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ご訪問有り難うございます。当HPは、私の備忘録を兼ねたブログ形式で「桐と自己満足」をキーワードに各種データを上記14の大分類>中分類>テーマ>の三層構造に分類整理して私の人生データベースを構築していくものです。
なお、出典を明示頂ければ、全データの転載もご自由で、転載の連絡も無用です。しかし、データ内容は独断と偏見に満ちており、正確性は担保致しません。データは、決して鵜呑みにすることなく、あくまで参考として利用されるよう、予め、お断り申し上げます。
また、恐縮ですが、データに関するご照会は、全て投稿フォームでお願い致します。電話・FAXによるご照会には、原則として、ご回答致しかねますのでご了承お願い申し上げます。
     

R 7-11-12(水):旧民法900条4号非嫡出子相続分規定を憲法違反とした最高裁判決紹介
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○「平成13年相続に平成25年改正相続法を適用した家裁審判紹介」の続きで、この判決の根拠となった平成25年9月4日最高裁判決(民集67巻6号1320頁、判時2197号10頁、判タ1393号64頁)関連部分を紹介します。

○平成13年7月に死亡したAの遺産につき、Aの嫡出子(その代襲相続人を含む。)である相手方らが、Aの嫡出でない子である抗告人らに対し、遺産の分割の審判を申し立てた事件で、原審平成24年6月22日東京高裁決定は、民法900条4号ただし書の規定のうち、嫡出でない子の相続分を嫡出子の相続分の2分の1とする部分(本件規定)は、憲法14条1項に違反しないと判断し、本件規定を適用して算出された相手方ら及び抗告人らの法定相続分を前提に、Aの遺産の分割をすべきものとし、Aの嫡出でない子である抗告人が特別抗告をしました。

○これに対し最高裁判決は、Aの相続が開始した平成13年7月当時においては、立法府の裁量権を考慮しても、嫡出子と嫡出でない子の法定相続分を区別する合理的な根拠は失われていたとして、本件規定は、遅くとも平成13年7月当時において、憲法14条1項に違反し無効であるとし、原決定を破棄し、更に審理を尽くさせるため、原審に差し戻しました。最高裁判決としては大変長いもので、ポイント部分のみ紹介します。

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主   文
原決定を破棄する。
本件を東京高等裁判所に差し戻す。

理   由
 抗告人Y1の抗告理由第1及び抗告人Y2の代理人○○○○,同○○○,同○○○○○の抗告理由3(2)について
1 事案の概要等
 本件は,平成13年7月▲▲日に死亡したAの遺産につき,Aの嫡出である子(その代襲相続人を含む。)である相手方らが,Aの嫡出でない子である抗告人らに対し,遺産の分割の審判を申し立てた事件である。
 原審は,民法900条4号ただし書の規定のうち嫡出でない子の相続分を嫡出子の相続分の2分の1とする部分(以下,この部分を「本件規定」という。)は憲法14条1項に違反しないと判断し,本件規定を適用して算出された相手方ら及び抗告人らの法定相続分を前提に,Aの遺産の分割をすべきものとした。
 論旨は,本件規定は憲法14条1項に違反し無効であるというものである。

2 憲法14条1項適合性の判断基準について
 憲法14条1項は,法の下の平等を定めており,この規定が,事柄の性質に応じた合理的な根拠に基づくものでない限り,法的な差別的取扱いを禁止する趣旨のものであると解すべきことは,当裁判所の判例とするところである(最高裁昭和37年(オ)第1472号同39年5月27日大法廷判決・民集18巻4号676頁,最高裁昭和45年(あ)第1310号同48年4月4日大法廷判決・刑集27巻3号265頁等)。

     (中略)

3 本件規定の憲法14条1項適合性について
(1)憲法24条1項は,「婚姻は,両性の合意のみに基いて成立し,夫婦が同等の権利を有することを基本として,相互の協力により,維持されなければならない。」と定め,同条2項は,「配偶者の選択,財産権,相続,住居の選定,離婚並びに婚姻及び家族に関するその他の事項に関しては,法律は,個人の尊厳と両性の本質的平等に立脚して,制定されなければならない。」と定めている。これを受けて,民法739条1項は,「婚姻は,戸籍法(中略)の定めるところにより届け出ることによって,その効力を生ずる。」と定め,いわゆる事実婚主義を排して法律婚主義を採用している。一方,相続制度については,昭和22年法律第222号による民法の一部改正(以下「昭和22年民法改正」という。)により,「家」制度を支えてきた家督相続が廃止され,配偶者及び子が相続人となることを基本とする現在の相続制度が導入されたが,家族の死亡によって開始する遺産相続に関し嫡出でない子の法定相続分を嫡出子のそれの2分の1とする規定(昭和22年民法改正前の民法1004条ただし書)は,本件規定として現行民法にも引き継がれた。

(2)最高裁平成3年(ク)第143号同7年7月5日大法廷決定・民集49巻7号1789頁(以下「平成7年大法廷決定」という。)は,本件規定を含む法定相続分の定めが,法定相続分のとおりに相続が行われなければならないことを定めたものではなく,遺言による相続分の指定等がない場合などにおいて補充的に機能する規定であることをも考慮事情とした上,前記2と同旨の判断基準の下で,嫡出でない子の法定相続分を嫡出子のそれの2分の1と定めた本件規定につき,「民法が法律婚主義を採用している以上,法定相続分は婚姻関係にある配偶者とその子を優遇してこれを定めるが,他方,非嫡出子にも一定の法定相続分を認めてその保護を図ったものである」とし,その定めが立法府に与えられた合理的な裁量判断の限界を超えたものということはできないのであって,憲法14条1項に反するものとはいえないと判断した。

 しかし,法律婚主義の下においても,嫡出子と嫡出でない子の法定相続分をどのように定めるかということについては,前記2で説示した事柄を総合的に考慮して決せられるべきものであり,また,これらの事柄は時代と共に変遷するものでもあるから,その定めの合理性については,個人の尊厳と法の下の平等を定める憲法に照らして不断に検討され,吟味されなければならない。

     (中略)

しかし,嫡出でない子の法定相続分を嫡出子のそれの2分の1とする本件規定の合理性は,前記2及び(2)で説示したとおり,種々の要素を総合考慮し,個人の尊厳と法の下の平等を定める憲法に照らし,嫡出でない子の権利が不当に侵害されているか否かという観点から判断されるべき法的問題であり,法律婚を尊重する意識が幅広く浸透しているということや,嫡出でない子の出生数の多寡,諸外国と比較した出生割合の大小は,上記法的問題の結論に直ちに結び付くものとはいえない。

キ 当裁判所は,平成7年大法廷決定以来,結論としては本件規定を合憲とする判断を示してきたものであるが,平成7年大法廷決定において既に,嫡出でない子の立場を重視すべきであるとして5名の裁判官が反対意見を述べたほかに,婚姻,親子ないし家族形態とこれに対する国民の意識の変化,更には国際的環境の変化を指摘して,昭和22年民法改正当時の合理性が失われつつあるとの補足意見が述べられ,その後の小法廷判決及び小法廷決定においても,同旨の個別意見が繰り返し述べられてきた(最高裁平成11年(オ)第1453号同12年1月27日第一小法廷判決・裁判集民事196号251頁,最高裁平成14年(オ)第1630号同15年3月28日第二小法廷判決・裁判集民事209号347頁,最高裁平成14年(オ)第1963号同15年3月31日第一小法廷判決・裁判集民事209号397頁,最高裁平成16年(オ)第992号同年10月14日第一小法廷判決・裁判集民事215号253頁,最高裁平成20年(ク)第1193号同21年9月30日第二小法廷決定・裁判集民事231号753頁等)。特に,前掲最高裁平成15年3月31日第一小法廷判決以降の当審判例は,その補足意見の内容を考慮すれば,本件規定を合憲とする結論を辛うじて維持したものとみることができる。

     (中略)

(4)本件規定の合理性に関連する以上のような種々の事柄の変遷等は,その中のいずれか一つを捉えて,本件規定による法定相続分の区別を不合理とすべき決定的な理由とし得るものではない。しかし,昭和22年民法改正時から現在に至るまでの間の社会の動向,我が国における家族形態の多様化やこれに伴う国民の意識の変化,諸外国の立法のすう勢及び我が国が批准した条約の内容とこれに基づき設置された委員会からの指摘,嫡出子と嫡出でない子の区別に関わる法制等の変化,更にはこれまでの当審判例における度重なる問題の指摘等を総合的に考察すれば,家族という共同体の中における個人の尊重がより明確に認識されてきたことは明らかであるといえる。そして,法律婚という制度自体は我が国に定着しているとしても,上記のような認識の変化に伴い,上記制度の下で父母が婚姻関係になかったという,子にとっては自ら選択ないし修正する余地のない事柄を理由としてその子に不利益を及ぼすことは許されず,子を個人として尊重し,その権利を保障すべきであるという考えが確立されてきているものということができる。
 以上を総合すれば,遅くともAの相続が開始した平成13年7月当時においては,立法府の裁量権を考慮しても,嫡出子と嫡出でない子の法定相続分を区別する合理的な根拠は失われていたというべきである。
 したがって,本件規定は,遅くとも平成13年7月当時において,憲法14条1項に違反していたものというべきである。


     (中略)

5 結論
 以上によれば,平成13年7月▲▲日に開始したAの相続に関しては,本件規定は,憲法14条1項に違反し無効でありこれを適用することはできないというべきである。これに反する原審の前記判断は,同項の解釈を誤るものであって是認することができない。論旨は理由があり,その余の論旨について判断するまでもなく原決定は破棄を免れない。そして,更に審理を尽くさせるため,本件を原審に差し戻すこととする。
以上:3,853文字
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R 7-11-11(火):肉体関係の有無問わず不貞行為を認めた地裁判決紹介
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〇原告が、原告の夫と被告との不貞行為により精神的苦痛を受けたとして、被告に対し、不法行為に基づき、慰謝料300万円と弁護士費用等の請求をしました。

○原告は、被告は原告の夫Aと令和2年11月以降毎日電話・LINEで連絡を取り令和3年2月にはAが借りたマンションに住み、Aと不貞行為に及んだと主張すると、被告はAとは肉体関係はなく交際もせず、Aの会社業務を手伝っただけで、LINEメールの遣り取りも冗談に過ぎず不貞行為はないと主張しました。

○これに対し、被告とAとのメッセージのやり取りは、ほぼ毎日のように行われており、Aから被告に対し、直接好意を伝えるメッセージや、被告からも頻繁にメッセージを送っており、また、Aが被告のために本件マンションを賃借したこと、Aが被告に金銭の援助をしていたこと、Aが本件マンションをしばしば訪れて被告と会っていたこと、同人らに抱き締めるなどの身体的接触があったことを示すやり取りも認められ、原告の婚姻共同生活の平和を侵害するものとして、不貞行為に当たるものと認めるのが相当であり、肉体関係の有無や、被告としてはAと交際するつもりがなかったことは、この判断を左右しないとして、慰謝料100万円の支払を命じた令和6年4月10日東京地裁判決(LEX/DB)判決本文を紹介します。

○Aが原告との離婚を決意したのは、それまでの原告の言動等にも一因があることがうかがわれるが、それを考慮しても、本件の事実経過や各証拠に照らせば、婚姻関係破綻の直接的な原因は、被告との不貞関係にあったと認定しています。不貞行為を原因としての婚姻破綻が認められると慰謝料は、100万円程度になるのが普通です。

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主   文
1 被告は、原告に対し、110万円及びこれに対する令和2年11月27日から支払済みまで年3%の割合による金員を支払え。
2 原告のその余の請求を棄却する。
3 訴訟費用は、これを3分し、その1を被告の負担とし、その余を原告の負担とする。
4 この判決は、1項に限り、仮に執行することができる。

事実及び理由
第1 請求

 被告は、原告に対し、330万円及びこれに対する令和2年11月27日から支払済みまで年3%の割合による金員を支払え。

第2 事案の概要
1 本件は、原告が、原告の夫と被告との不貞行為により精神的苦痛を受けたとして、被告に対し、不法行為に基づき、慰謝料等330万円及びこれに対する不法行為後の日である令和2年11月27日から支払済みまで民法所定の年3%の割合による遅延損害金の支払を求める事案である。

