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”連帯保証人を求めない監督指針改正:金融庁”紹介2

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平成26年 1月21日(火):初稿
○「”連帯保証人を求めない監督指針改正:金融庁”紹介」を続けます。
 個人・法人に拘わらず事業者に対する貸付において、経営者以外の第三者を連帯保証人とすることは禁止するとの金融庁監督指針違反の連帯保証契約は無効との論理で連帯保証人から支払を拒否された場合の対処方法について検討中です。

○この金融庁監督指針違反であっても当事者の自由意思で連帯保証契約が締結された場合でも、行政取締上は問題ですが、私法上は原則は有効です。これを無効とする論理は、民法第90条「公の秩序又は善良の風俗に反する事項を目的とする法律行為は、無効とする。」に該当するとの主張です。

○「公の秩序又は善良の風俗に反する事項」は「公序良俗違反」と略称されますが、その類型は
①人倫違反行為(愛人契約等)、
②正義の観念違反行為(殺人契約等)、
③自由・平等違反行為(芸娼妓契約等)、
④暴利・不公正取引行為、
⑤著しく射倖性の強い行為(賭博等)

に大別されます。

○行政庁指導違反行為は、②正義の観念違反行為の中の取締法規違反行為に該当して無効との論理に近いものです。しかし、取締法規違反だからと言って必ずしも私法上も無効になるとは限りません。ましてや単なる行政庁通達違反だからといってそれだけで公序良俗違反無効になるとは限りませんが、第三者連帯保証禁止の金融庁監督指針違反連帯保証契約の有効性が問題になった事案についての裁判例は現時点では見つかっていません。

○以下に、金融庁「中小・地域金融機関向けの総合的な監督指針」の「Ⅱ-10 経営者以外の第三者の個人連帯保証を求めないことを原則とする融資慣行の確立等」全文を掲載しますが、第三者連帯保証を例外的に認める場合もあるようにも読めます。「契約者本人による自発的な意思に基づく申し出によるものであって、金融機関から要求されたものではないことが確保」されている場合です。金融機関としては第三者連帯保証人を付ける場合、この「確保」を満たすべく慎重に契約申込書等を準備する必要があります。

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Ⅱ-10 経営者以外の第三者の個人連帯保証を求めないことを原則とする融資慣行の確立等
Ⅱ-10-1 意義
 一般に、多くの中小企業(個人事業主を含む。)においては、家計と経営が未分離であることや、財務諸表の信頼性が必ずしも十分でないなどの指摘があることから、こうした中小企業に対する融資においては、企業の信用補完や経営に対する規律付けの観点から、経営者に対する個人保証を求める場合がある。他方、経営者以外の第三者の個人保証については、副次的な信用補完や経営者のモラル確保のための機能がある一方、直接的な経営責任がない第三者に債務者と同等の保証債務を負わせることが適当なのかという指摘がある。

 また、保証履行時における保証人に対する対応如何によっては、経営者としての再起を図るチャンスを失わせたり、社会生活を営む基盤すら失わせるという問題を生じさせているのではないかとの指摘があることに鑑み、金融機関には、保証履行時において、保証人の資産・収入を踏まえたきめ細かな対応が求められる。

 こうした状況に鑑み、「金融資本市場及び金融産業の活性化等のためのアクションプラン」(平成22 年12 月24 日公表)において、「経営者以外の第三者の個人連帯保証を求めないことを原則とする融資慣行を確立し、また、保証履行時における保証人の資産・収入を踏まえた対応を促進」することとしたところであり、金融機関においては、こうした趣旨を十分に踏まえた対応を行う必要がある。

Ⅱ-10-2 主な着眼点
(1)経営者以外の第三者の個人連帯保証を求めないことを原則とする融資慣行の確立

 個人連帯保証契約については、経営者以外の第三者の個人連帯保証を求めないことを原則とする方針を定めているか。また、方針を定める際や例外的に経営者以外の第三者との間で個人連帯保証契約を締結する際には、必要に応じ、「信用保証協会における第三者保証人徴求の原則禁止について」における考え方を踏まえているか。特に、経営者以外の第三者が、経営に実質的に関与していないにもかかわらず、例外的に個人連帯保証契約を締結する場合には、当該契約は契約者本人による自発的な意思に基づく申し出によるものであって、金融機関から要求されたものではないことが確保されているか。

(参考)信用保証協会における第三者保証人徴求の原則禁止について(抄、平成18年3月31日中小企業庁ウェブサイト)
(前略)中小企業庁では、信用保証協会が行う保証制度(略)について、平成18 年度に入ってから保証協会に対して保証申込を行った案件については、経営者本人以外の第三者を保証人として求めることを、原則禁止とします。
ただし、下記のような特別な事情がある場合については、例外とします。
(中略)
1.実質的な経営権を有している者、営業許可名義人又は経営者本人の配偶者(当該経営者本人と共に当該事業に従事する配偶者に限る。)が連帯保証人となる場合
2.経営者本人の健康上の理由のため、事業承継予定者が連帯保証人となる場合
3.財務内容その他の経営の状況を総合的に判断して、通常考えられる保証のリスク許容額を超える保証依頼がある場合であって、当該事業の協力者や支援者から積極的に連帯保証の申し出があった場合(ただし、協力者等が自発的に連帯保証の申し出を行ったことが客観的に認められる場合に限る。)

(2)保証履行時における保証人の履行能力等を踏まえた対応の促進
 保証人(個人事業主たる主債務者を含む。)に保証債務(当該主債務者の債務を含む。)の履行を求める場合には、上記意義にある指摘に鑑み、保証債務弁済の履行状況及び保証債務を負うに至った経緯などその責任の度合いに留意し、保証人の生活実態を十分に踏まえて判断される各保証人の履行能力に応じた合理的な負担方法とするなど、きめ細かな対応を行う態勢となっているか。
(注)Ⅱ-3-2-1-2(1)、(2)、(3)、(6)、(7)も参照のこと。

Ⅱ-10-3 監督手法・対応
 金融機関による上記取組みについては、「経営者以外の第三者の個人連帯保証を求めないことを原則とする融資慣行を確立し、また、保証履行時における保証人の資産・収入を踏まえた対応を促進する」という政策趣旨に鑑み、適切に取り組む必要がある。また、これらの取組みに当たって、適切な説明責任を果たすことも必要である(Ⅱ-3-2-1参照)。

 うした取組み態勢・取組み状況を踏まえ、監督上の対応を検討することとし、内部管理態勢の実効性等に疑義が生じた場合には、必要に応じ、報告(法第24 条に基づく報告を含む。)を求めて検証し、業務運営の適切性、健全性に問題があると認められれば、法第24 条に基づき報告を求め、又は、重大な問題があると認められる場合には、法第26 条に基づき業務改善命令を発出するものとする。

以上:2,876文字

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