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ご訪問有り難うございます。当HPは、私の備忘録を兼ねたブログ形式で「桐と自己満足」をキーワードに各種データを上記14の大分類>中分類>テーマ>の三層構造に分類整理して私の人生データベースを構築していくものです。
なお、出典を明示頂ければ、全データの転載もご自由で、転載の連絡も無用です。しかし、データ内容は独断と偏見に満ちており、正確性は担保致しません。データは、決して鵜呑みにすることなく、あくまで参考として利用されるよう、予め、お断り申し上げます。
また、恐縮ですが、データに関するご照会は、全て投稿フォームでお願い致します。電話・FAXによるご照会には、原則として、ご回答致しかねますのでご了承お願い申し上げます。
     

R 7- 5- 6(火):映画”ナチュラル”を観て-残念ながら、ネタバレ
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恐れ入りますが、本ページは、会員限定です。

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R 7- 5- 5(月):映画”セブン”を観て―4KUHD版映像は大変綺麗でした
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○令和7年5月3日(土)は、午後、最近息子が購入した4KUHDソフトで1995(平成7)年製作映画「セブン」を鑑賞しました。映画コムでは「独特のビジュアルセンスとダークな物語で大ヒットを記録し、鬼才デビッド・フィンチャーの名を一躍世界に広めたサスペンススリラー。」、「2025年には、1995年の全米公開から30周年を記念して、フィンチャー監督が自ら監修した4K修復版がIMAXで公開。」と解説されており、私が鑑賞したのは30周年記念4K修復版です。

○実は10数年前に息子がBD版を購入し、私のライブラリーに入っていましたが、鑑賞したかどうかは記憶になく、今回、4KUHD版を鑑賞しても、ラストの衝撃場面に至るまで、全く初めての感覚で鑑賞していました。令和7年からは30年前の作品ですが、4KUHD版の映像は大変綺麗で、綺麗な映像好きの私には大変心地よく鑑賞できるものでしたが、ラストの衝撃場面に至り、この光景どこかで観た記憶があると感じました。ラストの衝撃ストーリーは覚えていませんでしたが、そこに至る直前の光景だけは、かすかに記憶にありました。10数年前にBD版を鑑賞していたのかも知れません。しかし、鑑賞していながら、この衝撃のラストを覚えていないとしたら、余りの記憶力の衰退を嘆かざるを得ません。

○ラストに至るまで殺人事件現場描写が5件程続きますが、正に猟奇的殺人の連続で、グロテスク場面が苦手な方には少々キツい映画です。このグロテスクな殺人現場の記憶は全くなく、ラストの荒涼としたシーンだけのかすかな記憶があるのは不思議でした。最後の最後に衝撃の結末を迎えますが、ここに至る若手刑事役のブラッド・ピット氏の演技は、流石、役者と感じさせる素晴らしいものでした。どうすべきかうつろう表情が自然で、あの状況に至った人間なら、誰でもあんな表情になるのだろうと、実感として感じさせる演技でした。

○連続殺人事件の犯人は、衝撃のラストに至るまで綿密に計算して、計算通りのラストを実現する結論です。犯人役ケビン・スペイシー氏の不気味な演技も見事でした。

【IMAX初上映】映画『セブン』4K版予告 2025年1月31日(金)期間限定公開

以上:910文字
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R 7- 5- 4(日):愛人契約における愛人の地位保護についての考察雑感-二重婚禁止の趣旨
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○「愛人契約における愛人の地位保護についての考察雑感-妾は愛人契約?」の話題を続けます。
角栄氏は、正妻はな夫人の外に公認の二号―お妾さんとして辻花子氏、さらに公認の政務秘書兼愛人として佐藤昭子氏の二人の愛人を持ち、それぞれ子供さんももうけていました。今の時代なら、それが判明した時点で不倫だ!不貞だ!けしからんと、騒がれ総理大臣まで昇り詰めることはできなかったと思われます。しかし、当時は、妾を持つのは男の甲斐性といわれた時代で、お金のある人は、二号・三号と呼ばれる女性を愛人として持つことが非難の対象になっていなかった記憶しています。

○辻和子氏は佐藤昭子氏の角栄氏に関する著作の中には、角栄氏は定期的に辻氏や佐藤氏の居宅を訪れ、子供たちと一緒に食事を共にして宿泊していった様子が記述されており、角栄氏にとって辻氏・佐藤氏との生活部分は第二・第三の家庭で、準婚姻関係とも評価できます。特に辻氏との間には夭折した女子を含めて3人の子供がおり、長男・二男に対する父親ぶりが詳細に描かれ、角栄氏にとって正に家族であり家庭でした。しかし、角栄氏は、正妻はな氏の配偶者であり、重ねての婚姻は許されません。

○実質的には、辻氏・佐藤氏との関係は二重婚・三重婚とも評価されますが、日本では以下の通り、正式婚姻以外の婚姻は禁止されています。
民法第732条(重婚の禁止)
 配偶者のある者は、重ねて婚姻をすることができない。
刑法第184条(重婚)
 配偶者のある者が重ねて婚姻をしたときは、2年以下の懲役に処する。その相手方となって婚姻をした者も、同様とする。


○この民法・刑法で規定された二重婚とは、法律上の婚姻で、婚姻届け出をして戸籍係に受理された場合を言います。従前は婚姻届け出の際、戸籍謄本が必要とされて居ましたので、婚姻していれば当然戸籍に記載されていますので、事実上、二重の婚姻届けは不可能でした。令和6年3月1日から戸籍全部事項証明書(戸籍謄本)の添付が原則不要になったとのことですが、戸籍係が受理する際に、戸籍を確認しますので、戸籍に婚姻が記載されている限り、婚姻届受付却下となることに変わりません。従って民法・刑法で禁止された二重婚届け出は手続き上不可能で犯罪として成立した例はないと思われます。わずかに犯罪として存在した例は、偽造離婚届で戸籍上離婚となっていた者が婚姻届けをして二重婚禁止規定違反犯罪として起訴された例があるそうです。

○以上の通り、法律で禁止された二重婚は、二重の婚姻届け出をして法律上も二重婚姻になった場合であり、原則として、二重婚姻届け出は受理されませんから、偽造の離婚届け出をして戸籍上離婚状態となってい場合を覗いて犯罪として成立することはありません。法律は、婚姻届け出をしないでの実質的二重婚は禁止していません。実際、正妻とは不仲となり、愛人宅に入りびたり、愛人との生活が実質婚姻状態となっている二重婚の例は山のようにあり、民事上の貞操義務違反としての損害賠償責任問題は生じています。

