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連帯保証人に対する請求を権利濫用として棄却した最高裁判決紹介1

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令和 2年 3月15日(日):初稿
〇根保証契約締結後3年以上を経過し、主債務者の経営状態悪化を了知し得たにもかかわらず保証人の意向を確認することなく、新たな貸付をした債権者の保証人に対する請求が、信義則に反し権利の濫用であるとして棄却した昭和48年3月1日最高裁判決(裁判集民108号265頁)全文を紹介します。

○事案は次の通りです。、
・Xは、昭和39年3月、主債務者A社との間で「手形割引、証書貸付、手形貸付に関する契約」を締結
・その際、Yらとの間で期間の定めのない根保証契約を締結
・XからAに対し、昭和42年7月に500万円、同年8月に370万円の手形貸付
・Xは、Aから支払われなかった残債権額540万円の支払を求めて、Xが連帯保証人であるYらに対し訴えを提起
・原審は、Xの請求を権利の濫用に当たるとして排斥したので、Xが上告

○争点は、根保証契約締結後3年以上を経過し、主債務者の経営状態悪化を了知し得たにもかかわらず、保証人に確認せずに債権者が主債務者に新たな貸付をした場合において、保証人は責任を負うかというものです。本判決は、保証債務の履行請求が信義則に反し権利濫用であるとされた最高裁としての初の判断であり、前提事実中に、根保証契約締結後3年余を経過したことが挙げられているが、このことは身元保証法を意識している可能性もあると解説されています。

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主  文
本件上告を棄却する。
上告費用は上告人の負担とする。

理  由
 上告代理人○○○○の上告理由について。
 原審は、原判示(イ)の契約の締結後3年余を経、訴外A株式会社の経営状態が悪化し、(イ)、(ロ)の各契約による担保物件も第三者に売却されて右会社の事業場から搬出され、第一審原告B信用金庫においてもその事情を了知しうる状態にあつたにかかわらず、同金庫が金融機関としてなすべきこの点の注意を怠り、かつ被上告人らの意向を打診することなく、漫然本件手形貸付をしたものであるとの事実を認定し、右事実関係のもとにおいては、同金庫が、(イ)の契約における期間の定めのない継続的保証契約に基づき、右手形貸付について被上告人らに対し保証債務の履行を求めるのは、信義則に反し権利の濫用であつて許されないとしたのであり、この点の認定判断は、原判決挙示の証拠関係に照らして肯認することができないものではない。右認定判断に所論の違法はなく、論旨は採用することができない。
 よつて、民訴法401条、95条、89条に従い、裁判官全員の一致で、主文のとおり判決する。
 (裁判長裁判官 岸 盛一 裁判官 大隅健一郎 裁判官 藤林益三 裁判官 下田武三 裁判官 岸上康夫)
以上:1,119文字

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