手方は,寄与分を主張する。すなわち,相手方は,平成元年に被相続人の妻Fが入院して以降,被相続人方の家事等生活の面倒を見てきたものであり,平成14年ころから,被相続人の認知症が進行し始めた後は,介護支援を行ってきたこと,被相続人が行っていた駐車場の経営を引き継いで管理,経営を行ったことにより,被相続人の財産の維持増加に貢献し、7366万7600円の寄与分があるとの主張である。

(2)これに対し,申立人らは,平成14年以降の3年間については,相手方が被相続人の介護を献身的に行っていたことを認めるものの,その余の点については,相手方に特段の貢献があったものとは認められず,前記,3年間の介護についても,相手方が被相続人宅に隣接した被相続人所有地に家を建て,地代等の負担もなく,長年住み続けている事情を考慮すると,相手方の主張する7366万7600円という金額は過大に過ぎる旨,主張する。 

(3)そこで,検討するに,被相続人の妻Fは,平成元年ころから,短期の検査入院を繰り返すようになり,平成7年×月に死亡したものであるが,Fの入院中は,相手方の妻が毎日病院に通うほか(□□在住の申立人Aも週に1回程度,病院を訪れていた。),相手方夫婦で,被相続人の家事全般の世話をしていた。
 F死亡後は,相手方の妻が昼食と夕食を作り,被相続人方に届けるほか,日常的な世話を行っていた。被相続人方の周囲は広いため,除草作業や清掃作業の負担は大きく,申立人Aもときどき庭や周囲の溝の清掃を手伝っていた。

 また,被相続人は,平成13年までは一人で新幹線に乗り,○○に住む申立人Bや申立人Cの家を訪問してしばらく滞在していた。
 しかし,平成14年2月ころから被相続人に認知症の症状が顕著に出るようになったため,相手方は,被相続人の3度の食事をいずれも相手方方でとらせるようになり,被相続人が○○を訪問するときは,相手方が往復とも被相続人に付きそうようになった。このころから,被相続人は常時,見守りが必要な状態となり,また,被相続人の排便への対応にも相手方は心を砕いていた。

 申立人らも,平成14年以降の3年間については,相手方が被相続人の介護を献身的に行っていたことを認めており,この期間については,相手方の被相続人に対する身上監護には,特別の寄与があったものと認められる。これに対し,平成14年2月より以前の被相続人に対する日常生活上の世話は,親族間の扶養協力義務の範囲のものであると認められ,特別の寄与とまではいえない。

 また,駐車場の管理について,相手方が具体的に行動し始めたのは平成13年2月ころからであり,駐車場の清掃,苦情への対応,顧客離れを防ぐための賃料の減額などを行っていたものであるが,相手方が平成14年1月から駐車場管理の報酬として月額5万円を取得していたことに照らし,相手方の駐車場の管理について特別の寄与があるとまで認めるのは困難である。

(4)相手方の被相続人に対する身上監護については,親族による介護であることを考慮し,1日当たり8000円程度と評価し,その3年分(1年を365日として)として,8000円×365日×3=876万円を寄与分として認めることとした。

4 特別受益
(1)申立人Bに対する○○市○○区○○○丁目○○―○○の宅地の持分27分の5の生前贈与
 申立人Bは,平成14年から15年にかけて,被相続人から○○市○○区○○○丁目○○―○○の宅地の持分27分の5につき,申立人B及びその妻,子に対して贈与を受けており,この評価を相続開始時である平成17年の路線価を基に計算すると597万4388円となることは,申立人B自身が認めている。

(2)申立人A,同B,同C及び相手方に対する各333万円の生前贈与
 当事者全員が,それぞれ被相続人から生前贈与として各333万円を受領したことを認めており,これについては,特別受益としては取り上げないこととした。

(3)相手方の別紙遺産目録A記載5の土地の無償使用

     (中略)

8 遺産の分割
(1)相手方は,自宅の敷地である別紙遺産目録A記載5の土地のほか,駐車場である同目録A記載1,2の不動産の取得を希望するようであるが,これらの不動産の評価額の合計は1億2512万0249円となり,相手方の具体的相続分額6114万1826円との差額が6397万8423円にものぼり,支払うべき代償金が相手方の支払可能金額を大きく超えることとなるため,相手方には,不動産としては,自宅の敷地である別紙遺産目録A記載5の土地のみを取得させるのが相当である。

(2)申立人らは,第2希望ながら,別紙遺産目録A記載1ないし4の不動産の持分各3分の1での共有を希望している。この点と申立人A及び同Cに比べ,申立人Bの具体的相続分が少ない点を考慮し,別紙遺産目録A記載1及び2の不動産を申立人らの持分各3分の1での共有とし,同目録A記載3及び4の不動産を申立人A及び同Cの持分各8分の3,申立人Bの持分8分の2での共有とすることとした。

 これにより,申立人Bは,4373万4858円相当,申立人A及び同Cは各5033万4173円相当の不動産を取得することになる。
 申立人ら各人の具体的相続分との差額については,別紙遺産目録B記載の3の預金から取得させることとする。申立人A及び同Cは各204万7653円,申立人Bは267万2580円である。

(3)相手方には,具体的相続分6114万1826円と別紙遺産目録A記載5の土地の評価額3351万1562円との差額2763万0264円を預貯金及び現金で取得させることになる。すなわち,相手方には,別紙遺産目録B記載の1,2,4ないし7の預金の全部,8の現金の全部及び3の預金のうち391万9028円を取得させることになる。
 なお,別紙遺産目録B記載の3の預金に平成18年11月14日以降の利息がついている場合には,各人の取得金額の割合に応じて利息を取得させることとした。

9 手続費用の負担
 本件手続費用は,各自の負担とするのが相当である。
 よって,主文のとおり審判する。(家事審判官 牧真千子)