○角栄氏の凄いところは、正妻はな氏との婚姻関係も正常に維持して、且つ、辻・佐藤両氏との二重婚も円満に維持し、辻・佐藤両氏が角栄氏を心から慕い、角栄氏との生活を偲ぶ著作まで残していることです。角栄氏の秘書早坂氏の弁では、その他一時的愛人が多数いるも、恨みを持たれた例は全くないとのことです。しかし、佐藤氏の著作では、角栄氏が女性関係が派手と言われているが、政治家になってからは、忙しくて多数の女性関係を持つヒマなどなく、角栄氏の多数の女性関係は噂に過ぎないと完全否認する記述をしています。佐藤氏をしてこのように思わせたことも角栄氏の凄いところです(^^;)。
以上:1,523文字
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R 7- 5- 3(土):愛人契約における愛人の地位保護についての考察雑感-妾は愛人契約?
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○「2025年05月01日発行第388号”闇の弁護士 ”」の中で、大山先生は、「日本の弁護士は、「人権」「男女平等」は大好きですが、「愛人」に対してはとても冷たい。愛人は労働法で保護しようという見解は、私一人しかいないんです。」と述べられています。日本の弁護士が「愛人」に冷たいのは全く同感ですが、「愛人」は労働法で保護しよういう見解は初耳でした。この考えでは愛人契約は雇用契約での労働者になり、労働基準法が適用になり、愛人手当は賃金として保護され、労働条件等各種保護規定の適用を受けます。

○弁護士が「愛人」にとても冷たいという評価は、妻の立場から不貞行為第三者責任として損害賠償請求の対象としかみていないことを指すと思われます。妻の「愛人」に対する夫の立場も同様です。日本では既婚者が配偶者以外の異性に対し一定の対価を支払い、一定の性的関係を持つ愛人契約は、一般的に無効とされています。その根拠は、既婚者はお互い貞操義務を負い、貞操義務に違反する契約は、公序良俗に反する契約と解釈されているからです。

○愛人契約の内容レベルはピンキリで相当の差がありますが、田中角栄氏は、お妾さんとして公認二号の辻和子氏と政務秘書として公認の佐藤昭子さんの公認の愛人が2人いました。秘書の早坂氏によるとその他一時的愛人は多数居たとのことで女性関係が大変華やかな方でした。2人の愛人は、角栄氏との生活について本まで書いて田中氏を心から慕い偲び、また早坂氏の弁では一時的多数の愛人も角栄氏が倒れると見舞いを寄こすなど田中氏を恨む女性は全く居なかったとのことが角栄氏の凄いところです。私は公刊された愛人の書籍は全て購入して読んでおり、角栄氏の人間性にただただ感銘しています。辻氏との間には認知した3人の子供が、佐藤氏との間にも未認知の子供が1人居ます。

○田中氏と辻氏や佐藤氏の関係は公認の愛人であり、田中氏が居宅を提供し毎月の対価支払は当然あったはずです。この関係を愛人契約と呼ぶのはちとはばかれますが、契約として無効かと言われると無効ではないと思います。愛人契約無効の根拠は、貞操義務違反の公序良俗に反することですが、田中氏の妻はな氏も事実上公認しており、貞操義務が解除されていると解釈できるからです。長女真紀子氏は公認せず、田中氏が倒れるとたちまち追い出しにかかっていますが、真紀子氏にはそのような権利はありません。

○田中氏と2人の愛人のような例は、愛人契約として有効であり、辻氏も佐藤氏も契約上の対価の支払等認められると思われます。角栄氏が倒れた後は長女真紀子氏によって関係を遮断され、対価の支払等も事実上断たれたようですが、私は法的には権利として主張は可能と解釈しています。勿論、辻氏も佐藤氏も角栄氏の症状を心配するだけで法的権利の主張など全くしていないはずです。

○愛人契約は一律に公序良俗違反で無効と決めつけるべきでなく、その内容・程度によっては法的効力を認めて保護の対象にすべきと思いますが、今の日本では到底受け入れられないでしょうね(^^;)。
以上:1,262文字
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R 7- 5- 2(金):2025年05月01日発行第388号”闇の弁護士 ”
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○横浜パートナー法律事務所代表弁護士大山滋郎(おおやまじろう)先生が毎月2回発行しているニュースレター出来たてほやほやの令和7年5月1日発行第388号「闇の弁護士」をお届けします。

○50年以上前の学生時代から田中角栄ファンを自認し、田中角栄の名前が入った書籍は手当たり次第に購入し、現在130冊近くになっています。田中角栄と記述のある文章には大感激です。大山ニュースレターでは以前も田中角栄を描いた四部作「闇の将軍」を取り上げて居ましたが、そのような舞台劇があることを知らず見逃した私には悔しい限りです。この舞台で角栄氏の演説に盛んに「秘密投票」という憲法規定用語が出てくると言うことも初めて知りました。私が持っている大量の角栄本のどこかに記述されているかも知れませんが、気付きませんでした。

○日本国憲法は、50年前の受検時代に短答式試験突破のために暗記が必要と言われて、全文から全103条の条文を完全暗記し、第○条「○○……」と全てそらで言えるようになっていました。しかし合格後実務で憲法を使うことは殆ど無く、完全に忘却の彼方となり、「秘密投票」と言う言葉は覚えていても第何条だったか完全に忘れていました。調べると以下の通りです。
日本国憲法
第15条

 公務員を選定し、及びこれを罷免することは、国民固有の権利である。
② すべて公務員は、全体の奉仕者であつて、一部の奉仕者ではない。
③ 公務員の選挙については、成年者による普通選挙を保障する。
④ すべて選挙における投票の秘密は、これを侵してはならない。選挙人は、その選択に関し公的にも私的にも責任を問はれない。


○角栄氏は並外れた記憶力を有しており、勉強の基本は暗記と繰り返し角栄本では述べられており、憲法を初め自ら立案創設した建築基準法を初めとする法律も暗記していたのかも知れません。「秘密投票」のネタから横浜パートナー事務所を売り込む大山先生の営業力には脱帽です。いよっ!営業達人と喝采です。

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横浜弁護士会所属 大山滋郎弁護士作

闇の弁護士

ストーリーがはっきりしている大衆演劇みたいな芝居も好きです。田中角栄を描いた四部作「闇の将軍」は、全部で6時間30分もかかる長い劇ですが、全部見てしまいました。新潟の豪雪地帯から上京した田中角栄は、東大法学部→高級官僚→政治家コースをたどる「吉田学校」のエリートたちに差別されながらも、地位を築いていく。佐藤栄作の長期政権を陰で支えるんですが、後継者を福田とする佐藤の裏切り。それを受けて、佐藤と袂を分かち、総理大臣になる。この辺の出世ぶりは、芝居を見ていて惚れ惚れします。しかしその後は、ロッキード事件からの転落が始まるという、けれんみなく田中角栄の栄光と挫折を描いた劇です。

選挙の挨拶にくる派閥の人たちには、1千万円入った紙袋を配ります。先日、石破首相が10万円の商品券を配ったことでいろいろ批判されてますが、スケールが違います。「俺の趣味は田中角栄だ!」なんていう配下ができるくらい、魅力的な人です。そんな田中角栄でも、落ち目になると醜態をさらす。自分自身が佐藤栄作に裏切られたのに、自分も長く仕えてくれた竹下登に政権を譲らない。最後には、竹下に派閥を乗っ取られます。さらに病で倒れた後、妻子が角栄の愛人を追い落とす。愛人を作るなら、せめて経済的に困らないようにあらかじめ考えとけよ、と言いたくなります。