2 前提事実(証拠等を記載しない事実は当事者間に争いがない。以下,証拠について枝番を全て挙げる場合には枝番の記載を省略する。)
(1)原告と訴外A(以下「A」という。)は、平成26年に婚姻した夫婦である。(甲1)
(2)被告は、勤務していた飲食店に客として訪れたAと知り合い、遅くとも令和2年11月27日以降、Aとの間で、LINEのメッセージや電話により頻繁に連絡を取り合う関係にあった。被告は、令和3年5月頃以降、Aが経営する会社(以下「本件会社」という。)名義で借りたワンルームマンション(被告の肩書住所地のマンション。以下「本件マンション」という。)に寝泊りしている。 

(3)原告は、令和4年5月5日頃、Aと被告との間でやり取りされたLINEのメッセージを見て、同人らが不貞関係にあると考え、Aの携帯電話から、被告に対し、Aとの関係を解消するようにとのメッセージを送った。(甲2、5)
(4)Aは、令和4年10月13日頃、自宅を出て原告と別居し、原告に対し、弁護士を通じて離婚協議を申入れた。(乙3、弁論の全趣旨)

3 争点及び当事者の主張
(1)不貞行為の有無
(原告の主張)
 被告は、遅くとも令和2年11月27日以降、毎日、AとLINEや電話で連絡を取り、令和3年6月には、本件会社の寮としてAが借り上げた本件マンションに住み、Aから生活費等を渡され、A名義のクレジットカードで買い物等をしていた。Aは、本件マンションを度々訪れて宿泊し、被告と不貞行為に及んだ。

(被告の主張)
 被告は、Aから仕事を与えられたり、一緒に飲みに行ったりする仲であり、Aとの間に肉体関係はなく、交際もしていない。被告は、令和3年5月頃、当時の交際相手からモラハラやパワハラを受けていることをAに相談したところ、Aから、本件会社の業務を手伝うことを条件に、被告が日本にいるときの居住場所を用意する旨の申出を受けて、本件マンションに寝泊りするようになった。もっとも、被告は、1年のうちの大半は海外に滞在しており、日本にいるのは4か月程度であるし、被告が海外に滞在している間は別の者が本件マンションを利用していたのであり、Aが被告を本件マンションに住まわせていたというわけではない。Aから受けた送金は仕事の対価である。被告からAに対して「愛している」、「好きだ」といったメッセージを送ったことはないし、その他のメッセージも、冗談や、Aの機嫌を取るために送ったに過ぎない。

(2)損害額
(原告の主張)
 原告とAの婚姻生活は、本件不貞行為が発覚するまで良好であったが、本件不貞行為により婚姻関係が破綻した。被告は謝罪するどころか不貞行為の事実を否認し、慰謝料の支払を拒否するなど不誠実な対応を取っていることにより、原告の精神的苦痛は拡大しており、その損害は300万円を下らない。
 また、被告の態度により本件訴訟の提起を余儀なくされたことにつき、上記損害額の1割に当たる30万円を弁護士費用として請求する。

(被告の主張)
 争う。Aは、原告のAに対する嫉妬深い言動や精神的DV等に嫌気が差し、離婚を決意したのであって、婚姻関係破綻の原因は、主として原告にある。

第3 争点に対する判断
1 争点1について

(1)前提事実に加え、証拠(甲2、5)及び弁論の全趣旨によれば、被告とAとのLINEのメッセージのやり取りは、ほぼ毎日のように行われており、Aから被告に対し、「愛してる」といった直接好意を伝えるメッセージや、自らを「彼氏」、被告を「彼女」と称するメッセージが送られているほか、被告からも頻繁にメッセージを送っており、Aと連絡が取れない際には別紙のとおり自身の気持ちを伝えるメッセージを送ったりしていたことが認められる(甲2の5、5頁)。また、Aが被告のために本件マンションを賃借したこと(甲5、47頁、139頁等)、Aが被告に金銭の援助をしていたこと(甲5、35頁等)、Aが本件マンションをしばしば訪れて被告と会っていたこと、同人らに抱き締める等の身体的接触があったこと(甲2の5、6頁)を示すやり取りも認められる。
 以上によれば、被告とAの関係は、原告の婚姻共同生活の平和を侵害するものとして、不貞行為に当たるものと認めるのが相当である。

(2)被告は、Aとの間に肉体関係はなく、LINEのメッセージについてもAの機嫌を取っていただけであるなどと主張し、これに沿う証拠(乙3)を提出する。しかし、上記(1)の交際態様は客観的にみて原告の平穏な婚姻共同生活の維持という権利ないし法的利益に対する侵害と認められるものであり、肉体関係の有無や、被告としてはAと交際するつもりがなかったことは、上記判断を左右しない。
 また、Aからの送金が仕事の対価であることを示す的確な証拠はなく、その他、不貞行為に当たらないことを示す事情として被告が主張する事情はいずれも、上記判断を左右するものとはいえない。

2 争点2(損害額)について
 前提事実に加え、証拠(甲4、7から10)及び弁論の全趣旨によれば、原告とAは、Aと被告との関係発覚を契機として別居に至ったものと認められる。Aが離婚を決意するに至ったことについては、それまでの原告の言動等にも一因があることがうかがわれるものの(乙3)、このことを考慮しても、本件の事実経過(前提事実(3)、(4))や上記各証拠に照らせば、婚姻関係破綻の直接的な原因は、被告との不貞関係にあったというべきであるから、原告が被った精神的苦痛に対する慰謝料として、100万円を認めるのが相当である。
 また、原告が弁護士に委任して訴訟提起することを余儀なくされたことにつき、その1割に当たる10万円を、損害として認めるのが相当である。

第4 結論
 よって、原告の請求は主文1項の限度で理由があるからこれを認容し、その余は理由がないから棄却することとして、主文のとおり判決する。
東京地方裁判所民事第37部 裁判官 中井彩子
以上:3,544文字
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R 7-11-10(月):映画”劇映画 孤独のグルメ”を観て-実に美味そうな食事シーンたっぷり
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○令和7年11月9日(金)は、午後AmazonPrimeで映画「劇映画 孤独のグルメ」を鑑賞しました。2025(令和25)年1月製作で、映画コムでは「原作・久住昌之、作画・谷口ジローによる同名漫画を実写化し、グルメドキュメンタリードラマの代名詞的存在として長年にわたり人気を集めるテレビドラマ「孤独のグルメ」シリーズの劇場版。主演の松重豊が自ら監督を務め、主人公・井之頭五郎が究極のスープを求めて世界を巡る姿を描く」と解説されています。

○私は原作漫画を読んだことはありませんが、松重豊氏は好きな俳優の1人で、何となく面白そうだと感じて鑑賞しました。AmazonPrimeを開くと良く表示されていたからです。松重豊氏は、随分前になりますが、NHK大河ドラマ「毛利元就」で毛利元就二男吉川吉春役を演じたのは初めて観ましたが、最近ではNHKTV小説「カムカムエヴリバディ」「ひなた編」で、ベテラン大部屋俳優・伴虚無蔵役を巧みに演じていたのと良く覚えています。

○その松重豊氏が監督を務めたというのは鑑賞中は判っていませんでしたが、コメディとしては、笑える場面が結構あり、面白く鑑賞できました。松重氏演ずる輸入雑貨の貿易商・井之頭五郎が主人公ですが、「グルメ」と銘打つだけあって食事シーンがストーリーの3分の1位占めています。最初のパリ市内のフランス料理レストランでのオニオンスープとビーフシチューの食事シーンから始まり、実に美味そうに松重氏が、料理を食します。空腹時に観たらお腹が鳴りそうです。

○松重氏演ずる主人公は、冒頭飛行機内での爆睡で二度の食事を取り逃し、空腹を抱えてパリに降り立ちます。出てくるパリの街並みは、「第16回業革シンポ海外視察旅行感想-料理等雑感」記載の平成21年5月視察旅行でパリに二泊し、散歩して良く覚えており、映画でも懐かしくパリの街並みを鑑賞しました。主人公がパリのフランス料理店に居ると、パリ在住の女優杏氏が登場したので、実際、本物のパリで撮影をしたのだろうと思っていました。ところが、映画コムのレビューの中にスタジオでの合成画面の如き記載があり、ちとガッカリしました。その後、韓国領の島や韓国の街も登場しますが、全てスタジオでの合成との報告です。

○その真偽は不明ですが、パリ・五島列島・韓国・東京と続く、松重氏の如何にも美味そうに食する食事シーンは、一見に値します。

『劇映画 孤独のグルメ』本予告<主題歌:ザ・クロマニヨンズ「空腹と俺」>【2025年1月10日(金)公開】


「孤独のグルメ」集大成プロジェクトムービー≪テレビ東京開局60周年特別企画≫


以上:1,081文字
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R 7-11- 9(日):映画”アメリカン・ギャングスター”を観て-アメリカ無法地帯に驚く
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○令和7年11月8日(土)は、ツルカメフラメンコアンサンブル練習日で、ベースギターを含めたメンバー5名全員で練習をしました。やはりベース音が入ると演奏に厚みがでます。しかし、難聴の私には、音が重なると重低音が良く聴き取れないのが辛いところです。チャルダッシュはこの二週間殆ど弾いていなかったのですが、しばらく練習を怠ると指の動きがスムーズにできなくなることを実感しました。歳を取るほど常に指ならしをしていないと指の動きが鈍くなり、短時間でも毎日指をならすことが重要と実感しました。

○練習終了後、夕食を取りながら、恒例の映画鑑賞として、最近購入した4KUHDソフトで2007年製作映画「アメリカン・ギャングスター」を鑑賞しました。令和7年9月19日に2874円で購入していましたが、この11月9日には32%引き4498円で販売されています。4KUHDソフトの販売価格は時期によって大きく変動します。4KUHDソフトには劇場上映版と30分増しのエクステンデッド版がついていました。

○映画は冒頭にこの映画は実話に基づきますとの表示が出て始まりました。映画コムでは「60年代末から70年代初頭にかけてのニューヨーク・ハーレムにアフロ・アメリカン、フランク・ルーカス(デンゼル・ワシントン)が作り上げた麻薬王国の興亡と彼を追う刑事リッチー・ロバーツ(ラッセル・クロウ)の執念の捜査が描かれる。」と解説されています。1955年11月から1975年4月まで約20年間続いたベトナム戦争後半時期に重なる時代の映画です。

○主人公麻薬王フランク・ルーカスを演じる1954年生まれのデンゼル・ワシントン氏53歳、相主人公刑事リッチー・ロバーツを演じる1964年生まれのラッセル・クロウ氏43歳時の作品です。劇中のフランク・ルーカスは30代から40代の設定のはずですが、令和7年現在70歳を越えたデンゼル・ワシントン氏が53歳時に40代を若々しく演じています。ストーリー前半は、黒人フランクが、仕えていた親分の死をきっかけに麻薬王にのし上がる過程と、刑事リッチーが家庭崩壊になりながら徹底した麻薬捜査官になる過程が代わる代わる描かれます。しかしその過程の説明不足で良く理解出来ない部分が多くありました。エクステンデッド版を再鑑賞したいと思っています。

○後半から結末にかけては、ストーリーもシンプルで良く理解出来ましたが、最後の麻薬王フランクと刑事リッチーの対決で明らかにされる当時のアメリカ捜査官とマフィアや麻薬取引者との癒着ぶりにはただただ驚きながら、映画冒頭の実話に基づく映画との説明が納得できました。しかし、令和7年から100年以上も前なら判るのですが、60年ばかり前でこれほどアメリカが無法地帯が残っていたのには驚きでした。

アメリカン・ギャングスター


American Gangster Official Trailer #1 - Denzel Washington, Russell Crowe Movie (2007) HD


