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ご訪問有り難うございます。当HPは、私の備忘録を兼ねたブログ形式で「桐と自己満足」をキーワードに各種データを上記14の大分類>中分類>テーマ>の三層構造に分類整理して私の人生データベースを構築していくものです。
なお、出典を明示頂ければ、全データの転載もご自由で、転載の連絡も無用です。しかし、データ内容は独断と偏見に満ちており、正確性は担保致しません。データは、決して鵜呑みにすることなく、あくまで参考として利用されるよう、予め、お断り申し上げます。
また、恐縮ですが、データに関するご照会は、全て投稿フォームでお願い致します。電話・FAXによるご照会には、原則として、ご回答致しかねますのでご了承お願い申し上げます。
     

R 7- 9-15(月):映画”8番出口”を観て-残念ながら全く理解不能
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○令和7年9月15日(日)は、夕方、TOHOシネマズ仙台9番シアターで、話題の映画「8番出口」を鑑賞しました。鑑賞理由は、話題の映画ということではなく、ごく僅かしかない「日本語字幕付」だったからです。私は、邦画も映画館で鑑賞したいのですが、残念ながら補聴器をつけてもまた聴覚補助用ヘッドフォンをつけても音だけではセリフを完全に聴き取れません。そこで、いつもTOHOシネマズの上映スケジュールで日本語字幕付邦画がないか確認しているのですが、滅多になく、映画「8番出口」は滅多にない日本語字幕付でした。

「字幕付き邦画は「1割」、どう増やせるか」によると日本映画に字幕を付けて上映する作品は10%にも満たず、あっても①字幕上映場所が限られる(県で数カ所など)、②字幕上映期間が短い(3日間のみなど)、③時間が限られる(平日の昼間など)との3つの制約があるとのことです。日本映画の字幕付き上映が少ない原因の一つは、日本語字幕付映画の存在が、聞こえない・聞こえづらい方にすら知られておらず、認知度が低い状態だからとのことです。健聴の方には日本語字幕が邪魔に感じられるいるかどうかは不明です。しかし、字幕があることで、情報過多に思われる方もいるかも知れないが、意外と「聞こえる人」にもニーズが多くあるとのことで、是非とも、日本語字幕付映画を増やして貰いたいと念願しています。

○この日本語字幕付の貴重な映画「8番出口」ですが、映画コムでは「2023年にインディーゲームクリエイターのKOTAKE CREATEが個人制作でリリースし、世界的ブームを巻き起こしたゲーム「8番出口」を、二宮和也主演で実写映画化、蛍光灯が灯る無機質な白い地下通路を、ひとりの男が静かに歩いていく。いつまで経っても出口にたどり着くことができず、何度もすれ違うスーツ姿の男に違和感を覚え、自分が同じ通路を繰り返し歩いていることに気づく。」と解説されています。

○世界的ブームを巻き起こしたゲームの映画化とのことですが、PCでもスマホでもゲームは全くしたことがない私にはそんな有名なゲームとは全く知りませんでした。ゲーム未経験者のためか、映画「8番出口」は、全く馴染めず、日本語字幕付でセリフはよく判るのですが、そこで起こっていることの意味が全く理解出来ず、僅か95分の上映時間中、睡魔に襲われ、睡魔との闘いに、映画鑑賞が苦痛極まりないまま終わりました。ホラー映画の面もあるとのことですが、全く恐怖感もありません。私の感性とはよほど相性が悪かった様です。

映画『8番出口』予告【8月29日(金)公開】


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R 7- 9-14(日):映画”ディパーテッド”を観て-衝撃の結末に唖然とするも当然か
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○令和7年9月13日(土)は、ツルカメフラメンコアンサンブルの練習日でしたが、練習終了後、夕食を取りながら恒例の映画鑑賞となり、最近購入した4KUHDソフトで2006(平成18)年製作映画「ディパーテッド」を鑑賞しました。この映画は2002(平成14)年製作香港映画「インファナル・アフェア」のリメイク版です。映画「インファナル・アフェア」は、数ヶ月前に4KUHDソフトで鑑賞済みでしたが、ストーリー展開はほぼ同じでした。

○映画コムでは「犯罪者の一族に生まれたビリー(レオナルド・ディカプリオ)は、自らの生い立ちと決別するべく警察官を目指す。一方、マフィアのボス・コステロ(ジャック・ニコルソン)の腹心として育てられたコリン(マット・デイモン)は、コステロの内通者となるため警察へ送り込まれる。警察学校を優秀な成績で卒業したビリーはマフィアへの潜入捜査を命じられ、コステロに接近。コリンはエリート警察官として最前線に立ちながら、警察の動きをコステロに知らせ続けるが……。」と解説されています。

○いずれも警察学校を優秀な成績で卒業しながら、レオナルド・ディカプリオ氏演ずるビリーは、ジャック・ニコルソン氏演ずるマフィアのボスの元に手下として潜入してマフィア情報を警察に流し、マット・デイモン氏演ずるコリーは、エリート警察官として捜査の最前線に達ながらマフィアボスコステロに警察情報を流します。いずれも所属する組織では裏切り者スパイの役割です。香港映画「インファナル・アフェア」でもそうでしたが、ストーリー前半は、起伏がない平坦なシーンが長く続きかったるく感じますが、後半に至り、警察・マフィアいずれも内部に裏切り者ネズミが居ると気付いてからは、一気に緊迫のシーンとなります。

○内通者が居ると気付いてからのジャック・ニコルソン氏演ずるマフィアボスコステロと内通捜査官レオナルド・ディカプリオ氏演ずるビリーとの緊迫の遣り取りはハラハラ・ドキドキの連続です。ジャック・ニコルソン氏はどのような役柄でも迫力の演技は正に名優の一言です。ビルからの思いがけない落下物から展開する衝撃の結末が、リメイク元の映画「インファナル・アフェア」を全く同じかどうかちと気になり、こちらも再鑑賞したくなりました。

【映画】ディパーテッド 日本版予告


以上:955文字
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R 7- 9-13(土):婚姻費用合意無効確認請求を確認利益なしとした最高裁判決紹介
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○「婚姻費用合意無効確認請求を確認利益なしとして却下した地裁判決紹介」の続きで、その上告審の令和7年9月4日最高裁判決(裁判所ウェブサイト)全文を紹介します。第一審令和5年3月16日東京地裁判決(LEX/DB)について、「合意した金額16万円より高い29万円の婚姻費用支払が認められているのに何故、婚姻費用の合意無効の確認を求めるのか疑問ですが、原告としてはこの合意がなければ更に高い婚姻費用が認められたと判断したのかも知れません。」と感想を述べていました。

○却下された原告妻は、控訴し、控訴審令和5年9月27日東京高裁判決は、本件訴えを不適法として却下した第1審判決を取消し、本件を第1審に差し戻しました。この控訴審判決は、現時点では判例集等に公開されていません。控訴審の理由については、上告審判決によれば、夫婦の一方が婚姻費用分担審判の手続において婚姻費用合意と異なる分担の内容を形成することを求める場合には、これに先立ち、民事訴訟において婚姻費用合意が無効であることを確定することが紛争の直接かつ抜本的な解決のため最も適切かつ必要であるとしていました。

○妻側が上告した令和7年9月4日最高裁判決は、控訴審判決は、判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反があるとして、一審判決を維持し、控訴を棄却しました。

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主   文
1 原判決を破棄する。
2 被上告人の控訴を棄却する。
3 控訴費用及び上告費用は被上告人の負担とする。

理   由
 上告代理人○○○○の上告受理申立て理由について
1 原審の適法に確定した事実関係の概要は、次のとおりである。
(1)上告人と被上告人は、婚姻後別居し、平成29年1月、上告人が被上告人に対し婚姻費用として同月以降月額16万円を支払う旨の合意(以下「本件合意」という。)をした。以後、上告人は、令和4年8月までの間、被上告人に対し、毎月同額を支払った。

(2)被上告人は、令和2年11月、東京家庭裁判所立川支部に対し、上告人を相手方として、婚姻費用分担審判の申立てをした。同支部は、令和4年9月、本件合意は上告人の当時の年収につき実際の額よりも低廉な額を前提としていたところ、このことは本件合意に基づく婚姻費用の分担額を変更すべき事情に当たるから、上記申立てがされた令和2年11月以降の上記分担額を改めるべきであるとして、変更後の分担額と既払額との差額及び令和4年9月以降月額29万円の婚姻費用の支払を上告人に命ずる旨の審判をした。

2 本件は、被上告人が、上告人に対し、上告人の年収について錯誤があったとして本件合意の無効確認を求める事案である。被上告人は、本件合意がされてから上記申立てがされるまでの期間における婚姻費用につき、本件合意に基づく分担額よりも多額の分担額を形成する審判の申立てをする予定であるところ、本件合意の無効を確認することがその前提となるので、本件訴えに確認の利益が認められる旨を主張している。

