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R 2- 1-20(月):40代専業主婦の67歳まで逸失利益を認めた地裁判決紹介
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○「20代専業主婦の67歳まで逸失利益を認めた地裁判決紹介」の続きです。

○原告が運転する原告車と被告が保有し運転する被告車が正面衝突した交通事故について、原告が、被告に対し、損害賠償を請求した事案において、原告には、右大腿骨・脛骨骨折後の右膝関節の機能障害、右腓骨、右第3・4趾中足骨骨折後の右足関節機能障害(右下肢の機能障害9級)、 PTSD(14級9号)、左膝痛等(14級9号)の後遺障害が残存した(併合9級相当)と認められるところ、専業主婦である原告の後遺障害逸失利益につき、賃金センサス女性全年齢平均賃金を基礎とし、労働能力喪失率を35パーセント、労働能力喪失期間を21年として算出する等し、原告の請求の一部認容した平成26年12月19日名古屋地裁判決(自保ジャーナル1941号54頁)関連部分を紹介します。


********************************************

主    文
1 被告は原告に対し,3643万1314円及びこれに対する平成16年10月16日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
2 原告のその余の請求を棄却する。
3 訴訟費用はこれを2分し,その1を原告の負担とし,その余を被告の負担とする。
4 この判決は,1項に限り,仮に執行することができる。

事実及び理由
第1 請求

 被告は原告に対し,7166万4172円及びこれに対する平成16年10月16日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。

第2 事案の概要
 本件は,平成16年10月16日,愛知県大府市内において,原告が運転する普通貨物自動車と被告が保有し運転する普通貨物自動車が正面衝突した交通事故について,不法行為(民法709条)または自動車損害賠償保障法3条(人的損害のみ)に基づく損害賠償請求権により,人的損害(付添看護費,入院雑費,休業損害,傷害慰謝料,後遺障害慰謝料,後遺障害逸失利益,弁護士費用相当損害金)及び物的損害(眼鏡,弁護士費用相当損害金)の賠償と,これに対する不法行為日(事故日)から民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を請求した事案である。
         (中略)

第3 争点に対する判断(以下,当裁判所の計算では1円未満を切り捨てる。)
1 人的損害

(1) 付添看護費 83万3672円(請求:83万7872円)

         (中略)


(3) 休業損害 666万0892円(請求:1045万7600円)
ア 原告の主張
 原告は主婦であり,平成16年賃金センサス女44歳(年齢別)平均賃金392万1600円を基礎収入とする。本件事故日から平成19年5月17日まで32か月間休業を余儀なくされた(392万1600円÷12月×32月)。
イ 被告の主張
 原告の主張する全期間について完全に就労が制限されていたとは考えられない。
ウ 判断
 原告は専業主婦であり,平成16年賃金センサス産業計・企業規模計・学歴計・女・全年齢平均賃金350万2200円を基礎収入とする。原告の傷害の内容や程度,後遺障害等級等に照らし,以下の就労制限を認める。
 H16.10.16~H17.4.17(184日):100%
 H17.4.18~H18.6.7(416日):平均70%
 H18.6.8~6.17(10日):100%
 H18.6.18~10.25(130日):平均60%
 H18.10.26~12.22(58日):100%
 H18.12.23~H19.5.17(146日):平均50%

 したがって,休業損害は666万0892円を認める。
 350万2200円÷365日×184日×100%=176万5492円
 350万2200円÷365日×416日×70%=279万4083円
 350万2200円÷365日×10日×100%=9万5950円
 350万2200円÷365日×130日×60%=74万8415円
 350万2200円÷365日×58日×100%=55万6513円
 350万2200円÷365日×146日×50%=70万0439円
 176万5492円+279万4083円+9万5950円+74万8415円+55万6513円+70万0439円=666万0892円

(4) 傷害慰謝料 314万円(請求:400万円)
ア 当事者の主張
 原告は400万円を請求し,被告は金額を争う。
イ 判断
 原告の傷害の内容や程度,入通院期間,実通院日数等を総合するに,傷害慰謝料は314万円が相当である。

(5) 後遺障害慰謝料 690万円(請求:1500万円)
ア 原告の主張
 原告には,①右大腿骨について癒合不全(常に硬性補装具を必要とする。7級10号)及び長管骨変形(12級8号),②右膝関節拘縮(10級11号。甲13),③右足関節拘縮(10級11号),④左膝関節偽関節(8級9号),⑤右膝・右足首周囲及び左膝の醜状(14級5号),⑥右下肢短縮(1cm,13級8号),⑦左中環指拘縮(12級10号),⑧腰部・下肢の激しい痛み(RSD。7級4号かそうでなくとも9級10号),⑨PTSD(12級)の後遺障害(併合5級)が残存した(甲11~16,43,48)。
 鑑定人Bは,本件事故により両下肢が挟まれたことによる骨折,筋肉や神経の圧挫,血流障害により原告がRSDを発症したと認定し,これにより立位や歩行の困難を来たし,労働能力が客観的にも相当程度制限されていることを認めている。
 後遺障害慰謝料は1500万円が相当である。

イ 被告の主張
 ③右足関節拘縮(10級11号)は認める。①右大腿骨変形は,骨癒合が完了し偽関節に当たらず,外部から想見できる程度の変形でもない(非該当)。②右膝関節拘縮は12級7号相当である(甲13は途中経過の調査結果である)。⑤右膝・右足首周囲及び左膝の醜状は非該当で,④左膝関節偽関節,⑥右下肢短縮の後遺障害は残存していない。歩行困難と本件事故との間に相当因果関係がないか,あるとしても上記後遺障害の派生症状であって,独立した評価を受けない。腰の痛みと本件事故とは相当因果関係を欠く。⑦左中環指拘縮は,遠位指節間関節の可動域制限に過ぎず,強直もしていない(非該当)。⑧腰部・下肢の激しい痛み(RSD)は,原告が主張する症状と,症状照会に対する担当医所見《甲14》に記載されている自覚症状は明らかに異なり,原告の主張に沿う症状は,伊東整形外科の診療録等に殆ど記載されておらず(乙8),一定していないなど,客観的な所見を欠く。

 RSDではなく,右下肢機能障害の派生症状と解され,独立した後遺障害としても14級9号にとどまる。⑨PTSDが認められるには,〈ア〉自分又は他人が死ぬ又は重傷を負う様な外傷的な出来事を体験したこと,〈イ〉外傷的な出来事が継続的に再体験されていること,〈ウ〉外傷と関連した刺激を持続的に回避すること,〈エ〉持続的な覚醒亢進症状があることの4要件をいずれも満たす必要があるところ,原告の症状は改善の傾向も見受けられ,身体症状の影響も否定できない(14級9号)。
 後遺障害の内容程度(併合9級相当)と,慰謝料額を争う。

ウ 判断
(ア) 原告には,〈a〉右大腿骨・脛骨骨折後の右膝関節の機能障害(右下肢の痛み・しびれ,冷感,歩行時痛等が派生。なお,原告は10級11号《関節の運動可能領域が,健側の運動可能領域の2分の1以下に制限されているもの》を主張するが,後遺障害診断書(甲2《枝番号を含む》)に照らし採用できない。12級7号が相当である),右腓骨,右第3・4趾中足骨骨折後の右足関節機能障害(右足関節拘縮。10級11号。これらを併せて右下肢の機能障害9級),〈b〉PTSD(14級9号),〈c〉左膝痛等(14級9号)の後遺障害が残存した(併合9級相当)と認められる(乙1,2,鑑定)。

(イ) ①右大腿骨変形,④左膝関節偽関節,⑤右膝・右足首周囲及び左膝の醜状,⑥右下肢短縮(0.6cm。鑑定),⑦左中環指拘縮については,自賠責保険の後遺障害等級に該当する程度の後遺障害の残存を認めるに足りる証拠がない。

(ウ) ⑧腰部・下肢の激しい痛みについては,原告はRSDの罹患を主張するが,RSDと診断するために必須とされる神経損傷,関節拘縮と骨の萎縮,皮膚の変化(皮膚温の変化,皮膚の萎縮)のいずれの要件の充足も認めるに足りる証拠はなく,採用できない。
 これらの痛みは,大腿骨及び脛骨骨折による受傷時の筋肉や神経の圧挫と血行障害を要因として,関節可動域制限の派生的症状として発生するものというべきである(鑑定)。

(エ) ⑨PTSD診断については,国際保健機関の国際疾病分類ICD-10診断ガイドラインやDSM-Ⅳ(アメリカ精神医学界の診断基準)等が用いられるべきであり,外傷体験の存在(生命を脅かされる驚異的体験により心的外傷が発生したこと),再体験(原因事故のフラッシュバックや関連性のある悪夢の存在),回避(外傷体験を想起させるような刺激を避けようとする精神活動の現れ),覚醒の亢進(入眠,睡眠困難)を必要とする。

 そうしたところ,原告について,PTSDの中核をなす再体験(フラッシュバック)に関し,原因事故発生状況と似た状況における恐怖感情や身体状況の変化,事故の再発を恐れる態度等は窺われ,その他の要件についても完全に否定することはできない。しかしながら,本件事故は「生命を脅かされる驚異的体験」とするほどに激烈なものではない。反復性(フラッシュバック)についても反復性や侵入性が顕著に認められるものではなく,車に乗ることはできるなど,回避の程度も強度ではない。心理的な感受性と覚醒の亢進による易怒性,集中困難,過度の警戒心や過剰な驚愕反応等の頑固な症状が明らかに認められるものでもない。
 これらを総合すると,原告は,本件事故によりPTSDとはいえないものの,非器質性精神障害に罹患したと認められ,14級が相当である。

(オ) そこで,後遺障害慰謝料については690万円を認める。

(6) 後遺障害逸失利益 1571万5597円(請求:3547万2347円)
ア 原告の主張
 平成16年賃金センサス女全年齢平均賃金350万2200円を基礎収入とし,労働能力喪失率79%,労働能力喪失期間21年(ライプニッツ係数12.821)が相当である(350万2200円×79%×12.821)。

イ 被告の主張
 後遺障害の内容程度を争う(併合9級相当)。

ウ 判断
 基礎収入は,平成16年賃金センサス産業計・企業規模計・学歴計・女・全年齢平均賃金350万2200円とし,既述の後遺障害の内容や程度に照らし,労働能力喪失率は35%,労働能力喪失期間は21年(ライプニッツ係数12.821)とする。後遺障害逸失利益は1571万5597円となる(350万2200円×35%×12.821)。

2 物的損害―眼鏡 4万5600円(争いなし)