以上:1,250文字
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R 7-11- 8(土):義父母の不貞行為配偶者に対する慰謝料請求を棄却した地裁判決紹介
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○被告夫とその妻亡Dは平成16年に婚姻し、長男・長女をもうけましたが、平成30年10月頃から被告が不貞行為を発覚する令和2年8月まで2年間継続し、Dはこれが原因で、同年9月にうつ病を発症して心療内科に通院し、令和3年5月に首吊り自殺をしました。

○そこで亡Dの両親である原告らが、亡Dの夫である被告の不貞によりうつ病を発症し自殺したことについて、原告らが、被告には妻の心身への配慮を十分にする義務があったにもかかわらず、これを怠ったことが不法行為を構成する旨を主張して、被告に対し、不法行為に基づく損害賠償として各1650万円の請求をしました。

○これに対し、亡Dが通院を始めた頃から、被告は、上記通院を含むDの様子を一番近くで見ていたというべきであり、Dの心身を気遣うべき立場にあったとはいえるが、他方、Dは、自殺に至るまで、自殺企図に及んだり、被告に対して自殺をほのめかしたことがあるとまで認めるに足りる証拠はなく、Dの死亡について、原告ら主張に係るDの心身への配慮を十分にする義務を被告が怠ったことにより、Dを死亡させたとまで断ずることはできないととして、原告らの請求をいずれも棄却した令和6年4月22日東京地裁判決(LEX/DB)関連部分を紹介します。

○亡D自身は被告夫に対し貞操義務違反を理由に慰謝料請求権を有していますが、これを相続するのは配偶者である被告とその長男・長女で、亡D両親は不貞行為による損害賠償請求権はありません。そこでDが死亡したことについて、Dは、被告の不貞行為により、原告らに自殺をほのめかすようになり、心療内科にも通っており、被告はそれを認識しながら、Dの心身への配慮を十分にせず、その結果、被告は、原告らの子であるDを死亡させたたことは被告の不法行為を構成すると主張しました。

○親として被告によって子Dを奪われた無念は判りますが、判決は原告らがDの死により深い悲しみにあることは認められるものの、被告に対する請求を基礎付ける義務違反はこれを認めるに足りないといわざるを得ないとしており、やむを得ない結論と思われます。

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主   文
1 原告らの請求をいずれも棄却する。
2 訴訟費用は、原告らの負担とする。

事実及び理由
第1 請求

1 被告は、原告Aに対し、1650万円及びこれに対する令和4年3月25日から支払済みまで年3%の割合による金員を支払え。
2 被告は、原告Bに対し、1650万円及びこれに対する令和4年3月25日から支払済みまで年3%の割合による金員を支払え。

第2 事案の概要
 本件は、原告らの子が、同人の夫である被告の不貞によりうつ病を発症し自殺したことについて、原告らが、被告には妻の心身への配慮を十分にする義務があったにもかかわらず、これを怠ったことが不法行為を構成する旨を主張して、被告に対し、不法行為に基づく損害賠償を請求する事案である。

2 前提事実(当事者間に争いのない事実並びに後掲の各証拠(〔 〕内の数字は関係証拠等の該当頁を指す。以下同じ。)及び弁論の全趣旨により容易に認められる事実。なお、証拠等の掲記のない事実は、当事者間に争いがない。)
(1)当事者について
ア 原告A(以下「原告A」という。)は、被告の義父であり、被告と婚姻関係にあったD(昭和54年○月生。以下「D」という。)の実父である。
 原告B(以下「原告B」という。)は、被告の義母であり、Dの実母である。
 原告らの間には、長男であるE(以下「E」という。)及び長女であるDの2名の子がおり、EはDの兄にあたる(原告A本人尋問〔23、24〕)。
イ 被告は、Dが令和3年5月22日に死亡するまで、Dの夫であった者である。

(2)被告の不貞行為について
 被告とDは、平成16年9月に婚姻し、被告とDの間に、平成18年に長男、平成26年には長女が生まれ、円満な家族関係を築いていた。
 しかし、被告は、平成30年10月頃から、F(以下「F」という。)と継続的に不貞行為を行っていた。被告とFとの不貞関係は、令和2年8月27日にDに発覚するまで、約2年間にわたって続いた。
 Dは、同年9月17日から心療内科に通院するようになり、被告も、Dが心療内科に通院していたことを認識していた。

3 争点及び争点に関する当事者の主張の骨子

     (中略)

第3 当裁判所の判断
1 認定事実

 当事者間に争いのない事実、上記第2の2の前提事実(以下単に「前提事実」という。)並びに後掲の各証拠及び弁論の全趣旨によれば、次の事実が認められる。
 Dは、令和2年8月27日に被告の不貞を知って以来、被告は猛省をしているが不眠、食欲不振、動悸、息切れ及び感情の波があるとのことで、同年9月14日に心療内科であるaを受診し、カウンセリングの希望により心療内科であるbに通院を始めた(前提事実、甲11)。Dは、同日、うっすらと涙を浮かべつつ、まとまった話をし、死については「考えることもある。」と述べ、医師はうつ病との診断をした。(甲11)

 Dは、上記クリニックの受診を継続し、同月28日には調子は多少楽になった、被告については、「こちらが真剣に話しているのに寝ることとかもあって、病院に行ったらADHDだと。」と述べ、同年10月12日にも多少楽になった、被告のADHDについて「薬も飲み始めたみたい。」と述べ、同月は投薬中のセディールのペースは減った。同年11月には、「もやもやが続いている」と述べ、医師は、調子に応じた生活を送ること、今は薬に頼ってもいいとしてプルゼニドの投薬を試行した。

Dは、同年12月15日の受診においては、「気分の波がいいときは夫も反省しているからと許せる気持ちにもなる。しかし、夫婦としては、夫の不倫の『質の悪さ』を許せない。」など述べ、医師は、今後は年明けから隔週で50分の受診とする方針とし、月2回の通院はDが亡くなるまで続いた。Dは、令和3年1月26の通院の際に「年が変わって切り替えようとしたけど、年末に夫と喧嘩をして無理。私がよせばいいいのに、性格的に白黒つけたがるから、いろいろ聞いてしまった。感情的に一方的に怒っていたら、息子が起きた。」など述べ、同年2月9日の受診の際には、「夫に出て行ってほしいと言いました。でもいざ出て行かれそうになると寂しくなってしまった。」など述べ、同年3月30日、「主人が暗い。落ち込み、10キロくらい痩せている。元気がないと、私も何か責めることができず、励ましたりご飯を勧めたりしている。」など述べ、波はあるが薬の頻度は減り、同日の受診及び同年4月27日の受診において、困っていることとして突発的なイライラを挙げた。

また、同年5月18日の受診においては、調子については、だいぶ良く、友達夫婦とバーベキューに行き、被告の不貞行為を知っている友人なので、「夫は周りからいじられたり、怒られたり、人から言ってもらえると私としてはすっきりした。」など述べ、波はあるが調子は落ち着いてきた旨、睡眠は薬を飲まなくても大丈夫になり、食事は食欲が出てきた旨を述べた。上記クリニックの診療録において、希死念慮についての記載は、上記初診時の記載のみで他にはない。(甲11)

 被告とDは、令和2年8月27日から令和3年5月22日までの間、Dは被告の上記の不貞行為について悩み、時には上記診療中のDの供述にあるような夫婦喧嘩がありながらも、同月18日頃には少し落ち着いていたところ、同月21日夜、Dが被告の不貞行為について問いただし、被告の回答に対しDが怒りを覚え「信じていたのに残念」など述べ、明け方くらいにお互いに寝た方が良いということになり被告とDは眠りについた(甲11、12、13、乙5、原告ら本人尋問の結果、被告本人尋問の結果、弁論の全趣旨)。

 Dは、同月22日、クローゼットで首を吊り自殺した。被告は,Dの搬送先の病院にて、泣きながら原告らに謝罪をした(甲11、12、13、乙5、原告ら本人尋問の結果、被告本人尋問の結果、弁論の全趣旨)。

 被告は、同年6月3日、上記クリニックに電話をし、最近は落ち着いていたが、被告の不貞行為の証拠写真を持っており、夜にまた思い出して夜中まで不安定だった、そのようなときはプロチゾラムを飲んで寝ており、同日もそうであったこと、翌朝Dは起きたが頭痛がする旨を述べ再び寝室に行ったこと、様子を見に行ったら首をつっていたこと、まだ受け止めきれないが子も小さいので何とか頑張っていこうと思うなど述べた。同クリニックの医師は、同月18日受診時には落ち着いているように見えたが、突発的な衝動性は残っていて、自殺に至ったとの所見をもった。(甲11)

2 争点(1)について
 上記認定事実によれば、Dが上記通院を始めた令和2年9月頃から、被告は、上記通院を含むDの様子を一番近くで見ていたというべきであり、Dの心身を気遣うべき立場にあったとはいえるが、他方、上記認定事実によれば、Dは、上記自殺に至るまで、自殺企図に及んだり、被告に対して自殺をほのめかしたことがあるとまで認めるに足りる証拠はなく、かえって、令和3年5月中旬頃には医師の見立てによっても落ち着いた状態であったことが認められる。
 以上によれば、Dの死亡について、原告ら主張に係るDの心身への配慮を十分にする義務を被告が怠ったことにより、Dを死亡させたとまで断ずることはできないといわざるを得ない。
 

3 結論
 以上によれば、原告らがDの死により深い悲しみにあることは認められるものの、被告に対する請求を基礎付ける義務違反はこれを認めるに足りないといわざるを得ない。
 よって、原告らの請求は理由がないからこれをいずれも棄却することとして、主文のとおり判決する。
東京地方裁判所民事第25部 裁判官 宮崎雅子
以上:4,045文字
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R 7-11- 7(金):過去の婚姻歴・子供の存在秘匿判明元妻に60万円慰謝料認定地裁判決紹介
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○原告元夫が、被告元妻の有責行為により被告との離婚を余儀なくされたとして、被告に対し、不法行為に基づき、損害賠償金約2175万円の支払を求めました。損害内訳概要は、結婚に際し購入した指輪等合計約202万円、結婚により失った退職金約1186万円、治療費・通院慰謝料約95万円、離婚慰謝料500万円、弁護士費用約200万円です。

○原告と被告は婚活サイトで知り合い、平成26年10月から交際を始め、平成28年8月に婚姻しました。被告は平成30年8月、被告が自宅に戻らないことが増え始めて不審を抱き、被告の戸籍を取り寄せ、被告の前夫との二度の婚姻歴と2人の子供が居ることが判明し、被告前夫マンションに行き、2人の子供の面倒を見ていることを打ち明けられて離婚に至ったとして離婚慰謝料500万円を請求しました。

○これに対し、被告が自宅に戻らない頻度が増えたことに不審を抱いた原告が調査をしたことをきっかけとして、被告が離婚歴や子がいることを隠して前夫のマンションに通い続けていたことが、原告に発覚したにもかかわらず、被告が、原告の十分な理解を得ぬまま、それまでと同様、前夫のマンションに通い、原告よりも前夫との関係を優先していると疑われても仕方のない状況を継続したため、原被告の婚姻関係が破綻するに至ったとして慰謝料60万円と弁護士費用6万円の支払を命じた令和6年8月15日東京地裁判決(LEX/DB)関連部分を紹介します。

○原告元夫とすれば元妻は前夫との二度の婚姻歴・2人の子供の存在を隠して結婚し、その上、結婚後も隠れて前夫との子供の面倒を見ていたことにショックを受けて抑うつ状態となりメンタルクリニック通院を余儀なくされ、正に踏んだり蹴ったりの酷い目にあったとして失った退職金まで含めて2175万円も請求しました。しかし認められたのは慰謝料僅か60万円だけで、おまけに元妻からの貸金反訴が26万円認められ、踏んだり蹴ったりがさらに酷くなったと、抑うつ状態が悪化したのではと心配になる事案です。

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主   文
1 被告は、原告に対し、66万円及びこれに対する平成30年9月29日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
2 原告は、被告に対し、26万5489円及びこれに対する平成28年4月1日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
3 原告のその余の本訴請求及び被告のその余の反訴請求をいずれも棄却する。
4 訴訟費用は、本訴反訴ともに、これを100分し、その97を原告の負担とし、その余を被告の負担とする。
5 この判決は、第1項及び第2項に限り、仮に執行することができる。

