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R 7- 6-24(火):会社契約傷害保険契約に基づく保険金の従業員帰属を認めた地裁判決紹介
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○原告が、原告と原告元雇用主で砕石業を営む株式会社である被告の間の神戸地方法務局所属公証人△△△△作成平成28年第×××号債務承認並びに弁済契約公正証書について、公正証書上の債権と原告が被告に対して有する不当利得返還請求権等の債権とを対当額で相殺した旨主張して、異議権に基づき、本件公正証書の執行力の排除を求めました。

○原告の元雇用主被告会社は、全役員及び従業員を被保険者として傷害総合保険契約を締結しており、元従業員の原告に労災事故が発生し、保険会社から元雇用主の被告に保険金が支払われており、原告はこの保険金相当額について、被告は原告に対し、不当利得返還義務があると主張しました。

○これについて、本件においては、被保険者において保険契約者が保険金を保持することを明示又は黙示に承諾していたなどの事情を認めることはできず、被告が取得した本件保険金は、原告との関係において、法律上の原因のないものとして、不当利得に当たるとして、原告は被告に対し、本件保険金114万円につき不当利得返還請求権及びこれに対する法定利息の支払請求権を有するとし、受働債権である本件貸金返還請求権(73万円)は、弁済期が到来したと認めるのが相当であり、他方、自働債権である本件保険金(114万円)の不当利得返還請求権については、本件保険金が被告に支払われた日に弁済期が到来したと認めるのが相当であるから、上記両債権は、相殺適状となったものであり、原告の相殺の意思表示により、遡って相殺の効力を生じたとし、上記相殺により、本件貸金返還請求権(73万円)及びこれに対する遅延損害金2万5530円はすべて消滅したとして、原告の請求を認容し、本件につき、簡易裁判所がした強制執行停止決定を認可した令和4年10月11日神戸地裁社支部判決(判時2621号21頁)関連部分を紹介します。

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主   文
1 原告と被告の間の神戸地方法務局所属公証人△△△△作成平成28年第×××号債務承認並びに弁済契約公正証書に基づく強制執行は、これを許さない。
2 訴訟費用は被告の負担とする。
3 本件につき、社簡易裁判所が令和3年4月●日にした強制執行停止決定(同裁判所令和3年(サ)《事件番号略》)は、これを認可する。
4 この判決は、第3項に限り、仮に執行することができる。

事実及び理由
第1 請求

 主文1項と同旨

第2 事案の概要等
1 事案の概要

 本件は、原告が、原告と被告の間の神戸地方法務局所属公証人△△△△作成平成28年第×××号債務承認並びに弁済契約公正証書(以下「本件公正証書」という。)について、公正証書上の債権と原告が被告に対して有する不当利得返還請求権等の債権とを対当額で相殺した旨主張して、異議権に基づき、本件公正証書の執行力の排除を求める事案である。

2 前提事実(証拠及び弁論の全趣旨により容易に認定することができる事実)
(1)被告は、砕石業を営む株式会社であり、原告は被告の元従業員である。

(2)被告の原告に対する債務名義として、次のものが存在する(本件公正証書、甲1)。
ア 債務名義の種類
 公正証書
イ 債務名義の成立年月日
 平成28年3月8日

ウ 債務名義にあげられた請求権の内容等
 本件公正証書には、要旨、次の記載がある。
(ア)原告は、被告に対し、平成27年9月1日に原告が被告から借り受けた借入金80万円から既払金7万円を差し引いた残額73万円の支払債務を負う(以下「本件貸金返還請求権」という。)。
(イ)原告は、被告に対し、前記(ア)の金員を、次のとおり15回に分割して支払う。
〔1〕平成28年3月から平成29年4月まで毎月末日限り、5万円
〔2〕平成29年5月末日限り、3万円

(ウ)原告が続けて2回以上前記(イ)の分割金の支払を怠ったとき等は、被告からの催告がなくても当然期限の利益を失い、前記の73万円から既払額を控除した残額を直ちに支払う。
(エ)原告は、被告に対し、期限の利益喪失後、73万円(既払額があれば控除する)に対し完済に至るまで年10.0%の割合による遅延損害金を支払う。
(オ)原告が上記の債務を履行しないときは、直ちに強制執行に服する。

(3)労災事故の発生
 平成27年9月25日、原告が被告のもとで就業中、半月板損傷等の傷害を負う労災事故が発生した。原告は、入院(全38日)及び手術のため、休業を余儀なくされた(甲3)。

(4)保険会社からの保険給付
 被告は、A株式会社(以下「保険会社」という。)との間で、被告を保険契約者、被告の役員、従業員全員を被保険者とする傷害総合保険契約(以下「本件保険契約」という。)を締結していた(乙3)。
 原告が前記(3)の労災事故で入院・休業・手術を受けたことを受け、本件保険契約に基づき、入院保険金、休業保険金、手術保険金が支払われることとなり、平成28年9月5日、保険会社から被告名義の金融機関の口座に、入院保険金19万円、休業保険金90万円、手術保険金5万円の合計114万円(以下、これらを併せて「本件保険金」という。)が振込入金された(甲4)。

(5)原告は、本件貸金返還請求権につき、平成28年3月末日及び同年4月末日に支払うべき前記(2)ウ(イ)の分割金の支払を続けて2回怠り、同月末日の経過によって期限の利益を失った。
 被告は、神戸地方裁判所社支部に対し、前記(2)の債務名義に基づいて、本件貸金返還請求権(73万円)及びこれに対する平成28年5月1日から令和3年4月7日までの遅延損害金36万0266円並びに執行費用1万0572円の合計110万0838円を請求債権とし、原告の給与債権を同金額に満つるまで差し押さえる債権差押命令申立事件を申立て(令和3年(ル)《事件番号略》)、令和3年4月9日、債権差押命令が出された(甲2)。

(6)相殺の意思表示
 原告は、被告に対し、令和3年4月19日到達の内容証明郵便で、原告の被告に対する本件保険金114万円の不当利得返還請求権及びこれに対する平成28年9月5日から令和3年4月16日までの年5分の割合による法定利息26万2930円を自動債権とし、本件公正証書に基づく債権を受働債権とし、これらを対当額で相殺する旨の意思表示をした(甲5、6)。
 また、原告は、被告に対し、本件の口頭弁論期日において、本件保険金の信義則上の返還請求権を自働債権とし、本件公正証書に基づく債権を受働債権とし、これらを対当額で相殺する旨の意思表示をした。

(7)強制執行停止決定等
 原告は、令和3年4月22日、社簡易裁判所への本件訴えの提起に伴い、前記(2)の債務名義に基づく強制執行の停止を求める申立てをし、同裁判所は、令和3年4月23日、原告に22万円の担保を立てさせた上で、本件訴訟の判決において民事執行法37条1項の裁判があるまで本件債務名義に基づく強制執行を停止する決定をした(社簡易裁判所令和3年(サ)第1号)。
 社簡易裁判所は、本件を神戸地方裁判所社支部に移送した。

3 争点(いずれも相殺の再抗弁の自働債権についてのもの)

     (中略)

第3 当裁判所の判断
1 認定事実

 前記前提事実に加え、後掲各証拠及び弁論の全趣旨によると、次の事実を認定することができる。
(1)本件保険契約は、損害保険契約であり、保険契約者を被告とし、被保険者を被告の役員・従業員全員とするものであった(乙3)。本件保険契約の保険料は被告が支払っていた。

(2)本件保険契約の約款には、入院保険金・手術保険金等を、被保険者に支払う旨の記載があった(乙4・第6条)。

(3)本件保険契約には、法人を保険契約者とし、その役員・従業員を被保険者とする保険契約において、死亡保険金受取人を保険契約者である法人とした場合に、後遺障害保険金、入院保険金、手術保険金、通院保険金についても死亡保険金受取人に支払うとの特約が付されていた(乙1)。

2 争点に対する判断
(1)争点〔1〕(本件保険金につき不当利得返還請求権が認められるか(被告が本件保険金を取得することにつき法律上の原因がないといえるか))について

(ア)前記1認定事実(1)によると、本件契約は、保険契約者と被保険者が異なる損害保険契約であるから、保険法8条にいう、被保険者が保険契約の当事者以外の者である損害保険契約に該当し、被保険者が民法537条所定の受益の意思表示をするまでもなく、当然に被保険者に保険契約の利益が帰属し、被保険者は、自己固有の権利として保険給付請求権を取得することとなり、他方で、保険契約者には被保険利益がないこととなるものと解される。

 そうである以上、上記のような契約のもとにおいて保険契約者である被告が保険金を受け取った場合、被保険者において保険契約者が保険金を保持することを明示又は黙示に承諾していたなどの事情がなければ、保険契約者が受け取った保険金は、被保険者との関係において、法律上の原因がないものとして不当利得に当たるものと解される。

 そして、本件の証拠等によっては、上記のような事情を認めることはできないから、被告が取得した本件保険金は、原告との関係において、法律上の原因のないものとして、不当利得に当たると認めるのが相当と解される。


(イ)これに対し、被告は、本件保険契約は第三者のためにする保険契約ではない旨主張するが、前記1認定事実(1)によると、本件契約は、保険契約者と被保険者が異なる損害保険契約であるから、第三者のためにする損害保険契約であると認めるほかないものと解される。よって、被告の上記主張は採用することができない。

 また、本件保険契約には前記1(3)の特約が付されていたが、この特約によって、保険会社と保険契約者である被告の間において被告が本件保険金の支払を受けることが合意されていたということはいえても、これを超えて、被保険者である原告が本件保険金を被告が保持することを承諾していたと直ちには認めることができないし、ほかに、そのことを原告が明示又は黙示に承諾していたことを根拠づける証拠や事実も見当たらない(原告が本件保険契約の告知を受けていたというだけでは上記承諾を認めるには足りないと解される。)。

(ウ)以上からすれば、原告は被告に対し、本件保険金114万円につき不当利得返還請求権及びこれに対する法定利息の支払請求権を有するというべきである。

イ 次に、相殺についてみると、相殺の意思表示は双方の債務が互いに相殺をするに適するに至った時点に遡って効力を生ずるものである(民法506条2項)から、その計算をするに当たっては、双方の債務につき弁済期が到来し、相殺適状となった時期を基準として双方の債権額を定め、その対当額において差引計算をすべきである(最高裁昭和54年3月20日判決・集民126号277頁)。これを本件についてみると、受働債権である本件貸金返還請求権(73万円)は、平成28年5月1日に弁済期が到来したと認めるのが相当であり、他方、自働債権である本件保険金(114万円)の不当利得返還請求権については、本件保険金が被告に支払われた平成28年9月5日に弁済期が到来したと認めるのが相当である。