第4 結論
 原告の損害は3367万3761円(人的損害3362万8161円,物的損害4万5600円)であり,55万2447円を人的損害に充当すると(争いなし),残額は3312万1314円となる。さらに,本件事故と相当因果関係を有する弁護士費用相当損害金として331万円(請求:600万円)を認めるのが相当であるから,被告は原告に対し,3643万1314円と遅延損害金を支払うべきである。なお,被告は仮執行免脱宣言を申し立てるが,本件事案の性質に照らすとこれを付すのは相当でないから,同申立ては却下する。よって,主文のとおり判決する。
 (裁判官 藤野美子)
以上:4,752文字
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R 2- 1-19(日):ハーバード大の研究でわかったピーナッツで長生き!”紹介3
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○「ハーバード大の研究でわかったピーナッツで長生き!”紹介2」の続きで、第2章アンチ情報は間違いだらけ!ピーナッツ「常識のウソ」の紹介です。以下、その備忘録です。

ピーナッツ常識のウソ
①太る→× カロリーは高いが、コレステロールは含まれていない
ピーナッツの栄養素は大豆と似ている
成分は、大豆がタンパク質38%、脂肪18%、炭水化物15%、糖質15%、水分14%
ピーナッツは、タンパク質26%、脂肪49%、炭水化物19%、

ピーナッツは約半分が脂質だが、飽和脂肪酸約20%、不飽和脂肪酸約80%、で不飽和脂肪酸はオメガ6のリノール酸が約30%、残りの半分はオメガ9のオレイン酸、
ピーナッツにはオレイン酸がたっぷり含まれており、悪玉コレステロールのLDLコレステロールを減らしてくれる
悪玉コレステロール(LDLコレステロール)値が高いときは、肉や乳製品から魚や野菜中心の食生活に切り替えることが必要
食物繊維にはコレステロールが腸から吸収されるのを防ぎ、便として排出させる働きがあるところ、ピーナッツの脂質には、コレステロールは含まれず、不飽和脂肪酸や食物繊維が豊富

②ニキビ・吹き出物ができる→根拠無し
ニキビは肌の毛穴に皮脂が詰まって「アクネ菌」が増殖し毛穴の中で炎症を起こす病気-油が原因だがピーナッツは膨大な量を食べない限り無関係
ピーナッツには、ビタミンB1・B2・B6・E、オレイン酸、アミノ酸の一種の「アルギニン」、レスベラトロール等美肌効果成分がたくさん含まれている

③鼻血が出る→× 全く根拠無し
ピーナッツの脂質は不飽和脂肪酸が中心なので鼻血の心配は無用
但し、日本人ではピーナッツにアレルギー反応を起こす人の割合が2.8%居る
アレルギーは子供に多いが、大人でもこれまで全く食べていなかった人が毎日30粒も食べるようになったらアレルギー反応を起こす可能性がある

コラム
ピーナッツの産地は日本では千葉県が8割弱、1割が茨城県
日本でのピーナッツの本格的栽培は明治時代で、明治9年に千葉県山武市始まる
関東ローム層の火山灰土壌はピーナッツの子房が潜り込むのに適していてほかの野菜に比べて育てやすかったため栽培が盛んになった
以上:904文字
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R 2- 1-18(土):20代専業主婦の67歳まで逸失利益を認めた地裁判決紹介
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○「30代専業主婦の67歳まで逸失利益を認めた地裁判決紹介」の続きで専業主婦の逸失利益についての判例紹介で、今回は、20代専業主婦の後遺障害に伴う逸失利益を認めた平成30年5月29日東京地裁判決(ウエストロー・ジャパン)関連部分を紹介します。

○原告は、左示指,左中指の2指の可動域が,健側(右示指,右中指)の可動域角度の2分の1以下に制限により「1手のおや指以外の2の手指の用を廃したもの」として自賠責後遺障害第10級7号に該当し、67歳まで41年間・労働能力喪失率27%での逸失利益として1740万3648円を請求し、被告側では原告に主婦性が認められないことや症状固定前の原告の生活状況からすれば,原告の労働能力喪失率が27%もあったと考えるのは不合理であると主張していました。

○判決は、原告は,夫や子らと同居する専業主婦であることから,基礎収入については,症状固定時である平成27年の賃金センサス・女・学歴系全年齢平均372万7100円とし原告の後遺障害は,10級7号に該当する左中手骨開放骨折による左手指の関節機能障害(甲13)で労働能力喪失率は27%,労働能力喪失期間は症状固定時の26歳から67歳までの41年間(ライプニッツ係数17.2944)とするのが相当として、原告主張金額をそのまま認めました。

○損害トータルで2788万0105円の請求のうち2526万0927円を認めた判例で、認容率は90%の原告側の大勝利と言える判決です。

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主   文
1 被告Y2は,原告に対し,2526万0927円及びこれに対する平成26年1月21日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
2 原告の被告Y2に対するその余の請求を棄却する。
3 原告の被告Y1に対する請求を棄却する。
4 訴訟費用は,これを10分し,その9を被告Y2の負担とし,その余は原告の負担とする。
5 この判決は,第1項に限り,仮に執行することができる。

事実及び理由
第1 請求

 被告らは,原告に対し,連帯して,2788万0105円及びこれに対する平成26年1月21日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。

第2 事案の概要
 本件は,被告Y2が運転し原告が後部座席に同乗する普通自動二輪車(以下「Y2車」という。)と被告Y1が運転する普通乗用自動車(以下「被告車」という。)との間の交通事故(以下「本件事故」という。)について,原告が,被告らに対し,自動車損害賠償保障法(以下「自賠法」という。)3条に基づき,損害賠償金2788万0105円及びこれに対する平成26年1月21日(本件事故日)以降の遅延損害金の連帯支払を求める事案である。
1 前提事実(争いのない事実並びに後掲の証拠及び弁論の全趣旨により容易に認められる事実)

         (中略)

(4) 原告は,自賠責保険の後遺障害等級認定において,左示指,左中指の2指の可動域が,健側(右示指,右中指)の可動域角度の2分の1以下に制限されることになり,「1手のおや指以外の2の手指の用を廃したもの」として自賠法施行令別表第二第10級7号に該当し,左手痛,左示指から環指手背部のしびれについては前記等級に含めての評価となると判断された(甲13)。

         (中略)

(原告主張)
カ 休業損害 359万2317円
 原告は,本件事故当時,原告の子とともに2人暮らしをする専業主婦であった。入院中は家事労働はできず,退院後についても,原告の利き手が左手であったことから,平成26年9月までは左手で物を持つことすらできなかったため,入院時と同様家事労働はほとんどできなかった。同年10月以降も,かろうじて物を持てる程度で,料理をしたり,細かい作業をすることはできなかったため,家事労働に大きな支障がある状態だった。
 ・事故日~平成26年3月27日
 364万1200円(平成26年度・女・平均賃金)×66日÷365日=65万8408円
 ・同年3月28日~同年9月30日
 364万1200円×187日÷365日×80%=149万2393円
 ・同年10月1日~平成27年7月16日
 364万1200円×289÷365日×50%=144万1516円
 ・以上合計359万2317円

キ 後遺障害逸失利益 1740万3648円
 372万7100円(平成27年度・女・平均賃金)×27%(後遺障害等級10級)×17.2944(67歳-症状固定時26歳=41年)=1740万3648円

         (中略)

(被告主張)
カ 休業損害
 否認する。
 医療記録によれば,本件事故当時,原告は両親及び4人の子と同居中(配偶者は服役中)とされており,原告は,4人の子がいるのに被告Y2と友人のところに遊びに行ってそのまま外泊してしまうような生活を送っていたことからすると,原告宅の家事は両親により行われていたか,少なくとも原告のみで家事が行われていたとは到底考え難い。
 原告は入院中もたびたび外泊を繰り返すなどしており,原告の傷害からは左手が不自由であるにとどまることなどからすると,入院期間を除き休業の割合が100%であったとはみられず,医療記録によれば,平成26年4月頃にはほとんど就労できるようになっていたとみるのが自然である。

キ 後遺障害逸失利益
 原告に主婦性が認められないことや症状固定前の原告の生活状況からすれば,原告の労働能力喪失率が27%もあったと考えるのは不合理である。

         (中略)


第3 当裁判所の判断
1 争点(1)(事故態様及び過失の有無・過失割合)について


         (中略)

2 争点(2)(原告の損害)について
(1) 治療費 245万6000円

         (中略)

(6) 休業損害 118万3139円
 証拠(甲27,原告本人)及び弁論の全趣旨によれば,①原告は,本件事故当時,二男と2人で暮らしており,二男を託児所に預けて飲食店で仕事をしながら家事育児を行っていたこと,②原告は,入院中,家事労働ができず,退院後についても,利き手が左手であり,平成26年9月までは左手で物を持つことすらできなかったため,家事労働に一定の支障があったこと,③同年10月以降も,家事労働に一定の支障があったことが認められる。

 上記認定事実によれば,原告の基礎収入額は平成26年の賃金センサス・女・学歴系全年齢平均の364万1200円とするのが相当であり,入院期間(合計31日)は100%,入院期間を除いた平成27年7月16日(症状固定日)までの期間(合計146日)は平均して60%の休業損害を認めるのが相当である。
 (計算式)
 ・364万1200円÷365日×31日≒30万9252円
 ・364万1200円÷365日×146日×0.6≒87万3887円
 ・以上合計118万3139円

(7) 後遺障害逸失利益 1740万3648円
 原告は,夫や子らと同居する専業主婦であることから,基礎収入については,症状固定時である平成27年の賃金センサス・女・学歴系全年齢平均372万7100円とするのが相当である。
 また,原告の後遺障害は,10級7号に該当する左中手骨開放骨折による左手指の関節機能障害(甲13)であると認めるのが相当であるから,労働能力喪失率は27%,労働能力喪失期間は症状固定時の26歳から67歳までの41年間(ライプニッツ係数17.2944)とするのが相当である。

 (計算式)372万7100円×0.27×17.2944=1740万3648円

(8) 傷害慰謝料 195万円
 原告の傷害の内容・程度等によれば,入通院期間等によれば,障害慰謝料として195万円を認めるのが相当である。

(9) 後遺障害慰謝料 550万円
 原告の後遺障害の内容・程度等によれば,後遺障害慰謝料として550万円を認めるのが相当である。

(10) 小計 2862万5927円

(11) 既払金 -565万5000円

(12) 控除後 2297万0927円

(13) 弁護士費用 229万円
 本件事案の内容,認容額等に照らすと,本件事故と相当因果関係のある弁護士費用は229万円とするのが相当である。

(14) 損害額合計 2526万0927円

第4 結論
 以上によれば,原告の請求は,被告Y2に対し,自賠法3条に基づき,2526万0927円及びこれに対する平成26年1月21日(本件事故日)から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める限度で理由があるからこれを認容し,被告Y2に対するその余の請求及び被告Y1に対する請求は理由がないからこれらをいずれも棄却することとし,主文のとおり判決する。
 東京地方裁判所民事第27部 (裁判官 野々山優子)
以上:3,622文字
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R 2- 1-17(金):2020年01月16日発行第261号”何が弁護士を食べているのか”
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横浜パートナー法律事務所代表弁護士大山滋郎(おおやまじろう)先生が毎月2回発行しているニュースレター出来たてほやほやの令和2年1月16日発行第261号「何が弁護士を食べているのか」をお届けします。

○大山先生の事務所には色々なお客様がいるようです。流石に当事務所では、遺留分減殺請求が公序良俗違反の人権侵害なんて無茶な主張をする方に出会ったことありません。特に、ここ数年は、多くのお客様は弁護士事務所を訪れる前にネット等で相当調べ、或いはネット相談で他の弁護士の見解を確認した上で、深い予備知識をつけて来る方が多くなりました。

○そのため、間違ったことは言えないとのプレッシャーが強くなっております。お客様に間違ったことを伝えたのでは、お客様との信頼関係を築くどころではなくなるからです。ネット等で多くの情報に接して必要な情報を容易に集められる現在は、専門家を自称するにはお客様以上に不断の勉強が必要です。このHP作成を継続しながら不断の勉強に努めます。

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横浜弁護士会所属 大山滋郎弁護士作

何が弁護士を食べているのか


「What's eating Gilbert Grape?」は、かなり前の米国映画です。直訳すると、「何がギルバート・グレイプを食べているか?」になります。「悩み事は人を食べてしまう。」ということから、「何を悩んでいるのか?」という意味になるんです。アメリカの田舎町で暮らす家族の話です。父親が自殺した後、母親は過食で、動けないほど太ってしまう。そんな家族を支えて行こうとするお兄さんを、若き日のジョニー・デップが好演します。高いところが好きで、直ぐに給水塔に登ってしまう、知的障害がある弟を演じるのがディカプリオ。二人とも本当に上手い!