以上:4,047文字
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R 7- 8- 3(日):あるお方に誕生祝い会を開催して頂きました-感謝いたします12
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恐れ入りますが、本ページは、会員限定です。

以上:21文字
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R 7- 8- 2(土):2025年08月01日発行第394号”弁護士のお客様ファースト”
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○横浜パートナー法律事務所代表弁護士大山滋郎(おおやまじろう)先生が毎月2回発行しているニュースレター出来たてほやほやの令和7年8月1日発行第394号「弁護士のお客様ファースト」をお届けします。

○20年近く前に刑事事件引退を宣言して以来殆ど刑事事件をやっていない私は、万引きのような比較的軽い犯罪は日本人はなかなか逮捕まで行かないのに外国人は1回目から逮捕されるのが普通と言う実態を全く知りませんでした。自国ならともかく他の国にきてまで万引きをするなんてけしからんという発想でしょうか。刑事事件の分野では「日本人ファースト」が実践されているようですが、人間個人全て平等との発想からは問題です。

○「お客様ファースト」は昔は「お客様は神様です」なんて言われたこともありますが、大山先生が言われるように「相手方も満足した方が結局は顧客の利益になる」はホントにそう思います。相手に恨みだけ残る解決は、その場限りでは良くても、恨みの悪循環に陥るだけだからです。司法修習時代にある裁判官から、相手の逃げ場を用意して責めるのが良いと言われた言葉を思い出しました。

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横浜弁護士会所属 大山滋郎弁護士作

弁護士のお客様ファースト

今回の参議院選挙で、参政党の「日本人ファースト」が話題になりました。その内容が、「良いことは、まず身近な人から始めていこう」という考えなら、私も共感できるのです。最近ネットで、「世界のことを考える人はたくさんいるが、母親の家事を手伝う人は少ない」みたいな言葉がありました。これに対しては「家族ファーストはおかしい」「世界の人たちをどう考えているのか」なんて反論はなくて、多くの人が共感を示していたんですね。英語のことわざにも、「charity begins at home」なんてありました。善行はまず家庭から始めろということです。私の好きな儒教の教えにも、「修身斉家治国平天下」とあります。世界の心配をする前に、まずは家庭を整え、自国を治めろという意味です。自国民の不満を解決しないで、いきなり外国の問題に向かうのは問題があるようにも思えるのです。

外国人問題のスローガンと言えば、明治維新のときに「尊王攘夷」というのを思い出しました。結局攘夷は実行されず、スローガン倒れでしたよね。しかし維新後、政府を訪問して「攘夷はいつ始めるんでしょうか?」と質問した人がいたそうです。仮に参政党が政権を取ったら、「日本人ファーストはいつ始めるんですか?」なんて質問する人が出てくるかもしれません。こんなことを想像すると、ほのぼのした気持ちになるのです。(おいおい)

いずれにしても、私は日本人ファーストを前提としても、できるだけ外国人と上手くやっていって欲しいなと思うのです。奨学金を無償で与えることで、優秀な外国人が親日家になってくれたら嬉しいものです。さらに言えば、少なくとも刑事司法の現場では既に日本人の方が圧倒的に優遇されているのも事実なのです。犯罪行為をする外国人の問題ですが、そういう人たちの弁護活動を現実にした経験からは、なかなか複雑な思いもあります。万引きなどする日本人高齢者が増えているといぅったニュースをよく見ます。そういう日本人の場合、警察もかなり手心を加えて、何回繰り返してもなかなか逮捕まで行かないんですね。

一方、外国人の場合には、万引きなどの比較的軽い犯罪の場合でも1回目から逮捕される方が普通です。そして次に来るのが、本国への強制送還です。こんな感じで強制送還されそうな外国人の在留特別許可を取るための活動をしたことがありました。その人は自国に送還されるのを本当に嫌がっていましたが、結果的に収容施設で命を絶ってしまいました。犯罪したのが悪いと思う一方、もう少し外国人にも何とかしてあげたいと思ったのです。

ということで弁護士の話です。「日本人ファースト」が妥当かはさておいて、弁護士の場合に「お客様ファースト」が必ずしも十分でなかったことは間違いないと感じています。以前の弁護士は独立に当たり先輩から、どうやって顧客を掴むかのアドバイスなんか受けなかったそうです。そうではなくて「どうやって依頼を断れば良いか」について教えて貰ったというのです。そんな環境では、「お客様ファースト」なんて考える必要ないんです。「人権あって、顧客なし」というのが、以前の弁護士に対する標語でしょう。以前は、「人権弁護士」と言われている人達が、依頼者から不当に高い報酬を得て、それを「人権活動」に回していたなんて話はよく聞いたのです。

○弁護士人口が増えて、殿様商売ができなくなった中、お客様ファーストを唱える弁護士が増えてきています。と、他人事みたいに言ってますが、私自身独立開業するにあたり、「お客様ファースト」を主張しました。それ自体は、今でも正しいと思っています。その一方、違法でなければ全てお客様ファーストでよいのかと言えば、やはり疑問が残ります。相手方も満足した方が結局は顧客の利益になるはずです。日本人ファーストに疑問を持つ人達も同じ問題意識なのかもしれません。お客様を大切にしながらも、社会の役に立つ弁護士になりたいものです。

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◇ 弁護士より一言

どんなに強く国際協調を主張する人でもオリンピックになると愛国者になるそうです。身内贔屓は人間の本性なのかもしれません。それにしても参政党の神谷さんはじめ、皆さん本当に弁がたつなと感心します。そう妻に話したら、「口の上手い人はなんか信用できないから、やっぱりパパが一番!」と言ってくれました。妻が「夫ファースト!」で嬉しかったのでした。

以上:2,380文字
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R 7- 8- 1(金):介護による寄与分について一定金額を認めた家裁審判紹介2
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○「介護による寄与分について一定金額を認めた家裁審判紹介」の続きで、申立人の妻の貢献につき、申立人の補助者または代行者として遺産の維持に特別の寄与がなされたものであると認め、これを申立人の寄与分として考慮して遺産分割をした平成4年12月28日神戸家裁豊岡支部審判(家庭裁判月報46巻7号57頁)全文を紹介します。