 そうすると、上記両債権は、平成28年9月5日をもって相殺適状となったものであるから、原告の相殺の意思表示により、平成28年9月5日に遡って相殺の効力を生じたものというべきである。そして、上記相殺により、本件貸金返還請求権(73万円)及びこれに対する平成28年5月1日から同年9月5日までの年10%の割合による遅延損害金2万5530円は全て消滅したものといわなければならない。

(2)以上によると、その余の争点について判断するまでもなく、原告の請求には理由がある。

3 結論
 以上によると、原告の請求には理由があるからこれを認容し、民事執行法37条1項に基づき、前提事実(7)の強制執行停止決定を認可することとして、主文のとおり判決する。
裁判官 清水紀一朗
以上:4,938文字
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R 7- 6-23(月):AmazonPrime”衝撃の映像・第二次世界大戦”を観て-米軍強さ実感
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○令和7年6月22日(日)は、早朝、トランプ大統領のイラン攻撃会見ニュースを見て驚きました。トランプ大統領は、一昨日までは2週間様子を見て攻撃するかどうかを決めると報道されているのを見て、イランに対する脅しとして言っているだけで、実際米軍が出てくることは無いだろうと思っていたからです。ところが実際米軍が出動してイランの核施設3箇所を完全破壊したなんて会見で言っており、ちと独裁者の怖さを感じました。何をするか判らない大統領の評価は本物でした。

○このアメリカのイラン攻撃ニュースを見てちと全面戦争が心配になり、第二次世界大戦を振り返りたくなりました。AmazonPrimeを見ると第二次世界大戦に関する番組は結構あり、その中で「衝撃の映像・第二次世界大戦」という番組を見つけて、22日午後はその鑑賞に没頭しました。冒頭第二次世界大戦でドイツは国民のうち800万人が犠牲になったとあり、日本の犠牲者310万人よりズッと多いのに驚きました。その当時の人口は日本7138万人・ドイツ6985万人で僅かに日本が多いのに犠牲者数は2倍以上で、ドイツ国内への連合国側の攻撃も相当激しかったようです。

○第二次世界大戦の概要は、大昔、世界史で習いましたが殆ど忘却の彼方であり、部分的には古くは映画「史上最大の作戦」、最近では映画「ダンケルク」等で見ていますが、その全体像は覚えておらず、以下の番組「衝撃の映像・第二次世界大戦」で概要が掴めます。以下、番組概要紹介を記載しますが、エピソード3位までは我慢して全編通して鑑賞しましたが、エピソード4以下は、早送りで飛ばし飛ばしの鑑賞でした。第二次世界大戦は連合国側が勝利しましたが、米軍の強さ・凄さをあらためて実感しました。

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AmazonPrime「衝撃の映像・第二次世界大戦」概要

エピソード1 - 独軍電撃作戦・1時間12分
1939年9月最新兵器で武装した独軍が国境を越えポーランドになだれ込んだ。それまで独の領土拡張を黙認してきた英仏はようやく開戦に踏み切る。しかし、独の勢いは止められず翌年4月には仏が独の軍門に下る。

エピソード2 - 激闘! 北アフリカ戦線・37分
北アフリカへの上陸作戦はトーチ作戦と名付けられ、カサブランカ、オラン、アルジェが上陸地点に選ばれた。1942年11月作戦は決行され、4日間の戦いの後、仏軍は停戦を受け入れ、連合軍は上陸地点間にある主要な港を奪取することに成功した。

エピソード3 - ロンメル軍団の死闘・37分
米英仏の連合軍は、“砂漠の狐”ロンメル率いる独アフリカ軍団を一進一退の末、チュニジアに封じ込めた。独軍は各地で、なおも粘り強く反撃を続けたが、1943年5月ついに北アフリカの全域が連合軍の占領下に入ることとなる。

エピソード4 - 第三帝国 崩壊の序曲・1時間14分
シチリア島を解放した連合軍は、伊南部の重要都市ナポリ攻略を開始した。戦争に疲弊していた伊は降伏を即断したが、支援する独軍は防御態勢を整え、連合軍に猛撃を加えた。結果として、戦線は膠着し、双方に多大な犠牲を強いることになる。

エピソード5 - 史上最大の作戦・56分
ヨーロッパ戦線の全貌を記録したドキュメントの真髄!(1)ノルマンディ上陸前夜 連合軍は空挺師団を先遣隊として送り込む。(2)史上最大の作戦 ドーヴァー海峡を渡って連合軍が上陸。(3)独ロケットロンドン攻撃 独軍はロンドン爆撃を行い、強力な攻撃を続けていた。

エピソード6 - パリ解放・1時間15分
ヨーロッパ戦線の全貌を記録したドキュメントの真髄!(1)連合軍がフランス国内を進む中、独軍はモルタンに大機甲部隊を集結させていた。連合軍は勝利しパリを目指した。(2)地中海から上陸した部隊は南仏から独軍を追うようにパリに向かっていた。

エピソード7 - ドイツ空爆・1時間15分
ヨーロッパ戦線の全貌を記録したドキュメントの真髄!(1)苦戦しながらも着実に進軍する連合軍、米陸軍補給部が活躍した。(2)開戦から2年以上が過ぎた1942年初頭からドイツを空爆するための基地が英国内に設けられた。

エピソード8 - ドイツ無条件降伏・1時間51分
ヨーロッパ戦線の全貌を記録したドキュメントの真髄!(1)のびきった連合軍の補給線。独軍からの猛攻にあい、多数の死傷者を出し苦戦した。(2)1945年3月、ドイツ国内での戦いが始まる。(3)ドイツ国内ではあらゆる機能が麻痺していき、連合軍は順調に東に進んだ。

エピソード9 - ニュルンベルク裁判・1時間15分
ヨーロッパ戦線の全貌を記録したドキュメントの真髄!(1)ドイツの降伏で、連合国の国民は勝利に沸いていた。(2)1945年7月17日から主要連合国の首脳4人がベルリン郊外のポツダムに集まり、第二次大戦の戦後処理が話し合われた。
以上:2,021文字
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R 7- 6-22(日):映画”隠し砦の三悪人”を観て-準主役女優が魅力あり
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○令和7年6月21日(土)は、1ヵ月ぶりのツルカメフラメンコアンサンブルの練習日でした。オカリナでメロディを演奏し、ギター2台で伴奏をするスタイルの練習を始めて行いました。オカリナの音の響きが心地よくギターでのメロディとは違った楽しみを感じました。当面、演奏会の予定がありませんが、じっくり器楽演奏を楽しんでいきます。

○演奏練習終了後、恒例の夕食を取りながらの映画鑑賞は、1958(昭和33)年製作黒澤明監督作品映画「隠し砦の三悪人」を最近購入したばかりの4KUHDソフトで鑑賞しました。平成の初め頃LDを購入し、何回か鑑賞していますが、おそらく30年数年ぶりでの鑑賞になります。これで販売されている黒澤監督シリーズ映画4KUHDソフトは殆ど購入しましたが、いずれもAmazon価格でも5000円前後と高いのが痛いところです。4KUHD化された映画は、洋画が圧倒的に多く、邦画は少ないのですが、邦画はいずれも価格が高いのが難点です。

○30数年ぶりでの映画「隠し砦の三悪人」鑑賞の感想は、「七人の侍」、「用心棒」、「椿三十郎」と比較すると少々落ちるというものでした。主要登場人物の顔は良く覚えているのですが、肝心のストーリーは、殆ど忘却の彼方だったことが、いつものことですが、ガッカリでした。シッカリと覚えていたのは、三船敏郎氏演ずる真壁六郎太が、馬に乗って敵方役人侍2人を追いかけて、いずれも馬上のまま2人の侍を切り捨てるシーンです。スタントマン無しで三船敏郎氏本人演じたその場面の迫力は強く印象に残っていました。

○黒澤映画の常連藤田進氏演ずる敵方の侍大将田所兵衛との長い槍での決闘シーンは、確かに迫力はありましたが、ちと長すぎると感じました。藤原鎌足氏と千秋実氏演ずる百姓2人のからみあいのシーンが長く挿入されていますが、いずれの場面も、ちとテンポが散漫に感じて、「用心棒」、「椿三十郎」での小気味よい痛快なテンポでのストーリー展開に劣ると感じました。準主役雪姫役は上原美佐氏と言う女優が演じていましたが、素人を抜擢したとのことで、少々ぎこちない初々しい演技も良かったのですが、何より長い脚のホットパンツ姿が大変魅力的でした(^^;)。

○4KUHD化された映像は、昭和33年製作映画にしては、相当修復され、同じく4KUHD化された「用心棒」、「椿三十郎」と殆ど変わらないクッキリした目に心地よい映像になっていました。この点は高い価格に納得しました。

NHKBSプレミアム「隠し砦の三悪人」(サムネは映画祭告知)


THE HIDDEN FORTRESS (1958) Theatrical Trailer - Toshirô Mifune, Misa Uehara, Minoru Chiaki



以上:1,140文字
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R 7- 6-21(土):自賠責後遺障害非該当を14級後遺障害認定地裁判決紹介4
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○「自賠責後遺障害非該当を14級後遺障害認定地裁判決紹介3」の続きで、自賠責後遺障害非該当認定を14級後遺障害と認めた令和4年9月21日名古屋地裁判決(交通事故民事裁判例集55巻5号1272頁)関連部分を紹介します。

○頸部痛につき自賠責保険の事前認定においては後遺障害非該当とされた被害者(男・21歳・大学生(卒業後公務員))が14級に該当するとして、468万円の損害賠償請求を求めました。これに対し被告側では、後遺障害は認められないと厳しく争いました。

○判決は、本件事故により原告の頚部に相当程度の衝撃等が加わり、現に原告には本件事故後から頚部痛が生じ、この症状は治療に伴って徐々に回復するも一定程度の症状を残して症状固定に至ったものと認められ、その症状も日常的に生じているものと評価できるところ(なお、本件における後遺障害の認定に当たり、たとえば原告の体勢等と無関係に常時疼痛が生じていることまでが要件として求められるものとは解されない)、原告が主張する右頚部痛については、「局部に神経症状を残すもの」として、14級9号に該当するものと認められるとしました。