ということで、今回は、何が弁護士を悩ませるのかという話です。ただ、考えてみますと、私も結構小さなことを気にすることがあります。減量中にファミレスでステーキ定食を頼んだとき、ウエイトレスさんに「ご飯はいいです。」って伝えたんです。そうしたらかなり強く「代金は引けませんから。」と返されました。「別に代金を引いてもらおうなんて少しも思ってなかったのに。」と、落ち込んだのです。それがトラウマになって、その後は食べられないときにも、取り敢えず注文して残すようにしています。(どんだけ気持ちが弱いんや。。。)

そんなわけですから、弁護士の仕事をしていると、何かと悩みます。特に、独立したばかりで、自分一人で対応していたときなんて、「何か見落としているのでは?」なんて、凄く気になったものです。夜中に、ミスをした夢を見て飛び起きることもしょっちゅうでした。しかし、弁護士を悩ませるのは、なんといっても人との関係です。裁判官の中にも、話が通じない人はいます。そういう人は、他の弁護士の間でも、問題裁判官として有名になったりするんです。そういう裁判官にあたると、弁護士としても気が滅入るんですね。

以前、「決められない裁判官」にあたったことが有ります。当方も相手の弁護士も、「もう和解はムリだから、早く判決出して下さい。」と言っているのに、「でも、納得しないと、控訴するでしょう」なんて言いながら、いつまでもいつまでも和解交渉を続けさせます。どうすれば良いのかと相当悩みましたが、相手方の弁護士とは、「あの裁判官、頭おかしいよね!」なんて話して、仲良くなっちゃいました。まあ、裁判官が変な人でも、それほど悩むことはありません。

一方、お客様とのやり取りでは、かなり落ち込むことがあります。特に、依頼者との信頼関係が取れていないと分かると、相当悩みます。事件の中には、どうやっても勝てないものがあります。それでも、争って欲しいと言われると、やらざるを得ない場合もあるのです。当方としては、その辺を十分に説明した上で対応しているつもりでいても、後から「他の弁護士に聞いたら、絶対に勝てると言われました。」なんて苦情が来ることもあります。こういうのは、「全然信頼されてなかったのか。。。」とかなり落ち込みます。「それなら他の弁護士に頼んでください!」と言いたくなっちゃうのです。

法律相談でも、凄い人が来ます。兄弟間の相続問題で、どちらか一方が、親を人質にとってしまうことはよくあるんです。他の兄弟には親に会わせないようにして、財産を自分たちに移転します。更に、自分の方に全ての財産を残すといった遺言まで作らせます。これで親が亡くなったときに、他の兄弟から遺留分(法律で認められている相続分)を要求された人が、相談に来ました。「これは勝てませんよ」といったところ、「親の意思である遺言に逆らうとは、公序良俗の人権侵害でしょう!そんな違法を許さず、最後まで闘ってくれると信じていたのに残念です。」

そ、そんなアホな主張が通るか!と思いながらも、そう言われると気持ちは落ち込むのでした。

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◇ 弁護士より一言

「最近とても忙しい。」と、家族に愚痴を言ったところ、高校生の娘が、「私に比べればずっといいよ。」と言い返してきたんです。「パパは忙しい分だけお金を貰えるでしょう!私はどんなに忙しくても、無給なんだもん(笑)」あまりにアホな主張に言葉をなくしました。しかし、悩み事にくわれたりせずに、いつも楽しそうな娘にほっとするのでした。。。
以上:2,256文字
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R 2- 1-16(木):RU令和2年新年会開催-新会長による本年の方針決定
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○令和2年1月15日(水)は、国分町「炉だん」で令和2年RU(異業種交流会・「ライジングアップ」)第1回例会として新年会を開催しました。令和2年会長は、東北文化学園大学科学技術学部知能情報システム学科/東北文化学園大学大学院健康社会システム研究科学科長教授藤木澄義氏と橘川桂子氏の共同会長です。

○新年会は会長の新年度企画発表の日です。藤木新会長は北海道出身ですが、私と同学年生で、令和2年3月で東北文化学園大学定年退職されるとのことで、第二の人生をテーマにして、そのため会員各自がこれまでの人生を振り返って発表するとの方針を提案されました。私は余り乗り気ではなかったのですが、参加者全員の承認を得、そのテーマで行うことになりました。

○RUは、毎月1回、ツルカメスタジオを会場として開催されますが、第2回目は2月18日(火)で藤木会長が、これまで歩んできた人生を振り返り発表することになりました。令和2年新年会には、休会していた会員も復帰し、合計10名の会員が参加し、全員が発表を割り当てられ、私は9月例会で発表することになりました。

○「平成17年ライジングアップ第1回例会」記載の通り、RU(ライジングアップ)とは、英文スペルRisingUpで、異なる業種の面々が集まり、お互いに切磋琢磨し、上へ昇ろうという集まりで、昭和56年創設で、既に39年を経過し、私は昭和59年に参加し、36年目に入っています。会員も相当入れ替わり、昭和59年私の入会時の会員でまだ残っている方は私以外に3名だけになりました。しかし、その3名の内2名は休会中です。

○RUは、40年近く経過する集まりですから、当然、会員の年齢も積み重なり、現在の平均年齢は60代後半になっています。よくここまで続いているものだと感心しますが、例会での集まりは、その年によって変わり、一時期、2,3名しか集まらない時期が続き、RU消滅の危機を感じることもありました。会場を提供している私は、どんな企画でも参加せざるを得ず、折角、例会を開催する以上、多くの会員に集まって頂きたいところです。
以上:867文字
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R 2- 1-15(水):大崎八幡宮松焚祭・どんと祭-初めての火入れ式見学
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○令和2年1月14日は仙台市の無形民俗文化財にも指定されている大崎八幡宮松焚祭(まつたきまつり)・どんと祭でした。大崎八幡宮HPでは次のように解説されています。
当宮の松焚祭は三百年の歴史を有す、全国でも最大級の正月送りの行事で、正月飾りや古神札等を焼納する正月送りの行事であり、当宮においては「松焚祭(まつたきまつり)」といいますが、他地域では一般的に「左義長(さぎちょう)」、又はその火の勢いから「ドンド焼き」等とも呼ばれております。一月十四日の夜、境内の一角に近郷近在より持ち寄られた門松・注連縄・松飾り等は日没の頃「忌火」により点火され焚き上げられます。

この火は正月の間に各家庭に訪れていた神々を送る「御神火」として、あたると心身が清められ、一年間無病息災・家内安全の加護を得るという言い伝えがあります。

また、この「御神火」を目指して参拝する「裸参り」があります。これは厳寒時に仕込みに入る酒杜氏が醸造安全・吟醸祈願のために参拝したのが始まりとされ、江戸時代中期には既に定着していたと言われております。現在においても、白鉢巻き・白さらしを巻き、口には私語を慎む為に「含み紙」と呼ばれる紙をくわえ、右手には鐘・左手に提灯を持ち、市内各所より数千人が参拝するさまは、杜の都・仙台の冬の風物詩として全国に知られております。
○我が家では毎年どんと際では、夕食後の午後8時過ぎに家族で松飾りを紙袋に入れてどんと際に持参して「御神火」に当たることを恒例としていました。しかし、当日、私が判例勉強会を入れてしまい、家族での参加できなくなりました。

○そこで初めて私が火入れ式が行われるという午後4時の20分ほど前に松飾りを持参して大崎八幡を訪れました。するとその時刻には大崎八幡に既に大勢の参拝客が集まり、「松焚祭(まつたきまつり)」が行われる場所には、おそらく直径7~8m以上、高さ2~3m以上に渡って松飾り等が積み重なって、周りには多くの参拝客がいました。

○私は午後4時に火入れが済んだら直ぐ帰るつもりでしたが、午後4時から神事としての松焚祭点火式を行い、点火は午後4時30分とのことで、その神事の行われる場所の直ぐ横に並んで初めて神事を鑑賞しました。仙台市内の経済界・政界からの招待客と思われる10名以上の方が立ち並ぶ前に白装束の男女3人の神官が並んで神事を行うこと30分過ぎて、午後4時30分過ぎようやく点火が始まりました。

○神事場所の直ぐ横には多くの参拝客がいましたが、火入れの直前には、係りの方が、熱くて危険なので松飾り等積み重なった場所から離れるよう指示され、3m程下がりました。そこで火入れ式が始まり、はじめに神官が火を入れると、続いて招待客10数名の方が松明を持って松飾りの積み重なった周囲を進行しながら、松明を投げ入れます。すると松飾り等の小さな山から一斉に炎が巻き上がります。

○おそらく松飾り等が直径7~8m以上、高さ2~3m以上に渡って松飾り等が積み重なっ小山の中には燃えやすい資材が点在していると思われる程、炎は力強く舞い上がり、圧巻とも言える風景でした。熱くて危険だから離れるよう指示され3m程下がってみましたが、それでも顔が熱くてさらに下がって勢いよく燃え上げる炎を見つめ続けました。

