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相続財産管理人と相続財産清算人覚書-相続財産清算人申立類型考察

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令和 6年10月19日(土):初稿
○「相続財産管理人と相続財産清算人覚書-両者の違い」の続きで、相続財産清算人申立をする場合の類型を考察します。

特別縁故型
相続財産清算人申立を依頼されるケースの殆どは、一定の財産を有して死亡した被相続人が、両親は既に死亡し、未婚で兄弟もなく、元々相続人が不存在で、その被相続人生前、一緒に生活をするなど密接な関係があるのに相続人ではないため被相続人が残した財産を相続承継できない場合です。

この場合、以下の民法規定で被相続人の特別縁故者として、被相続人が残した財産の全部又は一部を承継する目的で相続財産清算人申立をします。
第958条の2(特別縁故者に対する相続財産の分与)
 前条の場合において、相当と認めるときは、家庭裁判所は、被相続人と生計を同じくしていた者、被相続人の療養看護に努めた者その他被相続人と特別の縁故があった者の請求によって、これらの者に、清算後残存すべき相続財産の全部又は一部を与えることができる。
2 前項の請求は、第952条第2項の期間の満了後3箇月以内にしなければならない。


このようなケースは、田舎に多く、私の場合、郷里気仙沼でこのようなケースでの依頼を受け、申立或いは相続財産清算人(当時は管理人)に選任されたことが相当件数あります。

特別縁故者の要件等は「相続財産管理人の実務-特別縁故者の要件等」、「特別縁故者には該当しないとされた最近の審判・抗告審決定紹介」等で説明していますが、結構要件は厳しく、簡単には認められません。

共有財産帰属型
次に多いのが、死亡した被相続人が共有財産を有しており、次の民法第255条を実現するために申立をする場合です。
第255条(持分の放棄及び共有者の死亡)
 共有者の一人が、その持分を放棄したとき、又は死亡して相続人がないときは、その持分は、他の共有者に帰属する。


この「その持分は、他の共有者に帰属する」ための要件として、平成元年11月24日最高裁判決(判タ714号77頁、判時1332号30頁)が、共有者の一人が死亡し、相続人の不存在が確定し、相続債権者や受遺者に対する清算手続が終了したときは、その持分は、民法958条の3に基づく特別縁故者に対する財産分与の対象となり、この財産分与がされないときに、初めて民法255条により他の共有者に帰属するとしたためです(特別縁故者優先説)。

問題になるのは不動産の共有持分権で、甲・乙各2分の1の共有のA土地があり、乙が相続人なくして死亡した場合、民法第255条を理由に、甲が乙の共有持分権について自分への移転登記手続をしても法務局は、前記最高裁判決を受けて特別縁故者不存在確定証明書を添付しない限り受け付けなくなりました。そのため甲は乙の共有持分権を承継するために相続財産清算人選任申立をしなければなりません。この類型は数件依頼を受けています。

なお、民法第255条は「共有者の一人」を規定するだけで、財産の種類は規定されていませんので、不動産に限らず動産も含まれます。

債務超過型
被相続人が、一定の財産を有するもそれを越える債務を負い債務超過の場合、相続人は全員相続放棄をするのが一般です。その場合、被相続人の財産を換価処分して債権者に配当する手続が必要になり、そのため相続財産清算人を選任するケースもあります。この場合、放棄した相続人がこの申立をすることは先ずありませんので、私はこの類型を依頼されたことはありません。

国庫帰属型
被相続人の財産が多く債務を清算しても財産が残れば国庫に帰属します(959条)。国庫に帰属させるために相続財産清算人申立をする類型は、当然のことながら、私は依頼されたことはありません。

財産処分型
被相続人が、自動車等処分が必要な財産を残し、死亡し、その財産を処分するために相続財産清算人を申し立てる類型もあり、現在、受任中です。
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