○被相続人の長男である申立人の妻による被相続人の介護について申立人による特別の寄与として、その寄与分価格を120万円と評価して遺産総額から控除した残額を法定相続分で分配しました。その分配額に120万円を加えたものが、申立人の取得額になり、取得分以上の土地を取得した申立人は他の相続人に遺産分割代償金を支払えとの結論です。

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主   文
1 被相続人Aの遺産を次のとおり分割する。
(1)別紙遺産目録1,2,5,6記載の各土地を申立人の取得とする。
(2)同目録3,4,7記載の各土地を相手方らの取得(共有持分はそれぞれ2分の1ずつ)とする。
2 上記遺産取得の代償として,申立人は,相手方らに対し,それぞれ金49万9000円ずつを支払え。
3 本件手続費用中,鑑定人○○○○に支払った鑑定費用は,これを10分し,その4を申立人,その3ずつを相手方らの各負担とし,その余の費用は各自の負担とする。
 上記手続費用の償還として,相手方らはそれぞれ,申立人に対し,金34万5000円ずつを支払え。

理   由
 一件記録に基づく当裁判所の事実認定及び法律判断は,以下のとおりである。
1 相続の開始,相続人及び法定相続分
 被相続人甲野太郎(明治27年7月16日生,以下「被相続人」という。)は,昭和51年7月16日に死亡し,相続が開始した。その相続人は,子である本件当事者全員であり,適式な遺言がないので,相続人らの法定相続分は,各3分の1ずつである。

2 遺産の範囲
 本件遺産分割の対象となる被相続人の遺産は,別紙遺産目録記載の各土地(以下「本件土地」という。)と認める。

3 遺産の状況及び評価
 本件土地は,位置関係,利用状況,境界の識別の難易から,概ね7か所に分けられる。本件土地の現況は,別紙遺産目録に記載のとおりである。本件土地の位置関係は,別紙本物件所在図のとおりである。
 なお,本件1,2,3の(4)ないし(6)の土地には,朝来郡○○村(現朝来郡○○町)の抵当権設定登記が経由されていたが,本件審理中に,相手方らの要請により,申立人が,○○町と交渉のうえ,右登記の抹消登記をすませた。
 本件土地の相続開始時及び審判時の価格は,鑑定結果に基づき,別紙遺産目録に記載のとおりと認定する。

4 特別受益
 当事者全員について,特別受益は認められない。

5 寄与分
 被相続人は,農業に従事していたが,昭和25年ころから,農作業は申立人に任せ,花売りの行商に従事するようになった。しかし,昭和44年ころ,高血圧と心臓病が悪化したことから,花売りの行商を止め,以後は申立人に扶養されていた。昭和48年末ころからは,上記持病に老衰も加わって,寝たきりの状態となった。

近隣には入院できる病院はなく,また,被相続人も入院を嫌ったため,自宅療養し,申立人の妻花子が専らその付添看護を行っていた。花子は,被相続人の病状が進行した昭和49年3月ころからは,垂れ流しの大小便の世話のため,30分以上の外出をすることが出来なくなり,被相続人の発作の危険が増した昭和50年12月ころからは,昼夜,被相続人の側に付きっきりで看護した。そのため,花子は,慢性的な睡眠不足となり,被相続人の死後、長期間の看病疲れから自律神経失調症を患ったほどであった

 以上のような花子の被相続人に対する献身的看護は,親族間の通常の扶助の範囲を超えるものがあり,そのため,被相続人は,療養費の負担を免れ,遺産を維持することができたと考えられるから,遺産の維持に特別の寄与貢献があったものと評価するのが相当であるところ,右看護は,申立人の妻として,申立人と協力しあい,申立人の補助者または代行者としてなされたものであるから,本件遺産分割にあたっては,申立人の寄与分として考慮すべきである(なお,本件は,昭和55年法律第51号「民法及び家事審判法の一部を改正する法律」施行前の事案であるが,寄与分を考慮することは,同法律施行前の民法によっても,解釈上是認される)。 

 上記寄与分の価格は,相続開始時において,120万円と評価するのが相当である(昭和49年3月以降概ね28か月として,死亡直前の6か月を月9万円程度,その余の22か月を月3万円程度が通常の扶助を超える部分の評価とした。)。

6 各自の取得額
 相続開始時の遺産総額は,851万8000円であるところ,前記寄与分120万円を除外した額の3分の1にあたる243万9000円(千円未満四捨五入,以下同じ)が各相続人の法定相続分である。申立人の取得分は,これに寄与分120万円を加えた363万9000円であり,各相手方の取得分は,243万9000円ずつである。

 そして,審判時の遺産総額は,1115万7000円であるから,申立人の取得額は,その851万7000(申立人及び相手方らの上記取得分の和)分の363万9000(申立人の取得分)にあたる476万7000円であり,各相手方の各取得額は,1115万7000円の851万7000(申立人及び相手方らの上記取得分の和)分の243万9000(各相手方の取得分)にあたる319万5000円ずつである。

7 分割方法の希望
 申立人は,本件土地を耕作しており,全土地を取得したいが,多額の代償金の支払いが困難なため,現物分割でもやむを得ないと考えているところ,特に本件1,2,5,6の土地の取得を希望している。本件1の土地は,その地続きの土地を購入して建物を建て,農業用資材の置場としていること,本件5の土地は,被相続人の死亡前の昭和51年6月に県の圃場整備事業が完成した土地であり,右の償還金は,申立人が,昭和50年12月から分割弁済してきたこと(なお,平成9年まで弁済しなければならない。),このような土地を非農業者が取得すると,集落の者らに迷惑を掛けることになることなどが,希望する理由である。