○いつもは午後8時過ぎに訪れ、その時刻には炎の勢いは小さくなっており、それが普通と思っていたのですが、点火直後の炎の勢いは比べものになりません。この凄い勢いの炎を観るため参拝客も多く集まるのだと実感しました。
以上:1,449文字
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R 2- 1-14(火):30代専業主婦の67歳まで逸失利益を認めた地裁判決紹介
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○30代専業主婦の後遺障害逸失利益に関する判例を探していますが、意外に見つかりません。
36歳女子専業主婦の自賠責11級7号の脊柱変形を残した後遺障害逸失利益算定につき、「一律に労働能力喪失率表の喪失率を適用することも相当ではなく」とし、腰痛が脊柱変形によらないとしても「4年が経過してもその症状が継続」している等から、12級の14%喪失が67歳まで継続すると認定した平成21年11月12日横浜地裁判決(自保ジャーナル・第1822号)関連部分を紹介します。

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主  文
1 被告は、原告に対し、金1013万0727円及びこれに対する平成17年8月21日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
2 原告のその余の請求を棄却する。
3 訴訟費用は、これを5分し、その2を原告の、その3を被告の負担とする。
4 この判決は、第1項に限り、仮に執行することができる。

事実及び理由
第一 請求

 被告は、原告に対し、金1665万6669円及びこれに対する平成17年8月21日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。

第二 事案の概要
1 事案の要旨
 本件は、原告が、後記の交通事故により傷害を負い、後遺障害も残ったとして、加害車両を運転していた被告に対し、民法709条に基づき、損害賠償として1665万6669円(過失相殺として20%を控除し、既払額を控除した額)とこれに対する本件事故の日である平成17年8月21日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める事案である。

         (中略)


3 争点と当事者の主張
(1) 損害
【原告の主張】
ア 傷害慰謝料
 原告は、子供が中学受験を控え、その送迎や準備等があったため、通院回数は最低限度に抑えたものであり、本来的には70日前後の通院は必要であったから、入通院慰謝料は164万円が相当である。

イ 逸失利益
(ア) 基礎収入
 原告は、短大卒であり、本件事故当時は専業主婦であったが、健常であり、子育てが一段落すれば稼働しようと考えていたから、基礎収入は、賃金センサス(平成18年)女性短大卒35~39歳の平均年収417万2100円とするのが相当である。
 賃金センサスについては、症状固定によって、初めて損害が具現化し、確定する以上、症状固定時を基準時とし、その年度の賃金センサスを利用すべきである。

(イ) 労働能力喪失率
 原告の後遺障害は、第11級7号に該当する。そして、原告は、現実にも、後遺障害により日々の家事労働に多大な支障を来しており、毎日湿布薬をつけて痛みを和らげるべく努力しているのである。
 したがって、労働能力喪失率は20%とみるのが相当である。

(ウ) 労働能力喪失期間
 症状固定時の38歳から67歳までの29年間(ライプニッツ係数15.1411)

(エ) 計算方法
 417万2100円×0.20×15.1411=1263万4036円

         (中略)

第三 当裁判所の判断

         (中略)

2 損害
(1) 傷害慰謝料

 原告の傷害の程度、治療状況、入通院日数等(入院日数7日、実治療日数51日)からすれば、傷害慰謝料は135万円が相当である。

(2) 逸失利益
ア 基礎収入

 原告は、本件事故当時は専業主婦であったものであり、健常で、当時小学校6年生であった長男の子育てが一段落すれば、就労したいと考えていたことは認められるが、現在の社会情勢からすれば、女性が子育ての負担が減った後に就労したいとの意欲があっても、その年代の同程度の学歴の女性の平均年収程度の収入を得られるような職に就くことは必ずしも容易ではないから、逸失利益の算定に当たって、女性短大卒35~39歳の平均年収程度の収入を得られる蓋然性があると認めることは困難であり、賃金センサス女性学歴計全年齢平均年収を基礎収入として逸失利益を算定することとする。

 参照する賃金センサスの年度については、原告の症状固定が平成19年4月9日であることから、平成19年度のものを使用することとすると、その額は346万8800円となる。

イ 労働能力喪失率・喪失期間
(ア) 原告の後遺障害は、自賠責保険の後遺障害認定手続において、画像上、本件事故の外傷による明らかな第12胸椎圧迫骨折が認められ、その程度は前方椎体高の減少が後方椎体高の50%以上に至らない程度と捉えられることから、「脊柱に変形を残すもの」として、第11級7号に該当すると判断された。

(イ) 後遺障害診断書には、傷病名として、第12胸椎圧迫骨折のほかに・右膝打撲、頸椎挫傷の記載があり、自覚症状として、「後頭部に冷たい風があたるとピリピリする」「頸周囲に常に軽い痛み」「左肩甲骨周囲が一番痛い」「背中の中心もたまに痛い」「腰尾骨部痛は常にある」「右膝痛常に」「左足底の感覚異常と歩行時痛」との記載がある。

 自賠責保険の事前認定においては、これらの症状について、医証上、受傷当初のA病院では、頸部に関する受傷、右膝部に関する受傷、腰部及び右足底に関する受傷は認められておらず、本件事故から52日後のB病院において、頸部挫傷、右膝打撲と記載されていることから、症状と本件事故との間に相当因果関係は認め難いとして、自賠責保険の後遺障害には該当しないと判断されている。

 しかし、Cクリニックの外来カルテを見ると、平成17年10月11日の初診時、「右膝は靭帯損傷半月板損傷を疑う所見」などと記載されており、丙川三郎医師がこれを本件事故によるものとみていることは明らかであり、本件事故後に別の原因で右膝打撲や頸椎挫傷の傷害を負ったことをうかがわせるような事実もないのであるから、右膝打撲、頸椎挫傷についても、本件事故によるものと認めるのが合理的と思われる。

 もっとも、右膝打撲、頸椎捻挫による後遺障害があったとしても、それだけでは原告の主張する20%の労働能力の喪失が生じるとは通常は認められないから、労働能力喪失率については、第11級7号に該当すると判断された脊柱の変形によるものが主として問題となると考えられる。

(ウ) 上記のとおり、原告は、画像上、明らかな第12胸椎圧迫骨折が認められたことから、第11級7号に該当するとされたものであり、労働能力喪失率表に従うと20%の労働能力の喪失があることになる。
 ところで、脊椎圧迫骨折後の変形(第11級)については、労働能力の実質的喪失を否定する見解や、第12級に引き下げるのが妥当であるとの見解もあり、障害等級の位置づけについての専門家による検討もされているところであるが、現時点においてもその変更はされていないことからすれば、原則としては、労働能力喪失率表の定める喪失率を認めるのが相当であると考えられる。

 もっとも、骨折による変形が軽微であり、労働能力への制約がそれほどないという場合もあるので、一律に労働能力喪失率表の喪失率を適用することも相当ではなく、変形の部位・程度、現在の症状の原因、被害者の年齢・職業等から、具体的事案に即して労働能力喪失の程度を判断すべきものと考えられる。

(エ) B病院リハビリテーション科のカルテには、理学療法士による報告が記載されているが、平成18年4月3日の記載を見ると、「腰はしびれとかはないのですが、何となく重い感じがあります。」との原告の訴えの記載があり、腰痛の原因について、「腰背部に筋筋膜性の腰痛あり腰痛の原因は圧迫骨折によるものではなく、筋筋膜性の腰痛であると考える。」「一旦リハビリは終了し、再度自宅訓練を継続していただき経過観察していただく」との記載があり、理学療法士は、原告の腰痛について、第12胸椎圧迫骨折によるものではなく、筋・筋膜性腰痛であるとみている。

 原告は、陳述書において、Cクリニック整形外科の丙川三郎医師から、平成19年4月ころ、「あなたの場合、筋肉の細胞に細かい傷がついていて、これが治らないから、これ以上通院してもあまり役に立たないですよ。」ということを言われたと述べ、本人尋問においても同様のことを述べている。

 そして、同医師が原告に対してそのような説明をしたという事実は、同医師が、原告の腰痛について、筋・筋膜性腰痛であるとみていることを示すものである。

(オ) 丁山四郎医師は、F会社作成名義の意見書において、原告の圧迫骨折について、圧迫骨折の程度は軽微であり、圧縮率は椎体後壁高が28㍉㍍に対し、前壁が25㍉㍍程度であり、80%以上となっていることから、実際上ほとんど後弯変形はないとみてよく、受傷当初は強い痛みがあったことは否定しないが、骨癒合さえすれば普通は痛みが残らない程度の変形であるとする。そして、「腰の重い感じはむしろ、過重な安静により筋肉や動きが衰えたためと思われる。元の生活に戻ることが遅れ、十分な運動療法が見られないときに遺残することが多いが、逆に積極的な運動療法によって改善しうる。」とする。

 前記のとおり、原告の治療に当たっていたCクリニック、B病院の医師、理学療法士も、原告の腰痛について、第12胸椎圧迫骨折によるものではなく、筋・筋膜性腰痛であるとみており、丁山医師の前記見解も相応の合理性を有するものといえる。

(カ) そうしてみると、原告の腰背部の疼痛の訴えについては、誇張があるわけではなく、原告が述べるとおりの疼痛があるものと認められるものの、圧迫骨折による脊柱の変形を原因とするものとは認められないから、脊柱の変形により第11級7号に該当することから、直ちに労働能力喪失率を20%と認定することは相当ではないと思われる

 もっとも、原告の腰痛が脊柱の変形を原因とするものではないとはいっても、本件事故との相当因果関係がそのことによって否定されるわけではなく、証拠(略)によれば、事故から4年が経過してもその症状がなお継続し、家事労働や日常生活に支障が生じていることが認められることからすれば、労働能力喪失率を第14級程度の5%とし、労働能力喪失期間を数年間とみることも相当とは言い難い。

 以上のような事情を総合すると、労働能力喪失率を第12級13号(局部に頑固な神経症状を残すもの)と同等の14%とし、労働能力喪失期間を症状固定時の38歳から67歳までの29年間とみて、逸失利益を算定するのが相当であると判断する。

ウ 逸失利益算定における中間利息の控除の基準時
 この問題については、事故時を基準として中間利息を控除するという説も理論的には成り立つが、後遺障害による損害の具体的な発生時期は症状固定時であるから、症状固定時を基準に逸失利益を算定する方が自然で簡明であり、基準時を症状固定時とすると、事故時から症状固定時まで遅延損害金が付されるのに、中間利息の控除においてはこの期間を考慮しないことになるが、遅延損害金は単利で計算されるのに対して、中間利息はライプニッツ方式では複利で計算されるので、事故時から症状固定時までの中間利息が控除されないことが直ちに不公平であるとまではいえない。

 したがって、事故から症状固定までに極めて長期間を要したような場合はともかくとして、原則的には、症状固定時を中間利息控除の基準時とするのが相当である。本件の場合、事故から症状固定までは1年7ヶ月強程度であるから、症状固定時を中間利息控除の基準時としても不合理ではなく、症状固定時を基準時として逸失利益を算定するのが相当である。

エ そうすると、以下の計算式により、逸失利益は、735万3002円(1円未満切り捨て)となる。
 346万8800円×0.14×15.1411=735万3002円

