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弁護士法72条と弁護士紹介サイトとの関連1

平成25年 3月12日(火):初稿
○「弁護士法72条に関する昭和46年7月14日最高裁判決解説」を続けます。

弁護士法第72条は以下の通り規定されています。
第72条(非弁護士の法律事務の取扱い等の禁止)
 弁護士又は弁護士法人でない者は、報酬を得る目的で訴訟事件、非訟事件及び審査請求、異議申立て、再審査請求等行政庁に対する不服申立事件その他一般の法律事件に関して鑑定、代理、仲裁若しくは和解その他の法律事務を取り扱い、又はこれらの周旋をすることを業とすることができない。ただし、この法律又は他の法律に別段の定めがある場合は、この限りでない。


この条文の「報酬を得る目的」、「業とすることができない」の修飾関係が曖昧なところを、解釈で整理した昭和46年7月14日最高裁判決に基づく正確な表現は次のようになります。
第72条(非弁護士の法律事務の取扱い等の禁止)
 弁護士又は弁護士法人でない者は、「報酬を得る目的」で且つ「業として」以下の行為をすることはできない。
(1)訴訟事件、非訟事件及び審査請求、異議申立て、再審査請求等行政庁に対する不服申立事件その他一般の法律事件に関して鑑定、代理、仲裁若しくは和解その他の法律事務を取り扱うこと(法律業務取扱)
(2)前項の行為を周旋すること(法律業務周旋)


逆に言えば、
①「報酬を得る目的」でも「業として」でなければ即ち1回限りであれば
また、
②「業として」即ち継続反復しても「報酬を得る目的」がなければ、
法律業務取扱、法律業務周旋のいずれも、弁護士資格のない者でも行うことができます。
なお、法律用語の「業として」の解釈は、「反復継続の意思をもって行うことで、その対象が特定であるか不特定であるかを問わず、また目的が営利・非営利であるかは問わない」とするのが一般です。

○だとすると例えば元の依頼者から事件を紹介された場合、紹介を受けた弁護士は1回限りであれば、紹介してくれた元依頼者に対し紹介料を支払っても良いことになりそうです。しかし、以下の弁護士職務基本規程によって禁止されています。
第13条(依頼者紹介の対価)
弁護士は、依頼者の紹介を受けたことに対する謝礼その他の対価を支払ってはならない。
2 弁護士は、依頼者の紹介をしたことに対する謝礼その他の対価を受け取ってはならない。

 この規定は、弁護士法第72条の趣旨を徹底するため、弁護士自身に関しては上記最高裁の解釈を採用せず、事件の紹介を受け、更に弁護士自身が紹介する際も、一切対価の授受をしてはならないとしたものです。

○「弁護士紹介・検索サイトを探してみました」記載の通り、現在は弁護士紹介サイトが相当数あり、且つ、その中には登録が有料なものもあります。仙台放送と仙台弁護士会が共同運営している「弁護士サーチみやぎ」でさえ、月額8400円の有料制です。平成17年2月記載「弁護士法72条-業務独占崩壊について」に「各士(さむらい)業紹介サービスサイトを始めた楽天では、税理士、社会保険労務士、行政書士、弁理士、司法書士、公認会計士を対象とするも弁護士は対象に入れることが出来ませんでした。その理由はこのサイトに登録するための登録料徴収は、弁護士法72条規定弁護士周旋禁止に違反するからです。」と記載していました。しかし、当時はそのような解釈でしたが、現在は、毎月定額の登録料であれば弁護士法に違反しないと解釈されているようです。

○前記最高裁の解釈からすれば、「報酬を得る目的」で「業として」弁護士紹介を行うことは禁止されていますので、例え毎月定額であろうと対価を得ての弁護士紹介サイト掲載は弁護士法第72条違反と評価されそうで、実際、平成17年の楽天各士(さむらい)業紹介サービスサイトにはいまだに弁護士は加入できません。何故、有料弁護士紹介サイトへの登録が弁護士法第72条違反にならないかというと紹介サイトへの登録・掲載は「広告」であって「紹介」ではないとの理屈からです。弁護士の広告は平成13年時点で解禁されていますので、広告を有料で行っても問題にならないとの見解です。

以上:1,659文字

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