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弁護士法72条と弁護士紹介サイトとの関連2

平成25年 3月14日(木):初稿
○「弁護士法72条と弁護士紹介サイトとの関連1」と続けます。
登録料を受領して弁護士を紹介サイトは、「報酬を得る目的」で「業として」弁護士紹介をしているのであり、明らかに弁護士法第72条違反の「周旋」行為をしているのではないかとの考え方もあります。この「周旋」の意義が問題で、名古屋高裁金沢支部判決では「『周旋』とは、依頼を受けて、訴訟事件等の当事者と鑑定・代理・仲裁・和解等をなす者との間に介在し、両者間における委任関係その他の関係成立のための便宜を図り、その成立を容易ならしめる行為をいう」と定義しています。簡単に言えば顧客Aと弁護士Bの間に入ってAがBに事件を依頼するための便宜を図って事件依頼を容易にすることを行うことです。

○Cが弁護士紹介ウエブサイトを立ち上げ、弁護士Bの氏名・住所・得意分野等を紹介記述して、顧客Aがこれを見て、弁護士Bに電話するなどして連絡して、Bの事務所を訪れて相談した上で、Bに事件を依頼した場合、このCの弁護士紹介ウエブサイト立ち上げ行為が、「顧客Aと弁護士Bの間に入ってAがBに事件を依頼するための便宜を図って事件依頼を容易にすること」に該当するかどうか微妙なところがあります。しかし、現時点では日弁連調査室でもおそらく該当しないとの解釈と思われます。

○その該当しないとの理由ですが、私の推測では、弁護士紹介サイトはウエブ上の単なる広告掲示板であり、この広告掲示板に弁護士データを掲載することは、単なる広告行為であって登録料は広告料に過ぎないとの解釈と思われます。しかし、この広告掲示板が有料となった場合、即ち顧客側がこれを見て弁護士に連絡を取ること自体有料になったり、弁護士に依頼する結果となった場合に更に追加料金を支払う場合は、単なる広告掲示板ではなく違法な周旋行為に該当すると解釈されているようです。即ち顧客側がその紹介サイト利用料を徴収され、また、弁護士側がこの紹介サイト経由で事件を受任した場合に追加料金を支払うシステムの場合は、違法な周旋行為に該当します。

○ウエブサイト掲載登録料が、毎月一定額ではなく、クリックに比例して決められるクリック従量制の場合も、クリックが必ずしも事件受任に結びつくとは限りませんので、この従量制対価は、事件周旋に対する対価とは見られず、違法な周旋行為には該当しないと解釈されています。GoogleやYahoo!等の検索サイトの上部や右側の掲載部分スポーサードサーチ部分への登録料は、例えばYahoo!の場合「料金はクリックされた分だけ→広告が表示されただけでは料金はかかりません。」と説明されており、完全クリック従量制となっているようです。

○ところがクリックではなく、広告掲載ウエブサイトを見て事件が入り売上に繋がった場合にその一定部分を対価と定めた場合は、違法な周旋行為に該当すると解釈されています。ウエブサイトに掲載するとの全く同じ行為もその対価の取り決め如何によって周旋行為に該当するかが決められています。その広告掲示板がウエブサイトではなく、例えば建物の目立つ部分、駅のホーム、電車の中吊り等であっても、その対価がこの広告による売上の一定額と定めると違法な周旋行為となるとの解釈も見られます。

○対価を売上の一定額と定めても、その売上金額を如何に把握するか困難な気もしますが、兎に角、売上比例対価が、厳しく禁止されるのは、弁護士たる者、お金に物を言わせて事件漁りをしてはいけない、それは弁護士の品位に反するとの弁護士聖職論の名残があるからです。弁護士業界以外の一般業界では、仕事を紹介されたらその紹介料を支払うのは当然のことですが、一人弁護士業界で、仕事紹介料支払を厳格に禁じるのは、お金に物を言わせて仕事を取るのは弁護士の品位に反する、また、そのようなことが許されたのでは、お金のある事務所が益々繁盛するだけになり競争が益々激しくなるだけ自分たちで自分たちの首を絞めるだけだとの発想です。

○最終的には、お金に物を言わせて仕事を取るような弁護士が増えるとお客様の権利がないがしろにされ、お客様に却って迷惑をかける、「弁護士法72条に関する昭和46年7月14日最高裁判決全文紹介」に記述した「弁護士に法律事務を独占させることで法律秩序全般が維持・確立され、延いては国民の法律生活のためになる」との弁護士本意の発想です。
以上:1,792文字

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