事実及び理由
第1 請求
1 本

 被告は、原告に対し、2175万7149円及びこれに対する平成30年9月29日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。

2 反訴
 原告は、被告に対し、26万5489円及びこれに対する平成27年11月14日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。

第2 事案の概要
 本件本訴は、原告が、被告の有責行為により被告との離婚を余儀なくされたとして、被告に対し、不法行為に基づき、損害賠償金2175万7149円及びこれに対する不法行為日(離婚成立日)である平成30年9月29日から支払済みまで平成29年法律第44号による改正前の民法(以下「改正前民法」という。)所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める事案である。
 本件反訴は、被告が、原告のために支出した株式の購入代金の返済を受けていないとして、原告に対し、消費貸借契約に基づき、株式購入代金103万0884円の一部26万5489円及びこれに対する平成27年11月14日から支払済みまで改正前民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める事案である。

1 前提事実
 後掲証拠(特に断りのない限り、枝番を含む。以下同じ。)によれば、次の事実が認められる。
(1)当事者(甲1)
 原告(昭和45年生)と被告(昭和50年生)は、平成28年8月9日に婚姻し、平成30年9月29日に離婚した元夫婦である。原告と被告の間に、子はいない。

(2)当事者が婚姻する前の婚姻歴
ア 原告は、平成12年3月4日、前妻と婚姻して一子(平成13年生)をもうけたが、平成27年11月5日、子の親権者を前妻と定めて前妻と調停離婚した(甲1)。
イ 被告は、平成14年1月6日、前夫と婚姻して二子(平成17年生、平成19年生)をもうけ、平成24年8月1日、子の親権者を前夫と定めて前夫と離婚したものの、平成26年10月3日、前夫と再婚し、同年11月21日、子の親権者を前夫と定めて前夫と再離婚した(甲2の1ないし5)。

2 争点

     (中略)

第4 当裁判所の判断
1 本訴について

(1)前提事実、証拠(後掲証拠のほか、甲21、乙27、乙32、証人K、原告、被告)及び弁論の全趣旨によれば、次の事実が認められ、これに反する証拠は採用することができない。
ア 婚姻に至る経緯
 原告と被告は、平成26年10月3日(被告の前夫との再婚日)、婚活サイトで知り合いメッセージのやり取りを始め、遅くとも同月19日までに、交際を開始した。
 原告は、上記サイトの自己紹介欄に、離婚歴ありと事実と異なる記載をしていたが、同日、被告に対し、婚姻中である旨を明かした。他方、被告は、上記サイトの自己紹介欄に未婚で子なしと事実と異なる記載をしていたが、原告に対し、自身の婚姻歴や子の有無を明かすことはなかった。
 原告と被告は、交際を続け、平成28年8月9日、婚姻した。

イ 婚姻中の生活状況
(ア)被告は、原告の子をもうけるために、平成28年12月及び平成29年3月から同年8月頃までの間に不妊治療を受けた(乙23)。
(イ)原告は、被告が、平成29年11月、勤務先から米国駐在の内示を受けたことから、同年12月31日、それまで勤務していた会社を退職し、被告の米国駐在に同行する準備を進めた(甲11、甲12、乙24)。
(ウ)原告と被告は、平成30年8月、同月に旅行することを企図し、メッセージのやり取りをした(甲16の2)。

ウ 離婚に至る経緯
(ア)被告は、原告の婚姻後も、前夫のマンションに通って子の面倒をみており、面倒をみた後に自宅に戻らずに宿泊することもあったが、原告には嘘を吐いて隠していた。
(イ)原告は、平成30年8月頃、自宅に戻らない日が増え始めた被告を不審に思ったことから、自宅に置いてあった被告の財布を確認したところ、子が書いた手紙と中学校の入館証を見つけた。そこで、原告は、被告の戸籍を取り寄せたところ、被告に前夫との二度の婚姻歴があること、前夫との間に二子をもうけていることを知った。

(ウ)原告は、平成30年8月31日、被告の前夫のマンションに行き、被告が現れるのを待っていたところ、被告が上記マンションに入るところを確認したので、被告に連絡を取った。被告は、同日、原告に対し、自身に婚姻歴があり前夫と間に二子をもうけていることを認めた上で、前夫との子の面倒をみるために前夫のマンションに毎日通っていたこと、前夫とは接触していないことなどを話した。
 原告は、被告との婚姻関係を修復しようと試みたが、被告は、その後も、前夫のマンションに通い続け、自宅を留守にすることを続けた。

(エ)原告は、平成30年9月28日、翌日が前夫との子の運動会なので実家に泊まる旨のメッセージを送ってきた被告に腹を立て、被告に対し、「あなたとは離婚する」、「子供の面倒をみるのは、我慢するけど、そのために家に帰ってこないことは我慢できない」とのメッセージを送った(乙33)。
 被告は、同月29日、原告に電話をして原告の離婚意思を確認した上で、離婚届を提出した。上記離婚届は、原告が、以前に被告と口論した際に署名したものであった。

(2)争点1(被告の不法行為の成否)について
ア 上記(1)で認定した事実によれば、平成30年8月、被告が自宅に戻らない頻度が増えたことに不審を抱いた原告が調査をしたことをきっかけとして、被告が離婚歴や子がいることを隠して前夫のマンションに通い続けていたことが、原告に発覚したにもかかわらず、被告が、原告の十分な理解を得ぬまま、それまでと同様、前夫のマンションに通い、原告よりも前夫との関係を優先していると疑われても仕方のない状況を継続したため、原被告の婚姻関係が破綻するに至ったものと認められるから、原被告の婚姻関係が破綻した主たる原因は、被告にあるといえる(なお、上記(1)で認定した事実によれば、被告は、原告の同意を得て離婚届を提出したものと認められる。)。

イ これに対し、被告は、被告の婚姻歴及び前夫との子の存在が発覚する前から、原被告の婚姻関係は、原告が被告に対して与えた過度の経済的負荷(自動車、マンション及び株式の購入並びに多額の生活費の負担)や、暴力、暴言及び脅しにより、破綻の危機にあったから、破綻の主たる原因は、被告の行為ではないと主張する。

 しかし、後記2(1)イで認定するとおり、被告が主張する自動車やマンション、株式の購入は、いずれも婚姻前のものであり、被告はそれでもあえて原告と婚姻したのであるから、これらの購入が、原被告の婚姻関係を破綻させる原因になったとはいえない。また、証拠(甲21、乙2ないし乙4、乙32、原告、被告)及び弁論の全趣旨によれば、原告と被告は、婚姻直後から、些細なことが原因で喧嘩をすることがあり、その中で、原告が、離婚に言及したり、離婚届に署名するなど、原被告の婚姻関係には、被告の離婚歴や子が発覚する前から必ずしも円満であるとは言い難い面があったことは否定できないものの、上記(1)イで認定した婚姻中の生活状況の内容に照らすと、原告が、被告に対し、婚姻関係の修復を困難にするほど、多額の生活費を負担させたり、過度の暴力や暴言、脅しをしたりしていた事実までは認められない。
 したがって、被告の上記主張は、採用することができない。

ウ 以上によれば、被告は、原告に対し、離婚を余儀なくさせたことについて、不法行為責任を負う。

(3)争点2(消滅時効の成否)について
 被告は、原告の主張する損害賠償請求権のうち虚偽の事実の告知に係る部分については、消滅時効が完成したと主張する。

 しかし、離婚に伴う損害賠償請求権は、離婚が成立したときに初めて、離婚に至らしめた相手方の行為が不法行為であることを知り、かつ、損害の発生を確実に知ったこととなるものと解するのが相当であるところ(最高裁昭和43年(オ)第142号同46年7月23日第二小法廷判決・民集25巻5号805頁参照)、原被告の離婚が成立したのは、平成30年9月29日であるから、本訴請求に係る損害賠償請求権の消滅時効期間は同日から進行することになる。そして、弁論の全趣旨によれば、原告は、令和3年9月24日、本訴請求に係る損害賠償請求について東京簡易裁判所に調停(同裁判所同年(ノ)第471号)を申し立てたこと、同調停は、同年12月8日、不成立により終了したことが認められ、また、原告が、同月18日、本訴の提起をしたことは、当裁判所に顕著である。そうすると、原告は、被告との離婚が成立した日から3年が経過する前に調停の申立てをし、同調停の不成立から6か月が経過する前に本訴の提起をしたということになるから、本訴請求に係る損害賠償請求権の消滅時効は完成していない(民法147条)
 したがって、被告の上記主張は、採用することができない。

(4)争点3(原告に生じた損害及びその額)について
ア 結婚に際し購入した物品等の費用について
 証拠(甲4)及び弁論の全趣旨によれば、原告は、被告と婚姻するに当たり、マリッジリング等を購入したことが認められる。
 しかし、原告が、被告に離婚歴や子がいることが発覚した後に被告との関係修復に努めたこと(上記(1)ウ(ウ))に照らすと、被告が離婚歴や子がいることを隠して原告と婚姻したこと自体が、原被告の婚姻関係を破綻させる原因になったとは認められないから、結婚に際し購入したマリッジリング等の費用が、原被告の婚姻関係の破綻と相当因果関係のある損害であるとは認められない。

イ 退職金について
 原告は、被告の虚偽の告知がなければ被告と婚姻することはなく、被告の米国駐在に同行するために退職することもなかったとして、定年退職した場合に想定される退職金と実際に受領した退職金との差額が損害であると主張する。
 しかし、証拠(乙24、乙32、被告)及び弁論の全趣旨によれば、原告は、被告から退職を思いとどまるよう忠告を受けたにもかかわらず、キャリアアップのために、勤務先の会社を退職して被告の米国滞在に同行することを決断したものと認められ、この事実に照らすと、原告の主張する退職金の差額相当額が、原被告の婚姻関係の破綻と相当因果関係のある損害であるとは認められない。

ウ 治療費及び通院慰謝料について
 証拠(甲6ないし甲10)によれば、原告は、平成30年8月から同年12月にかけて、心療内科や耳鼻咽喉科等に通院し、治療や薬の処方を受けたことが認められる。
 しかし、これらの通院治療の対象となった原告の症状の主たる発生原因が、原被告の婚姻関係の破綻にあったと認めるに足りる的確な証拠はなく、上記通院治療に伴う費用や精神的苦痛が、原被告の婚姻関係の破綻と相当因果関係のある損害であるとは認められない。

エ 精神的慰謝料について
 原告は、被告の上記(2)アで認定した有責行為により離婚せざるをえなくなり、精神的苦痛を被ったものと認められる。
 他方、被告が、前夫のマンションに通い続けていたのは、前夫との子の面倒をみるためであって、被告と前夫との間に内縁関係があったとは認められない。また、上記1(2)イで説示したとおり、原被告の婚姻関係には、被告の離婚歴や子がいることが発覚する前から円満であるとは必ずしも言い難い面があったことは否定できず、原被告の婚姻期間も約2年1か月と短く、子もいない。
 これらの事情に加え、本件に現れた一切の事情を考慮すると、原告の離婚に伴う精神的苦痛に対する慰謝料としては60万円が相当である。


オ 弁護士費用について
 本件事案の内容、審理の経過、認容する請求の内容その他本件において認められる諸般の事情を考慮すると、被告による不法行為と相当因果関係にある弁護士費用相当額は6万円とするのが相当である。

カ 小括
 以上によれば、被告は、不法行為に基づき、原告に対し、66万円の損害賠償金及びこれに対する不法行為日(離婚成立日)である平成30年9月29日以降の改正前民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払義務を負う。
以上:6,071文字
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R 7-11- 6(木):期間4年の不貞行為について慰謝料100万円を認めた地裁判決紹介
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○被告が原告の夫Cと、平成29年から令和3年まで約4年間に不貞行為を継続し、令和3年にはCの子を出産して精神的苦痛について慰謝料600万円の支払を求めました。