3 原審は、本件訴えが本件合意という過去の法律関係の存否を確定することを求める確認の訴えであるとした上で、要旨次のとおり判断し、本件訴えを不適法として却下した第1審判決を取消し、本件を第1審に差し戻した。

 夫婦の間に婚姻費用の分担の内容を定める合意(以下「婚姻費用合意」という。)が有効に成立した場合、以後の婚姻費用の分担の内容は婚姻費用合意によることとなり、家庭裁判所は、事情の変更が生じたと認められない限り、婚姻費用分担の審判をすることができず、事情の変更が生じたと認められるとしても、婚姻費用合意がされた時点から事情の変更が生じたと認められる時点までの婚姻費用については、婚姻費用合意に基づく分担額と異なる分担額の支払を命ずる審判をすることができないから、夫婦の一方が婚姻費用分担審判の手続において婚姻費用合意と異なる分担の内容を形成することを求める場合には、これに先立ち、民事訴訟において婚姻費用合意が無効であることを確定することが紛争の直接かつ抜本的な解決のため最も適切かつ必要である。したがって、夫婦間における婚姻費用合意の無効確認を求める訴えは、確認の利益を有するものとして適法である。

4 しかしながら、原審の上記判断は是認することができない。その理由は次のとおりである。
 過去の法律関係であっても、それを確定することが現在の法律上の紛争の直接かつ抜本的な解決のために最も適切かつ必要と認められる場合には、その存否の確認を求める訴えは確認の利益があるものとして許容される(最高裁昭和44年(オ)第719号同47年11月9日第一小法廷判決・民集26巻9号1513頁、最高裁平成3年(オ)第252号同7年3月7日第三小法廷判決・民集49巻3号893頁参照)。

 そこで検討するに、婚姻費用の分担義務は、夫婦の生活の経済的な安定に関わるものである一方、その時々で変動する夫婦の収入、生活状況等の影響を受け得るものであることに照らすと、婚姻費用の分担の内容は、婚姻費用合意によって、以後、固定されるものではなく、適時に新たな形成があり得るものである。このため、婚姻費用分担審判の手続において、婚姻費用合意が有効に成立したか否かが争われるとともに、婚姻費用合意と異なる分担の内容を形成することを求める旨の主張がされた場合、家庭裁判所は、婚姻費用合意の存否、効力及び内容のみならず、夫婦の収入、生活状況等の一切の事情も踏まえ、婚姻費用の分担額やその支払の始期等を検討し、婚姻費用の分担の内容を新たに形成する審判をすることになる。

そうすると、別途民事訴訟で婚姻費用合意が有効に成立したか否かが確定されていないからといって、家庭裁判所が婚姻費用合意と異なる分担の内容を形成することが妨げられるわけではない
(なお、上記の場合において、当事者が、婚姻費用合意が有効に成立したとしてもこれと異なる分担額を形成するよう主張しているときは、家庭裁判所は,審理の結果、婚姻費用合意に基づく分担額を改めるべき事情がないとの結論に達したとしても、申立てを不適法却下することなく、当該分担額と同額の分担額を新たに形成する審判をすることができる。)。

また、婚姻費用の分担の内容の形成をすることができない民事訴訟で婚姻費用合意が有効に成立したか否かのみ確認することをあえて認めるとすれば、家庭裁判所がその帰すうを待つことになり、夫婦の生活の経済的な安定のため適時に審判によってされるべき婚姻費用の分担の内容の形成が遅滞することになりかねない。したがって、婚姻費用合意が有効に成立したか否かについて別途確認の訴えをもって争うことを認める必要があるとはいえず、これを認めることが適切であるともいえない。

 以上によれば、婚姻費用合意が有効に成立したか否かを民事訴訟で確認することが、婚姻費用の分担の内容に係る紛争の直接かつ抜本的な解決のために最も適切かつ必要であるとはいえない。 
 したがって、夫婦間における婚姻費用合意の無効確認を求める訴えは、確認の利益を欠くものとして不適法であるというべきである。


5 以上と異なる原審の判断には、判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反がある。論旨はこの趣旨をいうものとして理由があり、原判決は破棄を免れない。そして、以上に説示したところによれば、本件訴えを不適法として却下した第1審判決は是認することができるから、被上告人の控訴を棄却すべきである。
 よって、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。
(裁判長裁判官 宮川美津子 裁判官 安浪亮介 裁判官 岡正晶 裁判官 堺徹 裁判官 中村愼)
以上:3,160文字
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R 7- 9-12(金):”「厚生年金・国民年金」の平均受給額を一覧でチェック”紹介
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○「”厚生年金「平均14万円」だが、格差は大きい。老後まで続く。”紹介」、「”月20万円だったが…老後もらえる「公的年金額」に日本人絶句”紹介」等に日本の厚生年金の平均額を解説したサイトとその概要を紹介していました。

「みんなの平均年金月額はどのくらい?「厚生年金・国民年金」の平均受給額を一覧でチェック(60歳~90歳以上)」とのサイトで「60歳から90歳以上までの年代別に平均年金受給額を一覧で紹介し、世代ごとにどのような違いがあるのかを解説します。」として、日本の年金の仕組み、平均金額等を図で説明しており、その図が大変参考になります。そこで、そのサイトの図だけ抜粋して紹介します。





















以上:292文字
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R 7- 9-11(木):落語家師匠のパワハラについて80万円の慰謝料支払を命じた地裁判決紹介
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○判例タイムズ令和7年9月1534号に落語家である師匠の弟子に対する複数の行為が,社会的に許容される範囲を逸脱した態様のパワーハラスメントに当たるものであるとして,不法行為に基づく損害賠償請求として師匠に対し80万円の支払を命じた令和6年1月26日東京地裁判決(判タ1534号227頁)が掲載されていました。落語に限らず、芸事の徒弟関係はパワハラの巣窟みたいなもので、弟子は理不尽とも言える苦難に耐えながら成長していくことが当然とされていたはずです。

○この判決を受けて、一般社団法人落語協会は、次のようなコメントを出しています。
ハラスメントをめぐる協会員間の民事訴訟について
本年1月26日、当協会の協会員が、同じく当協会の協会員である元師匠に対し、暴行や暴言などのハラスメント行為を受けた等として、不法行為による損害賠償請求権に基づき300万円の支払を求めた裁判につき、東京地裁は、元師匠に対し、80万円の支払を命じる判決を言い渡しました。

判決内容についてはコメントを控えさせていただきますが、当協会の協会員である師弟間でハラスメント問題が発生し、裁判にまで発展したことについては、当協会としても極めて遺憾に存じます。

今後控訴される可能性もあり、現時点では、本件がどのように決着するのか定かではありませんが、当事者間に遺恨が残らない形で解決されることを心より願っております。

当協会は、師弟関係の問題には直接介入できる立場にはないものの、落語界におけるハラスメント行為を防止し、業界全体の健全な発展に寄与するための取り組みを続けて参る所存です。今回のような事象が今後二度と発生しないよう、各協会員の方々のご理解とご協力も賜りながら、当協会としてどのような対応が可能か真摯に検討し、必要な措置を講じたいと考えております。

日頃より当協会を応援してくださっているファンの皆様や関係者の方々におかれましては、今後ともどうか変わらぬご支援を賜りますようお願い申し上げます。
○落語会等芸事での修行についてこれまで当然と考えられてきた慣習に対し重大な警告となる画期的判決です。師匠側は判決を不服として同年2月に東京高等裁判所へ控訴しましたが、同年8月末に控訴を取り下げ、師匠側敗訴の一審判決が確定しました。

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主   文
1 本訴被告は、本訴原告に対し、80万円及びこれに対する令和4年11月23日から支払済みまで年3分の割合による金員を支払え。
2 本訴原告のその余の請求及び反訴原告の請求をいずれも棄却する。
3 訴訟費用は、本訴反訴を通じてこれを40分し、その1を本訴原告兼反訴被告の、その余を本訴被告兼反訴原告の負担とする。
4 この判決は、第1項に限り、仮に執行することができる。

事実及び理由
第1 請求

1 本訴請求
 本訴被告は、本訴原告に対し、300万円及びこれに対する令和4年11月23日から支払済みまで年3分の割合による金員を支払え。
2 反訴請求
 反訴被告は、反訴原告に対し、3000万円及びこれに対する令和5年2月17日から支払済みまで年3分の割合による金員を支払え。

第2 事案の概要
 本訴事件は、落語家である本訴原告兼反訴被告(以下「原告」という。)が、同じく落語家であり、原告の元師匠である本訴被告兼反訴原告(以下「被告」という。)から度重なる理不尽な暴行、暴言などによる制裁を受けて人格権を侵害されたほか、原告に破門を通知したにもかかわらず、破門届をCに提出しなかったことにより、落語家としての業務を妨害されたと主張して、被告に対し、不法行為による損害賠償請求権に基づき、300万円及びこれに対する訴状送達の日の翌日である令和4年11月23日から支払済みまで民法所定の年3分の割合による遅延損害金の支払を求める事案である。

