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平成13年相続に平成25年改正相続法を適用した家裁審判紹介

○平成13年2月に死亡した被相続人Nの嫡出子である申立人A・B・C・D・Eが,嫡出でない子である相手方F・G・H・I・J・K・L・Mらに対して,被相続人の遺産の分割を申し立てをして、平成25年法律第94号による改正前の民法900条4号ただし書き前段の適用が問題になった令和5年2月28日那覇家裁審判(判タ1514号250頁)関連部分を紹介します。

○改正前の民法900条四号ただし書きは、「嫡出でない子の相続分は、嫡出である子の相続分の2分の1とする」という規定で、非嫡出子に対する相続差別規定でした。この規定は、2013年(平成25年)9月4日の最高裁判所大法廷の違憲判決を受けて、同年12月の民法改正により削除され、現在は存在しません。

○しかし相続開始時は平成13年2月のため平成25年12月の改正民法が適用になるかどうか争いになりました。那覇家裁は、平成13年2月当時においても,法律婚制度の下で父母が婚姻関係になかったという子にとっては自ら選択ないし修正する余地のない事柄を理由としてその子に不利益を及ぼすことは許されないとして、嫡出子と嫡出でない子の法定相続分を区別する合理的な根拠は失われていたので、本件相続開始時点においても,改正前民法の規定は,憲法14条1項に違反しており(最高裁平成25年9月4日大法廷決定・民集67巻6号1320頁参照)本件では,いずれも被相続人の子である申立人ら及び相手方らの法定相続分は等しい割合とすべきであるとして代償分割金額等を定めました。極めて妥当な審判です。

○被相続人N氏は、嫡出子5人の外に配偶者以外の3人の女性との間に合計8人もの子をもうけ、その上で約4億5000万円の遺産を残して亡くなりました。遺産は、自ら取得したものかどうかは不明ですが、日本国人口増加に大きく寄与し、且つ、平均を大きく超える遺産を残し、その意味では、立派なものです。

**********************************************

審   判

申立人 A B C D E
相手方 F G H I J K L M
被相続人 N

主   文
1 被相続人Nの遺産を次のとおり分割する。
(1)別紙2遺産目録記載5ないし8,10ないし18の各土地,24の借地権,33ないし37の各株式,38ないし53の各預貯金,54の現金及び56ないし58の各権利は,申立人Aが取得する。
(2)別紙2遺産目録記載2,20ないし22の各土地,28ないし30の各区分所有建物及び32の株式は,申立人Bが取得する。
(3)別紙2遺産目録記載19の土地及び31の区分所有建物は,申立人Cが取得する。
(4)別紙2遺産目録記載9の土地は,申立人Dが取得する。
(5)別紙2遺産目録記載23の借地権,26及び27の建物並びに55の権利は,申立人Eが取得する。
(6)別紙2遺産目録記載3の土地及び59の権利は,相手方Jが取得する。
(7)別紙2遺産目録記載4の土地及び25の建物は,相手方Lが取得する。
(8)別紙2遺産目録記載1の土地は,申立人B及び相手方Jの持分各2分の1の割合による共有取得とする。

2(1)申立人Aは,申立人Cに対し,1項(1)の遺産を取得した代償として,2219万0902円を支払え。
(2)申立人Aは,申立人Dに対し,1項(1)の遺産を取得した代償として,2714万7567円を支払え。
(3)申立人Aは,申立人Eに対し,1項(1)の遺産を取得した代償として,3408万6152円を支払え。
(4)申立人Aは,相手方Jに対し,1項(1)の遺産を取得した代償として,38万0927円を支払え。
(5)申立人Aは,相手方Lに対し,1項(1)の遺産を取得した代償として,918万6094円を支払え。
(6)申立人Aは,相手方F,同G,同H,同I,同K及び同Mに対し,1項(1)の遺産を取得した代償として,各1576万9064円をそれぞれ支払え。