(3) 争いのない損害と上記(1)、(2)を合計すると、1346万3582円となる。


以上:4,842文字
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R 2- 1-13(月):NHKスペシャル「『脂』~発見!人類を救う“命のアブラ”」を観て
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○令和2年1月12日(日)午後9時から「NHKスペシャル食の起源(3)▽『脂』~発見!人類を救う“命のアブラ”~」を観ました。番組詳細説明は、次の通りです。
おいしいものにはつきものの「アブラ」。でもとりすぎると肥満や様々な病気の元、と思いきや、なんと「とらなければ生きていけない“命のアブラ”」が存在していた!それが人類の祖先を絶滅の危機から救い、大繁栄の原動力にもなったというのだ。ところが文明の発展につれて、人類が口にするアブラに大異変が。「理想のアブラ」の鍵を握るのは、ある“2つのアブラ”のバランス。壮大なスケールで人間とアブラの意外な因縁に迫る!
○結論は、あぶらには、オメガ3とオメガ6があり、その摂取割合はオメガ3の1に対し、オメガ6が2が適正であるところ、日本人は、平均的に1対10とオメガ6を摂り過ぎているので注意すべきと言うものでした。

○あぶらは、脂肪酸と呼ばれ、脂肪酸は飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸に分けられ、不飽和脂肪酸は、その構造からオメガ3(n-3系脂肪酸)、オメガ6(n-6系脂肪酸)、オメガ9(n-9系脂肪酸)に分類されるとのことで、日本人はオメガ6を取り過ぎで、意識してオメガ3を摂るようにすべきとのことでした。

○私の大好きなピーナッツのあぶらは、オメガ3とオメガ6のいずれが多いかネットで調べてみたら、「ピーナッツ油ってどんなもの?アレルギーには注意して」
ピーナッツ油とはいったいどんな油なのでしょうか。
日本食品標準成分表で100g中の脂肪酸の内訳をおおまかに確認してみると、以下のようになっています。
・飽和脂肪酸・・・20g
・オメガ3・・・0.2g
・オメガ6・・・29g
・オメガ9・・・43g

と記述され、オメガ3に対し、オメガ6が145倍も含まれており、圧倒的にオメガ6が多く含まれています。

○オメガ3を多く含む食品は、「オメガ3脂肪酸の5つの効果効能と多く含む食品・食べ物」によると
サーモン
鯖(サバ)
ニシン
秋刀魚(さんま)
キャビア(チョウザメの卵)
ししゃも
牡蠣(かき)
クルミ
納豆

と魚類が多く、いずれも私が好きな食品ですが、残念ながらピーナッツは入っていません。ピーナッツを食べたらクルミも食べてオメガ3を補う必要があります。
以上:925文字
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R 2- 1-12(日):ハーバード大の研究でわかったピーナッツで長生き!”紹介2
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○「”ハーバード大の研究でわかったピーナッツで長生き!”紹介1」の続きで、第1章ピーナッツを食べると「健康、キレイ、長生きできる」の紹介、備忘録です。

○落花生(ピーナッツ)大好き人間には、大変、有り難い「ハーバード大の研究でわかったピーナッツで長生き!」ですが、第1章ピーナッツを食べると「健康、キレイ、長生きできる」の記述は、これでもか、これでもかとピーナッツの長所を繰り返し記載しています。余りに長所ばかりで、却って、ほんまかいな?と疑わしくなるくらいです(^^)。

○以下、第1章ピーナッツを食べると「健康、キレイ、長生きできる」備忘録です。
ピーナッツを食べると
①健康で長生きできる効果がある
ピーナッツには身体を活性化させ病気の予防に役立つ成分が多く含まれている
数種の「ポリフェノール」の中の「レスベラトロール」が重要
「レスベラトロール」は、人間の細胞の中にある「サーチュイン遺伝子(長寿遺伝子)」と結びついて、細胞全体を休ませる作用がある-ピーナッツをくるむ茶色い薄皮に含まれる
「レスベラトロール」の抗酸化作用がある、抗酸化作用とは、細胞を酸化・老化させる「活性酸素」の活動を抑えること

②あぶらのバランスがよく動脈硬化を予防
動脈硬化の三大要因は、活性酸素、悪玉コレステロール、マクロファージで、ピーナッツのポリフェノールが活性酸素を減らし、オレイン酸が悪玉コレステロール数値を下げる
ピーナッツの脂質は、飽和脂肪酸約20%、不飽和脂肪酸約80%、不飽和脂肪酸にはオメガ3,オメガ6、オメガ9の3種
オメガ3にはDHA(ドコサヘキサエン酸)、EPA(エイコサペンタエン酸)、オメガ6にはリノール酸、オメガ9にはオレイン酸があり、悪玉コレステロールを減らし、心臓や血管の硬化を防いで、心筋梗塞などの病気を起こしにくくする

③食後の血糖値上昇を抑え糖尿病の予防
糖尿病は、高血糖値状態継続で血管内に活性酸素が大量発生し血管を傷つけ心臓病・失明・腎不全・足の壊死等合併症を起こすもの
GI値(グリセミック・インデックス、食後血糖上昇指数、炭水化物が分解されて糖に変わるまでの速さを示す数値)が低い食品が血糖値の上昇を抑える効果があり、ピーナッツは最も低い10~19
オレイン酸が脂質異常を改善し、ポリフェノールは酸化ストレスを和らげ、結果として膵臓を保護し、インスリンの適切な分泌を促し、血糖値上昇を抑える

④抗酸化作用が肝臓を保護し肝機能をよくする
肝臓は異常症状がかなり進行しないと自覚症状が現れない沈黙の臓器で、注意すべきは中性脂肪がたまる脂肪肝、原因は暴飲・暴食・運動不足・ストレス、
肝臓の働きは身体中へのエネルギー供給・有毒物質の分解糖生命維持、そのため酸素の半分近くを消費し、活性酸素が発生しやすく、大腸菌が作るリポポリサッカライド(LPS、糖脂質・リポ多糖)の毒と共に肝臓を傷める
ピーナッツのポリフェノール等の抗酸化成分が、糖脂質等の肝臓への取り込みを阻害し、幹細胞が死ぬのを防ぎ、脂質代謝を促進し、肝機能を高める-酒のつまみにはピーナッツが相応しい
ピーナッツに含まれるビタミンB1チアミンは、アルコールから肝臓を守る効果がある

以下、
「腸内細菌が腸を刺激して便秘を治す」
「食物繊維が整腸作用を高めダイエット効果がある」
「保湿効果を高め肌がツヤツヤになる」
「栄養とミネラルが詰まり夏バテを予防できる」
「神経を保護しストレスを解消できる」
「脳の血流が良くなり認知症を予防できる」
「網膜細胞を守り目の老化を予防できる」
「抗ウイルス活性が高くインフルエンザの予防になる」
「生殖機能を高め夫婦仲がよくなる」

等々いいことずくめのオンパレードで、ホントに、「ほんまかいな?」です。
以上:1,528文字
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R 2- 1-11(土):遺産共有も共有で民法第258条が適用されるとした高裁判決判決紹介
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○「遺産共有も共有で分割は現物分割を原則とした最高裁判決紹介」の続きで、その原審である昭和27年12月4日東京高裁(最高裁判所民事判例集9巻6号804頁)を紹介します。「遺産共有も共有で民法第258条が適用されるとした地裁判決判決紹介」の控訴審です。

○一審判決は、本件不動産の共有者として持分2分の1を有する被控訴人が、同じく持分2分の1を有する控訴人に対して、本件不動産につき2分の1の持分による現物分割、もしくはその競売による分割を命じ、これを不服として控訴人が控訴していました。

○控訴審判決も、共同相続財産もまた共有財産にほかならないため、本件の場合においても一般共有財産の分割に関する民法258条2項の規定が適用されるべきであるとし、本件不動産を現物を以て分割しようとすれば、本件不動産の種類、性質、位置、利用方法ならびに当事者双方の諸事情等に照らして、はなはだ不合理な結果を生し、且つ、分割によって著しくその価格を損するおそれがあるから、現物分割に代わる方法として本件不動産の一括競売を命じ、その売得金を控訴人及び被控訴人で分割取得させるのが相当である等として控訴を棄却しました。

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主   文
本件控訴を棄却する。
控訴費用は控訴人の負担とする。

事   実
控訴代理人は「原判決中控訴人勝訴の部分を除きその余を取消す。被控訴人の請求を棄却する。訴訟費用は第1、2審とも被控訴人の負担とする。」との判決を求め、もし別紙目録記載の不動産が控訴人と被控訴人との間の共有であると認定せられる場合には、「原判決を次のとおり変更する。右不動産を控訴人の単独所有とすること。控訴人は被控訴人に対し適当な金員を支払うこと。訴訟費用は第1、2審とも被控訴人の負担とする。」との判決を求め、被控訴代理人は控訴棄却の判決を求めた。

当事者双方の事実上の主張は、被控訴代理人において、被控訴人は昭和19年中東京都より群馬県利根郡沼田町に疎開し、現在肩書地のささやかな借家に当20才及び23才の娘二人と居住する無職、無資産の当54才の未亡人であつて、わずかに娘等のミシン裁縫の内職等によつて生計を立てている貧困者であるが、本件不動産の共有持分はその生計の一助として亡夫Dの長兄訴外角田Bから譲受けたものである。控訴人は農業を営み、もともと控訴人及びその妻名義の土地を所有していたが、さらに今次の農地解放によつて相当反別の耕地を加え、人手も多く、盛んに農耕をなし、その肩書居住地方において中流以上の裕福な生計を営んでいるものであり、しかも、本件不動産を長年にわたり悪意をもつて不法に占有しているものである。右訴外Bと被控訴人との間の右不動産の共有持分の譲渡契約が仮装行為であるとの控訴人の抗弁は時機に後れて提出せられた防禦方法であつて、これがため訴訟の完結を遅延せしめるものであるから却下せらるべきである。なお右抗弁事実を否認する、と述べ、控訴代理人において、被控訴人は訴外角田Bから本件不動産の2分の1の共有持分の譲渡を受けた旨主張するけれども、右は当事者相通じてなした仮装行為であるから無効である。

したがつて被控訴人は右不動産の共有権者ではない。被控訴人は右抗弁は時機に後れて提出せられた防禦方法である旨主張するけれども、控訴人は、右譲渡行為の仮装であることは、昭和26年2月4日附角田BからEに宛てた葉書(乙第一号証)の文言によつて、その頃はじめて覚知したものであるから、時機に後れた防禦方法ということはできない。控訴人の従来の主張は、被控訴人が本件不動産の共有権者と仮定しての主張である。本件共有物分割の方法として、民法第258条第二項により競売を命ぜられるとしても、控訴人が原審において主張したところの本件居宅建物のために支出した必要費の額はその支出後の急激な物価の変動に伴い貨幣価値が著しく下落しているから、その支出当時の金額によらず、右金額を物価の変動に応じて換算した金額をもつて共有に関する債権となすべきである。少くとも右居宅建物の板屋根を万年瓦に葺替えた費用金1050円、その庇屋根替の費用金450円については、右万年瓦等は消耗品と異なり現に残存して右建物を組成しており、しかも該万年瓦等の価格が物価の昂騰に伴い値上りし、他の建物組成部分の価格と合して右建物全部の価格をなしている以上、当時の支出金額を標準とせず、右建物の当時の価格と現在の価格とを対比し、その比率にしたがつて右万年瓦等の現在の価格を算出し、これをもつて共有に関する債権となすべきである。と述べた外、いずれも原判決事実摘示と同一であるから、ここにこれを引用する。(立証省略)