○被告は、Cは被告以外にも肉体関係をもった女性が居たことを知りながらCと関係を持ったもので既に原告とCの夫婦関係は破綻していたこと、不貞行為発覚後も原告とCは同居を継続し婚姻関係が破綻していない等の理由で責任がないと主張しました。

○これに対し、本件不貞行為前に、原告とCが別居していたとか、具体的な離婚協議に入っていたといった事情は認められず、原告とCの婚姻期間は、本件不貞行為の開始時点で、24年余りのところ、不貞行為の期間は約4年に及び、被告はCの子を妊娠、出産したことや、原告とCは、離婚しておらず、本件不貞行為発覚後も、同居を継続していることが認められる等の事情から慰謝料を100万円と認めた令和6年8月8日東京地裁判決(LEX/DB)全文を紹介します。

○被告は、Cについて関係を始めた当時、他にも女性関係があったので原告との夫婦関係は破綻していたと主張しましたが、これに対し、そのようなケースに破綻を認め不貞相手に対する慰謝料請求を認めないと、共同不法行為責任を負うことになる不貞をした配偶者に対する不貞の慰謝料請求も認められないことになり、不貞行為を繰り返す者を利することにもなりかねず不合理と認定しています。そのようなCを利することになるとの認定ですが、本件で最も責任があるのはCと思われます。Cは原告に有利な証言をする証人となっているようですが、被告はCに対しどのように対処しているのか不明です。

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主   文
1 被告は、原告に対し、100万円及びこれに対する令和5年2月2日から支払済みまで年3分の割合による金員を支払え。
2 原告のその余の請求を棄却する。
3 訴訟費用は、これを6分し、その1を被告の負担とし、その余は原告の負担とする。

事実及び理由
第1 請求

 被告は、原告に対し、600万円及びこれに対する令和5年2月2日から支払済みまで年3分の割合による金員を支払え。

第2 事案の概要
 本件は、被告が原告の夫であるC(以下「C」という。)と不貞行為をしたとして、原告が、被告に対し、不法行為による損害賠償請求権に基づき、慰謝料600万円及びこれに対する訴状送達の日の翌日である令和5年2月2日から支払済みまで民法所定の年3分の割合による遅延損害金の支払を求めた事案である。
1 前提事実(争いがないか、掲記の証拠等により容易に認められる事実)
(1)
ア 原告とCは、平成4年11月6日に婚姻した(甲1)。
イ 原告とCとの間には、子はいない(甲1、弁論の全趣旨)。

(2)
ア 被告は、平成29年2月頃にCと知合い、その後、同年より交際を開始した(争いがない。)。
イ 被告は、平成29年以降、Cが婚姻していることを知りながら、Cとの交際を継続し、令和3年5月に妊娠し、令和4年○月○日に出産をした(争いがない。)。
 上記被告が出産をした子は、DNA鑑定の結果、Cの子であることが確定し、令和4年5月6日、Cにおいて認知をした(争いがない。甲1)。

(3)なお、原告は、令和3年8月頃、Cから、被告と交際していること知らされ、また、同年12月頃、被告がCの子と思われる子を妊娠していることを知らされた(甲7、弁論の全趣旨)。

2 争点
 本件では、被告がCと不貞行為を行っていたこと(以下「本件不貞行為」という。)については争いがなく、本件の争点は、以下のとおりである。
(1)本件不貞行為の開始時点で原告とCの婚姻関係は破綻していたか
(2)被告が原告とCの婚姻関係は破綻していると認識したことについて、被告に過失がないといえるか
(3)原告の損害

3 争点に関する当事者の主張
(1)争点(1)について
(被告の主張)
 Cは被告と交際するより前に原告以外の複数の女性と交際し、連日のように25時から26時に帰宅していた上、その様子が被告を含む周囲の人間にも知られており、その直後に被告と交際を開始してからも、被告が交際相手であるとの前提で行動し、積極的に妊娠にも協力した上、被告のためにマンションの賃借人となっており、タイで買春までしていることからすれば、被告と交際した当時においては既に原告とCとの婚姻関係が破綻していることは明らかである。したがって、被告の不法行為は成立しない。

(原告の主張)
 被告は、本件不貞行為の開始時には既に原告とCの婚姻関係は破綻していた旨主張するが、争う。原告とCは、婚姻後、現在に至るまで同居を続け、本件不貞行為が発覚するまでの間、離婚の話をしたこともなかったのであり、原告とCの夫婦関係は円満であった。

(2)争点(2)について
(被告の主張)
 仮に、原告とCの婚姻関係が破綻していなかったとしても、Cが原告以外の女性と交際していた(肉体関係を持っていた)ことなどを知りながら、被告がCと交際を開始したことからすれば、被告には、Cと交際を開始した当時、原告とCの婚姻関係が破綻していると認識したことについて過失がなかったことは明らかである。

(原告の主張)
 争う。
 Cが被告との交際期間中も自宅に帰っていたことや、妊娠が発覚するまで被告がCに対して離婚を求めたことはなく、被告はCとの関係を単なる愛人関係として捉えていたといえることなどからすれば、被告が、本件不貞行為の当初から、原告とCの婚姻関係が破綻しているとの認識を有していなかったことは明らかである。

(3)争点(3)について
(原告の主張)
 原告とCの婚姻関係は、本件不貞行為以前と同様の夫婦関係に戻ることは不可能であり、本件不貞行為によって、原告とCの婚姻関係は破綻に至ったことは明白である。
 原告は、被告の本件不貞行為により、著しい精神的苦痛を受けた。加えて、その後の被告の対応や行動によっても、更なる精神的苦痛を受けた。原告の受けた損害は600万円を下らない。

(被告の主張)
 争う。本件不貞行為が発覚後も、原告はCと同居しており、離婚等の予定もないとのことであり、本件不貞行為により、原告とCの婚姻関係が破綻に至ったとはいえない。

第3 当裁判所の判断
1 争点(1)について

(1)被告は、被告の本件不貞行為より前に、Cが複数の女性と不貞行為をしていたから、原告とCの婚姻関係は既に破綻していたと主張するものであると解される。
 確かに、不貞行為は離婚事由(民法770条1項1号)とされているが、不貞行為があっても、必ず当該夫婦が離婚に至るわけではなく、相手方配偶者がこれを宥恕し、婚姻関係を継続することも見られるところである。

不貞行為があり、別居に至ったとか、具体的な離婚協議に入っていたといった事情があれば格別、そのような事情がない限り、不貞行為があったことから、直ちに婚姻関係が破綻したと認めることは困難であると解する。そして、本件において、本件不貞行為前に、原告とCが別居していたとか、具体的な離婚協議に入っていたといった事情は認められない(証人C(陳述書(甲8)を含む。以下同じ。)、原告本人(陳述書(甲7)を含む。以下同じ。)、弁論の全趣旨)。

 なお、仮に、本件のようなケースで破綻を認め、不貞相手に対する慰謝料請求を認めないとすると、共同不法行為責任を負うことになる不貞をした配偶者に対する不貞の慰謝料請求も認められないことになると解されるが、それでは、不貞行為を繰り返す者を利することにもなりかねず、不合理である。

(2)以上からすれば、本件不貞行為より前に原告とCの婚姻関係が既に破綻していたと認められないことになるが、訴訟の経緯等に鑑み、更に検討を加える。
ア 被告は、Cが平成27年より前にDに宿泊した女性と不貞関係にあったと主張するが、証人Cはこれを否定するところ、被告本人(陳述書(乙20)を含む。以下同じ。)によっても、このような話をCなどから聞いたというにとどまっており、客観的な裏付けがあるわけではなく、この女性と不貞関係にあったと認めるに足りない。

イ 被告は、Cが平成27年から平成28年頃、キャバクラに勤務していた女性と不貞関係にあったと主張するが、証人Cはこれを否定するところ、被告本人によっても、このような話をCから聞いたというにとどまっており、客観的な裏付けがあるわけではなく、この女性と不貞関係にあったと認めるに足りない。

ウ 被告は、Cが平成28年から平成29年までE(以下「E」という。)という女性と不貞関係にあったと主張する。この点についても、証人Cは不貞関係を否定する供述をしている。
 もっとも、証拠(証人C、被告本人)によれば、Cは、平成29年1月に、E、F(Cの友人の男性歯科医)、Fの知人女性及びG(Cの知人の男性歯科医)の5人で韓国旅行に行っているところ、この旅行にEが行くことを原告に伝えていなかったことが認められる。このように伝えていないことからすると、Eとの関係について後ろめたいところがあったことがうかがわれる。

 ただ、これ以上に客観的な裏付けはなく、CがEと不貞関係にあったと断じることは困難である。なお、仮に、不貞関係にあったとしても、直ちに婚姻関係の破綻が認められるものではないことは、上述したとおりである。

(3)その他被告の主張立証内容を検討しても、本件不貞行為の開始時点で原告とCの婚姻関係が既に破綻していたと認めるべき証拠はない。

2 争点(2)について
 被告は、Cと交際を開始する時点で、被告はCと原告の婚姻関係は既に破綻していると認識していたものであり、このように認識したことについて過失はない旨主張する。
 そして、このように認識した理由として、Cが原告以外の複数の女性と不貞関係にあったことを知っていたことを挙げる。もっとも、被告は、C等から聞いて知ったというにすぎず(被告本人)、不貞関係の客観的な証拠を有していたわけでない。

 また、被告本人は、Cから夫婦関係は既に破綻していると言われたと述べるが、それ以上に、別居しているとか、具体的に離婚協議をしているといったことを聞いていたわけではない。
 加えて、被告の認識を前提とすれば、Cは、妻がいながら、複数の女性と交際するような不倫をいとわない人物ということになるが、そのような人物が夫婦関係は破綻しているなどと甘言を弄して交際に入ろうとすることは、容易に想像できるところであり、このような言葉を信じたとすれば、軽率といわざるを得ない。

 以上の検討からすれば、被告がCと原告の婚姻関係は既に破綻していると認識していたとしても、このように認識したことについて被告に過失がなかったとはいえない
というべきである。その他被告の主張立証内容を検討しても,被告がCと原告の婚姻関係は既に破綻していると認識したことについて被告に過失がなかったと認めるに足りる証拠はない。
 したがって、被告の上記主張は採用することができない。 

3 争点(3)について
 前記前提事実からすれば、原告とCの婚姻期間は、本件不貞行為の開始時点で、24年余りであったところ、本件不貞行為の期間は約4年に及んでおり、被告はCの子を妊娠、出産したことが認められる。もっとも、他方で、証拠(原告本人)及び弁論の全趣旨によれば、原告とCは、離婚しておらず、本件不貞行為発覚後も、同居を継続していることが認められる。
 以上の事情、その他本件に表れた諸事情を総合的に勘案すれば、原告の受けた精神的苦痛に対する慰謝料として、100万円を認めるのが相当である。


4 まとめ
 以上より、被告は、原告に対し、不法行為による損害賠償請求権に基づき、慰謝料100万円及びこれに対する訴状送達の日の翌日である令和5年2月2日から支払済みまで民法所定の年3分の割合による遅延損害金を支払うべきである。

第4 結論
 よって、原告の請求は、主文第1項掲記の限度で理由があるから認容し、その余は理由がないから棄却し、訴訟費用の負担につき民訴法64条本文、61条を適用して、主文のとおり判決する。
東京地方裁判所民事第7部
裁判官 烏田真人
以上:4,997文字
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R 7-11- 5(水):平成13年相続に平成25年改正相続法を適用した家裁審判紹介
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○平成13年2月に死亡した被相続人Nの嫡出子である申立人A・B・C・D・Eが,嫡出でない子である相手方F・G・H・I・J・K・L・Mらに対して,被相続人の遺産の分割を申し立てをして、平成25年法律第94号による改正前の民法900条4号ただし書き前段の適用が問題になった令和5年2月28日那覇家裁審判(判タ1514号250頁)関連部分を紹介します。

○改正前の民法900条四号ただし書きは、「嫡出でない子の相続分は、嫡出である子の相続分の2分の1とする」という規定で、非嫡出子に対する相続差別規定でした。この規定は、2013年(平成25年)9月4日の最高裁判所大法廷の違憲判決を受けて、同年12月の民法改正により削除され、現在は存在しません。