 相手方一郎は,現物分割し,1次的に,相続人全員による全土地の共有取得を希望し,2次的に本件3,6の土地と4または7の土地の相手方春子との共有取得を希望している。特に,本件3の(1)の土地は,相続人らが幼少のころ被相続人と住んでいた土地で,馴染みが深く,本件6の土地は売却が容易と考えられるからというのが,その理由である。


 相手方春子は,現物分割し,1次的に,相続人全員による全土地の共有取得を希望し,2次的に本件1,2,5,6の土地の相手方一郎との共有取得を希望している。特に,本件1の土地は,立地条件がよく,評価が高く,本件6の土地は売却が容易と考えられるからというのが,その理由である。

8 相続人らの生活状況
 申立人は,住所地で,妻及び長男とともに,農業に従事し,本件土地を耕作したり,他家の委託による農作業をしたりして,生計を建てている。
 相手方一郎は,住所地で会社員をしており,妻と二人暮らしである。
 相手方春子は,住所地で二子とともに暮らし,カラオケ講師をし,生計を建てている。

 なお,相手方らは,本件で土地を取得することになったときは,農業をする(春子)とか,自分で耕作する(一郎)するとか,述べているが,現実性に乏しいものと考えられる(このように述べながらも,他方では,前記のように売却の容易な土地を希望している)。

9 当裁判所の定める分割方法
以上の事情を考慮し,次の方法により本件遺産を分割する。
(1)本件1,2,5,6の土地を申立人の取得とする。
 本件3,4,7の土地を相手方らの取得(共有持分はそれぞれ2分の1ずつ)とする。
そうすると,これによって取得した土地の価格は,次の通りとなる。
申立人  577万7000円
相手方ら 各269万0000円

(2)(1)の取得額と前記6の取得額とを対比すれば,申立人の方が相手方らよりも各50万5000円ずつを過分に取得していることになるので,申立人は,相手方らに対し,その代償金をそれぞれ支払うべきである。
 ところで,申立人は,本件遺産分割のため,前記のとおり抵当権設定登記の抹消登記を行っており,その費用として2万1800円を負担しているが,これは相続人ら全員が負担すべき共益費と考えられるので,その清算を併せて図るのが相当である。各相手方の負担額は,2万1800円の851万7000分の243万9000にあたる6000円(千円未満四捨五入)となる。これを,前記50万5000円から控除した49万9000円が,申立人が,相手方らに対し,それぞれ支払うべき代償金の額である。

10 手続費用について
 鑑定費用115万円は,申立人が立替えているところ,これについては,受益の程度等を考慮して,主文3項のとおり負担させることとし,その余の手続費用は各自の負担とする。その結果,前記手続費用の償還として,相手方らは,申立人に対し,それぞれ34万5000円ずつを支払うべきである。
 よって,主文のとおり審判する。
(家事審判官 増田耕兒)
以上:3,837文字
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R 7- 7-31(木):介護による寄与分について一定金額を認めた家裁審判紹介
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○遺産分割で相続人の一人が被相続人の介護を担い、その介護について寄与分の主張をした場合、どのような基準で金額が算定されるかについての裁判例を探しています。
申立人Bが、被相続人と同居を始めた昭和48年から平成7年12月末ころまでの家事労働、洗髪介助、排泄の介助,後始末などの身辺介助、入浴介助等について1日或いは1回毎の基準料金を定め、合計約3775万円が寄与分相当額と主張しました。

○相手方らは、申立人Bは,毎月10万円の介護料を被相続人から受領し、その他にも多額の金員を受領し、既に申立人Bの寄与をはるかに超える金額を受領済みであり、且つ、申立人Bらによる介護には不適切な面があり,寄与というべきでないなどと主張しました。

○これに対し、申立人Bの介護の専従性を認めた上で、申立人が被相続人から金銭を受領しているものの他の相続人らも同様に金銭を受領していた事実があるから、その介護の無償性は否定されず、寄与分を評価する上で評価すべき事情としてその他の事情と併せ考慮し、申立人の寄与分を遺産総額の3.2%強である750万円と定めた平成19年2月26日大阪家裁審判(家庭裁判月報59巻8号47頁)関連部分を紹介します。

*********************************************

主   文
1 申立人Bの寄与分を750万円と定める。
2 申立人Aの寄与分を定める処分の申立てを却下する。
3 被相続人Eの遺産を次のとおり分割する。
(1)申立人Aは,別紙1遺産目録記載のすべての遺産を取得する。
(2)申立人B,相手方らはいずれも,遺産を取得しない。
4 申立人Aは,申立人Bに対し,前項(1)の遺産取得の代償金として,6288万2098円を支払え。
5 申立人Aは,相手方Cに対し,第3項(1)の遺産取得の代償金として,5538万2097円を支払え。
6 申立人Aは,相手方Dに対し,第3項(1)の遺産取得の代償金として,5538万2097円を支払え。
7 本件手続費用は各自の負担とする。

理   由
 一件記録に基づく当事者の主張,当裁判所の事実認定及び法律判断は,以下のとおりである。
1 被相続人は平成14年×月×日死亡し,相続が開始した。相続人は,被相続人の子らである申立人B,相手方C,相手方D及び申立人Bの夫であり被相続人の養子である申立人Aである。各人の法定相続分は,いずれも1/4である。

2 遺産の範囲及び評価
 現在残存する遺産として認められるのは,別紙1遺産目録に記載した預貯金,現金,保管金,配当金である。
 本件係属当初未分割遺産であった○○市△△町に所在する不動産については,平成17年×月×日に全員が1/4ずつ共有取得することで一部調停が成立した。

 本件係属当初存在した被相続人名義の株券や有価証券は,当事者合意の上,申立人ら代理人弁護士がすべて売却し,売却代金を同弁護士名義の預金口座で保管している。現在保管している売却代金は,別紙1遺産目録4記載の保管金記載のとおりである。
 したがって,現時点における分割すべき遺産の総額は,別紙1遺産目録記載の財産の総額である2億2902万8389円となる。

