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映画”一命”と直後”切腹”を観て-ネタバレ注意

平成23年10月16日(日):初稿
○平成17年12月4日初稿の「映画”切腹”に41年ぶりの感動!」に「仲代達也氏扮する津雲半四郎の良く透る声での重厚な台詞の言い回しは小気味よく耳に響き、更に対立する三国連太郎氏、丹波哲郎氏の台詞も格調高く見事に決まっております。殺陣は、椿三十郎等での三船敏郎氏の目にも止まらぬ太刀さばきに比べると少々見劣りしますが、リアルで見応えがあります。兎に角、一度は観て損はしない映画です。」と記載しておりました。ついこの間観た様に記憶していましたが、6年近く前でした。

○平成23年10月15日(土)、MOVIX仙台で、今話題の映画「一命」を観てきました。前記「切腹」のリメイク版で、市川海老蔵氏が津雲半四郎役を演じているので、仲代達也津雲半四郎とどのように違うか観ておきたいと思ったからです。市川氏は「新之助」時代にNHK大河ドラマ「武蔵 MUSASHI」でなかなか良い役者さんだなと思って思っておりました。

○しかし、津雲半四郎は、映画「切腹」での仲代達也氏の圧倒的な貫禄と存在感が瞼に焼き付いており、また、良く透るも且つ重厚な語り口での台詞の言い回しが耳にシッカリと残っており、この仲代津雲半四郎と市川津雲半四郎の比較は、気の毒としか思えません。「一命」での市川海老蔵氏の演技には、あれ、市川海老蔵氏の声はこんなに頼りない軽いものだっただろうか、敢えて、語り口を軽くしているのだろうかと、しばらく違和感がぬぐえませんでした。

○私のキャッチフレーズである「蒲柳の質」の津雲半四郎の一人娘美穂役満島ひかり氏。良く観た顔だと思ったら、ほぼ毎日欠かさず観ていたNHK「おひさま」白紙同盟の1人育子さん。この育子さんのおきゃんなイメージが強すぎて、江戸時代の蒲柳の質の女性には見えません。確かに演技力のある方なのでしょうが、毎日観ていた育子のイメージが強すぎて、切腹での美穂役岩下志麻さんのやつれぶり比べて違和感を感じました。

○千々岩求女役瑛太氏、「切腹」では石浜朗氏が演じましたが、いずれも最後にやせ細った体の上半身を剥き出しにして、竹光での切腹という凄惨・過酷なシーンを見事に演じていました。それに至る、不遇な人生を真面目に真摯に生き抜いてはいるが、何となく頼りない雰囲気をシッカリと出しており、この千々岩求女役だけは、いずれも優劣つけがたいと感じました。

○「一命」が「切腹」と大きく異なるのは、最後の井伊家内での津雲半四郎の大暴れシーンです。「一命」では、なんと、半四郎が抜いた刀は竹光でした。千々岩求女は、子の生活のため武士の命である刀を質に入れて竹光に変えました。無残な姿で自宅に帰ってきた求女の遺体脇の刀を抜いて刀まで生活費に変えていたことを初めて知った仲代半四郎は、そこまでして妻子を守ろうとした求女に、刀だけはとしがみついていた我が身が恥ずかしくなり、求女の前で、ただただ申し訳ないとひれ伏します。

○これに対し、市川津雲半四郎では、このようなシーンはなかったかと思いますが、最後の乱闘シーンでは、なんと抜いた刀は求女と同じく竹光が収められており、この竹光で井伊家武士達に立ち向かいます。おそらく刀に象徴される武士社会への反逆を強調したのかと思いましたが、脚本を担当した山岸きくみ氏の言葉はちと違いました。「この映画は復讐劇ではない。ですから半四郎は求女同様、自分をゼロにして竹光で対峙するその姿を描きたかったのです。」と述べていました。しかし、残念ながら感性の鈍い私はこの意図がいまいち理解出来ず、この竹光による乱闘シーンにしらけてしまい、後味の悪い映画に終わってしまいました。
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