○しかし相続開始時は平成13年2月のため平成25年12月の改正民法が適用になるかどうか争いになりました。那覇家裁は、平成13年2月当時においても,法律婚制度の下で父母が婚姻関係になかったという子にとっては自ら選択ないし修正する余地のない事柄を理由としてその子に不利益を及ぼすことは許されないとして、嫡出子と嫡出でない子の法定相続分を区別する合理的な根拠は失われていたので、本件相続開始時点においても,改正前民法の規定は,憲法14条1項に違反しており(最高裁平成25年9月4日大法廷決定・民集67巻6号1320頁参照)本件では,いずれも被相続人の子である申立人ら及び相手方らの法定相続分は等しい割合とすべきであるとして代償分割金額等を定めました。極めて妥当な審判です。

○被相続人N氏は、嫡出子5人の外に配偶者以外の3人の女性との間に合計8人もの子をもうけ、その上で約4億5000万円の遺産を残して亡くなりました。遺産は、自ら取得したものかどうかは不明ですが、日本国人口増加に大きく寄与し、且つ、平均を大きく超える遺産を残し、その意味では、立派なものです。

**********************************************

審   判

申立人 A B C D E
相手方 F G H I J K L M
被相続人 N

主   文
1 被相続人Nの遺産を次のとおり分割する。
(1)別紙2遺産目録記載5ないし8,10ないし18の各土地,24の借地権,33ないし37の各株式,38ないし53の各預貯金,54の現金及び56ないし58の各権利は,申立人Aが取得する。
(2)別紙2遺産目録記載2,20ないし22の各土地,28ないし30の各区分所有建物及び32の株式は,申立人Bが取得する。
(3)別紙2遺産目録記載19の土地及び31の区分所有建物は,申立人Cが取得する。
(4)別紙2遺産目録記載9の土地は,申立人Dが取得する。
(5)別紙2遺産目録記載23の借地権,26及び27の建物並びに55の権利は,申立人Eが取得する。
(6)別紙2遺産目録記載3の土地及び59の権利は,相手方Jが取得する。
(7)別紙2遺産目録記載4の土地及び25の建物は,相手方Lが取得する。
(8)別紙2遺産目録記載1の土地は,申立人B及び相手方Jの持分各2分の1の割合による共有取得とする。

2(1)申立人Aは,申立人Cに対し,1項(1)の遺産を取得した代償として,2219万0902円を支払え。
(2)申立人Aは,申立人Dに対し,1項(1)の遺産を取得した代償として,2714万7567円を支払え。
(3)申立人Aは,申立人Eに対し,1項(1)の遺産を取得した代償として,3408万6152円を支払え。
(4)申立人Aは,相手方Jに対し,1項(1)の遺産を取得した代償として,38万0927円を支払え。
(5)申立人Aは,相手方Lに対し,1項(1)の遺産を取得した代償として,918万6094円を支払え。
(6)申立人Aは,相手方F,同G,同H,同I,同K及び同Mに対し,1項(1)の遺産を取得した代償として,各1576万9064円をそれぞれ支払え。

3(1)申立人Bは,申立人Cに対し,1項(2)の遺産を取得した代償として,217万2122円を支払え。
(2)申立人Bは,申立人Dに対し,1項(2)の遺産を取得した代償として,265万7297円を支払え。
(3)申立人Bは,申立人Eに対し,1項(2)の遺産を取得した代償として,333万6470円を支払え。
(4)申立人Bは,相手方Jに対し,1項(2)の遺産を取得した代償として,3万7286円を支払え。
(5)申立人Bは,相手方Lに対し,1項(2)の遺産を取得した代償として,89万9167円を支払え。
(6)申立人Bは,相手方F,同G,同H,同I,同K及び同Mに対し,1項(2)の遺産を取得した代償として,各154万3530円をそれぞれ支払え。

4 手続費用は各自の負担とする。

理   由
第1 相続の開始,相続人及び相続分

1 被相続人N(以下「被相続人」という。)は,平成13年2月*日死亡し,相続が開始した。

2 被相続人には,配偶者(昭和27年5月16日婚姻)であるO(以下「O」という。)との間に,A,B,C,D及びEの5人の子がいる。
 被相続人には,○○(平成11年*月*日死亡)との間に,F及びGの2人の子がおり,いずれも被相続人死亡後である平成14年10月16日に認知の裁判が確定した。
 被相続人には,○○との間に,H及びIの2人の子がおり,同人らは,いずれも被相続人により認知されている。
 被相続人には,Sとの間に,J,K,L及びMの4人(以下「相手方Jら」という。)の子がおり,同人らは,いずれも被相続人により認知されている。
 Oは,平成20年*月*日,死亡した。
 したがって,本件遺産分割の当事者となる相続人は,申立人ら及び相手方らである。

3 法定相続分について
 本件相続開始日は,平成25年12月11日より前であるため,平成25年法律第94号による改正前の民法900条4号ただし書き前段(嫡出でない子の相続分を嫡出子の2分の1とする部分)を適用すべきかが問題となる。

 この点,本件相続開始日は,前記部分の憲法適合性に関する各最高裁判例が判断していない時期に該当するため,前記適用の点につき拘束力のある判例は存在しない。

 そこで,我が国の婚姻や家族の実態,諸外国の立法傾向や条約の存在に係る状況及び立法動向や最高裁判所判例に関する評価を踏まえて検討するに,平成13年2月当時においても,法律婚制度の下で父母が婚姻関係になかったという,子にとっては自ら選択ないし修正する余地のない事柄を理由としてその子に不利益を及ぼすことは許されず,子を個人として尊重し,その権利を保障すべきであるという考えが確立されてきていたものということができ,当時の立法府の裁量を考慮しても、嫡出子と嫡出でない子の法定相続分を区別する合理的な根拠は失われていたというべきであり,本件相続開始時点においても,前記部分に係る民法の規定は,憲法14条1項に違反していたものというべきである(最高裁平成25年9月4日大法廷決定・民集67巻6号1320頁参照)。

 そうすると,本件では,いずれも被相続人の子である申立人ら及び相手方らの法定相続分は等しい割合とすべきである


 被相続人の死亡時の法定相続分は,O2分の1,申立人ら及び相手方ら各26分の1であり,Oの死亡により,申立人らに各5分の1の割合で相続され,申立人らの法定相続分は各65分の9となる(計算式は次のとおり)。
(1/26+1/2×1/5=9/65)

第2 遺産の範囲,評価
 別紙2遺産目録(以下「遺産目録」という。)記載1ないし59の各財産が被相続人の遺産であること(同記載6の墓地並びに同記載55,56及び59の債権を含めて本件遺産分割の対象とすること),及び,同記載1ないし31までの各不動産(借地権を含む。)の評価額,同記載32から37までの有価証券(株式)の評価額,同記載38から53までの各預貯金の残高,同55ないし59までの被相続人の財産に係る各権利の債権額ないし評価額が遺産目録記載のとおりであることは,当事者間の合意があり,本件記録によっても認められる。

第3 特別受益及び相続開始後の預金払戻

     (中略)

第4 当裁判所の定める分割方法
1 具体的相続分等

 遺産目録記載の各遺産の相続開始時の評価額合計は,3億1077万4471円であり,前記第3の1記載の申立人Aの特別受益3000万1302円と同2記載の申立人らの預貯金払戻に係る金額合計1億0935万1674円を加算した相続財産(特別受益との関係ではみなし相続財産)の評価額は,4億5012万7447円となる。
 以上から,各当事者の具体的相続分に基づく具体的取得分は,以下のとおりとなる(以下の本項目では,1円未満の金額は切捨計算する。)。

     (中略)

(4)代償分割の検討
 前記(1)ないし(3)の本件遺産分割を実現した場合,Aにおいて前記1(1)の,Bにおいて同(2)の各具体的取得分を超える遺産の取得をすることとなる(Aの取得額は合計1億9805万9721円となり,同人の具体的取得分より1億8760万6018円超過している。Bの取得額は合計5881万8537円となり,同人の具体的取得分より1836万3533円超過している。両名の超過分の金額合計は2億0596万9551円となる。)。

 一方で,その余の申立人ら及び相手方らにおいては,いずれも同(3)又は(4)の具体的取得分に足りず,A及びBにおいて,その余の申立人ら及び相手方らに不足する各金額を代償金として支払うのが相当であり,預貯金債権を分散して取得させるより当該方法によるのが合理的というべきである。

 この点,Aにおいて遺産である預貯金をすべて取得し(取得額合計1億4481万8645円),さらに市場取引のあることも明らかな遺産目録35ないし37の各株式(評価額合計1273万5119円)も取得していることに加え,提出された同人の預金残高を示す資料(甲17)からすれば,Aには,各代償金を支払う資力があると認められ,また,提出されたBの預金残高を示す資料(甲19)からすれば,同人にも同資力があると認められる。なお,相手方F及び同Gは,本件代償分割に関し,遅延利息の取得を主張するものの,同利息の発生は観念できず主張は採用できない。

 A及びBの代償金は,各不足額に応じて負担させるのが相当であり,次のとおり,各代償金額を定めるのが相当である(1円未満の端数については,計算結果に基づき適宜調整した。)。
(Aの負担割合)
91.08435%(計算式:187,606,018÷205,969,551=約0.9108435)

(Bの負担割合)
8.91565%(計算式:18,363,533÷205,969,551=約0.0891565)

(Cへの代償金)
C取得分      4045万5003円
C取得額      1609万1979円
不足額       2436万3024円
A代償金      2219万0902円
B代償金       217万2122円

(Dへの代償金)
D取得分      4045万5003円
D取得額      1065万0139円
不足額       2980万4864円
A代償金      2714万7567円
B代償金       265万7297円

(Eへの代償金)
E取得分      4045万5003円
E取得額       303万2381円
不足額       3742万2622円
A代償金      3408万6152円
B代償金       333万6470円

(Jへの代償金)
J取得分      1731万2594円
J取得額      1689万4381円
不足額         41万8213円
A代償金        38万0927円
B代償金         3万7286円

(Lへの代償金)
L取得分      1731万2594円
L取得額       722万7333円
不足額       1008万5261円
A代償金       918万6094円
B代償金        89万9167円

(その余の相手方らへの代償金)
各取得分及び不足額 1731万2594円
A代償金      1576万9064円
B代償金       154万3530円

第5 結論
 よって,主文のとおり審判する。
(裁判長裁判官 井上直樹 裁判官 高橋良徳 裁判官 島尻香織)

別紙
1〈省略〉
2 遺産目録〈省略〉
3 特別受益目録〈省略〉
4 位置関係の概要〈省略〉
以上:5,125文字
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R 7-11- 4(火):多数回の暴言・暴行について慰謝料30万円の支払を命じた地裁判決紹介
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○暴行に対する慰謝料を認めた裁判例を探していますが、暴行だけを理由としての慰謝料請求に対する判決は余り見つからず、暴行だけの理由ではなかなか慰謝料は認められないようです。

○原告が、同じ勤務先の知人であった被告から、多数回暴言や暴行を受けるなどし、これが原告に対する不法行為に該当すると主張して、被告に対し、不法行為に基づく損害賠償として、慰謝料200万円と弁護士費用等を請求しました。

○原告は被告の不法行為として、約4か月間、周囲に止める者等がいない状態で、本件ロッカー室内で「いじめ殺す」等の粗暴で攻撃的な言葉を告げるとともに、身体(主に背中)を叩く、後ろから首付近に腕を回して強く絞めるなどの暴行を多数回、継続的に行ったと主張しました。

○これに対し被告は休憩時間中に本件ロッカー室において、本件各発言を行ったり、その際に原告の身体を触ったり叩いたりしたことは認めるも、時期を争い、原告に対する好意的な感情から発せられたもので、原告は発達障害により他人との距離感が把握しにくい特性があり、原告の対応から自身が原告に受け入れられていると認識して気が緩み、ふざけて不適切な言動に及んだもので不法行為には該当しないと答弁しました。