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主   文
1 被告は、原告に対し、311万1108円及びこれに対する平成30年10月27日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
2 原告のその余の請求を棄却する。
3 訴訟費用はこれを3分し、その1を原告の負担とし、その余を被告の負担とする。
4 この判決は第1項に限り仮に執行することができる。

事実及び理由
第1 請求

 被告は、原告に対し、468万2825円及びこれに対する平成30年10月27日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。

第2 事案の概要
 本件は、原告が、被告が運転する自動車が対向車線にはみ出して原告運転に係る自動車に正面衝突する交通事故が発生し原告が傷害を負ったとして、被告に対し、民法709条及び自賠法3条に基づき、人的損害賠償金468万2825円及びこれに対する不法行為(交通事故)の日である平成30年10月27日から支払済みまで民法(ただし、平成29年法律第44号による改正前のもの。以下、利率について同じ。)所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める事案である。

1 争いのない事実等

     (中略)

第3 争点に係る検討・判断
1 認定事実
(証拠の記載は、枝番があるものは枝番を含む。)
(1)本件事故状況等(甲1、2、32、33、原告本人)
 原告は、本件事故当時、京都市内の大学の4回生であり、硬式野球部に所属していた。本件事故当日、原告は、滋賀県で開催される野球の試合に出るために、野球部の後輩やマネージャーを同乗させ、原告車を運転していた。
 本件道路(本件事故現場付近)は、片側1車線のいわゆる山道である。本件事故現場付近は急カーブになっており、本件事故当時、路面は濡れていた。

 原告は、原告車を運転し、本件道路をb方面からc方面に向けて進行していた。この際、原告車には、助手席に1人、後部座席に3名の同乗者がいた(後部座席の3名についてはシートベルトを着用していなかった。)。

 本件事故の際、被告は、被告車を運転し、実家に向かうべく、本件道路をc方面からb方面に進行していた。被告は、本件事故に至るまでの間、直線道路では時速100km以上出すなどしており、時速80km程度で本件事故現場に差し掛かり、カーブをうまく攻略しようなどと考え、(いつも曲がっている時の時速40kmよりも早い)時速50~60kmまで減速し、カーブに入ろうとハンドルを切ったが、カーブを曲がり切れず、被告車を対向車線にはみ出させ、被告車の右前部を対向してきた銀色の自動車(ホンダフリード。以下「訴外自動車」という。)の右後部にすれ違いざまに衝突させ、さらに対向車線上を走行させた上、同車線上で原告車と正面衝突させた(他方、原告車は、カーブに差し掛かった際、時速30km程度で走行していた。)。

     (中略)

2 争点(原告の損害の内容。特に後遺障害の有無。)についての検討・判断
(1)後遺障害の有無について

ア 上記認定事実を踏まえて検討するに、相当程度の速度で走行する車両同士の正面衝突という本件事故の態様、原告車及び被告車の損傷状況等に照らすと、本件事故により原告の頚部には相当の衝撃や負荷が加わったものと推認される。
 そして、原告の供述のほか医療記録に現れた通院経過について検討しても、原告は、本件事故後症状固定に至るまで、首の向きを変えたとき等の日常動作に係る頚部の症状を訴え続けているといえるのであり(その状況や内容については後述する。)、症状固定と診断された令和2年9月30日以降においても、上を向くときや左を向くときの首の痛みがとれず、パソコン作業を続けた際や自動車の運転の際等に痛みを感じたり、就寝に伴う症状を和らげるために枕を使い分けるなどしており、日常的に(特殊な動作や運動をした際などに限られるものではなく)痛みを感じる状況がある。

 そして、原告の主治医も、相当長期間に及んだ治療状況を踏まえ、原告の症状について「かわりなし」との見通しを示している。
 以上は、原告に後遺障害が残存したことを示す有力な事情である。

イ これに対し、被告は、原告が本件事故後野球の試合に出場していることなどから、原告の主訴が信用できないなどと指摘する。確かに、原告は本件事故に近接した時期に野球の練習や試合に参加又は出場しており、このことは、当時、原告が一定の運動が可能な状態であり、さほど重い症状が生じていなかったことを示すものとはいえる(少なくともある程度激しい運動が可能な状況であったといえる。)。しかし、本件に係る原告の主訴、症状、診断等に照らしても、当時野球の練習をしたり試合に出場すること自体が不可能又は著しく困難な状況ではなかったといえるし(原告主張に係る傷害ないし後遺障害は、そこまで重篤な内容のものではない。)、原告は、この時期においても、頻度は相当低いものであるが医療機関において頚部痛を継続して訴え続け、投薬治療等を受けていたものであり、必ずしも原告が野球をしていたことをもって原告の主訴に係る症状ないし後遺障害の存在が否定されるものではない。

 上記に関連して、原告の本件事故後数か月の通院状況を見るに、原告は、平成31年1月までの間、本件事故当日の救急搬送を除けば1か月に1回しか通院しておらず、その後に通院の頻度が増している。通常、交通事故の直後に最も重い症状があり、それが治療によって改善していくという経緯が想定されるところ、原告のこうした通院状況は、原告の症状の一貫性ないし後遺障害の残存に疑問を生じさせるものであるといわざるを得ない。

しかし、原告は本件事故後数か月の期間、卒業間近ということもあり、卒業論文の作成を行っており、比較的多忙な状況にあった旨の事情は指摘できるし、この間も投薬治療等は継続しており、その後に物理療法を希望して転医し、リハビリ等の治療を開始ないし継続したという経緯からすると、原告の通院経過がおよそ不自然とはいえず(繁忙状況に応じて限られた回数のみ通院して投薬治療等を受けたが、症状が思うように改善しないため、次の治療法を模索して物理療法を希望するに至ったなどの事情がうかがわれ、こうした経緯はおよそ不自然であるとはいえず、本件事故後数か月の通院経過をもって直ちに原告の主訴が信用できないとか当時通院の必要性がなかったなどとはいえない。)、この点が原告の症状等を否定すべき事情であるとまではいえない。

 また、被告は、医療記録の記載等を踏まえ、原告の症状が一貫性に欠けることや、さらなる改善可能性がないとはいえないことなどを指摘する。たしかに、原告の症状については、医療記録上、たとえば運転やデスクワーク等に際し、疼痛があったりなかったりしている。

しかし、原告の職務内容等については、その時期によってデスクワークの多少等の差異があると認められ、こうした職務の内容や生活状況よって特に痛みが生じる状況が変化することはあり得るものであり、これを踏まえて原告が医師に症状について適宜の説明をした結果、医療記録上、原告が痛みを訴える状況等に種々のものがみられることになっても特段不自然とはいえない(すなわち、原告の仕事の状況等により疼痛を感じる場面の説明が変化することをもって、直ちにその症状に一貫性がないものとはいい難い。)。

他方、上記医療記録の記載に照らすと、原告は、左を向いたときや上を向いたときなど、頚部の動き等に伴って右頚部に痛みが生じることは継続して訴えているものと評価できるし、少なくとも原告が症状を訴える部位が変化したり、痛みが生じる状況が相互に矛盾するなど、およそ不自然で一貫性を欠くような事情はうかがわれない。また、原告の症状につき、将来的な見込みとして「かわりなし」とした症状固定に係る主治医の判断については、継続して頚部痛を訴える原告の主訴や治療経過等に照らして特段不自然な点はなく、その医師としての知見ないし医学的根拠、判断の合理性に問題を生じさせる事情もうかがわれない。

 以上を総合すると、本件事故により原告の頚部に相当程度の衝撃等が加わり、現に原告には本件事故後から頚部痛が生じ、この症状は治療に伴って徐々に回復するも一定程度の症状を残して症状固定に至ったものと認められ、その症状も日常的に生じているものと評価できるところ(なお、本件における後遺障害の認定に当たり、たとえば原告の体勢等と無関係に常時疼痛が生じていることまでが要件として求められるものとは解されない。)、原告が主張する右頚部痛については、「局部に神経症状を残すもの」として、14級9号に該当するものと認められる(なお、原告が、本件事故前から頚部の神経症状を有していたことをうかがわれせる事情はない。)。

     (中略)

(2)損害の内容(算定)について

     (中略)

カ 後遺障害慰謝料 110万円
 本件における原告の後遺障害の内容・程度等に照らすと、標記の金額が相当である。
(ここまでの小計383万0203円)

キ 損害の填補 ▲100万1923円
(ここまでの小計282万8280円)

ク 弁護士費用 28万2828円
 本件事案の内容、原告の損害等に照らすと、標記の金額を相当と認める。

ケ 以上合計 311万1108円

第4 結論
 以上によれば、原告の請求は、主文第1項の限度で理由があるからその限度で認容し、その余は理由がないから棄却することとして、主文のとおり判決する。
裁判官 小川敦

以上:4,397文字
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R 7- 6-20(金):RU令和7年6月例会映画"マッドマックス怒りのデス・ロード"鑑賞会報告
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恐れ入りますが、本ページは、会員限定です。

以上:21文字
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R 7- 6-19(木):面会1回につき20万円の違約金支払誓約合意を有効とした地裁判決紹介
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○原告が、被告は原告の妻と不貞行為をしたと主張し、①不法行為に基づく慰謝料400万円、②不貞関係調査費用110万円、③被告は、原告との間で、原告の妻と連絡を取るなどしない旨を誓約し、これに反した場合は違約金として1回につき50万円を支払う旨の合意をし、誓約違反合計10回分500万円と弁護士費用等合計1061万円の支払を請求しました。

○これに対し、①不貞行為慰謝料については80万円、②調査費用については33万円、③誓約書違反行為については1回20万円は有効で4回違反しているの80万円、弁護士費用等合計204万円の支払を認めた令和6年2月7日東京地裁判決(LEX/DB)関連部分を紹介します。

○1回でも連絡したら違約金として1回につき50万円を支払うとの誓約書なんて、私の感覚では典型的公序良俗違反で無効と思うのですが、20万円の範囲で有効として且つ4回分80万円の支払を認めているのには驚きました。このような事案と判例もあるとの意味で紹介します。

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主   文
1 被告は、原告に対し、204万円及びうち124万円に対する令和3年9月28日から、うち80万円に対する令和4年2月23日から各支払済みまで年3パーセントの割合による金員を支払え。
2 原告のその余の請求を棄却する。
3 訴訟費用は、これを5分し、その1を被告の負担とし、その余を原告の負担とする。
4 この判決は、第1項に限り、仮に執行することができる。