ちなみに日本の弁護士は、「人権」「男女平等」は大好きですが、「愛人」に対してはとても冷たい。愛人は労働法で保護しようという見解は、私一人しかいないんです。「闇の将軍」の芝居の中では、田中角栄が選挙演説する場面が何度も出てきます。それらの演説の中で、角栄が繰り返し主張するのが、「秘密投票」なんです。誰に投票したかについては、秘密が守られるという憲法の規定です。それに関して、角栄は言います。「自分は田中角栄に投票したいけど、ご主人からは『誰々に投票しろ』なんて言われている奥さんいるでしょう。そんなときには、言い争う必要なんてないんです。おとなしく『分かりました』と言って、現実に投票するときには、田中角栄に入れれば良い。これが秘密投票制度ということです!」だそうです。

こういうこと、現代でもよくありますね。アメリカの大統領選挙でも、マスコミに質問された人はハリス候補に投票するようなことを言っておきながら、「秘密投票」の下でトランプに入れたのです。秘密投票は、日本国憲法の15条で「すべての選挙における投票の秘密は侵してはならない」と規定されています。さらに「選挙人は、その選択に関し公的にも私的にも責任を問われない」とも憲法に規定されています。「この人に投票する」と嘘をついて、他の人に投票しても一切責任を負わないで良いと、憲法で保証されているのです。「国民主権」って、かなり無責任な制度なんだなと思ってしまうのです。

しかし考えてみますと、外部に発表する「公式見解」と「現実の行動」が違っているのは、選挙のときだけではないようです。常識人の会社員が、SNSで差別まみれの発言をしていたなんて話を聞きます。みんなが褒めている商品と、最終的にはお金を払って購入する商品は違います。今の社会で、普通に賢い人たちは、LGBT について否定的なことは言いません。非難されたら嫌ですから。それでも、スーパーマンがLGBT を扱うと売り上げは減る。人種差別は許せないと言うが、白人でない「白雪姫」の映画は見に行かない。日本酒で、好きな銘柄を質問したら、100%地酒の名前を上げます。ところが日本酒の売り上げを見たら、菊正宗や黄桜が圧倒的に売れています。ということで、私も角さんに倣って言っちゃいます。「法律業務を大事務所に依頼しろと言われることもあるでしょう。そういうときには、分かりましたと答えて、現実には横浜パートナーに依頼すれば良いのです!」 こ、これでうまくいくでしょうか。。。

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◇ 弁護士より一言

「朝日鷹」というお酒を貰いました。私は日本酒のことはよく知らないのですが、「十四代」という有名なお酒を作っている酒蔵のお酒なんだそうです。こういうのを聞くと、とても有難くかんじてしまいます。本当は菊正宗との違いもよくわからないんですが、「好きな日本酒は朝日鷹です」とこれからは言おうと思ったのです。

以上:2,673文字
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R 7- 5- 1(木):婚姻破綻と誤信に過失を認めて不貞行為第三者慰謝料支払を命じた地裁判決紹介
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○原告男性が、被告に対し、原告元妻Cとの令和2年2月頃から始まった不貞行為を理由に慰謝料300万円の支払を求めました。被告は、不貞行為時、原告と元妻Cの婚姻関係は破綻していたとして争いました。

○これに対し、不貞行為時点において、原告と原告の元妻との間の婚姻関係が破綻していたとは言えず、婚姻関係が破綻していると誤信したことについて被告には過失があるとして金100万円の慰謝料支払を命じた令和6年1月17日東京地裁判決(LEX/DB)全文を紹介します。

○判決は、令和3年4月頃には、Cの原告の子の妊娠により原告とCが実際に性交渉を持っていたことが明らかになったことを考慮すれば被告としては、遅くとも令和3年4月の時点では、原告とCの婚姻関係が破綻していない可能性に気づくべき状況にあったとして、原告とCの婚姻関係が破綻していないと誤信したことにつき、過失があるとしています。

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主   文
1 被告は、原告に対し、100万円及びこれに対する令和4年10月21日から支払済みまで年3分の割合による金員を支払え。
2 原告のその余の請求を棄却する。
3 訴訟費用はこれを3分し、その2を原告の負担とし、その余を被告の負担とする。
4 この判決は、第1項に限り仮に執行することができる。

事実及び理由
第1 請求

 被告は、原告に対し、300万円及びこれに対する令和4年10月21日から支払済みまで年3分の割合による金員を支払え。

第2 事案の概要
 本件は、原告が、被告が原告の元妻と不貞行為に及び、これにより原告と元妻の婚姻関係が破綻したとして、民法709条に基づき、慰謝料300万円及びこれに対する訴状送達の日の翌日である令和4年10月21日から支払済みまで民法所定の年3分の割合による遅延損害金の支払を求める事案である。

1 前提事実(当事者間に争いがないか、掲記の証拠又は弁論の全趣旨により容易に認められる事実)
(1)原告とC(以下「C」という。)は、平成30年○月○日、長男をもうけた。原告とCは、平成31年1月11日に婚姻し、原告は、同日、Cの子1名と養子縁組をした。(甲1)
(2)被告とCは、遅くとも令和2年2月頃までに、Cの勤務先のスナック(ガールズバー)で知合い、同月末頃から交際を始め,不貞行為に及んだ(弁論の全趣旨)。
(3)原告とCは、令和3年11月20日に離婚した(甲1)。 

2 争点及び当事者の主張
(1)婚姻関係の破綻の有無(争点1)
(被告の主張)
 被告は、Cから、原告からDVやモラルハラスメントを受けている、原告が拒否していることや経済上の理由から離婚できず、生活費のためにやむなくガールズバーで働いていると言われ、原告が作成した今後暴力を加えない旨の記載のある念書を見せられた。また、原告は、Cに対して性行為を強要したほか、Cや子に暴行を加えるなどしており、被告も、Cの電話越しに、原告がCや子に怒鳴る声や物を破壊する音を聞いたことがあった。さらに、原告は、Cの外泊やガールズバーでの勤務を容認していた。これらの事情からすれば、被告とCが不貞行為に及んだ時点で、原告とCの婚姻関係は破綻していたといえる。
(原告の主張)
 原告は、Cに暴行を加えたことはあるが、一方的なものではなかったし、Cと口論をしたり、感情的になって距離を置く発言をすることはあったが、いずれも一般的な夫婦にある程度の諍いであった。原告とCやその子は、令和2年2月以降も家族で外出するなどしており、被告とCが不貞行為に及んだ時点で婚姻関係は破綻していなかった。

(2)被告の過失の有無(争点2)
(原告の主張)
 上記(1)(原告の主張)のとおり、原告とCの婚姻関係は破綻しておらず、被告は、一方当事者であるCの話だけを聞いて、婚姻関係が破綻したと判断したものであるから、被告には少なくとも過失がある。
(被告の主張)
 上記(1)(被告の主張)のとおり、被告は、Cから婚姻関係が破綻していると聞いていたし、原告と直接話をした際、原告もその事実を否定しなかった。よって、仮に、不貞行為の時点で原告とCの婚姻関係が破綻していなかったとしても、被告がそのような誤信して不貞行為に及んだことに過失はない。

(3)損害(争点3)
(原告の主張)
 原告は、被告とCの不貞行為により、C及び子らとの家庭生活を破壊された。被告が、原告からの度重なる制止にもかかわらず主導的に不貞行為を継続していたことも考慮すれば、原告の精神的苦痛に対する慰謝料は300万円を下らない。
(被告の主張)
 争う。