 反訴事件は、被告が、インターネット上の記事の配信事業者ら(以下「配信事業者ら」という。)からの取材を受けて原告が写真や音声データ等を提供し、配信事業者らに被告の名誉を毀損する記事を掲載させたと主張して、原告に対し、不法行為による損害賠償請求権に基づき、慰謝料3000万円及びこれに対する反訴状送達の日の翌日である令和5年2月17日から支払済みまで民法所定の年3分の割合による遅延損害金の支払を求める事案である。

1 前提事実(証拠等を掲記しない事実は当事者間に争いがない。以下、引用の際には「前提事実(1)ア」などと表記する。)

     (中略)

第3 当裁判所の判断
1 認定事実
(以下、引用の際には「認定事実(1)」などと表記する。)
 前提事実のほか、証拠(各項末尾に掲記したもの)及び弁論の全趣旨によると、以下の事実が認められる。

(1)原告が二ツ目に昇進するまでの被告との関係
 原告は、隣県出身の被告の落語を子どもの頃からよく聞いており、大学を卒業する頃には被告に憧れて弟子入りを志願するようになり、その5年後の平成21年12月に被告に入門した(前提事実(1)、乙5)。原告は、被告への入門後から二ツ目昇進前までは、毎日、掃除のために被告の自宅を訪れ、被告から稽古を付けてもらうなどしていた(原告本人53頁)。原告の兄弟子が平成24年頃に落語家を辞めてから、原告は被告の一番弟子となった(甲28、原告本人66頁、被告本人40頁)。

 被告は、弟子に対しては、師匠の姿を見て学び、弟子自身が感じ、考えて、師匠である自分にぶつかってくるべきであるとの思いを持っており、原告については、自分と三代目Eの姿から被告が考える師弟関係を理解しているはずだと認識していた。また、被告は、高座に上がった時にどのような客であるかをより早く把握できる噺家が大成するという考えから、弟子に対しては周囲への気遣いについて特に力を入れて指導し、弟子の周囲への気遣いが十分でない場合には、それを強く指摘し、叱責した。被告から見て、弟子の行動や態度が人としての道、噺家としての道に外れると感じたときは、叱責するだけでなく、たたいたりすることもあった。(被告本人20、21、33、34、40~43頁)

 そのような中で以下のような出来事があった。

     (中略)

3 争点(1)(被告による不法行為の有無)について
(1)原告と被告との師弟関係
 被告は、原告が主張する行為は、師匠としての指導の一環であり、落語という文化芸術の伝承における師匠と弟子との関係性を踏まえると、可罰的違法性が認められるものではないと主張する。
 たしかに、落語界では、弟子は、入門後、師匠の自宅の掃除など身の回りの世話、かばん持ちなどを続けて、師匠との濃密な関係を構築し、その関係性の中で芸の伝承が行われる側面があるということができる(認定事実(1)、乙2の1)。その一方で、師匠は弟子を破門することができ、破門された弟子は、Cを除名され得る立場となる(認定事実(11))。

 そうすると、落語界における師弟関係は、いわば職業上の親子関係ともいえるような濃密な人間関係であると同時に、師匠と弟子との間には師匠の優越的立場を背景とする歴然たる上下関係が存在するのであり、パワーハラスメントのような不法行為が生じる可能性をはらんだものということができるから、師匠としての指導の一環であるからといって、一般的に可罰的違法性が否定されるというものではなく、上記被告の主張を採用することはできない。

(2)平成22年秋の蕨市中央公民館での出来事
 被告が、平成22年秋、原告に対して坊主頭になるよう命じ、同人がこれに従ったことについては(認定事実(1)ア)、原告が被告の意を酌んで行った可能性も排除できず、被告による害悪の告知や暴行等の具体的な態様を示す証拠はないから、不法行為(強要行為)としての違法性を認めるに足りない。

(3)居酒屋eでの出来事

     (中略)

(10)まとめ
 以上のとおり、原告が不法行為であると主張する被告の行為のうち、前記(3)、(4)ア、(6)及び(8)に係るものについては、いずれも不法行為が成立すると認められ、その余については不法行為の成立を認めることができない。

4 争点(2)(原告の損害)について
 前記において不法行為と認めた前記3の(3)、(4)ア、(6)及び(8)の各行為(以下「本件不法行為」という。)はいずれも、落語界の師弟関係において師匠が弟子に対して絶対的上位者の地位にあることを背景として、一方的に強要し、暴行を伴う苛烈な叱責を加えるという社会的に許容される範囲を逸脱した態様のものであって、弟子である原告の落語家としての活動及びその前提となる生活環境に悪影響を与えるパワーハラスメントというほかないのであり、弟子という立場にとどまる以上、これらを甘受せざるを得ず、逃げ場がなかった原告の精神的苦痛は看過し難い。

 もっとも、認定された本件不法行為は、平成25年、平成29年、令和2年及び令和4年に起きたものであり、原告と被告との師弟関係が12年以上に及ぶことに照らすと、頻回であったということはできない。
 また、被告が本件不法行為に及んだのは、原告が気遣いや気配りが行き届いた立派な噺家として大成することを望んで指導しつつ、その方針に沿わない行動を諫め、改めさせる趣旨に出たものであると認められ、指導の態様が適切でなかったことは責められるべきであるが、被告の動機において考慮すべき点もあるということができる。

 他方において、被告の暴行によって、原告が具体的な傷害を負ったことを示す証拠はなく、原告は、師匠である被告との間のやり取りの経過から、確実に叱責を受けると考えた場合は、あらかじめ準備した録音機で被告とのやり取りを録音するなど(甲33、原告本人50~52、59、60頁)、冷静に対応している側面もあり、そのようにして得た資料を活用して、前提事実(3)のとおり、被告によるパワーハラスメントを告発するという内容の記事がインターネット上で掲載されるに至ったことにより、その精神的苦痛は一定程度慰謝されているということができる。

 以上の事情から原告の精神的損害を金銭に換算すると、その額は80万円と評価するのが相当である。

5 争点(3)(原告の配信事業者らに対する情報提供行為が不法行為といえるかどうか)について

     (中略)

第4 結論
 以上の次第で、原告の本訴請求は、被告に対し、80万円及びこれに対する令和4年11月23日から支払済みまで年3分の割合による遅延損害金の支払を求める範囲で理由があるから、その限度で認容し、その余は理由がないからこれらを棄却することとし、被告の反訴請求はいずれも理由がないからこれらを棄却することとして、主文のとおり判決する。
東京地方裁判所民事第37部 裁判長裁判官 杜下弘記 裁判官 安川秀方 裁判官 高岡遼大
以上:4,462文字
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R 7- 9-10(水):ホスト夫の女性客に対する不貞行為慰謝料50万円の支払を命じた地裁判決紹介
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○夫原告P1と妻原告P2が、原告P1と男女関係になった被告に損害賠償請求をするとの珍しい事案を紹介します。事案は以下の通りです。

○①妻である原告P2が、被告が原告P2の夫である原告P1と不貞行為をしたと主張して、不法行為に基づく損害賠償請求として、慰謝料等50万円と遅延損害金の支払、
②原告らが、被告が原告P1に対してストーカー行為をしたと主張して、不法行為に基づく損害賠償請求として、原告P1につき引越費用、慰謝料100万円、原告P2につき慰謝料100万円と遅延損害金の支払、
③原告P1が、被告の原告P1の勤務先ホストクラブに対する売掛金を立替払したと主張して、立替金約45万円の求償請求
をそれぞれ被告に対し求めました。

○被告は、
①については、P1はホスト業で独身と信じて男女関係なったもので、且つ、原告ら夫婦は婚姻破綻状態にあった、
②については、原告P1が自らを欺いて被告との関係を継続していたことにつき説明と謝罪を求めるべく、原告P1が住んでいると思われる住居に行く旨連絡しただけでストーカー行為はしていない、
③については原告P1の45万円支払事実は認めるが被告のための支払ではない
と主張しました。

○これに対し
①について、女性との会食等の写真を見たことを契機に僅かな期間で離婚に至ったという原告P1の説明は、直ちに疑いなく信用することが相当な内容でないことなどから、原告P1が婚姻関係にないと認識していたことにつき被告に過失があり被告の原告P2に対する不法行為を認め、
②については一部ストーカー行為を認め、
③については被告のための立替支払を認め、
①被告に原告P2への不貞行為慰謝料50万円、
②原告らにストーカー行為慰謝料5万円、
③について立替金約45万円の請求をそれぞれ認めた
令和6年3月21日東京地裁判決(LEX/DB)関連部分を紹介します。

○被告は、原告P1勤務ホストクラブの客として原告夫婦が婚姻前から、原告P1と男女関係になっていたもので、不貞行為慰謝料についての結論に疑問も感じます。この分野は裁判官の裁量部分が大きく注意が必要です。