事実及び理由
第1 請求

 被告は、原告に対し、1061万円及びうち561万円に対する令和3年9月28日から、うち500万円に対する令和4年2月23日から各支払済みまで、年3パーセントの割合による金員を支払え。

第2 事案の概要
1 本件は、原告が、被告に対し、被告が原告の妻と不貞行為をしたとして、以下の各請求をする事案である。
(1)不法行為に基づき、損害金561万円(慰謝料400万円、調査費用110万円、弁護士費用51万円)及びこれに対する不法行為後の日である令和3年9月28日から支払済みまで民法所定の年3%の割合による遅延損害金の請求(以下「本件請求〔1〕」という。)

(2)被告は、原告との間で、原告の妻と連絡を取るなどしない旨を誓約し、これに反した場合は違約金として1回につき50万円を支払う旨の合意をしたところ、上記誓約に合計10回にわたって違反したとして、債務不履行に基づき、違約金500万円及びこれに対する催告期間の翌日である令和4年2月23日から支払済みまで民法所定の年3%の割合による遅延損害金の請求(以下「本件請求〔2〕」という。)

2 前提事実(当事者間に争いがないか、掲記の証拠又は弁論の全趣旨により容易に認められる事実等)

     (中略)

第3 当裁判所の判断
1 争点1(本件不貞による損害額)について

(1)慰謝料
 被告は、原告の元勤務先である本件会社における部下であり、被告の父は、本件会社の代表者である(前提事実(1))。また、被告とは、原告の家族ぐるみで交流をしていた(被告の内心は別として、この事実自体に争いはない)。このような関係の中で、被告がCと不貞行為に及んだことによる原告の精神的苦痛は小さくない。現時点で離婚は成立していないものの、原告は離婚調停を申し立て、不成立とはなったが(前提事実(5))現在、離婚訴訟の準備をしており、離婚に至る可能性が高い。他方で、被告とCが不貞関係にあった期間は長くない(被告によれば、肉体関係があった期間は1か月程度である。また、本件誓約書作成後に会っていたことは違約金として考慮すべきである。)。その他、本件に現れた一切の事情を考慮すると、本件不貞に対する慰謝料は80万円が相当である。

(2)調査費用
 証拠(甲2、3、9の1・2)によれば、原告は、令和3年11月25日及び同年12月28日、調査会社に対し、Cの行動調査を依頼し、その費用として各55万円の合計110万円を支払ったことが認められる。

 しかし、被告は、令和3年9月28日の時点でCと不貞関係にあったことを認め(争いがない)、同年10月頃には、原告と被告の父との面談において、本件不貞を認めていた(甲16)。また、原告は、その頃には、被告の父を介して、被告との間で本件不貞があったことを謝罪する内容の本件誓約書の作成準備をしていた(前提事実(3)ア、甲20、原告本人)。これらの事実によれば、原告が行動調査を依頼した時点で、被告は本件不貞を争っておらず、また、一定の証拠があったのであって、調査会社に対して上記調査を依頼する必要があったのかは疑問がある。

他方で、同年11月25日時点では本件誓約書は完成しておらず、本件不貞について否定できないほどの証拠があったわけではない。また、被告は、Cと会わないことなどを誓約する旨の記載がある本件誓約書の作成後にもCと会っていたように、本件不貞の発覚後も隠れてCと会っていた可能性があり、その事実を確認する必要があったことも否定し難い。
 これらを総合的に考慮すると、調査費用のうち、33万円の限度で本件不貞と相当因果関係がある損害と認めるのが相当である。

(3)弁護士費用
 前記(1)及び(2)の合計額113万円の約1割に当たる11万円は、本件不貞と相当因果関係のある損害と認められる。

(4)合計
 したがって、本件不貞と相当因果関係のある損害は124万円と認められる。

2 争点2(本件違約金条項の有効性)について
(1)本件違約金条項の認識について

 被告は、本件違約金条項についての認識を欠いたまま本件誓約書に署名したものであり、少なくとも本件違約金条項については、意思に基づく署名ではなく、無効であると主張する。
 しかし、本件誓約書は1頁しかないものである上に、被告と被告の父しかいない場所で被告が署名したものである(甲8、14、被告本人)。このような状況において、本件違約金条項の内容を確認できない理由はなく、被告の上記主張は採用することができない。

(2)公序良俗違反について
 本件違約金条項は,理由を問わず、被告がCと会い又は連絡をとるという本件誓約書1条に違反する行為をした場合は、1回につき50万円を原告に支払うという内容である(前提事実(3)イ)。
 本件違約金条項の解釈には争いがあるものの、原告の主張によれば、どのような内容であったとしても、例えばLINEアプリで1往復のやり取りをしただけで100万円(50万円×2回)の違約金が発生するというのであって、被告とCの不貞行為を防止するという目的を考えても、連絡1回につき違約金50万円という部分は明らかに過大な内容となっているといわざるを得ない。他方で、被告の主張するように関係清算等のために連絡を取る必要があるとしても、必ずしも会う必要があるとはいえないのであって、会った場合に20万円程度の違約金を設定することは、上記日的との関係で過大とはいえない。 
 したがって、本件違約金条項は、被告とCが会うという違反行為をしたの場合に1回当たり20万円の違約金を定める限度で有効であって、これを超える部分は公序良俗に反して無効と解するべきである。

3 争点3(本件違約金条項該当性及び違約金額)について
 前記2のとおり、本件違約金条項は、被告とCが会った場合に1回当たり20万円の違約金を定める限度で有効である。本件誓約書作成後に、被告とCが合計4回会ったことにつき当事者間に争いはないから、違約金は80万円(20万円×4回)となる。

4 結論
 よって、原告の請求は、主文記載の限度で理由があるから、主文のとおり判決する。
東京地方裁判所民事第26部
裁判官 安藤巨騎
以上:3,190文字
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R 7- 6-18(水):2回の不貞行為について80万円の慰謝料を認めた地裁判決紹介
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○原告が、夫である補助参加人と被告との間に不貞行為があったことを理由に、その不貞行為により婚姻関係が破綻し、精神的損害を被ったと主張し、不法行為に基づき損害賠償として慰謝料・調査費用等合計約470万円の損害賠償を求め、原告の夫が被告側の補助参加人として参加し、不貞行為はなかったこと、原告と補助参加人夫との婚姻関係は破綻しており、損害賠償義務はないと答弁しました。

○これに対し、少なくとも2回の不貞行為の事実を認め、被告の前記不貞行為によって、原告の婚姻共同生活の平和の維持という権利ないし法的保護に値する利益を侵害したことは明らかであり、原告がこれによって被った精神的損害(慰謝料)については80万円、調査費用については20万円、弁護士費用10万円の合計110万円の請求を認めた令和6年3月25日東京地裁判決(LEX/DB)関連部分を紹介します。

*********************************************

主   文
1 被告は、原告に対し、110万円及びこれに対する令和4年4月20日から支払済みまで年3分の割合による金員を支払え。
2 原告のその余の請求を棄却する。
3 訴訟費用はこれを4分し、その1を被告の負担とし、その余を原告の負担とする。
4 この判決は、第1項に限り、仮に執行することができる。

事実及び理由
第1 請求

 被告は、原告に対し、469万1500円及びこれに対する令和4年4月20日から支払済みまで年3分の割合による金員を支払え。

第2 事案の概要
 本件は、原告が、夫である補助参加人と被告との間に不貞行為があったことを理由に、その不貞行為により婚姻関係が破綻し、精神的損害を被ったと主張して、不法行為に基づく損害賠償請求として、469万1500円及びこれに対する遅延損害金の支払を求めた事案である。

1 前提となる事実(認定事実には証拠を掲げる。)
(1)原告(昭和50年生まれ)は、平成8年10月16日、補助参加人(昭和50年生まれ)と婚姻し、同人との間に、長男(平成9年生まれ)、長女(平成16年生まれ)の2人の子をもうけた(甲1)。
(2)被告は、ピアニスト兼ピアノ講師であり、既婚者であるが、夫は大阪府に居住し、被告は川崎市のマンションに居住している。被告が住むマンションの間取りは、1K(洋室8畳)である。
 被告は、補助参加人が経営する飲食店の10年来の常連客である。(甲20、丙2)
(3)原告は、令和3年3月に補助参加人が単身で家を出てから、現在まで別居している。
 原告は、本件に先立って、補助参加人に対し、被告との不貞行為を理由とする不法行為に基づく損害賠償請求訴訟を横浜地方裁判所川崎支部に提起した(同裁判所川崎支部令和3年(ワ)第436号事件)。(甲18、19、43、丙3)

2 原告の主張
(1)被告は、遅くとも令和2年9月頃から現在まで、補助参加人が婚姻していることを知りながら不貞関係を継続している。
 具体的には、被告と補助参加人は、令和2年10月19日、同月26日、同月28日、同月30日、同年11月2日、同年15日の深夜から翌朝まで、二人で被告宅において過ごし、性的関係を持った(以下「本件不貞行為」という。)。
 なお、仮に、被告と補助参加人との間で性交渉をもっていなかったとしても、一人暮らしの被告が、補助参加人が既婚者であることを知りながら、複数回にわたり、深夜自宅に招き入れて、長時間密室で過ごし、過度に親密な関係を持ったことは、原告と補助参加人の婚姻共同生活の平和を破壊する違法な行為であり、被告は原告に対する不法行為責任を負う。

     (中略)

3 被告の主張
(1)被告は、補助参加人と不貞行為を行ったことはない。被告と補助参加人は、十数年来の友人であり、補助参加人が経営する飲食店の店長と常連客の関係である。被告は、補助参加人を性的対象として見ていない。

     (中略)

4 補助参加人の主張
(1)補助参加人が被告と不貞行為に及んだことはない。
 補助参加人は、令和2年10月19日及び同月26日に被告宅を訪れたが、周囲に遅くまで影響している店舗が多くなかったこと、お互いの悩み相談を周囲に聞かれたくなかったことから、被告宅で飲酒しながら話をしたものであり、不貞行為はしていない。

     (中略)

第3 当裁判所の判断
1 前提となる事実
及び証拠(後掲各証拠のほか、甲43、丙2、3)に弁論の全趣旨を総合すると、次の事実が認められる。
(1)原告と補助参加人は、平成8年10月16日に婚姻し、長男及び長女をもうけたが、すでに二人とも成人している。
(2)補助参加人は、平成22年頃から、川崎市α区で飲食店を経営しており、被告は、上記飲食店の開店当初からの常連客である。
(3)被告と補助参加人は、令和2年10月12日、二人で、被告が借りたレンタカーで鎌倉へ行き、水族館に行ったり、蕎麦を食べたりした。