第3 当裁判所の判断
1 認定事実

 前記前提事実、掲記の各証拠及び弁論の全趣旨によれば、次の事実が認められる。
(1)Cは、被告と知り合った当初、被告に対し、Cはシングルマザーであり、子が2名いると伝えていた。Cは、同月末頃から被告と交際を始めて不貞行為に及んだ。Cは、その頃、被告に対し、実は既婚者であるが夫(原告)からDVを受けており離婚を考えている、そのためにスナックで働いていると述べたことから、Cに好意を持っていた被告は、離婚について協力すると述べた。ただし、原告とCは、その時点で離婚について協議したことはなかった。(前提事実(1)、甲8、乙8、証人C、原告本人、被告本人)

(2)
ア 原告は、令和2年3月中旬頃、被告とCが食事をしているところを見かけ、両者の関係を問い詰めたが、被告及びCは交際を否定した。その後、Cは、原告に対し、被告とはもう会わないと述べたが、被告及びCは、それ以降も交際を継続した。(争いのない事実、甲8、証人C)

イ Cは、その後も、原告を含む家族で遊びに出かけるなどしており、原告と性交渉を持つこともあった(甲7【枝番含む】、原告本人、被告本人)。

(3)
ア 原告は、令和3年2月頃、被告とCの交際が続いていることを知って被告と連絡を取るようになり、同年3月5日には被告と直接会って話をし、Cと性交渉があり、一緒に風呂に入ることもあった、Cとの関係の再構築をしたいと考えているなどと述べた。また、その頃、Cの妊娠が発覚し、被告は、同年4月頃にCから妊娠したことや、その父親は原告である可能性が高い旨の報告を受けた。(甲9、乙2,3、原告本人、被告本人)

イ 被告とCはその後も交際を続け、Cは、被告に対し、令和3年8月29日、原告が子に本を投げつけて泣かせた旨、同年9月3日、原告から同意のない性交をされた旨のメッセージを送信した(弁論の全趣旨、乙6、7)。

(4)被告は、Cとの交際中、Cから、原告がCに対する暴力について謝罪する旨の記載がある書面の画像を見せられたり、Cの電話越しに、原告の怒鳴り声等を聞いたりしたことがあった。被告は、Cに対し、警察や弁護士に相談したほうがよいとアドバイスしたが、C自身が警察等に相談することはなかった。また、被告は、Cに対し、原告と離婚しないのであれば不倫になってしまうので別れるなどと述べたことがあった。(甲8、9、乙2、6、証人C、原告本人、被告本人)

(5)
ア Cは、令和3年6月頃、原告に対し、離婚したいというようになった。その後、原告とCとの間で離婚協議がされ、原告とCは、同年11月に離婚した。(前提事実(3)、甲9、証人C、原告本人)
イ 原告とCは、原告とCが離婚した頃、交際を終了した(甲8、証人C)。

2 争点1(婚姻関係の破綻の有無)について
(1)前提事実(1)、認定事実(1)、(3)ア、イ、(5)アによれば、原告とCは、令和3年9月頃までは本格的な離婚協議を行ったことはなく、性交渉を持ち、家族で遊びに出かけるなどの交流も持っていたと認められる。よって、被告とCが不貞行為に及んだ令和2年2月末頃の時点において、原告とCとの間の婚姻関係が破綻していたとはいえない。

(2)被告は、原告がCやその子に暴行を加えていたことや、Cの外泊やスナックでの夜間勤務を容認していたことから、原告とCの婚姻関係が破綻していた旨主張する。しかし、原告のCへの暴行は口論の際にお互いに手が出たという程度のものであり、C自身、離婚の理由は被告との結婚を考えていたからであった旨述べ、原告の行為が直接の原因であるとは述べていない(証人C)。また、Cの夜間勤務についても、原告は、勤務先が友人の経営する店であることから勤務を容認していたもので(原告本人)、Cの行動を制限なく容認していたものでもない。よって、被告の主張は採用できない。

3 争点2(被告の過失の有無)について
 認定事実(1)、(3)イ、(4)によれば、被告は、Cから、原告からDVを受けており原告との離婚を考えている旨を聞き、その根拠となるような原告作成の書面を見せられたり、電話越しの怒鳴り声を聞いたこともあったのであり、少なくとも不貞行為に及んだ当初は、原告とCの婚姻関係が破綻しているものと誤信していたものといえるし、その判断に全く根拠がなかったというものでもない。

 しかし、原告による暴行は、原告とCとの関係が良好ではないことの根拠にはなっても、婚姻関係の破綻を直接推認させる事情であるとはいえないし、Cが、DV等を理由に原告と離婚したいと述べ、被告がある程度具体的なアドバイスをしていたにもかかわらず、警察や弁護士に相談することもなく、具体的な離婚協議が進展している様子がみられなかったことや、原告と被告が令和3年3月5日に直接話をした際、原告がCと性交渉を持ち、一緒に風呂に入ることもあり、Cとの関係を再構築したい旨の発言をしていたこと、同年4月頃には、Cの妊娠により原告とCが実際に性交渉を持っていたことが明らかになったことも考慮すれば、被告としては、遅くとも令和3年4月の時点では、原告とCの婚姻関係が破綻していない可能性に気づくべき状況にあったといえる。よって、被告には、少なくとも同時点においては、原告とCの婚姻関係が破綻していないと誤信したことにつき、過失がある。

4 争点3(損害)について
 認定事実(2)、(3)イのとおり、被告及びCは、当初は交際を否定し、その後、令和3年2月頃に関係が継続していることが発覚した後も関係を継続しており、不貞期間は2年以上に及ぶし、原告とCは最終的に離婚にまで至っている。他方で、原告とCとの婚姻関係は、被告とCが不貞行為に及ぶ前の時点で必ずしも良好であったとはいえないし、Cが被告に原告と離婚したいなどと話していたこと、被告が、Cに対し、原告と離婚しないのであれば関係を続けていくことはできないと述べるなど、原告との婚姻関係と不貞関係を同時に続けることは相当でないと述べていたこと(認定事実(4))からすれば,不貞行為の開始や継続を主導したのは、被告ではなくCだというべきである。これに加え、上記3のとおり、被告とCが不貞行為を開始してから一定の期間については、被告が原告とCとの婚姻関係が破綻していると誤信したことにそれなりの根拠があるといえること、そのほか、本件における一切の事情を考慮すれば、被告の原告に対する慰謝料の額は100万円とするのが相当である。

第4 結論
 以上によれば、原告の請求は主文の限度で理由があるからこれを認容し、その余は理由がないからこれを棄却することとして、主文のとおり判決する。
東京地方裁判所民事第7部
裁判官 工藤明日香
以上:4,670文字
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R 7- 4-30(水):映画”ドクトル・ジバゴ アニバーサリーエディション”を観て-残念ながら
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○令和7年4月29日(火、昭和の日)は、午後最近購入したBDソフトで映画「ドクトル・ジバゴ」アニバーサーリーエディションを鑑賞しました。映画「ドクトル・ジバゴ」劇場版は1965(昭和40)年製作で197分(3時間17分)ですが、アニバーサーリーエディション版は、220分(3時間40分)のさらなる長大作です。ゴールデンウイーク観賞用映画として、いずれも1000円少々で、映画「十戒」、映画「ベンハー」、映画「タワーリング・インフェルノ」のBD版を購入しました。いずれもLD版を所有していましたが、映画「クレオパトラ」を鑑賞して歴史大作を再鑑賞したくなったからです。