3(1)申立人Bは,申立人Cに対し,1項(2)の遺産を取得した代償として,217万2122円を支払え。
(2)申立人Bは,申立人Dに対し,1項(2)の遺産を取得した代償として,265万7297円を支払え。
(3)申立人Bは,申立人Eに対し,1項(2)の遺産を取得した代償として,333万6470円を支払え。
(4)申立人Bは,相手方Jに対し,1項(2)の遺産を取得した代償として,3万7286円を支払え。
(5)申立人Bは,相手方Lに対し,1項(2)の遺産を取得した代償として,89万9167円を支払え。
(6)申立人Bは,相手方F,同G,同H,同I,同K及び同Mに対し,1項(2)の遺産を取得した代償として,各154万3530円をそれぞれ支払え。

4 手続費用は各自の負担とする。

理   由
第1 相続の開始,相続人及び相続分

1 被相続人N(以下「被相続人」という。)は,平成13年2月*日死亡し,相続が開始した。

2 被相続人には,配偶者(昭和27年5月16日婚姻)であるO(以下「O」という。)との間に,A,B,C,D及びEの5人の子がいる。
 被相続人には,○○(平成11年*月*日死亡)との間に,F及びGの2人の子がおり,いずれも被相続人死亡後である平成14年10月16日に認知の裁判が確定した。
 被相続人には,○○との間に,H及びIの2人の子がおり,同人らは,いずれも被相続人により認知されている。
 被相続人には,Sとの間に,J,K,L及びMの4人(以下「相手方Jら」という。)の子がおり,同人らは,いずれも被相続人により認知されている。
 Oは,平成20年*月*日,死亡した。
 したがって,本件遺産分割の当事者となる相続人は,申立人ら及び相手方らである。

3 法定相続分について
 本件相続開始日は,平成25年12月11日より前であるため,平成25年法律第94号による改正前の民法900条4号ただし書き前段(嫡出でない子の相続分を嫡出子の2分の1とする部分)を適用すべきかが問題となる。

 この点,本件相続開始日は,前記部分の憲法適合性に関する各最高裁判例が判断していない時期に該当するため,前記適用の点につき拘束力のある判例は存在しない。

 そこで,我が国の婚姻や家族の実態,諸外国の立法傾向や条約の存在に係る状況及び立法動向や最高裁判所判例に関する評価を踏まえて検討するに,平成13年2月当時においても,法律婚制度の下で父母が婚姻関係になかったという,子にとっては自ら選択ないし修正する余地のない事柄を理由としてその子に不利益を及ぼすことは許されず,子を個人として尊重し,その権利を保障すべきであるという考えが確立されてきていたものということができ,当時の立法府の裁量を考慮しても、嫡出子と嫡出でない子の法定相続分を区別する合理的な根拠は失われていたというべきであり,本件相続開始時点においても,前記部分に係る民法の規定は,憲法14条1項に違反していたものというべきである(最高裁平成25年9月4日大法廷決定・民集67巻6号1320頁参照)。

 そうすると,本件では,いずれも被相続人の子である申立人ら及び相手方らの法定相続分は等しい割合とすべきである


 被相続人の死亡時の法定相続分は,O2分の1,申立人ら及び相手方ら各26分の1であり,Oの死亡により,申立人らに各5分の1の割合で相続され,申立人らの法定相続分は各65分の9となる(計算式は次のとおり)。
(1/26+1/2×1/5=9/65)

第2 遺産の範囲,評価
 別紙2遺産目録(以下「遺産目録」という。)記載1ないし59の各財産が被相続人の遺産であること(同記載6の墓地並びに同記載55,56及び59の債権を含めて本件遺産分割の対象とすること),及び,同記載1ないし31までの各不動産(借地権を含む。)の評価額,同記載32から37までの有価証券(株式)の評価額,同記載38から53までの各預貯金の残高,同55ないし59までの被相続人の財産に係る各権利の債権額ないし評価額が遺産目録記載のとおりであることは,当事者間の合意があり,本件記録によっても認められる。