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主   文
1 被告は、原告P1に対し、46万1000円及びこれに対する令和4年12月24日から支払済みまで年3パーセントの割合による金員を支払え。
2 被告は、原告P2に対し、60万5000円及びこれに対する令和4年12月24日から支払済みまで年3パーセントの割合による金員を支払え。
3 原告らのその余の請求を棄却する。
4 訴訟費用は、原告P1に生じた全ての費用及び被告に生じた費用の5分の3の合計の6分の5を原告P1の負担とし、原告P2に生じた全ての費用及び被告に生じた費用の5分の2の合計の3分の2を原告P2の負担とし、その余を被告の負担とする。
5 この判決は、第1項及び第2項に限り、仮に執行することができる。

事実及び理由
第1 請求

1 被告は、原告P1に対し、270万4041円及びこれに対する令和4年12月24日から支払済みまで年3パーセントの割合による金員を支払え。
2 被告は、原告P2に対し、165万円及びこれに対する令和4年12月24日から支払済みまで年3パーセントの割合による金員を支払え。

第2 事案の概要
 本件は、夫婦である原告らが、被告に対し、次の請求をする事案である。
〔1〕原告P2は、被告に対し、被告が原告P2の夫である原告P1と不貞行為をしたと主張して、不法行為に基づく損害賠償請求として慰謝料等合計55万円及びこれに対する訴状送達の日の翌日から支払済みまで民法所定の割合による遅延損害金の支払を求める(以下「請求〔1〕」という。)。

〔2〕原告らは、被告に対し、被告が原告P1に対してストーカー行為をしたと主張して、不法行為に基づく損害賠償請求として原告P1につき引越費用、慰謝料等合計225万4041円、原告P2につき慰謝料等110万円及びこれらそれぞれに対する上記〔1〕同様の遅延損害金の支払を求める(以下「請求〔2〕」という。)。

〔3〕原告P1は、被告に対し、被告の原告P1の勤務先に対する売掛金を立替払いしたと主張して、立替金請求(当事者間の合意に基づかない不当利得返還請求等と解される。)として45万円及び上記〔1〕同様の遅延損害金の支払を求める(以下「請求〔3〕」という。)。

1 前提事実(争いのない事実、顕著な事実並びに掲記の証拠及び弁論の全趣旨により容易に認められる事実)
(1)当事者
ア 原告P1と原告P2は、令和3年1月26日に婚姻した夫婦であり、令和4年8月当時、夫婦間に子が1名出生していた(弁論の全趣旨)。
イ 被告は、原告P1が勤務するホストクラブ(以下「P1勤務先」という。)の顧客である。

(2)原告P1と被告の関係
 被告は、令和2年11月頃、P1勤務先に顧客として訪れるようになり、同年末頃から肉体関係をもつようになり、令和4年8月17日までこれを継続した。

2 争点

     (中略)

第3 当裁判所の判断
1 認定事実

 前記前提事実に加え、後掲各証拠及び弁論の全趣旨によれば、次の各事実が認められる。
(1)本件に至るまでの経緯
ア 被告は、令和2年11月頃、P1勤務先に顧客として訪れるようになり、同年末頃から肉体関係を持つようになった(前提事実(2))。

イ 原告P1と原告P2は、令和3年1月26日、婚姻した(前提事実(1)ア)。

ウ 被告は、令和3年9月頃、原告P1名義で賃貸借契約を締結し、同原告が賃料を直接負担する住居において居住を開始し、以降、原告P1は、しばしば深夜に同住居を訪れ、少なくとも朝方まで滞在することがあった。その後、被告は、令和○年○月に原告P1との会食等の写真画像をSNS上に投稿したことを契機として一時原告P1と不仲になり、同月頃、同住居を退去した。(乙14、原告P1本人(調書2、4頁)、被告本人(調書3ないし6、27頁))。

エ 原告P1は、令和4年6月30日、原告ら新居に入居する際の清算書の交付を受け、同年7月5日に仲介手数料を支払い、同年7月15日から原告ら新居に係る賃貸借契約の契約期間が開始された(甲2、3)。

オ 原告P2は、令和○年○月○○日までに、SNS上に「家族が増えるから2LDKに引越ししたよ」とのメッセージを投稿した(乙11)。

(2)本件に関する原告P1と被告の連絡状況等
ア 被告は、令和4年7月25日、SNS上で原告P1の結婚式の一場面と思われる写真画像を確認し、原告P1が既婚であるとの疑いを持つに至ったが、その後、原告P1から、被告との交際状況を上記(1)ウの被告による投稿を見た妻が知ったため、既に離婚した旨の説明を受けた(乙4ないし7、14、被告本人(調書3頁))。

イ 被告は、令和4年7月30日、原告P1に被告の転居先について相談した。その際、原告P1は、被告に対し、被告が月額7万円を支払えば、賃料月額17万円の物件に入居できる旨告げた。(乙8の1、13)

ウ 原告P1と被告は、令和4年8月17日、肉体関係を持った(争いのない事実。以下「本件行為」という。)。

エ 原告P1は、令和4年8月20日、被告に対し、未だ離婚しておらず、離婚調停中である旨告げた(乙9の1ないし9の3、14、被告本人(調書7頁))。

オ 被告は、令和4年8月24日、原告らが引っ越し前に居住していたマンションを訪れ、承諾なくオートロックの設けられているマンション玄関内に侵入し、原告らの居室のインターホンを押した後、その居室玄関先に原告P1から贈られたネックレスを置いていった(争いのない事実)。

カ 被告は、令和4年9月4日、通信用アプリを用いて、離婚したことの証明を出すので関係を継続するよう求める原告P1に対し、同原告が独身であると被告を騙しており信用することができない旨を告げた(乙10の1ないし5)。

キ 被告は、令和4年9月5日、原告P1が事情を説明するとして予約したホテルに赴いたが、同原告が現れなかったことを受け、通信用アプリを用いて、同原告に対し、「散々待った上にこれはないだろ しねよ 許さない」と告げ、原告ら新居のマンション名(上記ホテルのチェックインの際の画面に表示されたため被告が認識したもの)を告げた上、更に原告らの子の写真画像を送信して「大切なひとを守ろうwwwwww守れないね~」「もう家知っちゃったから 全部壊していきますね」と告げた(本件言動2。甲1、6、乙14、被告本人(調書9、10頁))。

2 請求〔1〕関係
(1)争点(1)ア(原告P1の婚姻についての被告の認識(故意・過失の有無))について
 前記認定のとおり、被告は、令和4年7月25日、SNS上で原告P1の結婚式の一場面と思われる写真画像を確認していたもので、原告P1も一度の婚姻をしたことは認めていたものである。
 そして、原告P1から、その1か月ないし2か月前の被告による投稿を見た妻が被告との交際状況を知ったため、既に離婚した旨の説明を受けたもので、この説明を信じたという被告の供述を直ちに排斥することができず、本件行為の時点においてその故意を認めることはできない。

 もっとも、上記説明は、女性との会食等の写真を見たことを契機に僅かな期間で離婚に至ったというもので、直ちに疑いなく信用することが相当な内容であるということはできない上、被告は、原告P1が現に婚姻関係にあるか否かについて特段有意な調査をしたなどの事情も見当たらないものであり、仮に原告P1が婚姻関係にないと認識していたとしても、そのことにつき過失があると言わざるを得ない。このことは、それ以前から原告P1と被告が相当期間肉体関係を伴う親密な関係にあり、本件行為の前にも原告P1が被告の住居の手配について被告と協議していたとしても左右されるものではない。

 したがって、原告らの婚姻関係について被告が認識していなかったことにつき被告に過失があると認められる。

(2)争点(1)イ(原告らの婚姻関係の破たんの有無)について
 被告は、原告P1の言動や被告と半同棲状態にあったことに照らせば,原告らの婚姻関係は破たんしていた旨主張するが、自らが婚姻していないと虚偽の事実を申し向けていた被告に対する原告P1の言動から原告らの夫婦関係の状況について推認することはできないし、認定事実(1)ウ記載の生活状況を前提とすると、原告P1は午前中からホストクラブへの出勤までの時間を家庭生活に費やすことができないものとまではいえず、上記生活状況から原告らの婚姻関係が破たんしていたことを推認することもできない。

 その他、本件全証拠によっても、原告らの婚姻関係が破たんしていたと認めることはできず、本件行為が、婚姻共同生活の平和の維持という権利又は法的保護に値する利益を侵害する行為であることは否定されない。 

(3)争点(1)ウ(不貞行為による損害額)について
 原告P1と被告の不貞行為の状況、これに至る経緯、不貞行為時に原告らに未成熟子のあったことその他本件に顕れた一切の事情を考慮すると、原告P2が不貞行為により被った精神的苦痛を慰謝するには、50万円をもってするのが相当である。
 また、本件事案の内容、本件訴訟の経過、上記認容額等を踏まえると、本件行為と相当因果関係のある弁護士費用としては、5万円が相当である。