映画「ドクトル・ジバゴ」は、その小説や映画があることは知っていましたが、LDやDVDを購入したこともなく、全く初めてで殆ど予備知識もないままの鑑賞でした。映画コムでは「巨匠デビッド・リーンがロシアの作家ボリス・パステルナークの同名小説を映画化し、1966年・第38回アカデミー賞で5部門に輝いた大河ドラマ。ロシア革命に運命を翻弄された男女の愛を壮大なスケールで描く。」と解説されています。

アニバーサーリーエディション版は、220分(3時間40分)の長大作でしたが、殆ど眠気を感じることがなく最後まで鑑賞しました。しかし結果は、残念ながらの一言でした。聞き慣れた言葉の「ボリシェヴィキ」が盛んに出てきますが、世界史をスッカリ忘れていた私は、聞き慣れた言葉だけど、何だっけ程度の認識で、ロシア革命という時代背景を良く認識しないままの鑑賞だったためストーリー展開が良く理解出来ないせいもありました。さらに冒頭から次々と登場する登場人物がなかなか覚えられなかったこともあります。特に重要人物の弁護士コマロフスキーの役割が最後まで良く理解出来ずイライラしました。

○「ボリシェヴィキ」は、レーニンが率いた後のソビエト連邦共産党の前身でプロレタリア独裁体制を確立したものですが、この独裁体制を確立するまでの過程も描かれており、人民のためと称して人民を弾圧していく状況は良く判りました。1965(昭和40)年は、ソ連が強固な体制を敷いていた時代と思われますが、イタリア・アメリカ合作での反ソ・反共映画であることは理解できました。小説「ドクトル・ジバゴ」の作者パステルナークは、ソ連では出版できず、イタリアで刊行し、ノーベル文学賞を授与されるもソ連が認めず、受賞を辞退したことも納得です。

○しかし、映画「ドクトル・ジバゴ」での主人公ジバゴの人間性には殆ど共感できずに終わりました。小説「ドクトル・ジバゴ」は、「「戦争と革命の最中でも、人間は愛を失わない」内容でノーベル文学賞を授与された」とのことですが、映画ではジバゴの優柔不断さ・無責任さばかり感じて全く感動できずに終わりました。ジバゴの不貞行為に恨みがましいことを全く言わず、愛人を「立派な素晴らしい人」と評する手紙を残し、生まれたばかりの子供と共にジバゴの元を去った妻の方がズッと大人物です。

『ドクトル・ジバゴ』予告編 1965年 Trailer

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R 7- 4-29(火):令和6年5月17日民法等一部改正法律(令和6年法律第33号)履行確保関係条文
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○「令和6年5月17日民法等一部改正法律(令和6年法律第33号)共同親権関係条文」の続きで、令和8年5月24日までに施行される「改正の概要PDF」のうち「第3 養育費の履行確保に向けた見直し」関係についての民法条文の備忘録です。

第3 養育費の履行確保に向けた見直し
○養育費債権に優先権(先取特権)を付与(債務名義がなくても差押え可能に)民法306、308の2等
○法定養育費制度を導入(父母の協議等による取決めがない場合にも、養育費請求が可能に)民法766の3等
○執行手続の負担軽減策(ワンストップ化)や、収入情報の開示命令などの裁判手続の規律を整備
民執法167の17、人訴法34の3、家手法152の2等


○以下、関係条文です。

民法
第306条(一般の先取特権)

次に掲げる原因によって生じた債権を有する者は、債務者の総財産について先取特権を有する。
一・二(略)
三 子の監護の費用
四・五(略)

第308条の2(子の監護費用の先取特権)
 子の監護の費用の先取特権は、次に掲げる義務に係る確定期限の定めのある定期金債権の各期における定期金のうち子の監護に要する費用として相当な額(子の監護に要する標準的な費用その他の事情を勘案して当該定期金により扶養を受けるべき子の数に応じて法務省令で定めるところにより算定した額)について存在する。
 一 第752条の規定による夫婦間の協力及び扶助の義務
 二 第760条の規定による婚姻から生ずる費用の分担の義務
 三 第766条及び第766条の3(これらの規定を第749条、第771条及び第788条において準用する場合を含む。)の規定による子の監護に関する義務
 四 第877条から第880条までの規定による扶養の義務

第766条の3(子の監護に要する費用の分担の定めがない場合の特例)
 父母が子の監護に要する費用の分担についての定めをすることなく協議上の離婚をした場合には、父母の一方であって離婚の時から引き続きその子の監護を主として行うものは、他の一方に対し、離婚の日から、次に掲げる日のいずれか早い日までの間、毎月末に、その子の監護に要する費用の分担として、父母の扶養を受けるべき子の最低限度の生活の維持に要する標準的な費用の額その他の事情を勘案して子の数に応じて法務省令で定めるところにより算定した額の支払を請求することができる。ただし、当該他の一方は、支払能力を欠くためにその支払をすることができないこと又はその支払をすることによってその生活が著しく窮迫することを証明したときは、その全部又は一部の支払を拒むことができる。
 一 父母がその協議により子の監護に要する費用の分担についての定めをした日
 二 子の監護に要する費用の分担についての審判が確定した日 三 子が成年に達した日
2 離婚の日の属する月又は前項各号に掲げる日のいずれか早い日の属する月における同項の額は、法務省令で定めるところにより日割りで計算する。
3 家庭裁判所は、第766条第2項又は第3項の規定により子の監護に要する費用の分担についての定めをし又はその定めを変更する場合には、第1項の規定による債務を負う他の一方の支払能力を考慮して、当該債務の全部若しくは一部の免除又は支払の猶予その他相当な処分を命ずることができる。

民事執行法
第167条の17(扶養義務等に係る債権に基づく財産開示手続等の申立ての特例)