(4)原告は、同月頃、補助参加人が休みの日も家にいないことや帰宅時間が極端に遅い日が続いたこと、上記(3)のレシート等を発見したことから、興信所に調査を依頼した。
 調査の結果、補助参加人は、令和2年10月19日午前0時40分頃に被告宅に入り、午前10時25分頃まで被告宅で過ごしたこと、同月26日午前0時25分頃に被告宅に入り、午前4時頃まで被告宅で過ごしたことが判明した。(甲4、5)
 被告宅のマンションは、8畳一間で、グランドピアノが置いてあり、被告は、普段、その横の空いている床に布団を敷いて寝ていた。

(5)原告は、令和2年10月19日、補助参加人が所持している薬入れに入っていた「TADACIP-20」という勃起不全薬が、4錠のシートのうち一部使用されて、1錠と半錠が残っている状態のものを発見し、同月26日には残り1錠となり、同年11月2日は残り半錠となっているのを確認した(甲9[枝番省略、以下同じ])。

2 原告は、被告と補助参加人との間で本件不貞行為があったと主張し、被告及び補助参加人はこれを否認しているので、以下検討する。
(1)前記認定事実によると、被告と補助参加人は、店主と常連客という関係に止まらず、二人でドライブに出かけたりする関係にあったことが認められる。
 このような関係にある二人が、深夜0時過ぎに、被告が一人で暮らしている8畳一間のマンションを原告が訪れて、一週間間隔で二度、二人きりで朝まで約4~10時間を過ごすということは、不貞行為があったものと推認されてもやむを得ないというべきである。

(2)この点、被告及び補助参加人は、被告宅で過ごした二晩について、部屋の空いている床に座って、お酒を飲みながら朝まで仕事の悩みを話したり、世間話をしたりしていただけで、不貞行為はなかった旨供述する(丙2、3)。
 しかし、新型コロナウィルスの感染拡大により、深夜に営業している店舗が少なかったという事情があるにしても、お酒を飲んで話をするだけであれば、深夜に一人暮らしの被告の部屋を訪れて、二人きりで朝まで長時間過ごす必要はない。

(3)また、補助参加人は、この頃、所持していた勃起不全薬が減っていたのは、補助参加人が常連客の求めに応じて渡していたためであり、補助参加人自身が使用したことはないと供述する(丙3)。
 しかしながら、補助参加人が所持していた勃起不全薬は、使用後の空の包装シートが残っていたり、開封され、半錠に割った状態で残っていたりするから(甲9)、他の人に渡した後の状態としては不自然であり、勃起不全薬に関する補助参加人の上記供述は信用できない。

(4)被告は、平成29年頃から子宮内膜症を患って通院して服薬治療を続けており、医師から性行為を止められているわけではないが、触診でも痛みを伴うため、数年前から性行為を行っていないと供述する(丙2)。

 被告が医師から処方されて服薬しているジエノゲスト錠1mgの添付文書(乙10、12)には、同剤が月経時の自覚症状を改善するほか、月経時以外の自覚症状についても有効性が認められ、国内第〈3〉相長期投与試験において、投与52週で84.6%の改善が認められたと記載されている。月経時以外の自覚症状には性交痛を含むことからすると、同剤を長期服用している被告は、月経時以外の自覚症状に改善が認められている可能性もあるから、被告が子宮内膜症で服薬治療を続けていることは、前記認定を左右するものではない。

(5)以上によれば、補助参加人が被告宅に泊まったことに争いがない令和2年10月19日及び同月26日について、被告と補助参加人との間で不貞行為があったものと認められ、同月28日、同月30日、同年11月2日、同年15日については、同人らの間で不貞行為があったと認めるに足りる証拠はない。

3 被告及び補助参加人は、令和2年9月以前に原告と補助参加人の夫婦関係は、破綻していた旨主張するので、以下検討する。
(1)証拠(甲35、43、丙2、3)及び弁論の全趣旨によれば、平成23年頃、補助参加人の女性関係について原告の知るところとなり、補助参加人が不貞行為を認めて謝罪の上、原告と婚姻生活を継続するために誓約書(以下「本件誓約書」という。)を作成したこと、原告は補助参加人を宥恕したものの、令和元年夏頃、原告は補助参加人の態度を改めてもらいたいと考えて、あえて補助参加人と会話をしない時期があったこと、令和元年11月頃に補助参加人が原告に離婚したい旨を申入れ、原告は長女が高校を卒業してからにして欲しいと答えたこと、令和2年6月に補助参加人が自宅を売却したいと原告に話したが、原告が応じなかったこと、補助参加人が令和3年3月に家を出るまで、夫婦や家族で外食をしたり、補助参加人が原告にクリスマスプレゼントを渡したりしたことがあったこと、原告が補助参加人と離婚する意思を固めたのは令和4年7月であったこと、以上の事実が認められる。

(2)そうすると、原告と補助参加人は、令和元年夏以降、必ずしも夫婦円満であったとはいえないが、確定的に離婚が合意されていたとはいい難く、令和2年10月時点では,少なくとも原告は、補助参加人との関係修復を望んでいたから、被告と補助参加人との間の不貞行為以前に、原告と補助参加人の婚姻関係が既に破綻していたとまでは認められない。
 したがって、上記不貞行為が、原告と補助参加人の婚姻関係を破綻させた原因であると認められる。 

4 以上によれば、被告が前記不貞行為によって、原告の婚姻共同生活の平和の維持という権利ないし法的保護に値する利益を侵害したことは明らかであり、原告がこれによって被った精神的損害等については、被告において賠償すべき義務を負うことが認められる。


(1)前記認定によると、被告の不法行為が原告に少なからぬ精神的苦痛を与えたことは容易に認められる。
 前記不貞行為によって、原告と補助参加人の約25年間に及ぶ婚姻関係が破綻して家庭が崩壊したこと、ただし令和2年当時の夫婦の状況が前記のとおり必ずしも夫婦円満とはいえなかったこと、証拠上認められる不貞行為は前記認定の二晩であること、被告の対応等本件に顕れた全事情を斟酌すると、原告が被った精神的損害は、80万円をもって慰謝するのが相当である。

(2)証拠(甲5、15、35)及び弁論の全趣旨によれば、原告は、補助参加人の素行調査を依頼した興信所に対し、調査費用として126万5000円を支払ったこと、その調査結果により、補助参加人が被告宅を深夜に訪れ、朝まで被告宅で過ごしていたことが判明したこと、補助参加人は原告に対し、本件誓約書5条9項において、浮気調査費用が発生した場合には、全額補助参加人において負担することを誓約していることが認められる。
 そうすると、原告が興信所に支払った調査費用126万5000円については、全額補助参加人による損害の填補が見込まれる。

 もっとも、被告の前記不貞行為につき原告が被告に損害賠償請求をするには、上記の興信所の調査が必要であったことは否定できないから、上記調査費用のうち20万円の限度で、被告の不貞行為と相当因果関係のある損害と認めるのが相当である。

(3)上記のとおり認定した損害額に加え、本件に現れた一切の事情を勘案すると、被告の前記不貞行為と相当因果関係を有する弁護士費用相当額は、10万円をもって相当と認められる。

(4)以上によれば、被告の不貞行為により原告が被った損害額の合計は、110万円であると認められる。

第4 結論
 以上によれば、原告の請求のうち、110万円及びこれに対する遅延損害金の支払を求める限度で理由があるからこれを認容し、その余は理由がないからこれを棄却することとして、主文のとおり判決する。
東京地方裁判所民事第30部
裁判官 男澤聡子
以上:5,251文字
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R 7- 6-17(火):2025年06月16日発行第391号”弁護士のコリオレイナス”
ホーム > 事務所 > 大山滋郎弁護士ニュースレター3 > 「2025年06月16…」←リンクはこちらでお願いします
○横浜パートナー法律事務所代表弁護士大山滋郎(おおやまじろう)先生が毎月2回発行しているニュースレター出来たてほやほやの令和7年6月16日発行第391号「弁護士のコリオレイナス」をお届けします。

○「コリオレイナス」とはシェイクスピアの最後の悲劇とのことですが、シェイクスピアの代表作「ハムレット」さえ読んでいない私は、「コリオレイナス」なんて全く知りませんでした(^^;)。メチャクチャ戦争に強い人とのことで、映画にでもなりそうですが、舞台で上演されたものを映画化した映画「ナショナル・シアター・ライブ「コリオレイナス」」はありました。レビューが1件しかありませんので、殆ど観られていないようです。

○コリオレイナスさん、民衆をバカにしているとのことで、オレ様は偉いんだという、オレ様意識の強い方だったようですが、大山先生言われるように、確かにオレ様意識の強い方は弁護士に多いと思います。しかし、弁護士だけでなくお医者さんや、昭和時代の学校の先生すなわち教師様にも多かったように感じます。共通しているのは「先生」で、狭い世界でチヤホヤされていることです。「先生と言われるほどのバカでなし」なんて言葉もあり、バカにならないよう気を付けてきたつもりですが、つもりに過ぎないかも知れません(^^)。

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横浜弁護士会所属 大山滋郎弁護士作

弁護士のコリオレイナス

「コリオレイナス」はシェイクスピアの悲劇です。私の意見では4大悲劇より面白いと思うんですけど、あまり上演されません。主人公のコリオレイナスは、王制時代のローマで活躍した将軍です。メチャクチャ戦争に強い人ですが、人間的にはかなり問題があります。民衆を軽蔑しているのです。当時のローマの民衆は、戦争に出る義務がなかった。「命を懸けて戦う者だけが一級市民。それ以外の連中は、黙ってろ。」といった思想です。当時のローマで穀物が不足します。民衆たちがパンの配給を求めても、鼻で笑って相手にしない。高度経済成長期の日本で、当時の池田勇人首相が「米が無いなら貧乏人は麦を食え」といったなどというエピソードを思い出しました。

現在の日本ではコメ不足が問題となっていますが、コリオレイナスが首相なら備蓄米放出なんて絶対にしませんね。「コメが無いなら、パンやパスタを食べれば良いだろう!」なんて、マリー・アントワネットみたいなことを言いそうです。劇の話に戻ると、当時のローマには民衆を守る役目の護民官という人たちがいました。コリオレイナスは、護民官たちとも決定的に対立します。民衆をバカにしているのですから、ある意味当たり前の結果です。護民官たちも、民衆を煽ってコリオレイナスに敵対させます。考えてみますと、現代日本で護民官の役割をしているのはマスコミでしょう。権力を抑制して民衆を守っていることも事実ですが、やたらと国民を煽って政権と対立させようとするところもよく似ています。