理   由
別紙目録記載の本件不動産がもと訴外角田Aの所有であつたところ、昭和12年8月13日同訴外人の死亡によつて、訴外角田Bと控訴人の先代養母角田Cとが各2分の1の共有持分による遺産相続をしたこと、その後昭和18年3月10日、右Cの死亡によつて控訴人が家督相続をして、その共有持分を承継したこと、右訴外Bの弟Dの妻であつた被控訴人が同年9月11日Bからその共有持分の贈与を受けたとして、その旨の登記をなし、現に本件不動産が控訴人及び被控訴人の各2分の1の持分による共有の形となつていることは、いずれも当事者間に争がない。

控訴人は訴外Bと被控訴人との間の右共有持分の譲渡契約は当事者相通じてなした仮装行為であるから、無効である旨抗弁し、被控訴人は右抗弁は時機に後れて提出せられた防禦方法であつて、これがために訴訟の完結を遅延せしめるものであるから却下せられたい旨申立てるから、まず被控訴人の右申立の当否について考えるに、控訴人の右抗弁は昭和26年6月25日の当審の最初の口頭弁論期日において提出せられたものであることは本件記録上明らかであつて、しかも控訴人が右譲渡契約が仮装行為であることは成立に争のない乙第一号証(2月4日附角田BからEに宛てた昭和26年2月5日附郵便局の消印ある葉書)によつて、その頃はじめてこれを覚知した旨主張するものであり、かたがた当審における訴訟の経過に徴して、右抗弁はいまだ時機に後れて提出せられ、これによつて訴訟の完結を遅延せしめるものとは断じえないから、被控訴人の右申立は理由がないものというべきである。

よつて進んで控訴人の前記抗弁について按ずるに、前掲乙第一号証、成立に争のない同第四号証の一ないし五、第五号証の一ないし六(角田BからE、もしくはFに宛てた葉書)、当審証人Fの証言によれば、本件不動産の共有持分権は依然として訴外Bの手中にあつて、前記譲渡契約は当事者相通じてなした仮装行為であるかのような観がないでもないが、原審及び当審証人G、当審証人角田Bの各証言、登記所の印の成立について当事者間に争なく、その他の部分について当審証人Gの証言によつてその成立の認められる甲第三号証の一(土地建物共有持分贈与証書)、当審における被控訴人角田ゆみ本人の供述を総合すれば、訴外Bは亡弟Dの生前からD家のため種々面倒を見ていたが、同人が昭和18年8月13日死亡し、その長男長女等が相次いで死亡し,その遺族が資産もなく不幸な境遇にあるのを憂い、同年9月11日近親援助の意味をもつて本件不動産の共有持分を被控訴人に贈与したこと、その共有持分については、以前から控訴人との間にその分割等の問題をめぐつて紛争があつたので、その紛争の解決を待つてこれを贈与する考えであつたが、Bは老来ますます耳が遠くなり、身の進退も不自由がちとなつたので、紛争未解決のままこれを贈与するに至つたこと、かような従来の関係もあり、また被控訴人からの依頼もあつて本件訴訟についても同人を援助し、和解や調停の際にも同人の代理人として、また利害関係人として、裁判所に出頭し、同人のために親身となつて有利な結果をうるため尽力しているものであること、前掲乙号にあたかも本件共有持分がBの権利に属するものであるかのような表現のあるのも前述の事情によるものに外ならず、右共有持分は真実Bから被控訴人に贈与せられたものであつて右贈与行為が虚偽仮装のものでないことが認められる。

したがつて前掲乙号各証、同証人Fの証言によつては右認定を左右するに由なく、当審における控訴人角田浩三郎本人の供述中該認定に牴触する部分は措信しがたく、他にこれを覆すに足りる証拠がないから、控訴人の前記抗弁は採用の限りでない。そして本件共有物の分割について、控訴人と被控訴人との間にしばしば折衝があつたにもかかわらず協議が調わなかつたことは当事者間に争のないところであるから、被控訴人は控訴人に対し本件不動産の共有持分の分割を裁判所に請求し得るものといわなければならない。

よつて右共有物の分割方法について考えるに、控訴人方が従来本件不動産を利用し農業を家業として来たもので、控訴人は現在妻と12人の子供と長男の婦との14人の家族を擁し、農業に従事していること、被控訴人は従来東京都に居住していてほとんど農業に従事したことのないことは、いずれも当事者間に争がなく、原審証人Gの証言及び前掲被控訴人本人の供述によれば被控訴人は昭和19年中東京都より群馬県利根郡沼田町に疎開し、現在同町大字沼田九番地所在のささやかな借家に23才と20才の娘二人とともに居住する54才の未亡人であり、無職無資産でわずかにミシン裁縫の内職等によつて生活している者であることが認められる。

また当審における検証の結果によれば、別紙目録記載の不動産の内737番の甲宅地201坪((一)の土地)は、その北東側は沼田町より片品川に至る道路(表道路と略称する)に面し北西側は737番乙宅地七坪((二)の土地)に接し、南西側は係争外の他人の土地に接し、南東側は通路を挟んで730★番宅地280坪((三)の土地)に対しており、右(三)の土地は、その北東側は前記表道路に面し、南東側は通路を距てて係争外の他人の土地に対し、南西側は係争外の他人の土地甲739番の二を距てて甲739番の一宅地89坪((四)の土地)に対しており、本件四棟の建物(六)(七)、(八)の建物は(五)の建物の附属建物であることは当事者間に争がない)の内登記簿上(一)の土地の上に在るべき居宅((五)の建物)及び物置((七)の建物)の二棟は実際は(三)の土地の上に存し、したがつて、(一)の土地の上に現存するものは倉庫((六)の建物)及び便所((八)の建物)の二棟のみであつて、倉庫は(一)の土地の南部に便所は右土地の東部隅、表道路に近い所に存し、(一)の土地のその余の部分はおおむね唐黍の栽培その他、野菜畑として利用せられ、右土地の北西に接続する(二)の土地は(一)の土地より約10尺も高く、雑草の繁茂せる傾斜地であり、(三)の土地の上に存在する居宅は(一)の土地との間の通路に沿つて右土地の北東寄りの部分に南東に面して建てられた間口12間、奥行五間の二階建の建物で、階下は向つて右端に牛小屋その後方に風呂場、その左右に土間、板の間と続き、その左前に17畳半の養蚕室、その後方に桑置場、左端は前後に各十畳の座敷二間あり、階上は蚕室向きの板敷であり、同土地上に存する物置は、右居宅の西部の隅に南東に面して建てられてあり、なお右物置の南東部に豚舎一棟(係争外の建物)があり、(三)の土地中右三棟の建物が現存する以外の部分は一部庭園、一部野菜畑として利用せられ、その間は若干の庭樹及び桑樹が植栽され、その四囲は北西部分の通路を距てて(一)の土地に自由に出入しうる外は、生垣または桑樹をもつて表道路及び隣地との境をかぎり、また(三)の土地と一筆の土地を距ててその南西方に位する(四)の土地はごぼう、にんじん等の野菜畑となつていることが認められる。

そして、本件は民法応急措置法(昭和22年法律第74号)施行前に開始した相続財産の分割に関するものであるから民法附則第25条によつて旧民法を適用すべき場合であるが、同附則第32条によつて民法第906条が準用せられるから、同条の趣旨に則つて分割すべきものであることは勿論である。しかし同附則第32条によつて準用せられる民法の各条及び旧民法相続編には遺産分割の方法について何等規定するところがないから、共同相続財産もまた共有財産に外ならないゆえ、本件の場合においても一般共有財産の分割に関する民法第258条第2項の規定の適用のあることは疑いない。

しかも原審における鑑定人H、同I、同Jの各鑑定の結果によれば、本件不動産中(五)の居宅建物の価格とその他の宅地建物全部の価格の比は前者の方がはるかに大であることが認められるから、本件不動産を現物をもつて分割しようとすれば、いきおい(五)の建物を分割しなければならないこととなり著しくその価格を損する結果を来たし、また成立に争のない乙第六号証(利南村長の証明書)記載の評価格によるとしても、(五)の建物の価格とその他の宅地建物全部の価格の比は相匹敵することとなり、一方に(五)の建物を付与すれば、他方にはその建物敷地を含む全宅地と(五)の建物の附属建物全部を付与しなければならないこととなり、前記認定の本件不動産の種類、性質、位置、利用方法並びに当事者双方の諸事情等に照して、はなはだ不合理の結果を生ずるのみならず、分割によつて著しくその価格を損する虞あるものというべきであるから、現物分割に代る方法として本件不動産の一括競売を命じ、その売得金を控訴人及び被控訴人に平分取得せしめるのが相当であると解する。

控訴人は本件不動産を控訴人に付与し、その鑑定価格の半額を被控訴人に提供する分割方法によるべきであつて、民法第258条第2項の競売による分割をなすべきではない旨主張するけれども本件の遺産分割についても、民法附則第32条によつて民法第907条の規定が準用せられるから新民法施行後においては遺産の分割は家庭裁判所にその請求をすることを要し、家庭裁判所は家事審判法第9条第1項乙類第十号、家事審判規則第109条等の規定によつて控訴人の主張するように共同相続人の一人に遺産を付与するとともに同人をして他の共同相続人に対し債務を負担させ、現物をもつてする分割に代える旨の審判をすることも可能であるけれども、本件のように新民法施行前にすでに遺産分割請求の訴訟が裁判所に係属した事件については、家事審判法家事審判規則等の適用のないことは勿論であるから、結局前述のように民法第258条第2項の規定による外ないものというべきであつて、右と異なつた見解に立つ控訴人の主張はこれを採用することができない。

次に控訴人の被控訴人に対する本件不動産の必要費の償還請求について按ずるに

         (中略)

しかも控訴人はその主張の算定方法によつて共有に関する債権となるべき金額を具体的に主張していないのであるから、控訴人の右主張はいずれにしても理由がないものといわなければならない。