3 申立人Bの寄与分主張について
(1)申立人Bの主張
ア 被相続人宅の家事労働など

     (中略)

エ 申立人Bの寄与分の評価
 申立人らが被相続人と同居を始めた昭和48年から平成7年12月末ころまでの申立人Bの家事労働に関する寄与分は,1日当たり少なくとも2000円として,1600万円(=2000円/日×約8000日)である。

 平成8年から平成12年8月24日まで(約1700日)の洗髪介助については,1回の介助を300円,3日に1回として約574回で17万2200円である。排泄の介助,後始末などの身辺介助を1回1000円,1日1回として,合計170万円である。さらに,この間の家事労働一般を1日5000円として,850万円である。したがって,この期間の申立人Bの寄与分は,これらの合計の1037万2200円である。

 平成12年8月25日から平成13年11月まで(約450日)の介護に関する寄与分は,平成12年に導入された介護保険制度の基準を参考にすると,入浴介助は1回1万3250円として450日で596万2500円となる。排泄介助は1回400円で,1日4回として算定すると72万円である。家事一般は1日1万円で,450万円である。深夜の排泄介助は1回1000円,2日に1回程度として20万円となる。したがって,この期間の寄与分は,これらの合計の1138万2500円である。
 以上を合計した3775万4700円が申立人Bの寄与分である。

オ 平成7年12月にFが亡くなるまでは,被相続人夫婦と申立人らは,生活費を折半で負担していた。平成7年12月のFの死後,被相続人は,生活費として,年金や恩給から月額平均10万円を申立人らに交付してきた。しかし,これのみでは被相続人の生活費を賄いきれず,申立人Bは,自らが小遣いとして被相続人から取得した金銭からも,被相続人の生活費を支出していた。

(2)相手方らの反論

     (中略)

e 申立人Bは,毎月10万円の介護料を被相続人から受領していた。その他にも,被相続人から,平成8年から12年にかけて合計928万円の資金供与,生活費として452万円,さらに被相続人の生活費の余剰金168万円などの供与を受けており,既に申立人Bの寄与をはるかに超える金額を受領済みである。

f 申立人らによる介護には不適切な面があり,寄与というべきでない。

     (中略)

(3)認定事実
 一件記録によると,以下の事実が認められる。

     (中略)

(4)申立人Bの寄与分の有無及び評価
 寄与分を認めるためには,当該行為がいわゆる専従性,無償性を満たし,一般的な親族間の扶養ないし協力義務を超える特別な寄与行為に当たると評価できることが必要である。以下,(3)の認定事実に基づき,検討する。

ア 平成8年ころまでの家事労働などについて

     (中略)

エ 申立人Bの寄与分の評価
(3)の認定事実を前提に,以下,申立人Bの寄与分の評価につき検討する。
a 申立人Bが被相続人の介護にほぼ専従したのは,平成12年8月24日の風呂場での転倒時から平成13年12月末ころまでの約16か月間(486日間)である。
b 看護師家政婦紹介所が看護師等を派遣する際の標準賃金表(ただし平成17年当時の基準)によれば,看護師の場合,〔1〕泊込勤務が1万8000円,〔2〕午前9時から午後5時までの通勤勤務が1万3
000円である。ケアワーカーの場合は,泊込勤務が1万2100円,〔2〕午前9時から午後5時までの日勤が7800円である。いずれも泊込勤務の際,午後10時から午前6時まで特に介護を要した場合,泊り料金の1割から2割増しとなり,徹夜勤務の場合は5割増しとなっている。

c 上記の標準賃金を参考にしつつ,申立人Bの介護が
〔1〕勤務としてではなく,あくまで親族介護であること,
〔2〕少人数による在宅介護のため,完璧な介護状態を保つことは困難だったと窺われること,
〔3〕申立人Bが他の親族より多額の小遣いを取得していたこと,
〔4〕昼間は,他の親族も交代で被相続人の介護を手伝っていたこと,
〔5〕被相続人の生活が次第に昼夜逆転し,深夜の排泄介助もしばしばあったことは負担感を増したといえること,
〔6〕被相続人が□□体型であり,介護の肉体的負担が極めて大きかったといえること
などを考慮して,一日当たりの介護費用を1万2000~1万3000円程度として算定することとする。とすれば,申立人Bの当該期間の介護労働を金銭的に換算すると,600万円程度との評価が可能である。

d 上記の数字は,専ら当該期間中の介護面のみを抽出して金銭換算したものであるが,最終的な寄与分評価としては,上記の数字を踏まえ,相続財産の額その他一切の事情を考慮(民法904条の2)し,相続人間の実質的衡平に資するべく評価を決定することとなる。

 本件において,申立人Bは,
〔1〕平成8年4月以来,被相続人の洗髪を介助するなど,軽度の身体介助は相当早期から始まっていたこと,
〔2〕失禁の後始末など排泄にまつわる介助も平成8年ころから既に行っていたこと,
〔3〕平成11年ころから,被相続人が幾度も転倒しており,その行動に注意を要する状態は既に始まっていたこと
などを併せて考慮すれば,最終的な寄与分の評価としては,遺産総額中の3.2%強である750万円と認めることとする。

     (中略)

5 当裁判所の定める分割方法
(1)各自の具体的相続分
 現時点における分割すべき遺産の総額は,2億2902万8389円である。申立人Bの寄与分を750万円認めた各自の具体的相続分は,以下のとおりとなる。
申立人B 6288万2098円
申立人A 5538万2097円
相手方C 5538万2097円
相手方D 5538万2097円

(2)具体的分割方法
 現時点の遺産は,預貯金,申立人Aの手元現金,申立人ら代理人弁護士保管金,株式配当金であり,いずれも容易に換金可能なものである。従前からこれらの財産を申立人Aにおいて主として管理してきたことによれば,遺産の現物をすべて申立人Aに取得させた上で,申立人Aから他の当事者に対して,各自の具体的相続分に相当する代償金の支払いを命じることとする。

