平成30年 1月19日(金):初稿 |
○「ネットで長時間かけて調べた各種数値データ紹介8(業務予測等雑感)」の続きです。 ここで「、弁護人が必要な事件数は、日弁連HPの「必要的弁護事件の事件数及び国選弁護人選任率の推移(地方裁判所)」を見ると地裁事件で5万件足らずであり、これに簡裁、高裁事件を合わせても10数万件程度と思われます。だとすると弁護士1人当たりの刑事事件数も数件止まりと推測されます。」と記載していました。 ○必要的弁護事件とは、刑事訴訟法第289条規定「死刑又は無期若しくは長期3年を超える懲役若しくは禁錮にあたる事件を審理する場合には、弁護人がなければ開廷することはできない。」と規定されている事件です。長期3年以下の犯罪は、弁護人がなくても開廷することができますが、原則として、国選弁護人を付けていると思っていました。 ○そこで必要的弁護事件だけでない地裁・簡裁の刑事事件で弁護人がつく件数を知りたく、日弁連HPを調べたら2016年版弁護士白書の「2-1-2刑事事件全般にわたる弁護人の関与状況」がありました。画像は以下の通りです。 ○これによると地裁刑事事件の私選弁護人選任率は平成2年は40%近くだったものが、平成27年には20.1%と半分近くに減少しています。平成27年地裁刑事事件数は5万4297件で99.5%弁護人がついていますので、約5万4000件に弁護人がついています。平成27年弁護士数は、3万4666人ですから、弁護士1人当たり地裁刑事事件数は、1.6件に過ぎません。 ○5万4000件の20.1%に私選弁護人がついていますので、その件数は、1万0800件です。弁護士数3万4666人で割ると1人当たり私選刑事事件数は0.3件で、3年に1件程度しか私選刑事事件はないことになります。簡裁刑事事件数は平成27年で6590件ですから、地裁事件数の12%程度しかありません。私選弁護人選任率は、平成元年18.2%が平成27年9%と半減しています。 ○刑事事件私選率が大変少ないということは、私選刑事事件の開拓余地は大きいと言うことにもなります。ここに目を付けて私選刑事事件のマーケッティングに力を入れて成果を上げている弁護士も、横浜パートナー法律事務所大山滋郎弁護士を始め、一定数います。私のように件数が少ないとして気が重くなる弁護士は、稼げる弁護士にはなれません(^^;)。 以上:973文字
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