○この事案について、原告がその場で強い抵抗を示さなかったこと、原告が休憩時間に本件ロッカー室に来ることをしばらくの間やめなかったことを踏まえても、原告がこれに同意して受け入れていたとは認められず、被告においても原告がこれらの行為に真に同意していたものでないことを認識していたと認められ、「殺す」や「奥さん襲う」等が直ちに現実的にこれらを実行することを示す趣旨で発言されたとまでは認め難いものの、これらが、原告に対する実際の暴行を伴って一定期間継続して多数回行われていることなどの本件不法行為の態様等に照らせば、全体として、原告に身体的攻撃による痛みのほか、相当な不快感、不安感を与える言動の一部と評価するのが相当で、被告が主張するような冗談や悪ふざけとして許容されるものとはいえないとして、慰謝料30万円の支払を命じた令和6年8月21日東京地裁判決(LEXDB)全文を紹介します。

○認定した事実関係でも慰謝料は200万円の請求に対し僅か30万円しか認められておらず、原告としては納得できない判決と思われます。

********************************************

主   文
1 被告は、原告に対し、33万円及びこれに対する令和4年5月24日から支払済みまで年3分の割合による金員を支払え。
2 原告のその余の請求を棄却する。
3 訴訟費用はこれを20分し、その17を原告の負担とし、その余を被告の負担とする。
4 この判決は、第1項に限り、仮に執行することができる。

事実及び理由
第1 請求の趣旨

 被告は、原告に対し、220万円及びこれに対する令和4年5月24日から支払済みまで年3分の割合による金員を支払え。

第2 事案の概要
 本件は、原告が、同じ勤務先の知人であった被告から、令和4年1月頃から同年5月24日にかけて、多数回暴言や暴行を受けるなどし、これが原告に対する不法行為に該当すると主張して、被告に対し、不法行為に基づく損害賠償として、慰謝料及び弁護士費用計220万円及びこれに対する不法行為の最終日である令和4年5月24日から支払済みまで民法所定の年3分の割合による遅延損害金の支払を求める事案である。

1 前提事実(当事者間に争いのない事実並びに後掲証拠(以下、証拠番号は枝番を含む。)及び弁論の全趣旨から容易に認定できる事実)
(1)原告及び被告は,本件当時、東京都葛飾区所在の医療法人財団C病院(以下「本件病院」という。)の従業員であった。なお、被告は、令和4年10月31日から休職し、令和5年11月30日、自然退職となった。

(2)被告は、令和4年4月15日(以下、同年の出来事については年の記載を省略する。)から5月24日の本件病院での休憩時間中、本件病院4階男子ロッカー室(以下「本件ロッカー室」という。)において、原告に対し、別紙「2暴言」記載の各発言をした(以下「本件各発言」という。)。 

2 争点及びこれに対する当事者の主張
 本件の主要な争点は、被告による不法行為の有無及び損害額である。
(1)不法行為の有無
(原告の主張)
 被告は、1月頃から、原告に対し、本件ロッカー室において、休憩時間中、「殺すぞこの野郎」等の暴言をかけるようになり、その後、暴言のほか、原告に対し、背中や頬を殴る、首を絞めるなどの暴行を毎日のように行うようになり、その一部が本件各発言及び別紙「1暴行」記載の各暴行(以下「本件各暴行」といい、個別の機会の暴行については別紙記載の番号を付して「本件暴行1」などという。)である。
 被告による上記暴言、暴行が社会通念上許容されないものであることはその内容から明らかであり、原告に対する不法行為が成立する。

(被告の主張)
ア 被告が、原告に対し、休憩時間中に本件ロッカー室において、本件各発言を行ったり、その際に原告の身体を触ったり叩いたりしたことがあることは認めるが、1月頃から毎日のように行ったとする点は否認する。

イ 被告による原告への言動には不適切なものが含まれるが、原告に対する好意的な感情から発せられたものである。被告は、発達障害により他人との距離感が把握しにくい特性があるところ、原告の対応から自身が原告に受け入れられていると認識して気が緩み、ふざけて不適切な言動に及んでしまったものである。

ウ 原告は、5月24日までの被告の言動を録音した後、本件ロッカー室での休憩を止めて被告の言動についてカウンセラーに相談を始め、被告との接点がほぼなくなった後に通院を開始していることなどから、原告が被告の言動により適応障害を発症したことには疑義がある。

エ 上記事情からすれば、被告の原告に対する言動は不法行為に当たらない。

(2)損害額
(原告の主張)
ア 慰謝料 200万円
 原告は、被告による暴言、暴行を直接の原因として適応障害に陥った。その精神的損害を評価すれば200万円を下らない。
イ 弁護士費用 20万円

(被告の主張)
 争う。

第3 当裁判所の判断
1 認定事実

 前提事実、後掲証拠及び弁論の全趣旨によれば、以下の事実が認められる。
(1)原告と被告は、本件病院における職務上の関係は特になかったが、休憩時間等に本件ロッカー室で顔を合わせることなどから、1月頃には、本件ロッカー室で会話等をする関係となった。被告は、1月頃以降、原告に対し、「殺すぞ」などと言ったり、背中を叩いたりするようになった。被告による上記のような発言や暴行は、4月までに頻度が高くなったため、原告は、被告に処分を受けさせようと考え、4月15日から5月30日まで、本件ロッカー室での被告の言動を録音した。本件病院には、原告が休憩時間を過ごせる場所は他にも存在したが、原告は、仮眠をとるには本件ロッカー室が最適だと考えており、5月までは、被告の言動を理由に休憩時間に過ごす場所を変更することはしなかった。(甲2~8、13、原告本人、被告本人)

(2)被告は、4月15日から5月24日の間、休憩時間中に、本件ロッカー室において、原告に対し、本件各発言をした。また、被告は、本件各発言のされた休憩時間中に、原告に対し、背中を平手で叩く、肩を拳骨で叩く、後ろから首付近に腕を回して強く抱き締める等の行為を行った。上記各行為の内容等は、具体的な殴打の部位・回数等について詳細な認定が困難な部分があるものの、概ね本件各暴行のとおりである(ただし、「首を絞める」とは上記のような行為の限度で認められ、本件暴行13の「頬を1回叩く」及び同14の「ロッカーへ1回突き飛ばす」は、録音反訳でも対応する出来事は判然とせず、具体的な事実経過も明らかでないところ、原告の供述のみからこれらを認めるに足りない。)。(甲2~8、13、乙5、原告本人、被告本人)

(3)原告は、6月以降、休憩時間に本件ロッカー室で休憩することをやめ、原告は、6月6日頃、本件病院のカウンセラーに対し、メールで人間関係についての悩み相談を申込み、同年7月11日、カウンセラーに対し、被告の本件各発言や本件各暴行等の言動について、刑事事件として書類送検されることを希望していることなどの相談をした(甲1、原告本人)。

(4)原告は、7月上旬頃、本件病院に対し、被告による本件各発言及び本件各暴行の被害を訴えた。被告は、7月13日、本件病院の事務長に呼び出され、原告に対する言動について厳重注意を受けた。被告は、同日、本件ロッカー室で原告と出会い、謝罪の弁を述べた。同日頃以降、被告が休憩時間を本件ロッカー室で過ごすことはなくなり、原告と被告が病院内で接触する機会はほとんどなくなった。(甲13、乙5、原告本人、被告本人)

(5)原告は、7月30日、強度の不安やイライラ等を訴え、神経科D病院を受診し、「うつ病(適応障害)」の診断を受け、同日から令和6年1月27日まで通院した(甲9)。

2 不法行為の有無について
(1)前記認定のとおり、被告が、少なくとも4月以降、原告に対し、本件各発言をし、その機会に本件各暴行と概ね一致する暴行(本件暴行13、14については一部を除く。)を行ったこと、同様の言動は、1月頃以降に始まり、頻度は4月以降より低かったものの、3月までの間にも行われていたことが認められる(以下「本件不法行為」という。)。なお、被告は録音開始前の暴行、暴言の事実を否認するが、それまでに何ら問題となる暴行等がないにもかかわらず、原告において録音を開始し、録音開始間もなく暴行や暴言が始まるに至るとは考え難く、1月頃以降に暴行、暴言が始まった旨の原告の供述は信用でき、この認定を妨げるに足りる証拠はない。

(2)本件不法行為は、散発的に行われていた期間を含めれば約4か月間、頻回の行為態様が具体的に認定できる期間に限っても1か月余りの間、周囲に止める者等がいない状態で、本件ロッカー室内で「いじめ殺す」等の粗暴で攻撃的な言葉を告げるとともに、身体(主に背中)を叩く、後ろから首付近に腕を回して強く絞めるなどの暴行を多数回、継続的に行ったものであり、原告がその場で強い抵抗を示さなかったこと、原告が休憩時間に本件ロッカー室に来ることをしばらくの間やめなかったことを踏まえても、原告がこれに同意して受け入れていたとは認められず、当時の録音から窺えるやりとりに照らし、被告においても原告がこれらの行為に真に同意していたものでないことを認識していたと認められる。

本件各発言を個別に見ると、友人間の悪ふざけの域を出ないと見る余地があるものも含まれており、その文脈に照らし、「殺す」や「奥さん襲う」等が直ちに現実的にこれらを実行することを示す趣旨で発言されたとまでは認め難いものの、これらが、原告に対する実際の暴行を伴って一定期間継続して多数回行われていることなどの本件不法行為の態様等に照らせば、全体として、原告に身体的攻撃による痛みのほか、相当な不快感、不安感を与える言動の一部と評価するのが相当であり、被告が主張するような冗談や悪ふざけとして許容されるものとはいえない。

 したがって、本件不法行為は、原告に対する不法行為に該当し、被告はこれにより生じた原告の損害を賠償する義務を負う。
 被告は、発達障害を有していたため原告が自分を受け入れてくれていると思って本件不法行為に及んでしまったなどとも主張するが、被告が上記のような障害を有していたとしても、他人に粗暴な声をかけながら身体を殴る等の加害行為を継続的に行うことが許されないことは明らかであり、被告においてそのことが理解できなかったとも解されない。前記のとおり、原告と被告のやりとりからも、原告が被告からの攻撃について真に同意していないことは把握していたと認められるのであって、被告の上記主張は不法行為の成立を妨げるものとはいえない。

3 損害額
(1)慰謝料 30万円
 原告は、本件不法行為によりうつ病ないし適応障害に罹患したことを前提に、原告の精神的苦痛に対する慰謝料は200万円を下らないと主張する。
 しかし、前記各認定事実によれば、原告は、被告の本件不法行為を受けている間、被告との接触を避けることはせず、本件ロッカー室での仮眠を優先して休憩場所を変えなかったこと、原告が具体的な症状を訴えて精神科を受診したのは、被害がなくなってから2か月以上後であり、かつ、被告が勤務先から処分を受けた後の7月30日であること、原告の適応障害の診断は、専ら原告からの主観的愁訴を前提としたものであると考えられるところ、その具体的な診療経過等も必ずしも明らかでないこと、以上の事実が認められる。

これらの事実からすれば、原告が罹患したとされる適応障害が、被告の言動(本件不法行為)により発症したものであることを直ちに認めることは困難である。また、原告の精神科への受診が本件不法行為を契機とするものであること自体は否定できないとしても、当該通院等により、原告の業務等に具体的な影響が生じたことを認めるに足りる的確な証拠はない。

 以上を踏まえ、被告の発言及び暴行の態様や頻度、継続期間等を含む本件不法行為の内容、被告の身体的暴行により原告が治療を要するような傷害を受けた事実は認められないこと、その他、本件に顕れた一切の事情を総合すると、本件不法行為により原告が被った精神的損害に対する慰謝料は30万円と認めるのが相当である。

(2)弁護士費用 3万円
 本件事案の内容、訴訟の難易、認容額等に照らし、原告が負担した弁護士費用は3万円の限度で本件不法行為と相当因果関係にある損害と認められる。

第4 結論
 よって、原告の被告に対する請求は、不法行為に基づく損害賠償請求として33万円及びこれに対する不法行為の最終日である令和4年5月24日から支払済みまで民法所定の年3分の割合による遅延損害金の支払を求める限度で理由があるからこれを認容し、その余の請求は理由がないから棄却することとして、主文のとおり判決する。
東京地方裁判所民事第7部 裁判官 伊藤吾朗