 第151条の2第1項各号に掲げる義務に係る請求権について執行力のある債務名義の正本を有する債権者が次の各号に掲げる申立てをした場合には、当該申立てと同時に、当該各号に定める申立てをしたものとみなす。ただし、当該債権者が当該各号に掲げる申立ての際に反対の意思を表示したときは、この限りでない。
 一 第197条第1項の申立て 当該申立てに係る手続において債務者(債務者に法定代理人がある場合にあつては、当該法定代理人)が開示した債権(第206条第1項各号に規定する債権に限る。)又は次項の規定によりその情報が提供された債権に対する差押命令の申立て
 二 第206条第1項の申立て 当該申立てに係る手続において同項各号に掲げる者がその情報を提供した同項各号に規定する債権に対する差押命令の申立て
2 前項に規定する場合(同項第一号に掲げる申立てをした場合に限る。)において、執行裁判所の呼出しを受けた債務者(債務者に法定代理人がある場合にあつては、当該法定代理人)がその財産を開示しなかつたときは、債権者が別段の意思を表示した場合を除き、執行裁判所は、債務者の住所のある市町村(特別区を含む。第206条第1項第一号において同じ。)に対し、同号に定める事項について情報の提供をすべき旨を命じなければならない。
3 第205条第3項から第5項までの規定は前項の規定による裁判について、第208条の規定は当該裁判により命じられた情報の提供について、それぞれ準用する。
4 財産開示事件の記録中前項において準用する第208条第1項の情報の提供に関する部分についての第17条の規定による請求は、次に掲げる者に限り、することができる。
 一 申立人
 二 債務者に対する第151条の2第1項各号に掲げる義務に係る請求権又は人の生命若しくは身体の侵害による損害賠償請求権について執行力のある債務名義の正本を有する債権者
 三 債務者の財産について一般の先取特権(民法第306条第三号に係るものに限る。)を有することを証する文書を提出した債権者
 四 債務者
 五 当該情報の提供をした者
5 第210条第2項の規定は、前項第二号又は第三号に掲げる者であつて、財産開示事件の記録中の第三項において準用する第208条第一項の情報の提供に関する部分の情報を得たものについて準用する。
6 第1項の規定により債権に対する差押命令の申立てがされたものとみなされた場合において、執行裁判所が第197条第3項に規定する財産開示期日における手続の実施又は第2項若しくは第206条第1項の規定による裁判をしてもなお差し押さえるべき債権を特定することができないときは、執行裁判所は、債権者に対し、相当の期間を定め、その期間内に差し押さえるべき債権を特定するために必要な事項の申出をすべきことを命ずることができる。この場合において、債権者がその期間内に差し押さえるべき債権を特定するために必要な事項の申出をしないときは、差押命令の申立ては、取り下げたものとみなす。

人事訴訟法
第34条の3(情報開示命令)

 裁判所は、第32条第1項の子の監護に関する処分(子の監護に要する費用の分担に関する処分に限る。)の申立てがされている場合において、必要があると認めるときは、申立てにより又は職権で、当事者に対し、その収入及び資産の状況に関する情報を開示することを命ずることができる。
2 裁判所は、第32条第1項の財産の分与に関する処分の申立てがされている場合において、必要があると認めるときは、申立てにより又は職権で、当事者に対し、その財産の状況に関する情報を開示することを命ずることができる。
3 前2項の規定により情報の開示を命じられた当事者が、正当な理由なくその情報を開示せず、又は虚偽の情報を開示したときは、裁判所は、決定で、10万円以下の過料に処する。

家事事件手続法
第152条の2(情報開示命令)

 家庭裁判所は、次に掲げる審判事件において、必要があると認めるときは、申立てにより又は職権で、当事者に対し、その収入及び資産の状況に関する情報を開示することを命ずることができる。
 一 夫婦間の協力扶助に関する処分の審判事件
 二 婚姻費用の分担に関する処分の審判事件
 三 子の監護に関する処分の審判事件(子の監護に要する費用の分担に関する処分の審判事件に限る。)
2 家庭裁判所は、財産の分与に関する処分の審判事件において、必要があると認めるときは、申立てにより又は職権で、当事者に対し、その財産の状況に関する情報を開示することを命ずることができる。
3 前2項の規定により情報の開示を命じられた当事者が、正当な理由なくその情報を開示せず、又は虚偽の情報を開示したときは、家庭裁判所は、10万円以下の過料に処する。
以上:3,387文字
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R 7- 4-28(月):映画”グラディエーターII 英雄を呼ぶ声”を観て-まずまずの出来映え
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○令和7年4月25日(日)は、AmazonPrimeで、昼前後に映画「ビーキーパー」を、午後2時過ぎに映画「グラディエーターII 英雄を呼ぶ声」を鑑賞しました。映画「ビーキーパー」は、「映画”ビーキーパー”を観て-痛快極まります」記載のとおり、令和7年1月初めに「仙台MOVIX」で鑑賞したもので、たまたまAmazonPrimeで見つけ、冒頭部分を鑑賞したら,面白く、昼食を挟みながら、最後まで鑑賞してしまいました。2回目の鑑賞で、およそ4ヵ月ぶりの鑑賞ですが、ほぼ内容は覚えていても、小気味よく痛快な映画でした。

映画「グラディエーターII 英雄を呼ぶ声」は、AmazonPrimeで500円の有償版でしたが、4KUHDソフトは6000円近い高価で、3000円以下に下がるまで待っているところで、昨日24日に第一作の2000(平成12)年製作映画「グラディエーター」を鑑賞してその第二作2024(令和6)年製作とのことで鑑賞したくなり、つい息子の名前で500円支払い鑑賞しました。第一作から24年後の作品で、映画コムでは「今作の主人公となるルシアスは、ラッセル・クロウが演じた前作の主人公マキシマスの息子という設定。そのルシアス役を、「aftersun アフターサン」でアカデミー賞にノミネートされたポール・メスカルが演じた。」と解説されています。主人公のポール・メスカル氏は初めて観る俳優でした。

○今作のルシアスは、先代ローマ皇帝アウレリウスの長女で今作ルシアスの母親ルッシラ役のコニー・ニールセン氏が、24年後第二作にも同じルッシラ役で登場しますが、美しさは24年の時を経ても保っていました。今作ではデンゼル・ワシントン氏が主人公ルシアスを奴隷グラディエーター(剣闘士)として購入する奴隷商人の役で登場します。当初は、イコライザーシリーズと同様正義の人間かと思って鑑賞していたら徐々に本性を現し、邪悪な野心家に変身するのが意外でした。デンゼル・ワシントン氏はこの映画でも主人公を凌ほどの存在感を示しますが、イコライザーシリーズでの正義の人のイメージが強すぎ、ちと違和感を感じました。

○第一作でも合戦シーンや古代ローマコロッセオのシーンは大変見応えのあるものでしたが、今作も同様でした。実際、あれほどの建築物が古代ローマに存在していた故の再現と思われますが、古代ローマ人達の建築技術の凄さにあらためて驚きました。500円支払っての鑑賞も惜しいとは思えないまずまずの出来でした。

映画『グラディエーターII 英雄を呼ぶ声』日本語吹替版予告 11月15日(金)劇場公開

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R 7- 4-27(日):映画”グラディエーター”を観て-重厚感溢れる映画です
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○令和7年4月26日(土)は、午後、最近購入した4KUHDソフトで2000(平成12)年製作映画「グラディエーター」を鑑賞しました。映画コムでは「巨匠リドリー・スコットが、古代ローマを舞台に復讐に燃える剣闘士の壮絶な闘いを描き、第73回アカデミー賞で作品賞・主演男優賞など5部門に輝いた歴史スペクタクル。」を鑑賞しました。映画「クレオパトラ」を鑑賞してローマ帝国モノ映画を鑑賞したくなったことと、4KUHDソフトが6割引価格になっていたからです。

○110億円の製作費で2000(平成12)年のアカデミー賞作品賞を受賞した映画とのことで流石に見応えのある映画でした。YouTube動画での予告編映像は、ぼやけて観るに堪えないモノですが、4KUHDソフトでの映画「グラディエーター」の映像は大変鮮明で目に心地よいものでした。劇場公開版ではなく、エクステンデッド・エディション版でおそらく3時間近い長時間映画でしたが、全編緊迫感溢れてその長さを感じさせず一気に鑑賞できました。