6 手続費用の負担
 手続費用はいずれも,それぞれ支出した当事者に負担させるのが相当である。よって,主文のとおり審判する。
(家事審判官 山本由美子)
以上:3,942文字
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R 7- 7-30(水):全塗装修理代金請求に対し部分塗装の範囲で損害賠償を認めた地裁判決紹介
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○原告は交差点内での衝突事故(過失割合被告100%)で所有する外国製クラシックカー(時価1000数百万円)の塗装修理について損傷部分塗装ではなく全塗装修理代金765万円に加えて評価損・駐車場代等1504万円の支払を請求しました。

○原告は、破損部分のみの部分塗装では、色合い、つや、質感等の点でその外観はパッチワーク状態となり、事故に遭った車両であることが一目瞭然となり、被害者の権利回復という不法行為制度の趣旨からすれば少なくとも、損傷部位に対する塗装に限らない全塗装を行うことが必要であり、全塗装修理代金765万円と主張しました。

○被告は、車両の塗装は、20年以上も経過すれば、部位ごとに程度の異なる経年劣化をするので、部分塗装をすればパッチワークが生じることが必然であるとしても、一般に、塗装劣化が激しい車両に対する修理方法においても部分塗装が通常の対応であり、全塗装の必要性は認められないと主張しました。

○この事案について、全塗装修理を主張する外国製クラシックカーの塗装範囲を損傷がない部位まで塗装を行うことは必要かつ相当の範囲の修理とは認められないと部分塗装での修理を認定し、事故と因果関係のある修理代金は部分塗装の約438万円と認定した令和5年2月14日東京地裁判決(判時2622号41頁)関連部分を紹介します。

○判決は、骨董的価値に起因して増加する損害部分はいわゆる特別損害にあたり、塗装修復する損傷部位とこれをしない非損傷部位との塗装状態の差が目立つことになるような、修理方法として万全とはいえないことによる損害は、別途評価損を認め得る場合には当該費目において考慮するのが相当であり、非損傷部位に対する塗装費用自体を修理費用名目の損害として認めることは社会通念上相当でないとしました。

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主   文
1 被告は、原告に対し、735万1625円及びこれに対する平成30年4月30日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
2 被告は、原告に対し、36万円及びこれに対する平成30年4月30日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
3 原告のその余の請求をいずれも棄却する。
4 訴訟費用は、これを2分し、それぞれを原告と被告の負担とする。
5 この判決は、第1項及び第2項に限り、仮に執行することができる。

事実及び理由
第1 請求

1 被告は、原告に対し、1504万0343円及びこれに対する平成30年4月30日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
2 被告は、原告に対し、45万8332円及びこれに対する平成30年4月30日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。

第2 事案の概要
1 事案の骨子

 本件は、被告が運転する普通乗用自動車(以下「被告車」という。)が、東京都内の交差点において、対面信号が赤色であるにもかかわらず交差点に進入し、原告が所有及び運転する普通乗用自動車(輸入クラシック・カー。以下「原告車」という。)と衝突した事故(以下「本件事故」という。)に関し、原告が被告に対し、民法709条に基づき、物的損害1504万0343円及び人的損害45万8332円(それぞれ弁護士費用を含む。)並びにこれらに対する本件事故発生日である平成30年4月30日から支払済みまで民法(平成29年法律第44号による改正前のもの。以下「旧民法」という。)所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める事案である。

2 前提事実

     (中略)

3 争点及び当事者の主張
(1)原告車の相当な修理方法(全塗装の必要性。争点1)

(原告の主張)
ア 原告車は1967(昭和42)年製の輸入クラシック・カーであり、単なる工業製品としての車両ではなく、骨董品やアンティーク等と同様にその希少性に価値を有しているものであり、塗装状態等の良し悪しによって全塗装の必要性の有無や車両時価が明らかになるものではない。

イ 原告車に対して損傷部位だけを塗装する方法で塗装(部分塗装)をした場合には、色合い、つや、質感等の点でその外観はパッチワーク状態となり、事故に遭った車両であることが一目瞭然となる。被害者の権利回復という不法行為制度の趣旨からすれば、本件事故前の状態に戻す原告車の修理方法としては、本来エージング塗装をすべきものであるが、少なくとも、損傷部位に対する塗装に限らない全塗装を行うことが必要である。

(被告の主張)
ア 原告車は本件事故当時から、整備や塗装が完璧に施されていたとはいい難く、原告が主張するような古美術品的な価値が高いレストアの済んだ状態ではなかった。

イ 原告車は本件事故前から補修箇所があったから、部分塗装により初めていわゆるパッチワークの状態が生じるものではなかったし、そもそも車両の塗装は、20年以上も経過すれば、部位ごとに程度の異なる経年劣化をするものであるから、一部塗装をすればパッチワークが生じることが必然であるとしても、一般に、塗装劣化が激しい車両に対する修理方法においても部分塗装が通常の対応であり、全塗装の必要性は認められない。

     (中略)

第3 争点に対する判断
1 争点1(原告車の相当な修理方法)

(1)不法行為に基づく損害賠償制度は、被害者に生じた現実の損害を金銭的に評価し、加害者にこれを賠償させることにより、被害者が被った不利益を補填して、不法行為がなかったときの状態に回復させることを目的とするものであるが(最高裁平成5年3月24日大法廷判決・民集47巻4号3039頁参照)、損害の公平な分担をも旨とするところであり、交通事故により損傷した車両損害の回復に必要な費用も、社会通念上必要かつ相当な範囲に限って加害者に負担させることを相当とする。