3 請求〔2〕関係
(1)争点(2)ア(被告の原告P1に対するストーカー行為による不法行為の成否)について
ア 原告らは、被告が令和4年5月頃から原告らの自宅住所に行くなどの旨を述べたという内容の本件言動1をしたと主張するが、これを裏付ける的確な証拠は一切提出されておらず、上記主張を採用することはできない。

イ 本件言動2は、被告に対して独身であると虚偽の事実を申し向け、相当期間被告をして誤信した状態を継続させ、最終的に自ら説明の場を設けたにもかかわらずその場に現れなかった原告P1に相応の落ち度があるとはいえ、その内容は、被告が原告らの住所を認識しており、その子を含む原告らの家庭生活を破壊するために何らかの害悪を原告らに与えることを告知するものであって、被告がその12日前にも実際に原告らの引っ越し前の住居に断りなく来訪したことがあり、原告らにおいて被告が現実に何らかの行動をする可能性を感じたとしてもやむを得ないことも踏まえれば、故意に原告らの日常生活の平穏などの人格的利益を侵害する行為として不法行為に当たるものというべきである。

(2)争点(2)イ(ストーカー行為による損害の発生及びその額)について
ア 本件言動2の内容、態様及びこれに至る経緯(上記(1)イの原告P1の落ち度も含む。)その他本件に顕れた一切の事情を考慮すれば、本件言動2によって原告らが受けた精神的苦痛を慰謝するには、それぞれ5万円をもってするのが相当である。
 また、本件事案の内容、本件訴訟の経過、上記認容額等を踏まえると、本件行為と相当因果関係のある弁護士費用としては、各5000円が相当である。

イ 原告らは、被告の言動により引っ越しを余儀なくされたと主張してその引越費用まで損害であると主張するが、前記認定のとおり本件言動1の存在は認められない上、認定事実(1)エ及びオからすれば、原告らが原告ら新居に引っ越したのは令和4年7月15日から同月19日までの間と推認することができ(原告らの主張によっても同年8月23日である。)、この引っ越しを企図したのも同年6月30日より前のことであるから、同年9月5日の本件言動2によって原告らが引っ越しを余儀なくされたなどと認めることはできない。
 したがって、原告らの主張する引越費用は、被告の本件言動2による不法行為と因果関係のある損害であると認めることはできず、原告らの上記主張を採用することはできない。

4 請求〔3〕関係
(1)争点(3)ア(原告P1の勤務先の被告に対する売掛金の成否)について
 証拠(甲12、被告本人(調書25、26頁))によれば、P1勤務先は、被告がP1勤務先において飲食に関するサービスを受けた対価として、被告に対し、本件売掛金〔A〕を除く本件売掛金合計121万6000円(前記第2の3(6)ア(ア)参照)の売掛金債権を取得したことが認められる。そして、被告が前記第2の3(6)ア(イ)のとおり合計81万円の弁済をしたことに争いはないから、令和4年9月5日時点の本件売掛金の残高は、少なくとも40万6000円であったものと認められる。

 他方、本件売掛金〔A〕については、その一次的な証明力を有する伝票(甲12の写真〔2〕)上被告の署名がなく、被告本人も当法廷で本件売掛金〔A〕に係るサービスの提供を受けたか分からない旨供述しており(調書25頁)、上記伝票を基に作成したとみられるP1勤務先のシステム上の記録(甲9)その他の証拠によっても被告が同サービスの提供を受けたものと認めることはできない。したがって、P1勤務先が被告に対して本件売掛金〔A〕4万4500円の売掛金債権を取得したものと認めることはできない。

(2)争点(3)イ(原告P1が売掛金45万円を立替払いしたか否か。)について
 被告は、P1勤務先から本件売掛金の残高について請求を受けなかったこと、原告P1がP1勤務先に対して45万円を支払ったことをいずれも認めているところ、前記(1)のとおり本件売掛金の残高が存していたと認められる以上、その支払の請求をP1勤務先から受けなかったことは、被告以外の者が支払ったことを示す事情ということができる。そして、令和4年9月5日にP1勤務先において本件売掛金の残高として認識されていたとみられる45万0500円と1000円未満の端数の点を除いて概ね同じ額の支払が原告P1によってされており、他に被告に替わって本件売掛金の残高を支払うべき者も見当たらない以上、同残高(ただし、前記(1)で認められる限度の40万6000円)は原告P1が被告に替わって支払ったものと認めるのが相当である。

5 小括
 したがって、請求〔1〕について、原告P2は、被告に対し、不法行為に基づく損害賠償請求として、55万円及びこれに対する訴状送達の日の翌日から支払済みまで民法所定の年3パーセントの割合による遅延損害金の支払を求めることができる。
 また、請求〔2〕について、原告らは、被告に対し、不法行為に基づく損害賠償請求として、5万5000円及びこれに対する請求〔1〕と同様の遅延損害金の支払を求めることができる。
 さらに、請求〔3〕について、原告P1は、被告に対し、立替金請求(不当利得返還請求等と解される。)として、40万6000円及びこれに対する請求〔1〕と同様の遅延損害金の支払を求めることができる。


6 よって、原告の請求は、主文の限度で理由があるからこれを認容し、その余は理由がないから棄却することとして、主文のとおり判決する。
東京地方裁判所民事第6部 裁判官 武見敬太郎
以上:6,976文字
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R 7- 9- 9(火):岩手県フラメンコギター協会主催第12回コンサートin花巻市文化会館鑑賞2
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R 7- 9- 8(月):岩手県フラメンコギター協会主催第12回コンサートin花巻市文化会館鑑賞1
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R 7- 9- 7(日):関西学院大学山口亮子氏”アメリカ合衆国の共同監護について”紹介2
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○「関西学院大学山口亮子氏”アメリカ合衆国の共同監護について”紹介1」を続けます。

○アメリカでは結婚した夫婦の半分は離婚すると昔から言われてきましたが、その離婚も半分は、紛争性がない離婚のようです。アメリカでは、日本のように当事者だけで離婚届けを行政庁に届ければ離婚が成立する協議離婚は認められず、必ず「裁判手続き」が必要と聞いていました。①紛争性の程度には、紛争性のない離婚が50%と記載されており、日本での協議離婚に相当する離婚が半分のようです。紛争性のない離婚でもアメリカでは裁判所に届けその許可で離婚するようです。

○メディエーションで解決が10%とありますが、日本で言う調停離婚と思われます。②高葛藤への対処を見ると、アメリカでは、きめ細かい対処法を設定しているようです。「子どもの代理人」制度は、「親が直接子に父母の選択をさせることは子の利益にならないとされ、精神科医等による子の調査、裁判官室でのヒアリングにより子の意思の調査が行われる。弁護士は子の意思または子の利益を代理して、裁判所で主張を行う。」とあり、なかなか良い制度と思いました。

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3. 高葛藤事案に対して
①紛争性の程度

紛争性のない離婚50%、
争いはあったが解決30%、
メディエーションで解決10%、
調査後解決5.2%、
裁判中解決2.2%、
裁判官による判決1.5%

②高葛藤の場合
・ DV、親密圏の暴力
: シェルターへ避難する。裁判所で緊急保護命令を得て、子の監護権、養育費・生活費・治療費支払い命令を得る。
離婚時の養育計画書作成は相手方と協議せず、各自裁判所に提出する。

・ PA(片親疎外): 裁判所での認定が困難。DV加害者のでっち上げと非難される。PAに対して監護権変更を申し立てる場合がある。

③高葛藤への対処
・ DV教育
: 裁判官、法律家、弁護士、エヴァリュエーター、DV保護施設職員、法学生等へのDV教育を州法で義務づけている。

・ DV加害者への監護権付与制限: DV加害者への監護権付与は子の最善の利益とはならないと推定する州法が広がっている。

・ 医的介入: DV・虐待加害者はDV・虐待治療終了まで面会交流の制限。PAに対する治療的介入、引き離された親子の再統合。

・ 第三者による支援: 虐待加害者と子の面会交流に対して第三者機関の監視、送迎。

・ 履行義務違反に対する法的措置: メディエーション、養育計画の再構成、裁判所侮辱、損害賠償、監護権変更。

・ 子どもの代理人: 親が直接子に父母の選択をさせることは子の利益にならないとされ、精神科医等による子の調査、裁判官室でのヒアリングにより子の意思の調査が行われる。弁護士は子の意思または子の利益を代理して、裁判所で主張を行う。

4. 意見が対立した場合の調整方法や解決の実情
・ 事前準備
: 養育計画書に、意見が対立した場合の解決方法を取り決める。

・ 養育計画書再作成の支援: 各自治体が提供するガイダンス、子の年齢別・両親宅の距離別等の計画案、養育計画書コーディネーター、アドバイザー、マネジャー等による支援。弁護士、メディエーション等の第三者による仲介。