そんなわけで、民衆と徹底的に対立したコリオレイナスは、ついにローマから追放されます。日本でも、マスコミの反首相キャンペーンを受けて退陣した総理はかなりいました。日本では首相を辞めるだけで済みますが、王制ローマでは国から追放までされてしまう。しかし、追放されたコリオレイナスも大人しくやられてはいない。そのまま敵国に仕えて、ローマに戦争を仕掛けます。コリオレイナスは、日本で言えば源義経と同じで、政治的センスは無いけど戦争だけはとても強いので、ローマはあっという間に滅亡の危機を迎えます。慌てたローマの政治家たちが、「何とか許してくれ」と、コリオレイナスに泣きつきますが、相手にされない。しかし最後に、母親からの話に心を打たれて、コリオレイナスは和睦を決意します。しかし、そんな和睦を不満に思ったローマの敵国によって暗殺されてしまうのです。「能力はあるが、民衆を軽視した傲慢な男の悲劇」というのが、この劇の要約です。

でも考えてみると、これって昭和の時代の男社会の価値観にとても似てそうです。「外で働いて金を稼ぐ男が偉い。家にいる女は、黙って男を支えろ」みたいな思想、昭和の時代にはありましたよね。コリオレイナスが当時の日本に転生していたら、「俺は戦場(会社)で闘ってるから偉い。戦っていない奴は文句を言うな」と家庭でも威張りそうです。そんなことしていると、昭和のコリオレイナスは妻から熟年離婚されて、ローマならぬ家庭から追放されちゃいそうです。わ、私はそんなことないですよ。さらに考えてみますと、法律家というのは、ある意味コリオレイナスの考えを持っていると気が付いたのです。

どういうことかと言いますと、自分たちが正しいと思う価値観を「憲法」や「自然法」という名のもと擁護する一方、自分たちとは異なる民衆の見解はポピュリズムと名付けて攻撃します。これは人権弁護士あるあるです。もともと現行憲法の規定自体、司法権は独立しており、主権者である「国民」にも干渉されないように作られています。しかしそれだけでは満足できない法律家や弁護士は沢山います。裁判員制度ができたときにも、非常に多くの弁護士が反対しました。言葉を飾らすにいえば「無知な民衆に裁判制度をひっかきまわされたら困る」ということでした。弁護士も、国外追放処分にされないように気を付けた方が良いと思うのでした。

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◇ 弁護士より一言

妻と街歩き中に、昔ながらの銭湯がありました。私は「こんなのがまだあるなんて」と思っただけでしたが、妻が「面白いから入りたい!」というので私もつき合いました。お風呂上がりにコーヒー牛乳を飲みながら、妻といると色々な経験をするなと思ったのです。公衆浴場が沢山あったローマで、コリオレイナスも奥さんとお風呂に入ることもあったのでしょうか。

以上:2,441文字
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R 7- 6-16(月):映画”明日に向かって撃て!”を観て-明日なんてありません
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○令和7年6月15日(日)は午後、10数年前に購入して積ん読だったBDソフトで映画「明日に向かって撃て!」を鑑賞しました。前日、映画「スティング」を鑑賞し、ポール・ニューマン、ロバート・レッドフォード各氏の演技に魅せられ、この映画の4年前1969(昭和44)年製作された映画「明日に向かって撃て!」を鑑賞したくなったからです。この映画も超有名映画で、何度もTV放映されているはずで、相当以前にBDを購入していましたので、過去に1回くらいは鑑賞していたかと思っていましたが、全く初めての鑑賞でした。

○昨日鑑賞した映画「スティング」が素晴らしい映画だったので、大いに期待して鑑賞したのですが、その感想は、残念ながらの一言でした。主演のポール・ニューマン、ロバート・レッドフォード各氏大変カッコ良く、また共演した女優キャサリン・ロス氏も美しさも良かったのですが、ストーリーに共感できなかったからです。冒頭に西部開拓時代に実際にあった話しとの説明書きが出ましたが、いったいこの映画何を訴えたいのかサッパリ判らぬままに終わりました。

○「明日に向かって撃て!」という表題から、未来に希望が持てる映画と思ったら完全に欺された感がしました。何度か銃撃戦は出てきて、ラストは派手な銃撃戦で終わりますが、いったい、どこが「明日に向かって撃て」なのか、明日なんか全然ないではないか、どこからこんな表題になるのか、理解不能でした。

○アメリカンニューシネマの代表作との映画「明日に向かって撃て!」は、私にとっては全然面白くなかった名作と評価される映画「イージーライダー」程退屈な映画ではありませんでしたが、再鑑賞したいと思わせる映画ではありませんでした。

『明日に向かって撃て(Butch Cassidy and the Sundance Kid)』 予告編 Trailer 1969年


明日に向って撃て ラストシーン



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R 7- 6-15(日):映画「スティング」を観て-流石詐欺師映画、スッカリ欺される
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○令和7年6月14日(土)は、午後最近購入した4KUHDソフトで映画「スティング」を鑑賞しました。令和7年からは52年も前の1973(昭和48)年製作の超有名な映画で、BDソフトも所有しており、一度は鑑賞していたと思っていたのですが、全く記憶が無く、初めての鑑賞でした。映画コムでは、「1930年代のシカゴ。大物ギャングに仲間を殺された若き詐欺師フッカーは、その恨みを晴らすため、賭博師ゴンドーフの助けを借りて一世一代の大バクチを打つ。二転三転するストーリー展開と小気味よいテンポが魅力の傑作犯罪ドラマ。」と解説されています。

○1936年・昭和11年のシカゴが舞台で、現在放映中のNHK朝ドラ「あんぱん」の令和6年6月初めの頃の時代設定と同じ時代設定です。昭和11年当時のシカゴは、既に道路は自動車に溢れ、日本とは国力が全く異なると感じました。「映画「父親たちの星条旗」を観て」記載のとおり、太平洋戦争末期の昭和19年当時の「日米の圧倒的な国力の差」を実感しましたが、この映画でも同じ感想でした。日本は、無謀にもこんな国に戦争を挑み徹底的に痛めつけられましたが、必ず勝つと洗脳されていた朝ドラ「あんぱん」での日本国民がこっけいでした。

映画「スティング」の映像は4KUHD化しても、残念ながら粗の目立つ映像でクッキリ綺麗な映像とはなっていませんでした。しかし、映画「ジョーズ」等でおなじみのロバート・ショウ氏演ずる大物悪の手下がロバート・レッドフォード氏演ずる小物詐欺師に騙されるシーンから始まるストーリー展開は、派手なアクションシーンは殆どないものの、ポール・ニューマン氏演ずる大物詐欺師の悪者同士の、手の込んだ欺しあいの連続は、見応えがありました。手の込んだ騙しはあとで気がつくのが殆どなところが、脚本の見事さでした。

○「スティング」とは「いよいよ最後の一刺し」と表現されていましたが、この映画は、最後の大どんでん返しが見物(みもの)との触れ込みがあることは知っていました。しかし、ラストにいたる少し手前のどんでん返しは、なんだこんのものかと、少しガッカリしたら、その先に遙かに大きな、大どんでん返しが待っていました。騙しの手の込みようが凄いレベルで、この大どんでん返しまでは予想できず、この大どんでん返しに、観ていた私もスッカリ欺されていたことに気付き、えーっ!スッカリ欺された!と思わず大笑いでした。しかし、その爽快感は溜まりません。1973年度アカデミー賞作品賞を受賞していますが、それだけ価値ある映画でした。観ていた私が欺されていた経緯をシッカリ確認するため再鑑賞したいと思っています。

The Sting trailer (with Japanese subtitles)


スティング (1973) 「エンターテイナー」 ポール・ニューマン



以上:1,171文字
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R 7- 6-14(土):自賠責後遺障害非該当を14級後遺障害認定地裁判決紹介3
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○「自賠責後遺障害非該当を14級後遺障害認定地裁判決紹介2」の続きで、自賠責後遺障害非該当認定が14級後遺障害を認めた判例として令和4年3月10日神戸地裁判決(自保ジャーナル2127号87頁)を紹介します。

○原告車と被告車との間で発生した交通事故において、原告に損害が生じたとして、原告が、被告に対し、不法行為(民法709条)による損害賠償請求権、自動車損害賠償保障法3条による損害賠償請求権に基づき、自賠責では後遺障害非該当認定でしたが、14級後遺障害が残ったとして合計約1140万円の損害賠償を求めました。

○これに対し神戸地裁判決は、原告については、症状の一貫性が認められ、これに前記認定説示に係る本件事故の受傷態様や治療状況、症状経過等を総合して考慮すれば、原告が後遺障害であると主張する右頸部から右肩にかけての痛みや右指の痺れ等の症状は、将来においても回復困難と見込まれる神経症状と捉えるのが相当であり、したがって、原告に残存する症状については、自賠法施行令別表第二14級に相当すると認めるのが相当であるとして、1080万の損害賠償を認めました。

○交通事故訴訟で請求額の約95%も認める裁判例は珍しく、原告の大勝利です。さらに14級後遺障害事案での請求認容額は平均的には400~500万円ですが、2倍以上の1080万円も認められたのは原告が自営業者で逸失利益算定基準収入額が3777万円と、サラリーマンの平均年収400~500万円の8,9倍の収入があったからです。

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主   文
1 被告は,原告に対し,1080万0918円及びこれに対する平成30年5月23日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
2 原告のその余の請求を棄却する。
3 訴訟費用はこれを10分し,その9を被告の負担とし,その余を原告の負担とする。

事実及び理由
第一 請求

 被告は,原告に対し,1139万8358円及びこれに対する平成30年5月23日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。

第二 事案の概要
 本件は,原告が運転する自家用普通貨物自動車(以下「原告車」という。)と被告が運転する自家用普通乗用自動車(以下「被告車」という。)との間で発生した交通事故において,原告に損害が生じたとして,原告が,被告に対し,不法行為(民法709条)による損害賠償請求権,自動車損害賠償保障法(以下「自賠法」という。)3条による損害賠償請求権に基づき,損害金及びこれに対する不法行為の日(本件事故発生の日)である平成30年5月23日から支払済みまで民法(平成29年法律第44号による改正前の民法。以下同じ)所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求めた事案である。