別紙

以上:5,836文字
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R 7-11- 3(月):映画”もしも徳川家康が総理大臣になったら”を観て-浜辺美波氏がいい
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○令和7年11月1日(土)午後、AmazonPrimeで映画「もしも徳川家康が総理大臣になったら」を鑑賞しました。勿論、日本語字幕付です。令和6年製作公開映画で映画コムでは「コロナ禍の2020年、首相官邸でクラスターが発生し、総理大臣が急死した。かつてない危機に直面した政府は最後の手段として、歴史上の偉人たちをAIホログラムで復活させて最強の内閣をつくることに。江戸幕府を作った伝説の男・徳川家康を総理大臣に据え、織田信長や豊臣秀吉といった偉人たちが集結した夢のような内閣が誕生する。」と解説されています。

○令和3年に出版され大ヒットした同名ビジネス小説が原作とのことですが、小説も読んでおらず、何ら予備知識無く鑑賞しました。家康役野村萬斎氏、豊臣秀吉役竹中直人氏、信長役GACKT氏でしたが、やはり一番印象に残ったのは信長役GACKT氏でした。独特の存在感と貫禄があります。秀吉役竹中直人氏は正に定番で、独自の秀吉像をスッカリ固めており、その暴走もスンナリと受け入れられました。家康役野村萬斎氏は前2者に比べると最後まで影が薄いままでした。家康役野村萬斎氏の最後の演説も、残念ながら、妙に説教調で、余り響きませんでした。

○北条政子役江口のりこ氏は独特の存在感があり、NHKTV小説あんぱんの母親役を思い出しながら鑑賞しました。アナウンサー志望の新人テレビ局員・西村理沙役の浜辺美波氏は、ホントに見栄え良く、往年の吉永小百合氏にも匹敵すると感じ入りました。NHKTV小説らんまんや最近のゴジラで神木隆之介氏と夫婦や連れ合いを演じましたが、その清楚さにはウットリとします。同世代の美人役者にはNHKTV小説おむすびの橋下環奈氏も居ますが、私は浜辺美波氏の方が好みで、これからの活躍が楽しみです。

○家康など過去の人物がどのような方法で現代に甦るのかと思ったら、AI技術とホログラム技術の融合で作る立体映像として甦るとのことでした。要するにコンピュータで作られたプログラム作品で、この映画では、一部にプログラムバグがあり、そのバグで一部暴走が興るも、なんとか収めるストーリー展開です。令和6年の作品ですので、映像の綺麗さは文句なく、目に心地よく鑑賞できました。

映画『もしも徳川家康が総理大臣になったら』予告【7月26日(金)公開】


以上:959文字
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R 7-11- 2(日):2025年11月01日発行第400号”弁護士の四字熟語”
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○横浜パートナー法律事務所代表弁護士大山滋郎(おおやまじろう)先生が毎月2回発行しているニュースレター出来たてほやほやの令和7年11月1日発行第400号「弁護士の四字熟語」をお届けします。

○「論語」は殆ど読んだことがない私にも「巧言令色」は言葉巧みで見た目も良いと言う意味で、口先だけで中身はないというような余り良い意味ではないとは思っていました。しかし「暖衣飽食」は全く知りませんでした(^^;)。漢字から暖かい衣を着て腹一杯食べるくらいは予測できますが、否定的な意味とも知りません。大山先生言われるように「衣食足りて礼節を知る」は正にそのとおりで、最近は、景気が悪いせいか「貧すれば鈍する」方が増えているような気がします。

○大山先生が好きだと言う「汗牛充棟」も今回初めて知りました。古典から現代物、和洋様々な膨大な数の本に囲まれている大山先生が偲ばれますが、私の事務所は自宅にも高尚な文学本等は余りありませんが、結構な数の本があり、終活準備中の私は処分方法をどうするか迷っているところです。いざ捨てるとなるとシッカリ読んでいないのにというより、シッカリ読んでいないから勿体ないと思い、なかなか捨てられないのが辛いところです。

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横浜弁護士会所属 大山滋郎弁護士作

弁護士の四字熟語

私の好きな四字熟語を紹介していきます。愛読書の「論語」由来の四字熟語なんて大好きです。「巧言令色」なんて言葉があります。「令色」とは見た目がいいことです。「令嬢」や「令和!」の「令」ですね。「巧言」とは言葉が上手いことです。見た目がカッコ良い人が巧みな弁論をするというのが、この四字熟語の意味です。それなら、そんな人を目指せというのかと思えば違います。そういう人は真心に欠けているんだというのが、孔子先生のお考えです。でも、弁護士としてお客様に接することを考えると、見た目も話し方も素敵な方が良いに決まっています。そういえば結婚相談所に入会したばかりの人に最初に指導するのは、身なりと言葉遣いだそうです。私など、身なりや話し方など、いつも妻に怒られています。もっと注意していきたいものです。

「暖衣飽食」という、これまた論語の四字熟語も好きです。文字通り、暖かい衣服と十分な食事を意味しますが、こちらも論語の中では否定的に捉えられている言葉です。志を持った人間は、「暖衣飽食」などを求めてはいけないというのが、孔子のお言葉です。これまた大先生に逆らうようですが、私は暖衣飽食をしっかりと追求すべきだと思うのです。寒さに震えていたり、お腹が空いたりした場合、人間はろくなことを考えません。「衣食足りて礼節を知る」のです。まずは自分が十分に「暖衣飽食」をして、初めて他人のことを考えることができるようになるはずです。そういえば最近、弁護士が預り金に手を出したといった横領事件のニュースをよく見ます。若い頃は自分の「暖衣飽食」を後回しにして人権問題などに取り組んでいた弁護士が、こういう事件を起こすことがよくあるんです。一方、最初から企業系の仕事をして、若い頃から儲けているような弁護士の場合、こういう不祥事を聞いたことはありません。というわけで、私もまずは「暖衣飽食」を考えたいと思うのです。(おい。。。)

論語以外にも好きな四字熟語はあります。「汗牛充棟」なんて、本好きにはたまらない言葉です。昔の本は、竹や皮で作られていたので、とても重かった。そんな重い本が沢山あるので、運ぶのには牛が汗をかき、家には本が満ち溢れているといことだそうです。私自身本が好きですから紙の本が積み上がっているのを見ると嬉しくなります。豪邸を建てた成金が、「見栄えの良い本を100万円ほど見繕って飾ってくれ」と言ったなんて笑い話がありますが、私も似たようなものです。読めもしない難しい本で本棚を飾ると、なんか賢くなったような気になるのです!

でも還暦を過ぎて気が付いたのですが、本を1万冊読む人よりも、1冊の本を読んでその内容を実践する人の方がよほど凄い。昔の人たちは、論語や聖書だけを読んで思索を深めていたそうです。そう考えますと、四字熟語についても、あれもこれもと紹介するより、「絶対にこれだけを実践して!」という四字熟語を伝えるのが大切なんでしょう。というわけで、私が絶対お勧めする四字熟語は「乱打必中」です。「下手な鉄砲も数打ちゃ当たる」という意味です。これって本当に真理だと思います。「何をしてもうまくいかない」なんて愚痴をこぼしている人がいます。そういう人に「これまでに何をしてきたんですか」と聞いてみると、特に何もしていなかったなんてことはよくあります。

弁護士は脳内でのシミュレーションが得意ですから、現実に行動する前に、「これはダメだろう」なんて諦めてしまうんです。わ、私のことです。。。 うちの事務所は「独立道場」ということでやっていますが、独立してうまくいく人は共通しています。何か思いついたことがあると、まずはエイやでやってみる人です。大体最初は失敗しますが、それに懲りずにまたやってみる。諦めずに下手な鉄砲を撃ち続ければ、そのうち当たるんですね。私自身、独立開業したときの「乱打必中」の気持ちを、忘れずにいたいなと思ったのでした。

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◇ 弁護士より一言

今回ニュースレターを書く中で、現代の新四字熟語を知りました。無礼な人を表わす四字熟語が「既読無視」なんだそうです。き、気を付けます。「七菌八起」といおい。。。うのもありました。「ななコロナ やおき」と読むそうです。なるほど! 一番ドキッとしたものに「減量無理」なんて熟語がありました。思い当たるだけに、そういう四字熟語は止めて欲しいと思うのでした。。。。

以上:2,422文字
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R 7-11- 1(土):ああ無情!多焦点レンズ手術希望で受診するも時期尚早宣告2
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○「ああ無情!多焦点レンズ手術希望で受診するも時期尚早宣告」を続けます。
老眼鏡から解放されたく、意を決して、白内障多焦点レンズ挿入手術希望として春樹記念眼科で岡部仁先生の診察を受けたところ、各種検査の結果、時期尚早と診断され、次回は適切な老眼鏡使用のメガネ合わせ検査となり、当分老眼鏡から解放されないことになり、ガッカリしていました。

○その後、Googleで白内障眼内レンズ挿入手術適用要件とのキーワードでGoogle検索をかけるとAIによる概要として以下の回答でした。

白内障眼内レンズ挿入手術の主な適用要件は、白内障による視力低下で日常生活に不自由が生じていること、そして原則として白内障以外に重篤な目の病気がないことです。
また、手術のタイミングは、眼鏡などでの矯正視力が0.5以下になることが目安ですが、患者さんの自覚症状や生活状況に応じて医師が総合的に判断します。

具体的な適用判断のポイント
自覚症状の程度

視力低下、かすみ、ぼやけ、まぶしさなどにより、読書、運転、趣味などの日常生活に支障が出ている。

矯正視力
眼鏡などで矯正しても、視力が0.5以下になっている場合。

目の状態
白内障のほかに、緑内障、加齢黄斑変性などの重篤な眼疾患がないこと。
全身状態が良好で、手術に耐えられること(寝たきりの方や重度の認知症の方は手術できない場合がある)。

患者さんの希望
眼鏡からの解放を希望していること。
多焦点眼内レンズを選択する場合は、術後のハロー・グレア現象(光の輪、まぶしさ)の可能性や、数ヶ月で新しい見え方に慣れる必要があること、眼鏡が完全になくなるわけではないことなどを理解・納得していること。


○上記要件に当て嵌めると、私の老眼鏡による矯正視力は1.2以上と言われており、また、自覚症状として、視力低下により裸眼では日常生活に支障がありますが、かすみ、ぼやけ、まぶしさなどにより、読書、運転、趣味などの日常生活に支障が出ているとは言えません。老眼鏡をかけると視力が1.2以上になるとしても、そのいちいち老眼鏡をかける煩わしさから解放されるためにレンズ挿入手術を希望しているのですが、それが叶えられないのが、ああ無情!です。

○「感激-サンテルタックス20+DHAの1年間服用で加齢性黄斑変性消失」記載のとおり、令和2年の検診での眼底検査で、左目に加齢性黄斑変性を指摘されて定期健診を受けている大橋眼科山口医師の診察を受けると、私の黄斑変性は「萎縮型」で特に治療は必要ないとされ、眼の健康を保つ大切な栄養素ルティンを含むサンテルタックス20の毎日服用を勧められて、毎日飲み始めるとなんと1年後に黄斑変性が消滅しました。サンテルタックス20は現在も毎日服用していますが、先日の検査でも黄斑変性は全く無いと診断されて安心しました。

○平成眼科で眼内多焦点レンズ挿入手術を受けメガネから解放され感激し、私に盛んに手術を勧めたくれた友人に結果を報告して、彼の手術前の眼の状態を確認すると乱視等もあり矯正視力も悪く相当問題があったとのことで正に手術適用要件に該当したようです。「老眼と加齢性白内障との違い-矯正視力1.5でも白内障か?」に「白内障は老眼鏡で矯正できず、老眼は老眼鏡で矯正できる」との解説を紹介し、「矯正視力「1.5」まで回復するのに加齢性白内障と診断されるのが納得できない」と書いていましたが、次の診察日にホントに白内障なのかどうかを確認してみます。
以上:1,419文字
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