○主演のマキシマムを演じたラッセル・クロウ氏は、最近どこかで見た顔と思ったら令和6年8月に鑑賞した2012(平成24)年製作映画「レ・ミゼラブル」の敵役ジャベール警視役でした。その他にも良く観る俳優さんですが、筋骨隆々の身体ではないものの強く逞しいグラディエーター(剣闘士)と素晴らしい人間性を見事に演じていました。主人公マキシマムを嫉妬する敵役ローマ皇帝コモドゥス役を演じたホアキン・フェニックス氏もその弱さと憎々しさを見事に表現していました。

○製作費110億円もかけただけあって映画「クレオパトラ」にも劣らず古代ローマの重厚感あふれる景色が堪能でき満足した映画でした。古代ローマ帝国の街並みやコロッセウム(円形闘技場)に、大昔に良くこれほどの建物を建築できたものだと、その凄さに驚きました。

映画「グラディエーター」(2000) 日本版劇場公開予告編 Gladiator Japanese Theatrical Trailer

以上:845文字
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R 7- 4-26(土):岡弘祠フラメンコギター教室発表会演奏ファイル整理
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恐れ入りますが、本ページは、会員限定です。

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R 7- 4-25(金):配偶者慰謝料に不貞行為者慰謝料補填を認め請求棄却した地裁判決紹介4
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○原告が、原告の配偶者Cと被告が継続的に不貞行為に及んだことにより精神的苦痛を被ったとして、被告に対し、不法行為に基づく損害賠償請求権として慰謝料等400万円の支払を求めました。

○被告は、Cが勃起不全の状態にあり、被告との間に性交渉はなく、原告は、平成31年4月1日時点で被告とCの関係を認識しており、令和4年4月1日は経過したので、予備的に、平成31年4月1日以前の被告とCの不貞行為に基づく慰謝料請求権について消滅時効を援用するとして争いました。

○これに対し、Cが勃起不全の状態にあったことを的確に認めるに足りる証拠はなく、仮に性交渉に及んでいなかったとしても、被告とCの前記交際内容が、原告の婚姻共同生活の平和の維持という権利又は法的保護に値する利益を侵害する態様のものであることは明らかであり、不法行為が成立し、慰謝料は220万円が相当としながら、原告がCから離婚慰謝料300万円の支払を受けたことにより、慰謝料支払義務は消滅しているとして原告の請求を棄却した令和5年7月19日東京地裁判決(LEX/DB)を紹介します。

○Cは、原告との離婚調停で、原告に対し、Cが被告と平成26年から令和3年に至るまで不貞関係にあったことを認め、離婚慰謝料300万円の支払義務を認めて、一部被告から借りて全額支払っています。判決は、平成31年以前の不貞行為については時効消滅を認め、それ以降の不貞行為に限定しても、被告が、原告から再三にわたって関係を断つよう求められていたにもかかわらず、これを無視してCとの不貞関係を継続していたことは相当に悪質として慰謝料220万円と認定しました。

********************************************

主   文
1 原告の請求を棄却する。
2 訴訟費用は原告の負担とする。

事実及び理由
第1 請求

 被告は、原告に対し、400万円及びこれに対する令和4年4月29日から支払済みまで年3分の割合による金員を支払え。

第2 事案の概要等
1 事案の概要

 本件は、原告が、原告の配偶者と被告が継続的に不貞行為に及んだことにより精神的苦痛を被ったとして、被告に対し、不法行為に基づく損害賠償請求権により、400万円(慰謝料370万円及び弁護士費用30万円)及びこれに対する訴状送達日の翌日から支払済みまで民法所定の年3分の割合による遅延損害金の支払を求める事案である。

2 前提事実(争いのない事実並びに括弧内に掲げた証拠及び弁論の全趣旨により認められる事実)

     (中略)

第3 当裁判所の判断
1 認定事実
(前提事実、後掲各証拠及び弁論の全趣旨によれば、次の事実が認められる。)
(1)原告は、平成30年5月30日、Cの不貞行為を疑って探偵事務所に調査を依頼し、同月31日に調査報酬86万4000円を支払った。
 原告は、同年6月7日頃、上記探偵事務所から調査結果の報告を受けた。(甲12)

(2)Cは、原告から不貞関係を追及され、平成30年7月15日、Cの両親及び原告の母親が同席する場で、被告と不貞関係にあった事実を認めて家族を傷つけたことを深く謝罪するとともに、直ちに当該関係を解消し、今後、被告とは接触しないことを約束する旨の本件誓約書に署名押印した(甲2、前記前提事実(2))。

(3)原告は、平成30年8月、当時の代理人弁護士を通じて、被告に対し、不貞行為に対する慰謝料を請求する旨の内容証明郵便を送付したが、被告はCと不貞関係にないとの回答をした。
 原告は、被告に対し、被告がCと関係を持ったため、家族の生活が経済的にも困窮していること、子ども達も両親の離婚を心配し精神的にかなり不安定になっていることなどを記載した手紙を送付したが、被告は再度、Cとの不貞関係を否定する旨の回答をした。(甲18)

(4)被告は、平成30年9月7日、Cに対し「Cさん、こんにちは。9/20、熱海のホテルを予約しました。15時からチェックインできます。」などと記載したメールを送信した(甲5)。

(5)被告は、平成30年10月2日、Cに対し「土曜日、Cさんは会社で寝ちゃったんですね。私が朝早く起こしたから・・。ごめんなさい・・。でも、あの横浜町田インターのホテルは、落ち着くし気に入りました。」などと記載したメールを送信した(甲6)。

(6)原告とCとの間で、令和2年10月7日、以下の内容を含む本件夫婦関係調整調停が成立した。
ア 当事者双方は、今後、互いに協力しあって円満な家庭を築くよう努力する。
イ Cは、原告に対し、不貞相手すべてとの関係を直ちに解消し、今後、一切会わず、連絡を取らないことを約束する。(甲3、前記前提事実(3))

(7)Cは、令和2年10月17日、被告に対し「本当に、久しぶりの箱根旅行、海賊船に、大涌谷に、ロープウェイ、Bさんと一緒の時間は、本当に楽しくて、夢のような時間の連続でした。そして、Bさんが選んでくれた佳松、Bさんと二人だけで頂いた夜と朝の素敵なお料理とお酒・・・・Bさんと一緒にするお食事は、私には最高の贅沢に思えました。」などと記載したメールを送信した(甲7の1)。

(8)被告は、令和2年11月4日、Cに対し、「ソラノホテル、私が予約しておきますから、心配しないでください・」、「広いので、普通のお部屋にしました。」などと記載したメールを送信し、同月15日、Cに対し、「昨日と今日、とっても楽しかったです。」、「Cさんと一緒にテニスをして、イタリアンでランチをして、見晴らしの良い温泉プールで夕焼けの名残を眺めて、美味しいお寿司を食べてお散歩しながらイルミネーションを見ました・」などと記載したメールを送信した(甲8の1、8の2、8の5)。

(9)Cは、令和3年1月18日、被告に対し、「今週の金曜日、湯沢の四季と言うところを予約してみました・・・。」などと記載したメールを送信し、被告は、同月24日、Cに対し、「昨日の昼過ぎまで、とっても楽しい時間を過ごせました。」、「素敵な宿で温泉三昧、美味しいお酒とお料理でお腹いっぱいになりました。Cさんとずっと一緒に起きてられれば、もっと良かったなあ・・。」などと記載したメールを送信した(甲10の1、10の6)。

