○申立人と相手方は、平成19年5月1日に婚姻をしましたが、その後当事者間の離婚等請求控訴事件、離婚等反訴請求事件において、平成22年12月に、申立人と相手方とを離婚する旨の判決が言い渡され、判決は、相手方が未成年者を監護養育する前提で、未成年者の親権者を相手方と定め、申立人に対し判決確定の日の翌日から平成40年*月*日まで1か月16万円の割合による養育費の支払を命じ、同判決は確定しました。
○ところが、未成年者は、令和3年9月15日以降、D児童相談所により一時保護されたことから、申立人は、相手方が未成年者を監護養育しなくなったことを理由に、令和3年9月16日以降の未成年者の養育費の定めを取り消すことを求めました。
○これについて、未成年者は、令和3年9月15日以降、D児童相談所により一時保護されており、家庭裁判所は、扶養関係に関する判決が確定した場合であっても、その判決の基礎とされた事情に変更が生じ、従前の判決の内容が実情に適合せず相当性を欠くに至った場合には、事情の変更があったものとして、その取消し又は変更をすることができ、未成年者は、令和3年9月16日以降、相手方の監護養育下にないから、申立人が相手方に対し養育費を支払う必要はなく、上記の事情の変更が認められるとして、申立人の申立てを認容した令和4年8月26日横浜家裁審判(判タ1526号118頁)全文を紹介します。
○相手方が即時抗告し、抗告審は東京高裁は取り消しの始期について、一部変更していますので、別コンテンツで紹介します。
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主 文
1 当事者間の東京高等裁判所平成*年(ネ)第*号離婚等請求控訴事件,同第*号離婚等反訴請求事件について平成22年12月22日にされた判決主文第4項の申立人が相手方に対し支払うべき令和3年9月16日以降の未成年者の養育費の定めを取り消す。
2 手続費用は各自の負担とする。
理由の要旨
第1 申立ての趣旨
主文1項同旨
第2 当裁判所の判断
1 事実の調査の結果によれば、次の事実を認めることができる。
(1)申立人と相手方は,平成19年5月1日に婚姻をした。当事者間の東京高等裁判所平成*年(ネ)第*号離婚等請求控訴事件,同第*号離婚等反訴請求事件について,同裁判所は,平成22年12月22日,申立人と相手方とを離婚する旨の判決(以下「前件判決」という。)を言い渡した。前件判決は,相手方が未成年者を監護養育する前提で,未成年者の親権者を相手方と定め,申立人に対し判決確定の日の翌日から平成40年*月*日まで1か月16万円の割合による養育費の支払を命じた。同判決は平成23年8月3日確定した。
(2)未成年者は,令和3年9月15日以降,D児童相談所により一時保護されている。
2 家庭裁判所は,扶養関係に関する判決が確定した場合であっても,その判決の基礎とされた事情に変更が生じ,従前の判決の内容が実情に適合せず相当性を欠くに至った場合には,事情の変更があったものとして,その取消し又は変更をすることができる。
3 上記認定事実に照らすと,未成年者は,令和3年9月16日以降,相手方の監護養育下にないから,申立人が相手方に対し養育費を支払う必要はなく,上記の事情の変更が認められる。
裁判官 高谷英司
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