第3 特別受益及び相続開始後の預金払戻

     (中略)

第4 当裁判所の定める分割方法
1 具体的相続分等

 遺産目録記載の各遺産の相続開始時の評価額合計は,3億1077万4471円であり,前記第3の1記載の申立人Aの特別受益3000万1302円と同2記載の申立人らの預貯金払戻に係る金額合計1億0935万1674円を加算した相続財産(特別受益との関係ではみなし相続財産)の評価額は,4億5012万7447円となる。
 以上から,各当事者の具体的相続分に基づく具体的取得分は,以下のとおりとなる(以下の本項目では,1円未満の金額は切捨計算する。)。

     (中略)

(4)代償分割の検討
 前記(1)ないし(3)の本件遺産分割を実現した場合,Aにおいて前記1(1)の,Bにおいて同(2)の各具体的取得分を超える遺産の取得をすることとなる(Aの取得額は合計1億9805万9721円となり,同人の具体的取得分より1億8760万6018円超過している。Bの取得額は合計5881万8537円となり,同人の具体的取得分より1836万3533円超過している。両名の超過分の金額合計は2億0596万9551円となる。)。

 一方で,その余の申立人ら及び相手方らにおいては,いずれも同(3)又は(4)の具体的取得分に足りず,A及びBにおいて,その余の申立人ら及び相手方らに不足する各金額を代償金として支払うのが相当であり,預貯金債権を分散して取得させるより当該方法によるのが合理的というべきである。

 この点,Aにおいて遺産である預貯金をすべて取得し(取得額合計1億4481万8645円),さらに市場取引のあることも明らかな遺産目録35ないし37の各株式(評価額合計1273万5119円)も取得していることに加え,提出された同人の預金残高を示す資料(甲17)からすれば,Aには,各代償金を支払う資力があると認められ,また,提出されたBの預金残高を示す資料(甲19)からすれば,同人にも同資力があると認められる。なお,相手方F及び同Gは,本件代償分割に関し,遅延利息の取得を主張するものの,同利息の発生は観念できず主張は採用できない。

 A及びBの代償金は,各不足額に応じて負担させるのが相当であり,次のとおり,各代償金額を定めるのが相当である(1円未満の端数については,計算結果に基づき適宜調整した。)。
(Aの負担割合)
91.08435%(計算式:187,606,018÷205,969,551=約0.9108435)

(Bの負担割合)
8.91565%(計算式:18,363,533÷205,969,551=約0.0891565)

(Cへの代償金)
C取得分      4045万5003円
C取得額      1609万1979円
不足額       2436万3024円
A代償金      2219万0902円
B代償金       217万2122円

(Dへの代償金)
D取得分      4045万5003円
D取得額      1065万0139円
不足額       2980万4864円
A代償金      2714万7567円
B代償金       265万7297円

(Eへの代償金)
E取得分      4045万5003円
E取得額       303万2381円
不足額       3742万2622円
A代償金      3408万6152円
B代償金       333万6470円

(Jへの代償金)
J取得分      1731万2594円
J取得額      1689万4381円
不足額         41万8213円
A代償金        38万0927円
B代償金         3万7286円

(Lへの代償金)
L取得分      1731万2594円
L取得額       722万7333円
不足額       1008万5261円
A代償金       918万6094円
B代償金        89万9167円

(その余の相手方らへの代償金)
各取得分及び不足額 1731万2594円
A代償金      1576万9064円
B代償金       154万3530円

第5 結論
 よって,主文のとおり審判する。
(裁判長裁判官 井上直樹 裁判官 高橋良徳 裁判官 島尻香織)

別紙
1〈省略〉
2 遺産目録〈省略〉
3 特別受益目録〈省略〉
4 位置関係の概要〈省略〉
以上:5,125文字

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