(10)原告は、令和3年4月頃、Cの携帯電話に保存されていた被告とのメールを発見し、同年11月12日、原告とCとの間で、以下の内容を含む本件離婚調停が成立した。
ア 原告とCは、本日、調停離婚する。
イ 長男、長女の親権者をいずれも原告と定める。
ウ Cは、原告に対し、財産分与として240万円を分与し、これを令和3年11月から令和8年10月まで、4万円ずつに分割して支払う。
エ Cは、原告に対し、離婚に基づく慰謝料として300万円の支払義務があることを認め、これを令和3年11月から令和8年10月まで、5万円ずつに分割して支払う。
オ Cは、原告に対し、Cが被告と平成26年から令和3年に至るまで、不貞関係にあったことを認める。
カ 当事者双方は、以上をもって本件離婚に関する紛争が解決したことを確認し、今後は名義のいかんを問わず、互いに財産上の請求をしない。(甲4、18、前記前提事実(4))

(11)原告は、原告代理人に対し、令和3年7月26日に離婚事件の着手金として22万円を、同年11月25日に離婚事件の報酬金として41万1800円を支払った(甲13、14)。

(12)被告は、令和4年9月5日付で、東京地方裁判所に対し、原告及び原告代理人を被告として、同人らが、弁護士が受任しているにもかかわらず、本件に関する郵便物を被告の自宅に郵送したことがプライバシー侵害に当たるなどとして、不法行為に基づく損害賠償請求権により、50万円(慰謝料45万4546円及び弁護士費用4万5454円)及びこれに対する遅延損害金の支払を求める旨の訴訟を提起した(以下「別件訴訟」という。)(甲15)。

(13)Cは、原告に対し、本件離婚調停に基づく離婚慰謝料を分割して支払っていたが、被告から100万円を借入れて、令和4年12月23日、残額230万円を支払った。
 また、Cは、本件口頭弁論終結時までに、原告に対し、本件離婚調停に基づく財産分与として72万円を支払った。
(乙3、5)

2 争点〔1〕(不法行為の成否)について
(1)前記認定事実のとおり、被告とCが令和2年10月頃から令和3年1月頃にかけて、複数回、旅行先等で同宿し、互いに好意を抱いている旨のメールをやり取りしていること、Cが被告と平成26年頃から不貞関係にあった事実を認めていることに照らせば、被告は遅くとも同年頃からCと不貞行為に及んでいたものと認められる。

(2)被告は、Cが勃起不全の状態にあり、被告との間に性交渉はなかった旨を主張するが、Cが勃起不全の状態にあったことを的確に認めるに足りる証拠はなく、仮に性交渉に及んでいなかったとしても、被告とCの前記交際内容が、原告の婚姻共同生活の平和の維持という権利又は法的保護に値する利益を侵害する態様のものであることは明らかであり、不法行為が成立するというべきである。

(3)なお、被告は、原告作成の陳述書(甲18)について作成の真正を否認するが、弁論の全趣旨によれば、上記陳述書は、原告がその内容を確認した上で、原告の了承のもと、その面前で原告代理人が押印をしたものであり、原告により真正に作成されたものと認められる。

3 争点〔2〕(消滅時効)について
 前記認定事実によれば、原告は、探偵事務所の調査報告書及びCが作成した本件誓約書を踏まえて、平成30年8月に、当時の代理人弁護士を通じて、被告に対して不貞行為に基づく慰謝料を支払うよう求めていることから、遅くとも平成31年4月1日の時点で被告とCの不貞行為を認識していたと認められる。
 そうすると、同日から3年が経過し、被告が消滅時効を援用する旨の意思表示を行ったことにより、原告の被告に対する、同日以前の不貞行為に基づく慰謝料請求権は消滅したと認められる。

4 争点〔3〕(損害額)について
(1)前記3のとおり、平成31年4月1日以前の不貞行為に基づく慰謝料請求権は時効により消滅しているから、これらの不貞行為を原因とする精神的苦痛を慰謝料の事由として斟酌することはできないものと解される。

 他方で、それ以降の不貞行為に限定しても、被告が、原告から再三にわたって関係を断つよう求められていたにもかかわらず、これを無視してCとの不貞関係を継続していたことは相当に悪質であると評価でき、原告とCの婚姻期間が16年余りと長期にわたっていたことや、原告とCとの間に未成熟子が2人いること、不貞行為の結果、原告とCが離婚に至ったことなど、本件に顕れた一切の事情を考慮すれば、原告の婚姻共同生活の平和の維持という権利又は法的保護に値する利益は相応に侵害されたものと認められる。

 なお、原告は、被告が別件訴訟を提起した事実を慰謝料増額事由として考慮すべきであると主張するが、本件全証拠によっても、被告において、別件訴訟における主張が事実的、法律的根拠を欠くものであることを認識し、または容易に認識できたにもかかわらずあえて訴えを提起したとまでは認めることができず、被告が別件訴訟を提起したことをもって、直ちに、本件の慰謝料増額事由として考慮することはできないというべきである。

 上記事情に加えて、本件に現れた一切の事情を考慮すれば、原告が被った精神的苦痛に対する慰謝料は220万円とするのが相当である。

(2)本件事案の内容、上記認容額等に照らし、被告とCの不貞行為と相当因果関係のある弁護士費用相当額の損害として22万円とするのが相当である。

5 争点〔4〕(弁済)について
(1)前記認定事実によれば、原告とCの婚姻関係が破綻した主たる原因は、被告とCの不貞行為にあるといえ、本件離婚調停に基づいてCが原告に支払った離婚慰謝料300万円には、上記不貞行為による原告の精神的苦痛を慰謝する趣旨も当然に含まれているといえる。そして、被告とCの不貞行為は原告に対する共同不法行為に当たり、それぞれの損害賠償債務はいわゆる不真正連帯債務の関係になると解されることから、被告の原告に対する損害賠償債務も、これを上回る上記弁済によって消滅したといえる。

(2)この点、原告は、本件離婚調停で合意した離婚慰謝料300万円は、原告が支出した探偵の調査費用86万4000円及び弁護士費用63万1800円を考慮したものであり、実質的な慰謝料額はそのうち150万4200円にとどまり、被告の原告に対する損害賠償債務も同額に限って弁済を認めるべきであると主張する。

 しかし、探偵の調査費用が離婚ないし不貞行為と相当因果関係のある損害であるといえるかについては疑問があることに加え、本件離婚調停において離婚慰謝料の額を決めるに当たり、原告とCの間で、原告が支出した探偵の調査費用や弁護士費用の額を考慮したことを窺わせる証拠は見当たらない。
 原告の上記主張は採用することができない。

(3)以上によれば、被告の原告に対する損害賠償債務は、原告がCから300万円の離婚慰謝料の支払を受けたことにより消滅しているというべきである。

第4 以上によれば、原告の請求は理由がないからこれを棄却することとし、主文のとおり判決する。
東京地方裁判所民事第16部 裁判官 松山美樹

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