以上の理由によつて本件不動産につき一括競売を命じ、その売得金より競売費用を控除した残額を2分して控訴人と被控訴人に各その1を分配し、且つ被控訴人をして控訴人に対し自己に帰すべき金額中より金1200円を支払わしめるのを適当と考える。したがつて原判決は右と同趣旨で相当であつて、本件控訴は理由がないからこれを棄却すべきものとし、民事訴訟法第384条第1項、第95条、第89条を適用して主文のとおり判決する。(昭和27年12月4日東京高等裁判所第五民事部)
(別紙目録は省略する。)

以上:6,399文字
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R 2- 1-10(金):遺産共有も共有で民法第258条が適用されるとした地裁判決判決紹介
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○「遺産共有も共有で分割は現物分割を原則とした最高裁判決紹介」の続きで、その第一審の前橋地方裁判所判決(最高裁判所民事判例集9巻6号801頁、判決日不明)を紹介します。

○本件不動産の共有者として持分2分の1を有する原告が、同じく持分2分の1を有する被告に対して、本件不動産につき2分の1の持分による現物分割、もしくはその競売による分割を求めました。

○被告は、本件不動産の分割方法は原告に必要な家屋だけを農業に従事する被告に付与し、その鑑定価格の半額を被告より原告に提供するような分割方法が適当である主張しましたが、判決は、被告の主張を斥け、本件においては、共有物分割に関する民法258条が適用されるのは当然であるとの原告の主張を容れて、本件不動産の一括競売を命じ、また、原告に対し、被告先代が出捐した必要費の半額の支払いを被告に対してすることを命じました。

********************************************

主   文
別紙目録記載の不動産につき一括競売を命ずる。
其の売得金より競売費用を控除した部分を原告被告に各2分の1宛分配すべく、原告は自己に帰すべき金員の中より金1200円を被告に支払うべし。
原告のその余の請求は之を棄却する。
訴訟費用は被告の負担とする。

事   実
原告訴訟代理人は、原告と被告との共有に係る別紙目録記載の不動産につき各2分の1の持分による現物分割、若しくは其の競売による分割を命ずる。訴訟費用は被告の負担とする。との判決を求め、其の請求原因として、別紙目録記載の不動産は元訴外角田Aの所有であつたところ、昭和12年8月13日同人の死亡により訴外角田Cと被告の先代養母角田Dに於て各2分の1の持分による遺産相続をなし、其の後被告に於て昭和18年3月10日右Dの死亡により家督相続をなし其の持分を承継し、又右Cの亡弟の妻たる原告は同年9月11日右Cから其の持分の贈与を受けその登記をしたので本件不動産は結局原被告各2分の1の持分による共有となつたのである。

然るに之れより先右Cと被告間に於て同年4月28日より同年7月9日に亘り群馬県利根郡利南村村長Eの仲介により本件不動産の分割交渉を重ねたが、協議調わず、其の後更に被告より右Cに対し前橋地方裁判所に戦時特別調停の申立があつたが之れ又同年9月8日不調に終つたのである。

其の後右Cより持分の贈与を受けた原告は本件不動産の分割に関して直接被告と交渉を重ねたが,同月24日之れ又不成立となり其の間現在に至るも被告は依然として本件不動産を占有し、裕福なる生活を続けている反面、原告は昭和19年中東京都より群馬県利根郡沼田町に疎開し、現在同町大字沼田九番地のささやかな借家に21才と18才の娘と共に居住する52才の未亡人で無職無資産僅かに娘のミシン内職等によつて辛うじて生活をして居る赤貧者であつて、本件不動産の早急なる分割を求むるものであり、其の現物分割の出来ないか又は分割により著しく其の価格を損ずる虞あるときは、其の競売を命ぜられる様本訴に及んだのであると陳述し、被告の主張に対し、遺産分割の場合新民法附則第32条の規定により新民法第906条の規定の準用あるべきは当然であるが、現物分割か換価分割かの原則に関しては何等除外規定がない以上共有物分割に関する民法第258条の適用あるは当然である。

又別紙目録(五)の居宅の屋根を被告先代が昭和14年中板葺から万年瓦に葺替えたことは認めるが、当時の費用は金1050円が相当である、其の他の家屋修繕の点は不知であるが、之れは所謂時機に遅れた防禦方法であるから民事訴訟法第139条により却下さるべきである、被告方は従来本件不動産を利用し農業を家業として来たこと、被告の世帯員が被告主張の通りであること及び原告は殆ど農業に従事したことなく多年東京都に居住していたものであることは認める。その余の被告主張事実は否認すると述べた。(立証省略)

被告訴訟代理人は、原告の請求を棄却するとの判決を求め、其の答弁として、被告が裕福であること、原告が東京都より沼田町に疎開して来たこと及び原告とその世帯員の生活状態の点を除き原告主張事実は認める。抑々角田家は地方に於ける名門に属する家柄にして其の家屋敷等の財産は子孫相承けて之を永遠に伝えなければならないものであり、被告は角田家の正統相続人にして、本来ならば本件宅地建物の如きは当然被告の所有となるべきものであるが、偶々被告の祖母角田Aが隠居財産を留保しその名義になつて居た為めに、同人の死亡により遺産相続が開始した結果本件不動産は結局に於て、原被告各2分の1の持分による共有となつたが、之れは右角田Aの本意ではなく婦女子の無知により本件の如き結果に立至らしめたものである。原告の持分の前主角田Cも之を十分知つて居たのであるが、原告は手続の不備を奇貨として、日本の慣習を無視し本訴の如き事を構えるに至つたのである。

被告としては資産の続く限り本件宅地建物を永く角田家に存続させようとするものである。従つて本件不動産の分割に際しても新民法附則第32条の規定により新民法第906条の規定を準用し、被告の立場よりは寧ろ角田家の立場を考察して分割方法を決定すべきであり、同法第258条第2項を適用すべきではなく、又被告方は従来本件不動産を利用して農業を家業として来たものであり、其の家族としては妻と子供12人と長男の嫁との合計15人家族である、之れに対して原告は殆ど農業に従事したこともなく東京都に住んで居たものである。

以上の様な諸情況を彼我対照するときは、本件不動産の分割方法は農業に必要なる家屋丈を農業に従事する被告に付与し、其の鑑定価格の半額を被告より原告に提供する様な分割方法が適当であり、又被告の先代又は被告は本件建物につき次の如き必要費を支出している。即ち昭和14年中別紙目録(五)の居宅の屋根が板葺であつたのを万年瓦に葺替えた費用として金2500円、同年本件建物の庇屋根替等の費用として金450円、昭和12年より昭和18年に至る本件建物のペンキ塗替費として金100円、同期間に亘る別紙目録(七)の物置の屋根替費として金300円、昭和16年中本件建物の板羽目雨戸障子等の修繕費として金300円、翌17年中戸袋勝手等の修繕費として金500円、合計金4150円の必要費を支出しているから、民法第259条の規定により目的物の価格中より其の半額の償還を求める、と述べた。(立証省略)

以上:2,671文字
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R 2- 1- 9(木):遺産共有も共有で分割は現物分割を原則とした最高裁判決紹介
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○「遺産全部を法定相続分での相続人全員の共有とした家裁審判紹介」に関連した続きで、相続財産の共有は、民法改正の前後を通じ、民法249条以下に規定する「共有」とその性質を異にするものではなく、遺産の分割に関しては、民法256条以下の規定が適用されるとした昭和30年5月31日最高裁判決(判タ50号23頁、判時53号14頁)全文を紹介します。

○本件不動産の共有者として持分2分の1を有する被上告人が、同じく持分2分の1を有する上告人に対して、本件不動産につき2分の1の持分による現物分割、もしくはその競売による分割を求めて上告していました。

○これに対し、最高裁判決は、相続財産の共有は、民法改正の前後を通じ、民法249条以下に規定する「共有」とその性質を異にするものではないと解すべきであり、そのため、遺産の共有及び分割に関しては、共有に関する民法256条以下の規定が第一次的に適用され、遺産の分割は現物分割を原則とし、分割によって著しくその価格を損なうおそれがあるときは、その競売を命じて価格分割を行うことになるのであって、民法906条は、その場合にとるべき方針を明らかにしたものにほかならないと示し、原審が、本件遺産は分割により著しく価格を損なうおそれがあるとして一括競売を命じたことは、原判示理由によれば正当であるとして、上告を棄却した

第256条(共有物の分割請求)
 各共有者は、いつでも共有物の分割を請求することができる。ただし、5年を超えない期間内は分割をしない旨の契約をすることを妨げない。
2 前項ただし書の契約は、更新することができる。ただし、その期間は、更新の時から5年を超えることができない。

第258条(裁判による共有物の分割)
 共有物の分割について共有者間に協議が調わないときは、その分割を裁判所に請求することができる。
2 前項の場合において、共有物の現物を分割することができないとき、又は分割によってその価格を著しく減少させるおそれがあるときは、裁判所は、その競売を命ずることができる。

第906(遺産の分割の基準)
 遺産の分割は、遺産に属する物又は権利の種類及び性質、各相続人の年齢、職業、心身の状態及び生活の状況その他一切の事情を考慮してこれをする。


********************************************

主   文
本件上告を棄却する。
上告費用は上告人の負担とする。

理   由
 上告代理人松岡末盛の上告理由第1、2点について。
 相続財産の共有(民法898条、旧法1002条)は、民法改正の前後を通じ、民法249条以下に規定する「共有」とその性質を異にするものではないと解すべきである。

 相続財産中に金銭その他の可分債権があるときは、その債権は法律上当然分割され、各共同相続人がその相続分に応じて権利を承継するとした新法についての当裁判所の判例(昭和27年(オ)1119号同29年4月8日第一小法廷判決、集8巻819頁)及び旧法についての大審院の同趣旨の判例(大正9年12月22日判決、録26輯2062頁)は、いずれもこの解釈を前提とするものというべきである。

 それ故に、遺産の共有及び分割に関しては、共有に関する民法256条以下の規定が第一次的に適用せられ、遺産の分割は現物分割を原則とし、分割によつて著しくその価格を損する虞があるときは、その競売を命じて価格分割を行うことになるのであつて、民法906条は、その場合にとるべき方針を明らかにしたものに外ならない。

 本件において、原審は、本件遺産は分割により著しく価格を損する虞があるとして一括競売を命じたのであるが、右判断は原判示理由によれば正当であるというべく、本件につき民法258条2項の適用はないとする所論は採用できない。そしてまた、原審は本件につき民法附則32条、民法906条を準用したことも原判文上明らかであるから、これを準用しない違法があると主張する所論も採用できない。

 その他の論旨は「最高裁判所における民事上告事件の審判の特例に関する法律」(昭和25年5月4日法律138号)一号乃至三号のいずれにも該当せず、又同法にいわゆる「法令の解釈に関する重要な主張を含む」ものと認められない(論旨第三点の理由ないことも原判決の判示したとおりである)。
 よつて、民訴401条、95条、89条に従い、裁判官全員の一致で、主文のとおり判決する。
(裁判長裁判官 島保 裁判官 河村又介 裁判官 小林俊三 裁判官 本村善太郎)