・ DVがある場合: 養育計画書作成は協議せず、個別に記入して裁判所へ提出する。
以上:1,392文字
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R 7- 9- 6(土):関西学院大学山口亮子氏”アメリカ合衆国の共同監護について”紹介1
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○事情があってアメリカの共同親権・監護に関するデータを探しています。関西学院大学法学部教授山口亮子氏の「家族法制部会第5回会議 アメリカ合衆国の共同監護について」と題する論文が見つかりましたので、紹介します。

○2020年のアメリカ人口約3億3300万人は、日本の人口約1億2427万人の2.7倍です。未婚で子が出生する割合は40%との割合は、日本の場合は多くは「できちゃった婚」として入籍しますが、アメリカでは、妊娠しても結婚にこだわりが強くないことを示しています。婚姻数に対する離婚数は約50%は、アメリカでは結婚しても半分は離婚すると昔から言われているとおりです。

○18歳未満の子が両親と同居している割合は70.4%、母子家庭21%、父子家庭4.5%、親戚その他4.1%とのことですが、日本との比較データは不明です。1960(昭和35)年に離婚法改革で、有責主義から破綻主義に移行して離婚数が上昇したとのことですが、令和7年からは65年前のことです。日本は未だに有責主義にこだわり、その一環として有責配偶者の離婚請求は認められませんが、制度としていずれが合理的かは明白で、世界標準は破綻主義です。日本では、有責主義故に離婚が認められない形式的・形骸的婚姻が多数溢れています。

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家族法制部会第5回会議 アメリカ合衆国の共同監護について
2021/7/27 関西学院大学 山口亮子


0. アメリカ合衆国の子をめぐる概要
アメリカ国勢調査によると、2020年の推計人口は約3億3300万人、
未成年者数は約7300万人。未婚で子が出生する割合は40%。婚姻数に対する離婚数は約50%、
毎年約100 万人以上の子が親の離婚を経験している。

再婚率は約70%。18歳未満の子が両親と同居している割合は70.4%、
母子家庭は21%、父子家庭は4.5%、親戚その他は4.1%。

婚姻の有無に拘わらず、血縁上の親には原則として親の権利(parental rights)があり、子に対する扶養義務がある。親は子の養育に関して監護権(custody)をもつ。

1. 離婚後の親権・監護権制度に関して、現行制度の導入背景や変遷
①共同監護法成立の背

・ 離婚法の改革(1960~): 有責主義から破綻主義へ移行して離婚数が上昇。
・ 婚姻・同居中の共同養育(1970~): 父親の子育て、母親の仕事継続による家族観・ジェンダー観の変化。
・ 離婚後の父親の権利思潮(1970~): 母親優先の原則への反発。

・ 単独監護制度の限界(1970~): 勝敗を作らない監護形態へ。子に対する責任の共有。離婚後の親の新生活。
・ 社会科学調査(1970~): 離婚後の親子の交流と子の利益の調査。
・ 共同監護法の成立(1979~): カリフォルニア州共同監護法(joint legal custody/joint physical custody)を皮切りに、ほぼ全州で立法化。
・ 共同監護から養育計画(parenting plan)へ(1990~): 両親が別居・離婚時に協議で個別具体的に子に関する養育計画書を作成して裁判所へ提出し、それが裁判所命令となる。

②共同監護法の種類(裁判規範)
・ 州の政策: 頻繁かつ継続した親子の交流を促進することを州の方針とする。
・ 推定則規定: 親の合意があれば共同監護は子の最善の利益に適うと推定する。
・ 強行的規定: 共同監護が子に有害でない限り共同監護を付与する。
・ 選択的規定: 子の最善の利益判断に従って監護形態を決定する。

2. 共同監護の現状
①共同監護(joint legal custody/joint physical custody)の状況

1989 年カリフォルニア州: 共同法的監護75.6%、共同身上監護20.2%
1998 年ウィスコンシン州: 1:1~1:3の共同身上監護8%
2002 年ノースカロライナ州: 共同法的監護69.7%、共同身上監護16.7%
2002 年アリゾナ州: 1:3~1:4の共同身上監護27%、1:1~1:2の共同身上監護15%
2007 年ネブラスカ州ダグラス郡: 共同法的監護53%、共同身上監護17%
2007 年ウィスコンシン州: 1:1の共同身上監護27%、1:3の共同身上監護18%
2008 年ワシントン州: 1:2以上の共同身上監護50%

②共同監護の評価2
・ 子への調査: 共同身上監護を経験している子たちの方が単独監護の子たちより、精神的、行動的、心理的、身体的健康が優れている。父母の高葛藤に拘わらず、別居父宅への宿泊日数が長いほど、子は父と良い関係を保っている。2つの家は面倒だが両親と親密な関係を維持するための価値はあると答えている。
・ 母への調査: 共同監護と単独監護において、子の心身の健康状態に変わりはない。母の精神的不安、父母の高葛藤と子の精神状態には関連性がある。

・ 裁判官への調査: インディアナ州での1998年と2011年の調査では、あらゆる年代の子に共同監護がふさわしいと考える割合が増加した。87%の裁判官は、両親が合意していなくとも共同法的監護を付与したいと答えている。

・ 総合: 多くの子は別居親と頻繁に会いたいと思っており、交流の頻度と親の紛争状態が、子の幸福感と関連している。高葛藤両親のカウンセリング後に、共同身上監護の子たちは単独監護の子たちよりストレス、不安、問題行動が少なくなっている。乳幼児期でも共同身上監護は悪い結果は出ていない。あらゆる年代で共同身上監護は子にとって良い結果を得ている。ただし、父の暴力があると、子と良い関係性は築けていない。

③共同監護の実現を支えているもの
・ 州の方針: 婚姻外でも子は両親と頻繁かつ継続して交流すること、両親から養育を受けることが子の最善の利益であると推定する州法の存在☞行為規範となり、親は共同監護を前提として婚姻外の養育計画を立てる。共同監護を達成するために社会資源が整えられていく。

・ 養育計画書: 一律的な共同監護ではなく、養育計画書の作成により、両親は個別具体的に子に関する法的決定権の所在と子と過ごす時間を計画する。意見の対立、不履行が生じた場合の解決方法もあらかじめ取り決めておく。

・ 子の親との関係性の重視: 裁判所は、親の合意がない場合も、子と両親それぞれとの関係維持を尊重して共同監護を命じる場合がある☞親の合意形成へ。
・ 無断転居の制限: 別居親による子の監護および面会交流を阻害しないために、同居親は転居前に別居親へ通知し、同意を得るか養育計画を作成し直す。

・ 情報発信の充実: 各州、各自治体、各裁判所はウェブサイトを通して、養育計画書の案内・見本・作成援助、ファシリテーターによる家族問題に関する法手続案内、親教育の受講義務、メディエーション案内、コンピューターによる養育費計算、DV等各種裁判手続の案内、不履行時の手続、州法等を発信している。

・ 民間支援の充実: 専門職である離婚カウンセラー、臨床心理士、精神保健医、エヴァリュエーター、親教育者、養育コーディネーター、メディエーター、弁護士、面会交流機関等が支援する。コンピューターによる養育計画書作成支援、両親間の情報交換ツールが発達している。

・ 研究の充実: 法学研究、社会科学研究、心理学・行動科学・精神医学等による研究・調査、脳科学の研究・調査、裁判の指針、各種団体・学界による指針が発表されている。
以上:3,141文字
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R 7- 9- 5(金):”トランプ氏、ロシア産原油購入停止や中国への圧力強化を要請”紹介
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○「”ロシアとウクライナの首脳会談、開催の期待薄れる”紹介」で、ウクライナ・ロシアの戦争について、トランプ大統領のプーチン大統領への態度はいつも及び腰で、最終的には、「何もせず、これはあなたたちの戦いだと言うかだ」との結論が目に見えていますと予想を述べていました。勿論、私自身は、ウクライナ・ロシア戦争早期終結を心から願っていますが、プーチン氏は、自身が失脚するか、ウクライナを事実上の属国にするまで止めないと思われからです。

○トランプ大統領は、口では何度もロシアに対する強い経済制裁を口にしながら一向に実行しないことから、プーチン氏に決定的な弱みを握られて、強硬手段には出ることができないのではと推測していました。ところが、以下の「トランプ氏、ロシア産原油購入停止や中国への圧力強化を要請 ゼレンスキー氏はハンガリーなどを名指しで批判」のニュースでは、「各国の首脳に対し、ロシア産原油の購入を停止すべきだと呼びかけた」、「ヨーロッパ諸国による原油の購入で、ロシアが年間で11億ユーロに上る収入を得るとともに、ウクライナ侵攻の収入源になっていると指摘した」とのことです。