(2)この点、特に製造年の古い希少性の高い輸入車両の車両価値のうちには、車両の機能・グレードに即した価値のほか、古美術品同様に蒐集愛好家の間でのみ通用する骨董的価値をも含んでいるのが公知の経験則といえるが、このような希少車両が公道を通行すること自体、何らかの事故に遭遇して車両が毀損される一定の危険性を内包する行為である一方、その頻度は極めて稀で、他の一般車両運転者において容易には想定し難いことからすると、とりわけ骨董的価値の高い車両を走行させる場合には、走行させる者において、この危険性に対して細心の注意を払うことや、その危険性に見合った美術品運搬時と同様の保険加入などの高度の自衛措置をとることが社会通念上求められるものというべきである。

 以上の事情に鑑みると、特に骨董的価値の高い希少車両が交通事故により毀損された場合、専らその骨董的価値に起因して増加する損害部分はいわゆる特別損害に当たるものというべきであって、一般高級車両であることを超えてそうした特別な価値を有する車両である事情を知悉する者が加害者であるなどの特段の事情がある場合を除いて、加害者による填補の対象とすべき車両損害の範囲としては、相応の頻度で公道を通行している一般高級車両を毀損した場合においても認められる通常損害の範囲でこれを認めるのが損害の公平な分担に適うというべきである。

(3)これを本件の原告車の修理方法に即してみると、交通事故により車両が部分的に損傷した場合、通常の損害として必要かつ相当な修理方法としては、当該損傷部位の形状及び塗装を交通事故前の原状に回復するために必要な修理の範囲というべきであり、塗装修理において損傷部位以外に塗装を施さないと損傷部位と損傷部位以外の塗装の差が生じる場合であっても、当該損傷部位を超えて損傷がない部位まで塗装を行うことは、一般には過剰であって、必要かつ相当の範囲の修理であるとは認められないというべきである。

 交通事故の被害車両が高級車両の場合、一般の高級車両であったとしても、塗装修復する損傷部位とこれをしない非損傷部位との塗装状態の差が目立つことになれば、車両としての価値が減損することは考え得るが、このように修理方法として必ずしも万全とまではいえないことによる損害は、修理方法により生じる塗装の差の程度や交通事故前の車両の状態等に応じて市場における価値が下落する蓋然性を考慮して、別途評価損を認め得る場合には当該損害費目において考慮するのが相当であり、非損傷部位に対する塗装に要する費用自体を修理費用名目の損害として認めることは、損害賠償の対象の外延を画することを困難にすることからも、社会通念上相当でないというべきである。

2 争点2(物的損害の額)
 以上を前提に、原告車の具体的な物的損害額を検討すると、以下のとおりである。
(1)修理費用 437万8201円
ア 証拠(甲8、28)によれば、原告車は、本件事故により、右リアタイヤとこれを覆う位置にある右リアクォータパネルから右ドアパネルの後方末端部にかけて損傷し、特に右リアタイヤ後方のクォータパネル部とリアバンパの凹損が著しいところ、原告車は、左右のリアクォータパネルとバックパネルが一体となって曲面成形された1個の部材を構成しており(以下、この1個の部材を「本件パネル」という。)、クロムメッキを施されたリアバンパも、本件パネルの上層に、左リアクォータパネル部からバックパネル部を経由して右クォータパネル部に至るコの字状に、車体の外側にせり出す形で取り付けられていることが認められる。

 これによれば、原告車の原状回復作業として、本件事故により直接損傷した右ドアパネル、本件パネルの右クォータパネル部及びリアバンパの成形・加工やこれを実施するための周辺部品も含めた脱着に加えて、特に凹損の著しい本件パネル部の下層部品の点検・交換・調整、並びに右リアタイヤの交換等が必要であると認められる。また、本件パネルにおいては凹損の程度が大きいため、その成形作業時には本件パネル全体を見渡して形状を調整する等の板金作業も必要になると見込まれるところ、これに伴う塗膜のはがれ等に対応した本件パネル全体の塗装も、本件事故前の原状を回復するために必要になると認められる。

イ 証拠(甲74)及び弁論の全趣旨によれば、ONDA技研が発行した令和3年1月15日付け〔1〕ないし〔5〕の5葉から成る請求書のうち〔1〕ないし〔3〕(甲70ないし72)が概ねこれらに対応する作業費用であり、有限会社狸穴工房(以下「狸穴工房」という。)が発行した令和元年10月1日付け請求書(甲75)及び令和2年10月13日付け請求書(甲78)並びに同年9月10日付け請求書(甲77)のうち「ポラーニ ワイヤースポークホイール」及びその輸入費用と考えられる「シッピング・ハンドリング」に係る合計62万9000円(税抜き)がこれらの作業に対応する部品輸入代であることが認められるから、原告車の修理費用は、基本的にこれらの請求書における計上金額に基づいて算定するのが相当である。

     (中略)

ウ 以上によると、本件事故と相当因果関係のある原告車の修理費用は、437万8201円となる。

     (中略)

第4 結論
 以上によれば、原告は、被告に対し、民法709条に基づき、物的損害735万1625円及び人的損害36万円並びにこれらに対する平成30年4月30日(不法行為日)から支払済みまで旧民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求めることができる。

 よって、原告の本件請求は上記の限度で理由があるからその範囲でこれらを認容し、その余は理由がないからいずれも棄却することとして、主文のとおり判決する。なお、仮執行免脱宣言は相当でないからこれを付さないこととする。
東京地方裁判所民事第27部 裁判長裁判官 平山馨 裁判官 島崎卓二 裁判官 大畑朋寛
以上:4,833文字
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R 7- 7-29(火):裁判所鑑定結果による賃料増額請求を認めた地裁判決紹介2
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○「裁判所鑑定結果による賃料増額請求を認めた地裁判決紹介」の続きで、本件土地の賃貸人である原告が、賃借人である被告に対して、原告と被告との間の賃貸借契約について、平成30年9月以降月額40万7000円の賃料について、令和4年6月に同年7月以降は月額54万5339円に増額する通知をしましたが、被告が応ぜず、調停を経て、賃料増額確認請求の提訴をしました。