上告代理人松岡末盛の上告理由
第一点

 原判決は其の理由に於て「よつて右共有物の分割方法について考えるに控訴人方が従来本件不動産を利用し農業を家業として来たもので控訴人は現在妻と12人の子供と長男の婦との14人の家族を擁し農業に従事していること、被控訴人は従来東京都に居住していてほとんど農業に従事したことのないことはいずれも当事者間に争がなく原審証人角田照房の証言及び前掲被控訴人本人の供述によれば被控訴人は昭和19年中東京都より群馬県利根郡沼田町に疎開し現在同町大字沼田九番地所在のささやかな借家に23才と20才の娘二人とともに居住する54才の未亡人であり無職、無資産でわずかに娘のミシン裁縫の内職等によつて生活している者であることが認められる」云々「そして本件は民法応急措置法(昭和22年法律第74号)施行前に開始した相続財産の分割に関するものであるから民法附則第25条によつて旧民法を適用すべき場合であるが同附則第32条によつて民法第906条が準用せられるから同条の趣旨に則つて分割すべきものであることは勿論である、

しかし同附則第32条によつて準用せられる民法の各条及び旧民法相続編には遺産分割の方法について何等規定するところがないから共同相続財産もまた共有財産に外ならないゆえ本件の場合においても一般共有財産の分割に関する民法第258条第2項の規定の適用あることは疑いない、しかも原審における鑑定人清水辰一、同斉藤亥重次、同武井角太郎の各鑑定の結果によれば本件不動産中(五)の居宅建物の価格とその他の宅地建物全部の価格の比は前者の方がはるかに大であることが認められるから本件不動産を現物をもつて分割しようとすればいきおい(五)の建物を分割しなければならないこととなり著しくその価格を損ずる結果を来たしまた成立に争のない乙第六号証(利南村長の証明書)記載の評価格によるとしても(五)の建物の価格とその他の宅地建物全部の価格の比は相匹敵することとなり一方に(五)の建物を付与すれば他方にはその建物敷地を含む全宅地と(五)の建物の附属建物全部を付与しなければならないこととなり前記鑑定の本件不動産の種類、性質、位置、利用方法並びに当事者双方の諸事情等に照してはなはだ不合理の結果を生ずるのみならず分割によつて著しくその価格を損する虞あるものというべきであるから現物分割に代る方法として本件不動産の一括競売を命じその売得金を控訴人及び被控訴人に半分取得せしめるのが相当であると解する。

控訴人は本件不動産を控訴人に付与しその鑑定価格の半額を被控訴人に提供する分割方法によるべきであつて民法第258条第2項の競売による分割をなすべきではない旨主張するけれども本件の遺産分割についても民法附則第32条によつて民法第907条の規定が準用せられるから新民法施行後においては遺産の分割は家庭裁判所にその請求をすることを要し家庭裁判所は家事審判法第9条第1項乙類第十号、家事審判規則第109条等の規定によつて控訴人の主張するように共同相続人の一人に遺産を付与するとともに同人をして他の共同相続人に対し債務を負担させ現物をもつてする分割に代える旨の審判をすることも可能であるけれども本件のように新民法施行前にすでに遺産分割請求の訴訟が裁判所に係属した事件については家事審判法、家事審判規則等の適用のないことは勿論であるから結局前述のように民法第258条第2項の規定による外ないものというべきである、よつて右と異つた見解に立つ控訴人の主張はこれを採用することができない」と判示しているけれども原審は本件の分割についても民法附則第32条によつて民法第906条を準用すべきこと勿論と做し乍ら結局同条を準用しなかつた違法がある。

民法第906条は民法に於て被相続人一人に帰属していた財産が相続分に応じた諸子均分相続制となつた為め一般共有財産と異る特異性に鑑みて遺産分割の基準となるべき大方針を示した新設規定である。旧民法に於ては遺産相続に於ける遺産分割についても民法第906条の如き規定なく、従つて一般共有財産の分割と同じく民法第258条による分割方法によつたものである。

而して同条によれば現物分割を原則とし現物分割不能の場合及び現物分割による時は著しく価格を損ずる場合に限り競売を命ずることができるのであつて民法第906条が示した分割の基準を考慮することを要しないのである。原審が前記の如く判示して一括競売を命じたのはその判示自体で明白なるが如く民法第258条第二項によつたもので毫も民法第906条の趣旨に則りたるものではない。尤も原判示によれば前摘記の如く「本件不動産の種類、性質、位置、利用方法並びに当事者双方の諸事情に照し」といつて恰も民法第906条を準用したかの措辞あれども、こは民法第258条第二項の著しく価格を損ずる虞ありと認むる事情の羅列に過ぎぬことは原判示によつて肯定し得る処である。果して然らば原審は民法附則第32条による民法第906条を準用せざるの違法がある。

第二点
 原審が民法第258条第2項を適用して一括競売を命じたのは違法である。第一点記載の如く旧民法による遺産分割については一般共有財産の分割と同じく民法第258条第2項によつたが民法附則第32条が遺産分割の基準たる民法第906条を準用する以上民法第258条第2項の適用はないものと解すべきである。

原審は第一点摘記の如く判示し本件遺産分割についても民法附則第32条によつて民法第907条が準用せられるから旧法に於ける遺産分割で民法施行迄に遺産分割請求訴訟の提起なき場合は格別、民法施行前既に裁判所に遺産分割訴訟が提起せられある本件については分割方法に関し民法第258条第二項によるべく上告人が原審で主張したる本件不動産を上告人に付与しその価格の半額を被上告人に提供する分割方法による能わざるものと做せども若し然りとせば民法附則第32条に於て単に「遺産相続に関し旧法を適用する場合にこれを準用する」とのみ規定せず家庭裁判所が旧法による遺産分割の場合にのみ準用する旨の限定を為すべき筋合であるにも拘らずこのことなきに徴する時には本件の場合に於ても民法第906条の精神に則りたる前記上告人が原審で主張したる分割方法も亦可能にして民法第258条第2項の分割方法によるべからざるものなることを窺知ることができる。尤も原審も第一点摘記判示にいつているように家事審判規則第109条等を適用乃至は準用する旨の規定はないけれども民法附則第4条が原則として新民法の遡及効を認める趣旨及び民法附則第32条の精神、目的等を考慮する時はその然る所以を肯定し得るものと信ずる。

尚ほ遺産分割の遡及効について民法第909条、旧民法第1012条とも何れも之れを認めながら民法ではその但書でその遡及効を制限するに至つたけれども旧民法では遡及効の制限なきに徴しても前記上告人が原審で主張したる分割方法も亦可能であるべき筋合である。果して然らば原審が第一点摘記の如く判示して上告人が原審で主張したる前記の如き分割方法によらず民法第258条第2項によるべしとなしたるは法律の解釈適用を誤つた違法がある。

第三点
 原判決はその理由に於て「控訴人は右居宅建物のために支出した必要費の額はその後の急激な物価の変動に伴い貨幣価値が著しく下落しているからその支出当時の金額によらず右金額を物価の変動に応じて換算した金額をもつて共有に関する債権とすべき旨主張するけれども右必要費の支出当時に比し現在においては物価の変動に伴い貨幣価値が著しく下落したことは当裁判所に顕著な事実であるがかかる場合物価の変動に応じてその支出金額を換算しこれを共有に関する債権となす旨の規定がないから控訴人の右主張は理由がない。

また控訴人は本件居宅建物の板屋根を万年瓦に葺き替えた費用金1050円その他庇屋根替の費用金450円については右万年瓦等は消耗品と異なり現に存在して右建物を組成しておりしかも万年瓦等の価格が物価の高騰に伴い値上りし他の建物組成部分の価格と合して右建物全部の価格をなしている以上当時の支出金額を標準とせず右建物の当時の価格と対比しその比率にしたがつて右万年瓦等の現在の価格を算出しこれをもつて共有に関する債権となすべき旨主張するけれども民法第196条第2項は占有者の費した有益費についてはその価格の増加が現存する場合にかぎり回復者の選択にしたがいその費した金額または増加額を償還せしめることをうる旨規定してはいるがこれは回復者は増加額が占有者の費した金額より少額のときは増加額を増加額がその費した金額より多額のときは費した金額を占有者に償還するをもつて足りるとの趣旨であると解するから同条は控訴人主張の場合に該当しない。

相続分算定に関する民法第903条、第904条(旧民法第1007条、第1008条)によれば贈与の価格についてはその価格の増減があつたときでも相続開始の当時なお現状のままで在るものとみなして価格を算定すべき旨規定されているけれどもこれは相続分を衡平ならしめる趣旨において設けられた特別の規定であつてかかる規定があるからといつて何等特別規定のない本件の場合に控訴人主張のような算定方法を採ることは許されないものというべきである(ちなみに右の相続分算定についても現金贈与の場合にはたとえ貨幣価値に変動があつてもその贈与された額の現金が相続開始の当時に在るものとみなされるに過ぎない)、その他本件のような場合に物価の高騰を理由としてその支出した必要費を算定すべき旨の規定がない、しかも控訴人はその主張の算定方法によつて共有に関する債権となるべき金額を具体的に主張していないのであるから控訴人の右主張はいずれにしても理由がないものといわなければならない」と判示しているけれども右は衡平を欠いた不審の判決である。被上告人は上告人に対し本件家屋等の上告人が占有使用していることによる地代家賃統制令による損害金の請求をしていることは成立に争のない乙第1号証,乙第4号証の1乃至5、乙第5号証の1乃至6(何れも葉書)等の記載で明瞭である。(現に前橋地方裁判所に係属中である、尤もこの点については本件争点に関係ないので原審で主張はしていない)而して右請求額は物価の高騰に伴い逐次増額となつた家賃、地代相当額で請求していることも亦右乙号各証で明認し得られる処である。

分割の当事者の一方である上告人は万年瓦等について支出当時の金額のみしか請求し得ず他方被上告人はその逐次増額の地代、家賃相当額の生れて来る家屋と一体を為しその重要組成部分たる万年瓦等について増額請求し得ることが衡平の観念に一致せず不合理であることは明白である。原審が相続分算定に関する規定は相続分を衡平ならしむる特別規定であるが上告人主張の点については何等の規定がないといつて同一物(家屋の組成部分とは謂え)たる万年瓦等について被上告人は物価の高騰に伴つた高額の損害金がとれるのにその損害金の根元たる万年瓦等を出している上告人のみ独り支出当時の金額しか請求できないとは上告人はもとより国民の何人も納得し難い処である。直接規定の見るべきものなしとの一事で同一物について一方は利益を得、仕方は損失を受けなければならぬ理由はない。法の理念とも謂うべき衡平の精神に照して見る時は地代、家賃等の逐時修正せられ居る規定を以て上告人が原審で主張したる冒頭摘記事実に対する根拠規定と見ることも可能と信ずる。原判決の如く特別規定なしとするが如きは上告人の承服し難い処である。

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