1 前提となる事実

     (中略)

ウ 損害保険料率算出機構は,平成31年1月23日付けで,原告につき,頸部捻挫,右肩挫傷後の右項頸部~右背部痛等の症状については,将来においても回復困難と見込まれる障害とは捉え難いとして,自賠責保険(共済)における後遺障害には該当しないと判断した。
 原告は,これを不服として異議の申立てをしたが,これについても,同様の結果であった。

2 当事者の主張

     (中略)

(ウ)このように,原告が本件事故によって受けた衝撃は相当強度であり,医療機関における原告の愁訴に不自然な点はなく,治療経過の一貫性,継続性も認められ,頸椎症由来の症状を裏付ける客観的な神経学的異常所見が存在していることからすれば,原告が訴える右頸部から右肩にかけての痛みや右指の痺れ及び背部の痛みは,すべて頸椎症由来の神経症状であって,少なくとも自賠法施行令別表第二14級9号の「局部に神経症状を残すもの」に該当する(以下,便宜上,後遺障害の等級を表記するときは,「後遺障害等級○級○号」とする。)。

     (中略)

第三 当裁判所の判断
1 後遺障害の残存の有無(争点(1))


     (中略)

ウ P3医師は,原告について,平成30年11月6日症状固定と診断した。
 症状固定時の同医師の所見は,項頸部~右僧帽筋部,右肩甲骨部,右背部にかけての筋緊張及び筋圧痛がある,上肢腱反射は正常,知覚障害,筋力低下,病的反射,麻痺症状はいずれもなし,頸椎疼痛性可動域制限あり,右回旋制限を認める,そのため,車運転,歯科治療時に支障を残している状態である,また,右上肢の挙上時に疼痛があり,このため,右肩関節の疼痛性可動域制限を残遺している,右肩関節周囲筋,特に,右肩三角巾,右肩棘下筋等に著明な圧痛を認め,疼痛性可動域制限を認め,これらのために,日常生活及び歯科診療行為に支障を残している状態である,というものであった。

エ 原告は,自賠責において,平成31年1月23日付けで,後遺障害非該当と認定された。その理由は,頸部捻挫,右肩挫傷後の右項頸部~右僧帽筋部痛,右回旋時痛,右肩関節部,右肩甲部~右背部痛等の症状については,頸部及び右肩部画像上,本件事故による骨折や脱臼等の外傷性変化は認め難く,診断書等からは症状を裏付ける客観的な医学的所見の乏しいことに加え,その他症状経過,治療状況等も勘案した結果,将来においても回復が困難と見込まれる障害とは捉え難いというものであった。

 原告は,これを不服として,異議の申立てをしたが,令和元年10月16日付けで,同様に後遺障害非該当と判断された。


オ そのため,原告は,自賠責の判断に納得することができなかったことから,同年11月9日に以前から内科を受診していたc内科を受診した。原告は,右第4指,第5指の痺れを訴え,同病院で頸部XPが施行されたが,同病院の医師の画像所見は,第7頸椎が後方にずれているというものであり,また,第7,第8頸椎領域のしびれがある,スパーリングテスト陽性というものであった。

カ 原告は,同月20日,c内科の紹介で,d病院を受診し,同病院でMRIが施行された。同病院の医師による所見は,C5/6,C7/Th1レベルでは椎間板の変性・膨隆及びルシュカ関節の過形成により右椎間孔の軽度狭小化が疑われ,神経根症の可能性がある,頸髄内には明らかな異常信号は指摘できないというものであり,頸椎症性神経根症の疑いと診断した。

キ c内科の医師は,これを受けて,同月21日付けで,原告につき,傷病名について,外傷性頸椎損傷,頸椎症性神経根症と診断した。

ク 整形外科専門医・脊椎脊髄病医専門医であるP5医師(以下「P5医師」という。)作成の意見書において,原告の画像所見につき,平成30年5月24日及び令和元年11月9日に撮影された頸椎XPでは,椎体縁先鋭化,椎間腔狭小化などの変形性頸椎症の所見が認められるが,第7頸椎後方へのズレは明らかではない,令和元年11月20日に施行された頸椎部MRIでも第7頸椎の後方へのズレは認められない,上記MRIでは,右第5第6頸椎間椎間孔狭小化が認められるが,ただし,右第7頸椎第1胸椎間椎間孔の狭小化は明らかではないという意見が述べられている。

また,同意見書では,原告が訴える症状(しびれ)を裏付ける画像所見の有無について,右スパーリングテスト陽性,右拇指(第1指)~中指(第3指)のしびれとbクリニック診療録の平成30年5月24日の記載や同年11月20日に行われた頸椎部MRIで認められている右第5第6頸椎間椎間孔狭小化は,右第6頸髄節神経根症と矛盾しないが,しびれの訴えがあった指がその後の診療録の記載では,右環指(第4指)・小指(第5指)となっており,右第6類髄節神経根の支配領域とはいえないし,画像では,右第7頸椎第1胸椎間椎間孔(あるいは第6第7頸椎間椎間孔)の狭小化は明らかではなく,第7頸髄節神経根あるいは第8頸髄節神経根の障害を支持する画像所見はないということになるとの意見が述べられている。

ケ 原告は,本件事故前に,右手ないし右指が痺れるなどして,歯科診療に支障が生じることはなかった。
 また,原告は,本件事故後は十分な診療行為が行えなくなり,これまでの収入を確保することが難しくなったことから,他から収入を得ようと考え,令和元年10月に宅建試験を受験した。

(2)上記認定によれば,原告は,本件事故により腰部捻挫,頸部捻挫,右肩挫傷,背部痛の傷害を負い,原告には,右頸部から右肩にかけての痛みや右指の痺れの症状が残存しているものである。
 本件事故の態様は,前記(1)で認定したとおりであり,本件事故は追突事故であるものの,原告車の損傷状況(後記2(1)),原告車が追突時には揺れて前に押し出されていること,原告車の前車の運転者が後ろの車両の異変に気がついていることから,追突時の音も大きなものであったと推認されることからすれば,追突の衝撃は大きく,これに前記認定に係る追突時の原告の状況を合わせて考慮すれば,原告の右頸部付近には,それなりの追突の衝撃が加わったものと認められる。

 そして,原告は,bクリニック受診当初から頸部痛,背部痛,腰痛,右肩痛の他,右指先の痺れを訴えている。もっとも,同病院で平成30年5月24日に施行されたXPでは特段異常所見はなく,リハビリが継続され,ある程度の症状の軽減は見られ,腰部の痛みは軽減されたが,それ以外は痛みが続き,また,右指先の痺れについては,次第に全体から特に第4指,第5指の痺れが強まり,痺れの箇所に変化がみられるようになったものであり,bクリニックの平成30年7月10日の診療録にはその旨の記載がみられる。

また,この間,原告は,その歯科診療が従前のようには行えなくなり,新たに補充のために医師を雇用するなど,その業務に支障を来すようになっている。この点,P5医師作成の意見書においても,右スパーリングテスト陽性,右拇指(第1指)~中指(第3指)の痺れとbクリニックの平成30年5月24日分の診療録の記載及び令和元年11月20日に施行されたMRI(なお,同意見書には「2018年11月20日に行われたMRI」との記載があるが,「2019年」の誤記と思われる。)で認められる右第5第6頸椎間椎間孔狭小化は,右第6頸髄節神経根症と矛盾しないとされているところである。

 もっとも,同意見書において,原告の痺れは,その後右第4指,第5指となっており,右第6頸髄節神経根の支配領城とはいえないとの意見が述べられている。確かに,原告自身も,次第に痺れを感じる箇所が変わってきた旨述べているところであるが,原告は,bクリニック初診時に右指先に痺れがある旨を訴えている旨記載されている。一方,同病院の初診の際のカルテに,P3医師は,「右指先のしびれ」との記載の他「右〈1〉~〈3〉しびれ」と記載しているが、上記認定に係る原告の愁訴からすれば,しびれが生じていたのが初診時において上記3指に限ったものであったとは認め難い。そして,原告は,本件事故直後から一貫してその受診したいずれの医療機関においても,頸部痛と右手指の痺れを訴えているのは,上記認定のとおりである。

 以上によれば,頸部のMRI画像上,上記認定に係る変性所見は認められるものの,d病院での上記MRIは,本件事故から1年半程度経過後に撮影されたものであり,また,P5医師が脊椎のずれについて否定的見解を有していることからすれば,これらの結果をもって,本件事故により外傷性の損傷が生じたものとまでは認め難く,本件事故による骨折等の器質的損傷や症状と整合する脊髄,神経根の圧迫所見を認めるに足りる証拠はないといわざるを得ず,他覚的に神経系統の障害が証明されているとまでは認め難い。

しかし,前記認定説示のとおり,原告については,症状の一貫性が認められ,これに前記認定説示に係る本件事故の受傷態様や治療状況,症状経過等を総合して考慮すれば,原告が後遺障害であると主張する右頸部から右肩にかけての痛みや右指の痺れ等の症状は,将来においても回復困難と見込まれる神経症状と捉えるのが相当であり,したがって,原告に残存する症状については,自賠法施行令別表第二14級に相当すると認めるのが相当である。 

2 原告に生じた損害(争点(2))


     (中略)

(4)後遺障害逸失利益 817万6128円
 前記1で認定説示したとおり,原告には,後遺障害等級14級9号相当の後遺障害が残存しており,実際に原告には本件事故前よりもその収入が減少している。
 したがって,労働能力喪失率を5%,その受傷内容から労働能力喪失期間を5年とし,後遺障害逸失利益算定の基礎収入は,証拠(略)によれば,3777万3750円(本件事故前年度の原告の事業所得に専従者給与と減価償却費を加算したもの)とするのが相当であり,したがって,後遺障害逸失利益として,817万6128円を認める。
(計算式)(2077万0020円+1000万円+700万3730円)×5%×4.329=約817万6128円

     (中略)