○これに対し、裁判所が実施した本件土地の適正月額賃料に関する裁判所鑑定によれば、令和4年7月1日時点における本件土地の継続支払賃料は月額47万円であると評価され、本件鑑定の鑑定人は、本件の当事者と特段の利害関係を有しておらず、全証拠に照らしても、鑑定人が当事者のいずれか一方に与した評価をするような事情があることはうかがえないとして、令和4年7月1日時点の月額賃料は47万円と確認した令和6年3月27日東京地裁判決(LEX/DB)関連部分を紹介します。

○賃料増額請求の事案は結構多いのですが、先ず私的鑑定が必要で、それに基づき賃借人に対し賃料増額請求通知をして、賃借人がが拒否したら調停手続を経て、訴訟を提起し、最終的には裁判所が選んだ鑑定人による鑑定結果で決まりますと説明すると、殆どの相談者は、そんな面倒な手続が必要ですかと言って諦めます。本件も賃料増額訴訟での判決は、殆どが、裁判所が選んだ鑑定人による鑑定結果に従っている一例です。

*********************************************

主   文
1 原告と被告との間の別紙物件目録記載2の土地に係る賃貸借契約について、令和4年7月1日時点の月額賃料が47万円であることを確認する。
2 原告のその余の請求を棄却する。
3 訴訟費用は、これを2分し、それぞれを各自の負担とする。

事実及び理由
第1 請求

 原告と被告との間の別紙物件目録記載2の土地に係る賃貸借契約について、令和4年7月1日時点の月額賃料が54万5339円であることを確認する。

第2 事案の概要
 本件は、別紙物件目録記載2の土地(以下「本件土地」という。)の賃貸人である原告が、賃借人である被告に対し、原告と被告との間の賃貸借契約について、令和4年7月1日以降の賃料の増額請求をしたとして、同賃貸借契約における同日時点の月額賃料が54万5339円であることの確認を求める事案である。

1 前提事実(当事者間に争いがないか、後掲の証拠及び弁論の全趣旨により容易に認められる事実)
(1)原告は、別紙物件目録記載1の土地を所有し、同土地を同目録記載2の土地(本件土地)と同目録記載3の土地に分けた上、本件土地を被告に、同目録記載3の土地を被告以外の会社にそれぞれ賃貸している(甲8)。

(2)被告は、平成15年12月、当時、本件土地上にあった建物を買受け、本件土地の借地人となった。原告と被告との間の本件土地の賃貸借契約(以下「本件賃貸借契約」という。)における月額賃料の推移は次のとおりである。
ア 平成15年12月5日以降平成16年5月まで 14万6219円
イ 平成16年6月以降同年12月まで 25万3622円
ウ 平成17年1月以降同年12月まで 24万2438円
エ 平成18年1月以降平成21年1月まで 28万7208円
オ 平成21年2月以降平成30年8月まで 37万2000円
カ 平成30年9月以降 40万7000円

(3)原告は、令和4年6月9日、被告に対し、同年7月1日以降、本件賃貸借契約における賃料を月額54万5339円に増額する旨の通知をしたが、被告はこれに応じなかった(甲1の1、1の2)。

(4)原告は、令和4年7月、前記(3)と同旨の内容の確認を求める調停の申立て(東京簡易裁判所令和4年(ユ)第288号調停事件)をしたが、同事件は、同年12月21日、調停の不成立により終了した。

2 争点及びこれに関する当事者の主張

     (中略)

第3 当裁判所の判断
1(1)当裁判所が実施した本件土地の適正月額賃料に関する裁判所鑑定(以下「本件鑑定」という。)によれば、令和4年7月1日時点における本件土地の継続支払賃料は月額47万円であると評価されている。

(2)本件鑑定の鑑定人は、本件の当事者と特段の利害関係を有しておらず、全証拠に照らしても、鑑定人が当事者のいずれか一方に与した評価をするような事情があることはうかがえない。また、前記評価を導いた判断過程をみると、鑑定人は、令和4年7月1日時点における本件土地の継続支払賃料につき、〔1〕差額配分法による試算賃料は月額52万8500円、〔2〕実際利回り法による試算賃料は月額44万5900円、〔3〕スライド法による試算賃料は月額41万3000円、〔4〕賃貸事例比較法による試算賃料は月額46万5500円、〔5〕公租公課倍率法による試算賃料は月額49万7280円と算出している。その上で、鑑定人は、各手法の特徴や問題点を踏まえて、各手法による試算賃料の加重割合をいずれも0.2とすることが妥当であると判断し、結論として、令和4年7月1日時点における本件土地の継続支払賃料は月額47万円であると評価している。

 これらの事情に照らせば、鑑定人は、中立・公正に本件鑑定を実施し、その鑑定手法や判断内容に特段不合理なところはないものと評価できる。

 加えて、鑑定人は、その判断過程において、本件土地の公租公課の金額や周辺の地価、公租公課倍率法や利回りの適切な評価又は考慮方法、コロナ禍等を踏まえた昨今の社会経済情勢といった、当事者双方が主張の中で指摘している内容を十分に斟酌していることがうかがえる。そして、当事者双方とも、本件鑑定による前記評価に関し、特段の意見を述べていない。

 以上からすれば、本件鑑定による前記評価は相当なものとして、これを採用することができる。

(3)したがって、本件賃貸借契約における令和4年7月1日時点の相当賃料額は、月額47万円であると認められる。

2 結論
 よって、本件請求は、本件賃貸借契約につき、令和4年7月1日時点の月額賃料が47万円であることの確認を求める限度で理由があるからこれを認容し、その余の請求は理由がないからこれを棄却することとして、主文のとおり判決する。
東京地方裁判所民事第4部 裁判官 君島直之

(別紙)物件目録
(省略)
以上:2,602文字
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