○さらに、「ロシア産原油の最大の輸入国で軍事面での支援も指摘されている中国に対し、経済的圧力をかけるよう求めました」ともありますが、9月3日の戦勝記念日での中露蜜月ぶりを見ると、全く期待できず、アメリカ自身がロシアに対し強力な経済制裁をかけないと全く動かないと思われます。その点に関するニュースは、見当たりません。「ウクライナ安全保証、26カ国が部隊派遣確約 米国の支援は近く最終決定」とのニュースは嬉しいモノですが。

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トランプ氏、ロシア産原油購入停止や中国への圧力強化を要請 ゼレンスキー氏はハンガリーなどを名指しで批判
Yahoo!ニュース9/5(金) 3:16配信

アメリカのトランプ大統領は、ヨーロッパ首脳らとの会合にオンラインで出席し、ロシアによるウクライナ侵攻の終結に向けてロシア産原油の購入停止や中国への圧力強化を求めました。

フランスのパリで4日、ウクライナ支援の有志国連合の首脳会合が開かれ、ロシアとの戦闘終結後の「安全の保証」について協議が行われました。

トランプ大統領は、この会合にオンラインで出席しました。

ホワイトハウス当局者によりますと、トランプ氏は各国の首脳に対し、ヨーロッパ諸国による原油の購入で、ロシアが年間で11億ユーロに上る収入を得るとともに、ウクライナ侵攻の収入源になっていると指摘しました。

そのうえで、各国の首脳に対し、ロシア産原油の購入を停止すべきだと呼びかけました。

この発言に対し、ウクライナのゼレンスキー大統領は「同意する」とした上で、ロシアから石油を購入しているとされるハンガリーとスロバキアを名指しで批判しました。

トランプ氏はさらに、ロシア産原油の最大の輸入国で軍事面での支援も指摘されている中国に対し、経済的圧力をかけるよう求めました。


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ウクライナ安全保証、26カ国が部隊派遣確約 米国の支援は近く最終決定
Yahoo!ニュース9/5(金) 0:20配信


[パリ/ワシントン/キーウ 4日 ロイター] - ウクライナのゼレンスキー大統領と欧州首脳らは4日、パリでウクライナ支援の有志国連合の会合を開いた。フランスのマクロン大統領によると、ロシアとの和平合意が成立した場合、ウクライナに対する「安全の保証」の一環として26カ国がウクライナに部隊を派遣する用意があると表明した。

会合には欧州を中心に35カ国が参加。会合後にトランプ米大統領と電話協議を行った。マクロン氏によると、米国はウクライナに対する安全の保証への支援を近日中に最終決定する。

マクロン氏は会合後にパリのエリゼ宮で行ったゼレンスキー氏との共同記者会見で「ウクライナに対する安全の保証の一形態として、26カ国がウクライナへの部隊派遣を確約した。部隊は陸・海・空のいずれでも展開する」とし、安全の保証はウクライナ軍の再建と強化が中心になると述べた。

ウクライナに対する安全の保証は、停戦後にロシアがウクライナを再度侵攻することを防ぐためのもので、こうした保証に実効性を持たせるために欧州は米国の後ろ盾をトランプ大統領に求めている。マクロン氏は「戦闘が止むその日に、(ウクライナに対する)安全の保証が発動される」と述べた。

マクロン氏はどの国が部隊派遣を確約したかは明らかにしていないが、有志連合の共同議長国を務める英仏はこれまでも停戦後にウクライナに部隊を派遣することに前向きな姿勢を示している。マクロン氏は当初26カ国がウクライナに部隊展開すると述べたが、その後、一部の国の貢献はウクライナ国外にとどまり、ウクライナ軍の訓練や装備供与を通して安全の保証を提供するとの見方を示した。

ドイツなども取り組みに関与する意向を示したが、ドイツは米国の関与の度合いなどの各種条件が明確になった段階で軍事的に関与するか判断すると表明。イタリアのメローニ首相は、停戦監視や国外でのウクライナ軍の訓練に前向きな姿勢を示したものの、ウクライナへの部隊派遣は行わない方針を明確にした。

米ホワイトハウスによると、トランプ大統領はウクライナ支援有志国首脳との電話協議で、ロシアの戦争資金源を断つために欧州にロシア産原油の輸入停止を要求。中国がロシアの戦争遂行能力を資金面で支えているとして、中国に対し経済的圧力をかける必要性も強調した。

マクロン大統領は、有志連合と米国はロシアに対する将来的な制裁措置を巡り一段と緊密に協力することで一致したと言及。ロシアの石油・ガス部門のほか、中国に対する措置を念頭に置いていると語った。

ゼレンスキー大統領は共同記者会見で、安全の保証についてウクライナと同盟国との間で「基本的な枠組み」が共有されたと言及。部隊派遣の用意があると表明した国について、各国ごとの関与内容を明確化する文書の作成を進めていると明らかにした。陸・海・空のそれぞれの想定される部隊規模については、現時点で公表する用意はないと述べた。
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R 7- 9- 4(木):民法第718条動物占有者責任を一部認めた高裁判決紹介
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○「民法第718条動物占有者責任を否定した地裁判決紹介」の続きで、その控訴審令和7年6月18日大阪高裁判決(裁判所ウェブサイト)関連部分を紹介します。

○ドッグランにおいて、被告(被控訴人)の占有する被告犬が原告(控訴人)に衝突し、これによって原告が傷害を受け後遺障害を残したと主張して、民法動物占有者責任(民法718条1項本文)に基づき損害賠償金約3523万円を請求したところ、一審判決は被告は被告犬の動静について相当の注意を払っていたとして過失を認めず原告請求は全部棄却し、原告(控訴人)控訴しました。

○高裁判決は、被控訴人は、被控訴人犬が合理的行動を取るであろうと過信し、体高50cm前後、体重約28kgの大型犬が人間の死角から高速で衝突した場合の衝撃の程度に思い至らず、遊びで興奮状態の被控訴人犬にリードをつける等の適切な措置を取らなかったり、被控訴人犬を制止する措置をしたりはしなかったのであるから、通常払うべき程度の注意義務を尽くしていたとは認められず、被控訴人が飼い犬の管理につき相当の注意を尽くしたとは認められないとして、控訴人の請求について、損害全体として2048万9226円を認め、控訴人自身の過失割合20%を控除した1600万4726円の支払を命じました。

○被控訴人としては驚きの判決と思われます。ドッグランという広い空間で自由に走り回ることができる非日常的体験下においては、犬が遊びに夢中になり、人に衝突する危険があることや、犬に追い掛けられた犬がいわば安全基地である飼い主に向かって逃げることで、犬同士が飼い主の方向に突進していくおそれがあることを具体的に予見し又は予見することができたと認定されており、犬が人に衝突しないよう厳しい注意義務が認められました。

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主   文
1 原判決を次のとおり変更する。
2 被控訴人は、控訴人に対し、1600万4726円及びこれに対する令和3年2月6日から支払済みまで年3パーセントの割合による金員を支払え。
3 控訴人のその余の請求を棄却する。
4 訴訟費用は、第1、2審を通じてこれを2分し、その1を控訴人の負担とし、その余を被控訴人の負担とする。
5 この判決は、第2項に限り、仮に執行することができる。

事実及び理由
第1 控訴の趣旨

1 原判決を取り消す。
2 被控訴人は、控訴人に対し、3527万9753円及びこれに対する令和3年2月6日から支払済みまで年3パーセントの割合による金員を支払え。

第2 事案の概要(以下、特記しない限り、略称は、原判決の例により、証拠に枝番のあるものは、全ての枝番を含む。)
1 本件は、控訴人が、被控訴人に対し、ドッグランにおいて被控訴人の占有する犬が控訴人に衝突し(本件事故)、これによって控訴人が傷害を負ったと主張して、動物占有者責任(民法718条1項本文)に基づき、損害賠償金3527万9753円及びこれに対する令和3年2月6日(本件事故日)から支払済みまで民法所定の年3パーセントの割合による遅延損害金の支払を求める事案である(なお、前記第1の2と原判決「事実及び理由」第1は、表現を異にするが、同内容である。)。
 原審が控訴人の請求を棄却したところ、控訴人が控訴した。

2 前提事実

     (中略)

第3 当裁判所の判断
1 当裁判所は、原審と異なり、控訴人の請求は、被控訴人に対し、損害賠償金1600万4726円及びこれに対する令和3年2月6日から支払済みまで年3パーセントの割合による遅延損害金の支払を求める限度で認容し、その余を棄却すべきであると判断する。その理由は、以下のとおりである。

2 認定事実

     (中略)

3 争点1(被控訴人が相当の注意を払ったか)及び争点4(過失相殺)について
(1)動物占有者責任について
 動物占有者責任は、占有者が動物の種類及び性質に従い相当の注意をもってその管理をしたことを主張・立証すれば、その責任を免れるところ(民法718条1項ただし書)、相当の注意とは、通常払うべき程度の注意義務を意味し、異常事態に対処し得べき程度の注意義務まで課したものではないと解される(最高裁昭和37年2月1日第一小法廷判決・民集16巻2号143頁参照)。 