第四 結論
 以上のとおりであって,原告の請求は,被告に対し,損害金1080万0918円及びこれに対する不法行為の日(本件事故発生の日)である平成30年5月23日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金を求める限度で理由があるから、その限度で認容し,その余は理由がないから棄却し,よって,主文のとおり判決する。
 なお,事案を鑑み,仮執行宣言は付さない。 
神戸地方裁判所第1民事部 裁判官 大島道
以上:5,534文字
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R 7- 6-13(金):自賠責後遺障害非該当を14級後遺障害認定地裁判決紹介2
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○原告が、被告に対し、信号待ちのために停車していた原告が乗車する車両に、後方から進行してきた被告の運転する車両が追突した交通事故が発生し、これにより原告が傷害を負ったと主張し、自賠責後遺障害認定は非該当のところ、頸椎椎間板ヘルニアの傷害を理由に後遺障害等級12級に該当するとして民法709条又は自動車損害賠償保障法3条本文に基づき、約1099万円の損害賠償を求めました。


○これに対し、頸椎椎間板ヘルニアが判明したのは本件交通事故から5か月余りが経過した後ではあるものの、上記の受傷をするに至った原因について、本件交通事故のほかに同部分に衝撃が加わる出来事があったとはうかがわれず、また、本件交通事故以前から頸椎に同傷病が存し、頸部の痛み等の症状があったともうかがわれないことを踏まえると、原告の頸椎椎間板ヘルニアについては、本件交通事故により生じたものと推認するのが相当であるなどとして後遺障害等級第14級を認定した令和6年1月30日千葉地裁判決(交通事故民事裁判例集57巻1号148頁)関連部分を紹介します。

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主   文
1 被告は、原告に対し、331万7465円及びこれに対する令和3年9月30日から支払済みまで年3%の割合による金員を支払え。
2 原告のその余の請求を棄却する。
3 訴訟費用は、これを10分し、その3を被告の負担とし、その余を原告の負担とする。
4 この判決は、第1項に限り仮に執行することができる。

事実及び理由
第1 請求

 被告は、原告に対し、1098万8833円及びこれに対する令和3年9月30日から支払済みまで年3%の割合による金員を支払え。

第2 事案の概要等
 本件は、原告が、被告に対し、原告が乗車する車両に被告の運転する車両が追突した交通事故が発生し、これにより原告が傷害を負ったと主張して、民法709条又は自動車損害賠償保障法(自賠法)3条本文に基づき、損害賠償金合計1098万8833円及びこれに対する交通事故の日である令和3年9月30日から支払済みまで民法所定の年3%の割合による遅延損害金の支払を請求する事案である。

1 前提事実等(当事者間に争いのない事実、又は書証により容易に認定することができる事実)

     (中略)

第3 当裁判所の判断
1 前記第2の1のほか、後掲の証拠及び弁論の全趣旨により認められる事実
(1)本件交通事故の態様

     (中略)

(5)原告の後遺障害の事前認定の結果等
 原告は、被告車両に付されていた自賠責保険会社に対し、原告の後遺障害に係る事前認定の手続を求めたが、同年7月27日頃、被告車両に付されていた保険会社(E保険会社)の担当者から、非該当と判断された旨連絡を受けた(甲7の1)。原告は、同認定について異議申立てをしたが、同年12月5日頃、同担当者から、再度非該当と判断された旨連絡を受けた。

     (中略)

4 後遺障害逸失利益について
(1)本件交通事故と頸椎椎間板ヘルニアとの間の因果関係の存否について
 前記1(3)アのとおり、原告は令和4年2月8日、頸椎単純MRIの検査を受け、C4
5-6/7の椎間板ヘルニアとの診断を受けている。また、前記1(1)のとおり、本件交通事故の結果、原告車両のバンパの奥にあるボデーロワバックパネルの変形が生じその板金修理を要するような損傷が生じたものであり、本件交通事故により相応の衝撃が加わったと推認され、現に、原告は、本件交通事故の後、頸部に痛みを感じ、臨場した救急隊員に対しその痛みを訴えていたものである。このような本件交通事故の態様及び原告の本件交通事故直後の言動は、原告の椎間板ヘルニアの受傷と整合するものといえる。

 この点について、被告は、原告がA整形外科を受診したのは本件交通事故の6日後であり、原告の傷害が自制できる範囲にとどまるものであった旨の主張をする。この点について原告は、自らの勤務先の病院について、本件交通事故の当時は繁忙であり代替要員もいなかったため、ロキソニンを自ら摂取して出勤し、勤務先の休日に上記医療機関を受診した旨供述しており、この点も併せ考慮すると原告の受診が本件交通事故の6日後であることから直ちに原告の受傷が軽いものであったとはいえない。また、被告は、本件交通事故の態様について、停車している原告車両の後ろに一旦停止したもののその後にいわゆるクリープ現象により被告車両が前進して原告車両に衝突した、衝突時の被告車両の速度は時速約4キロメートルであった旨の供述をするが、前記1(1)のとおり本件交通事故により原告車両に軽微でない損傷が生じていること等に照らし、採用し難い。

 そして、確かに、頸椎椎間板ヘルニアが判明したのは本件交通事故から5か月余りが経過した後ではあるものの、上記の受傷をするに至った原因について、本件交通事故のほかに同部分に衝撃が加わる出来事があったとはうかがわれず、また、本件交通事故以前から頸椎に同傷病が存し、頸部の痛み等の症状があったともうかがわれない。以上を踏まえると、原告の頸椎椎間板ヘルニアについては、本件交通事故により生じたものと推認するのが相当である。

 これに対し、本件交通事故後、任意保険会社の事前認定申請を受けた自賠責保険会社は、原告の申請する後遺障害について非該当との判断をし、原告の異議申立てについて、頸部画像の変性所見について外傷に伴う変化とは捉えられないとの指摘をしているが、同指摘を踏まえても、前記記載の各事情を踏まえると上記の推認は左右されない。

(2)後遺障害の存否及びその程度
ア 原告は、本件交通事故により、原告には別表第二第12級13号「局部に頑固な神経症状を残すもの」に該当する後遺傷害が生じた旨主張する。確かに、前記1のとおり本件交通事故により原告のC4
5~6/7に椎間板ヘルニア等が存するものといえ、原告の訴える頸部の痛みの症状は、上記の所見と一応整合するものとはいえる。しかし、本件訴訟に先立ち、自賠責保険会社は事前認定の判断に際し、外傷性の異常所見又は脊髄及び神経根への圧迫所見は認められないとの評価をしており、この認定を覆すに足る証拠はない。

また、原告を診察した丁山医師は、後遺障害診断書上に明らかな神経学的異常所見は見られないとの記載をしており、その他、原告の頸部の痛みについて他覚的に神経系統の障害が証明されると認めるに足りる証拠はない。よって、本件交通事故により、原告に自賠法施行令別表第二第12級13号「局部に頑固な神経症状を残すもの」に該当する後遺障害が生じたものとまでは認めるに足りない。原告は、上記の後遺障害が生じた旨の丁野竹男医師作成の意見書(甲8)を提出するが、その意見書の内容を踏まえても上記の評価を左右するものとはいえない。

イ 他方、前記のとおり原告に生じた椎間板ヘルニア等の傷病は、原告が訴える頸部の痛みの症状と一応整合するものである上、書証(甲18)及び原告の本人供述によれば、同症状は、本件交通事故後の通院によっても消失せずに遷延しているものと認められる。

この点につき、被告は、丁山医師作成の診療録に「症状はon&off」「夜間痛」との記載があること等から継続する痛み(常時痛)を伴っていたものとはいえない旨主張するが、同医師の診療録の記載は多義的であり常時痛の存在を直接否定するものとはいえない上、前記(1)のとおり原告が本件交通事故により頸椎椎間板ヘルニアの傷害を負っていることにも照らすと、丁山医師の上記の診療録の記載から、後遺障害の存在を否定するほどの常時痛が存しなかったとは言い難いというべきである。(なお、原告は、上肢のしびれの症状についても主張するが、原告が同症状をA整形外科に申告した時期が令和4年2月16日であり本件交通事故から相当期間経過していたことを考慮すると、同症状について本件事故によるものとは認めるに足りない。)

 以上を踏まえると、原告の頸部の痛みについては、本件交通事故により発症し、その後その症状が一貫しており、単なる故意の誇張ではないと医学的に推定されるものと認められ、自賠法施行令別表第二第14級9号「局部に神経症状を残すもの」に該当する後遺傷害が存するものといえる。これに反する被告の主張は採用することができない。

     (中略)

7 文書作成費について
 前記4(2)のとおり、原告は本件交通事故により、頸椎捻挫、腰椎捻挫及び頸椎椎間板ヘルニアの傷害を負い、別表第二第14級第9号に該当する後遺障害を負ったものと認められることからすると、原告の診療録の取得費用(2680円、甲12)及び後遺障害慰謝料の取得費用(1万1000円、甲13)については、本件交通事故と相当因果関係の範囲にある損害と認められる。

 他方、証拠(甲7の2、8、14)によれば原告は、自賠責保険会社に対して事前認定結果に係る異議申立てを行う前に、F株式会社に対して原告の後遺障害に関する意見書の作成を依頼し、同社の査定をする医師作成の令和4年10月3日付意見書を受領し、これを上記異議申立て手続に提出したこと、また原告が同社に対しカルテ精査及び意見書作成費用として合計33万円(税込み)を支払ったことが認められ、同意見書を本件訴訟手続において証拠として提出していることは当裁判所に顕著である。しかし、一般に自己の主張等を理由づけるための証拠の収集は当事者の責任及び費用で行われるものである上、本件で争われている障害の内容及び意見書の内容を踏まえると、上記の意見書作成費用が、本件交通事故と相当因果関係の範囲内にあるとは認められない。

8 総損害額
 以上の検討によれば、原告に生じた総損害の額は、46万7230円+8460円+105万4148円+97万円÷110万円÷1万3680円=361万3518円となる。

9 既払金の控除及び弁護士費用
 上記8の金額から、原告が受領した既払い金の額59万7640円を控除した残額は301万5878円となる。
 そして、前記1(5)のとおり、原告は原告代理人に依頼して、本件訴訟に至る前に事前認定の手続を申請したが、後遺障害について非該当との判断を受け、本件訴訟の提起を余儀なくされたものといえ、本件交通事故と相当因果関係の範囲内にある弁護士費用として30万1587円を認める。よって、原告が被告に対して不法行為に基づく損害賠償として請求することのできる額は、331万7465円というべきである。
 なお、原告は、選択的に、自賠法3条に基づく損害賠償請求もしているが、同条に基づき認容すべき額は、法行為に基づく損害賠償の額と同額であるから、更なる検討を要しない。

10 結論
 よって、主文のとおり判決する。なお、仮執行免脱宣言は相当でないからこれを付さないこととする。
裁判官 宮崎陽介
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