平成22年 4月23日(金):初稿 |
○「賃料不払解消手段鍵交換に慰謝料等支払が命じられた例」で、賃料不払い賃借人を、「部屋の鍵交換」と言うシンプル且つ強力な手段で事実上「追い出し」を実現していた不動産賃貸会社に対し慰謝料支払が認められた例を紹介していました。この「鍵交換」等の不当行為を常套手段として、賃貸人に代わって「追い出し」行為を行うプロが、家賃債務保証業者です。 ○家賃債務保証業者は「追い出し屋」と呼ばれ、敷金ゼロの賃貸物件についての賃料債務を保証する業者で、賃貸人はその保証があるから安心して敷金ゼロでも賃貸します。この「追い出し屋」を利用すると敷金を捻出できない人も敷金無しで住居を確保できると言う利点がありますが、賃料支払を少しでも怠ると「追い出し屋」による「部屋の鍵交換」等の不当な手段で事実上簡単に追い出されてしまいます。 ○要するに「追い出し屋」の存在によって安直な賃貸借契約の成立と、安直な「追い出し」即ち契約解除も実現するもので、賃貸借契約の回転が速くなり、いわば賃貸借契約流通は促進されます。しかし、このような「安直」な契約と事実上の解除が横行したのでは真の住宅問題の解決にならないとのことで、この「追い出し屋」規制法案が出来つつあるようです。 以下、備忘録です。 賃貸住宅における賃借人の居住の安定確保を図るための家賃債務保証業の業務の適正化及び家賃等の取立て行為の規制等に関する法律(案) 第一章総則 (目的) 第一条この法律は、賃貸住宅の家賃に係る債権について賃借人の私生活の平穏を害する取立て行為が発生する等の家賃の支払に関連する賃借人の居住をめぐる状況にかんがみ、賃借人の居住の安定の確保を図るため、家賃債務保証業を営む者及び家賃等弁済情報提供事業を営む者について登録制度を実施し、これらの事業に対し必要な規制を行い、家賃債務保証業者及び家賃等弁済情報提供事業者の業務の適正な運営の保を図るとともに、家賃等弁済情報の適正な取扱いに関し必要な事項を定め、あわせて賃貸住宅の家賃等に係る債権の取立て行為に関する規制を行い、もって国民生活の安定に寄与することを目的とする。 法規制の概要 家賃債務保証業者の業務の適正な運営の確保を図るとともに、家賃等の悪質な取立て行為を排除すること等により、賃貸住宅の賃借人の居住の安定確保を図る。 ①家賃債務保証業の登録制度 ・登録の義務付け ・保証委託契約締結の前後の書面交付義務 ・暴力団員等の使用の禁止 ・勧誘時の虚偽告知等の禁止 ・誇大広告の禁止 ・14.6%超の違約金を定める契約の禁止 ・暴力団員等への求償債権の譲渡禁止 ・帳簿の備付け ・業務改善命令・監督処分 ・罰則 ②家賃等弁済情報データベースの登録制度 <データベース作成事業者> ・登録の義務付け ・業務規程の作成・届出義務 →国土交通大臣による変更命令 ・収集・提供する弁済情報の内容 ・情報漏洩防止措置 ・苦情の処理に関する事項 ・賃借人への情報開示 ・加入業者の名簿縦覧 ・秘密保持義務 ・業務改善命令・監督処分 ・罰則 <加入業者> ・情報提供時:賃借人の同意取得義務 ・情報利用時:賃借人の同意取得義務 ③家賃等の悪質な取立て行為の禁止 ・家賃債務保証業者、住宅の賃貸事業者、賃貸管理業者による悪質な取立て行為の禁止(取立ての委託先も含む。) <禁止行為> (1)面会、文書送付、貼り紙、電話等の手法を問わず、人を威迫すること (2)人の私生活又は業務の平穏を害するような言動 (例) ・鍵の交換等(ドアロック) ・動産の持ち出し・保管 ・深夜・早朝の督促 ・これらの行為を予告すること ・罰則 以上:1,461文字
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