 そして、ドッグランは、リードを外して自由に走らせることができる施設ではあるものの、あくまで飼主の適切な管理下にある犬の利用が想定されているのであるから、施設の性格から上記の通常払うべき程度の注意義務が軽減されることはないというべきである。

(2)被控訴人が、本件事故時、通常払うべき程度の注意義務を尽くしていたか否かについて
 そこで、被控訴人が、本件事故時、通常払うべき程度の注意義務を尽くしていたか否かを検討すると、認定事実(3)ウによれば、被控訴人の認識では、飼主がドッグランにおいて行うべき管理の態様は、飼い犬の数mから10数mの距離にいて、何かあったらすぐに駆け付けてリードをつないで制御することができるように、いつもリードを手に持ち、犬の挙動を注視するというものであった。

 もっとも、認定事実(2)ウによれば、被控訴人犬は、本件事故前に、控訴人犬を追い掛けることに夢中になり、控訴人に衝突しそうになり、幸い、被控訴人犬に正対していた控訴人がこれを自然によけたため大事には至らなかったことが認められる。そして、この直前、被控訴人は、南側のフェンス付近の白い椅子に座り、リードをテーブルに置き、腕を組んで被控訴人犬を注視し、一連の様子を観察していた。

 したがって、被控訴人は、被控訴人犬が比較的温厚な性格で、基本的なしつけも行っており、本件事故以前に他の犬とけんかをしたことがなかったとしても(認定事実(3)ア及びイ)、ドッグランという広い空間で自由に走り回ることができる非日常的体験下においては、被控訴人犬が遊びに夢中になり、人に衝突する危険があることや、被控訴人犬に追い掛けられた控訴人犬がいわば安全基地である控訴人に向かって逃げることで、控訴人犬及び被控訴人犬が控訴人の方向に突進していくおそれがあることを具体的に予見し又は予見することができたというべきである。

 そして、被控訴人犬と被控訴人の走る速度の違いを考慮すれば、このような危険を防止するためには、被控訴人犬にリードをつけたり、被控訴人犬を一時的に退場させたりするなどの措置をとり、被控訴人犬を遊びに夢中な状態から落ち着かせるか(事情2参照)、被控訴人犬のところに駆け付けるか、せめて「おいで」「止まれ」といった口頭の命令を試みるなどして制止する(事情3参照)ほかないところ、被控訴人は、このような行動をしたことはうかがわれない(なお、控訴人は、仮に控訴人犬が人間に突進した場合、まず大声で制止すると述べており(原審控訴人本人〔15頁〕)、通常の飼育経験のある飼主であれば、口頭の命令を試みることは自然かつ容易であると考えられる。)。

 したがって、被控訴人は、被控訴人犬が合理的行動を取るであろうと過信し、体高50cm前後、体重約28kgの大型犬が人間の死角から高速で衝突した場合の衝撃の程度に思い至らず、遊びで興奮状態の被控訴人犬にリードをつける等の適切な措置を取らなかったり、被控訴人犬を制止する措置をしたりはしなかったのであるから、通常払うべき程度の注意義務を尽くしていたとは認められない。

(3)本件事故時の状況について
 本件事故時の状況について、被控訴人は、控訴人犬が、控訴人に背後から走って近づき、急に左に方向転換し、控訴人の左側を通り抜け、控訴人犬を追い掛けていた被控訴人犬も、それに合わせて左に方向転換し、控訴人犬を追い掛けようとしたが、その際、控訴人の脚に背後から接触した旨主張する。これに対し、控訴人は、原判決別紙2の「原告」という文字が付記された黒丸付近に立って、控訴人の家族と控訴人犬の様子を見ていた旨主張し、原審本人尋問においても、控訴人犬が柵の方や控訴人の配偶者の方をうろうろしていた旨供述している(原審控訴人本人〔16頁〕)。

 そこで、本件事故時の状況を検討すると、控訴人は、意味もなくなくドッグランの中央部付近に行くことは少ないと述べているところ(原審控訴人本人〔6頁〕)、控訴人が本件事故に遭った原判決別紙2の「原告」という文字が付記された黒丸の位置から南側の柵の位置までは、航空写真(甲8)と対照すると、8m弱は離れていることが認められ、配偶者及び控訴人犬と別行動した合理性が見出し難い。むしろ、被控訴人犬は、本件事故前にも控訴人犬を追い掛けて控訴人と衝突しそうになったことがあるのであり(認定事実(2)ウ)、本件事故時も控訴人犬を追い掛けていたと考えるのが自然である。

とするならば、控訴人は、自身の背後から走ってくる可能性のある犬に対する警戒をしておらず、そのため、被控訴人犬の接近に気付くことができなかった過失が認められる(なお、仮に、控訴人が主張するとおり、控訴人犬が柵の方や控訴人の配偶者の方をうろうろしていたのだとしても、控訴人は、控訴人犬が控訴人の配偶者の近くにおり、同人による管理が可能であり、控訴人が注視する必要があったとまではいえなかったにもかかわらず、合理的理由なく本件大ドッグランの周辺部でない部分に立ち、自身の背後から走ってくる可能性のある犬に対する警戒をしなかったのであるから、いずれにせよ過失が認められる。)。

 以上の控訴人及び被控訴人の各過失の内容等を考慮すれば、本件事故における控訴人の過失割合は、20%とするのが相当である。

4 争点2(本件事故と控訴人の損害の因果関係の存否)について
(1)前記認定事実(2)ウ及び(3)アによれば、被控訴人犬は、体重が約28kgであり、時速11.7km以上の速度で控訴人に衝突したことが認められる。そして、体重約28kgは小学校低学年の児童の体重程度であると考えられるところ、本件事故は、小学校低学年の児童が、一般人のジョギングよりも速い速度で、頭から突進したに等しい衝撃が発生しており、さほど広くはない接触部位(控訴人の下肢の一部)にその衝撃が集中したことや、控訴人が防御の体勢ではなかったことも考慮すれば、軽微な接触であったとは認められない。


     (中略)

(3)したがって、本件事故と因果関係のある傷害は、左足関節捻挫、左肩関節捻挫及び左下腿打撲傷、中程度の棘上筋損傷(部分損傷)であると認められる。

5 争点3(控訴人の損害の有無及び額)について
 前記4を踏まえれば、控訴人の損害額は、次のとおりである。


     (中略)


(5)後遺障害逸失利益
 1465万9092円
【事実認定の補足】
 控訴人は、MRI検査の結果、中程度の腱板損傷(部分損傷)と診断され、他動運動による左肩関節の外転運動の可動域(75度)が、右肩関節の可動域(135度)の4分の3以下に制限されたことが認められる(甲8)。
 したがって、控訴人の左肩に残存した機能障害は、「1上肢の3大関節中の1関節の機能に障害を残すもの」(12級6号)と評価すべきである。
 控訴人は基礎収入として1071万6407円を主張するところ、控訴人は、親族が経営する会社に勤務しており、業務内容は理髪業店舗の運営、経理及び事務であり、デスクワークが半分程度、理髪店のサインポール及び天井の照明の電球の手配及び交換が半分程度であるから(原審控訴人本人〔29頁〕)、上記基礎収入が労働実態に見合った金額であるとは直ちには認め難い事情があるといえ、控訴人も業務日誌、業務内容の説明資料、勤務先関係者の証言等、何らの立証もしておらず、後遺障害の症状固定後に減収したこともうかがわれない。
 もっとも、控訴人は左肩に後遺障害が残存しており、理髪店の天井の照明の電球の手配等の雑務に一定程度の支障が出ることが認められるから(原審控訴人本人〔14、29頁〕)、賃金センサス令和3年第1巻第1表の「男」「学歴計」「35~39」の年収である545万6800円を基礎収入とすべきである。
【計算式】
基礎収入545万6800円×労働能力喪失率0.14×労働能力喪失期間29年間に対応するライプニッツ係数19.1885=1465万9092円

(6)通院慰謝料
 102万6000円
【計算式】
令和3年2月8日から同年6月28日まで(4か月と21日)
90万円+(108万円-90万円)×21
30=102万6000円

(7)後遺障害慰謝料
 280万円

(8)既払金 38万6654円

(9)具体的金額
ア (1)~(7)の合計額 2048万9226円
イ 過失相殺(20%) 2048万9226円×(1-0.2)=1639万1380円
ウ イ-(8) 1600万4726円


6 結論
 よって、控訴人の請求は1600万4726円及びこれに対する遅延損害金の支払を求める限度で理由があるから、原判決を上記のとおり変更することとし、主文のとおり判決する。
大阪高等裁判所第1民事部
裁判長裁判官 嶋末和秀 裁判官 横路朋生 裁判官 石本恵
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