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相続財産清算人選任申立のうち共有財産帰属型補足説明-予納金について

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令和 6年10月22日(火):初稿
○「相続財産管理人と相続財産清算人覚書-相続財産清算人申立類型考察」の続きで、その中の共有財産帰属型についてさらに詳しく説明します。甲・乙各2分の1の共有のA土地があり、乙が相続人なくして死亡した場合、民法第255条に基づき、乙の共有持分権を甲に帰属させるための民法第952条に基づく相続財産清算人選任申立に当たっての注意点です。

○相続財産清算人申立をすると、相続財産清算人報酬を初めとする経費が必要になるため家庭裁判所から清算費用の予納を求められます。10年以上前に仙台家庭裁判所気仙沼支部に何件か申立をした際は予納金は30万円前後でした。ところが数年前に東京家裁に相続財産清算人選任申立をしたら申立をしたら100万円も要求されました。驚いて、このケースは共有財産帰属型で残された価値の低い(数十万円程度の)不動産の10数分の1の共有持分権の移転が目的であり、債権者が居ないことも明白な事案なので、清算人の業務もさほど大きくないので予納金は30万円程度にして欲しいと懇願しました。しかし、東京家裁担当書記官は、当裁判所は一律100万円と決めており、100万円予納しない限り、申立は受け付けませんと冷たく拒否されました。

○この予納金は、民事訴訟費用等に関する法律11条1項1号に規定する「その他の給付に相当する金額」に該当し、同法12条1項「裁判所は、当事者等にその費用の概算額を予納させなければならない」との規定により破産管財人等と同じ清算費用と解説されています(日本加除出版社令和5年11月初版発行「家庭裁判所における財産管理・清算の実務」165頁)。同著同頁には、「ウ 手続費用の立替え、手続上の救助」として、家事事件手続法第30条手続費用の立替え、同32条手続上の救助制度の規定があり、この利用は、今後の実務の蓄積が待たれるとしています。
家事事件手続法
第30条(手続費用の立替え)

 事実の調査、証拠調べ、呼出し、告知その他の家事事件の手続に必要な行為に要する費用は、国庫において立て替えることができる。
第32条
 家事事件の手続の準備及び追行に必要な費用を支払う資力がない者又はその支払により生活に著しい支障を生ずる者に対しては、裁判所は、申立てにより、手続上の救助の裁判をすることができる。ただし、救助を求める者が不当な目的で家事審判又は家事調停の申立てその他の手続行為をしていることが明らかなときは、この限りでない。


○この予納金が予納者に戻るかどうかについては、同著166頁に【ポイント】として「(預貯金払戻・不動産売却等により)相続財産清算人の報酬を含む清算費用の財源が確保できた場合には、清算終了前の段階で、事案に応じて、予納金の還付をしているのが実務の扱いである。」としています。この点について、新日本法規出版令和2年5月初版発行「実務家が陥りやすい相続人不存在・不在者財産管理の落とし穴」では、「予納金は、相続財産管理人、不在者財産管理人選任の申立事件のいずれにおいても、管理財産の形成の有無・程度を問わず、管理終了まで返還されないのが原則であり、家庭裁判所も管理中の返還についてはかなり消極的である」と説明されています。前著は裁判官・書記官、後著は弁護士が執筆しており、前著の記述が裁判実務に即していると思われます。

○私が数年前に東京家裁に100万円の予納金を納めて申立をした事案では、管理人業務が全て終了した後に40数万円程還付されました。この事件では財産形成はできず、清算費用としては予納金100万円だけであり、最終的に管理人(清算人)報酬が50万円と決定されて、実費等差し引き40数万円程還付されました。
以上:1,510文字

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