平成19年 4月10日(火):初稿 |
○遺言は通常中学3年の誕生日に達する満15歳になれば作成可能ですが、余程特殊な例を除いて若くして遺言書を作成することはなく、殆どの場合、遺言書を作成するのは高齢になって、自分の死後を意識し始めた頃です。高齢にならずとも例えばガンで余命○年或いは○ヶ月と宣告されたときなど、健康状態が蝕まれたときなど身体が弱くなったときに遺言作成を考えます。 ○身体が弱くなったときは、精神状態も堅固な意思を持たず移ろいやすく脆くなるのが普通です。折角、遺言書を作成しても、これが無効だと争いになる場合、遺言書の無効を主張する人にとっては、遺言作成者の状況が、精神肉体共に弱くなって正常の状態でなく、普通の判断能力が無くなったときのものであり、真意ではないとの思いがあります。お父さんに正常な判断力があれば、あんな遺言書を作るはずがないとの思いです。 ○遺言は、遺言者の最終意思の発現であることが必要ですが、そのためには遺言者が正常な判断能力即ち遺言能力を有し、意思が他人の圧力によってねじ曲げられることなく即ち自発的意思-真意で作成されることが必要です。真意性があるかどうかは、如何なる動機(内なる力)で如何なる影響力(外なる力)により形成されたかの判断が必要になります。 ○遺言書が有効に作成されるためには①遺言能力と②真意性が必要ですが、しかし高齢になって身体の健康状態の衰えにより精神能力も衰え、自力での判断能力も衰え、他人の圧力に動じやすくなり、①遺言能力と②真意性も心もとなくなることが多くなります。 ○作成された遺言書が無効だと争いになる例は、殆どこの①遺言能力、②真意性が問題にされます。遺言無効が主張される殆どの場合、遺言者が遺言書作成当時、例えば脳梗塞等の後遺障害で正常な判断能力が失われていたこと、また②外部からの圧力、特に遺言書によって利益を受けるものからの強い圧力があって意思がねじ曲げられて作成されたとの主張がなされます。 ○ですから、折角作成した遺言書が、遺言無効確認等の訴えを提起されて却って争いの元になることを防ぐためには、遺言作成時の①遺言能力と②真意性を後で確認できる資料を残して置くことが大変重要になります。 以上:902文字
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