平成27年10月 4日(日):初稿 |
○「堂々たる弁護士法違反-ではないと思います・弁護士選びサポートサービス2」の続きです。 「堂々たる弁護士法違反-ではないと思います・弁護士選びサポートサービス」で、「この規程が禁じているのは、弁護士が依頼者を紹介した弁護士から対価を受け取ることであり、依頼者自身が弁護士を紹介してくれた弁護士に対価を支払うことまで禁じてはいないと私は解釈しています。」と記述していました。これについて、ちと疑問が出されて、この公式見解を探していたら、「自由と正義」平成17年臨時増刊号解説『解説弁護士職務基本規程』が見つかりました。 ○この「自由と正義」解説では、 (弁護士職務基本規定) 第13条 ①弁護士は、依頼者の紹介を受けたことに対する謝礼その他の対価を支払ってはならない。 ②弁護士は、依頼者の紹介をしたことに対する謝礼その他の対価を受け取ってはならない。 の①項は旧弁護士倫理13条をそのまま踏襲したものですが、②項は新設規定とのことです。 これが新設された理由は、①項のみでは、外国法事務弁護士が日本の弁護士に依頼者を紹介し、日本の弁護士がその対価を支払った場合に支払をした日本の弁護士だけが違法を問われ、受領した外国法事務弁護士は何ら違反にならないとの解釈を生むおそれが生じるからとのことです。 ということは外国法事務弁護士、要するに外国の弁護士、殆どが米国の弁護士は、弁護士に依頼者を紹介して対価を受領することが当然の如く行われていると言うことでしょうか。 ○この「依頼者の紹介」についての、②項の「自由と正義」解説を、そのまま以下に転載します。 「2項の『依頼者』は、弁護士から紹介を受けた側から見ての依頼者または業務上の顧客をいう。従って、たとえば、特許事件の相談を受けた弁護士が、経験のない分野であるため受任できないので他の弁護士を紹介した場合など、紹介する弁護士からみたら未だ『依頼者』になっていない場合も含む。また、『紹介』は、紹介した相手方が弁護士である場合だけでなく、弁護士以外の者である場合、たとえば遺産分割事件で不動産処分を不動産業者に紹介する場合も含む。本項は、弁護士がまったく法的アドバイスも事情聴取すらもせず紹介すること(いわば丸投げする行為)を想定している。(中略)また、依頼者(事件)を弁護士に紹介したときであっても、自らもまた受任している場合には、『紹介料』ではなく、それぞれの職務に対する報酬(パートナー分配金)であることが多いであろう。」 ○①、②項共通の趣旨として以下の記述もあります。 「依頼者を紹介することは、もとより弁護士の職務範囲ではなく、紹介した相手方が弁護士であれ弁護士以外の者であれ、弁護士が依頼者(事件)を紹介したというだけで、その相手方から対価(紹介料)をもらうことは品位にもとるものというべきである。」 ○この2つの解説は、いずれも対価をもらう相手方は、紹介した相手方を前提としています。弁護士の紹介を依頼したお客様から対価をもらうことについては、何とも述べられていません。「依頼者を紹介することは、もとより弁護士の職務範囲ではなく」という記述がありますが、「品位にもとるものというべき」なのは、「(紹介した相手方から)対価をもらうこと」です。 ○以上のとおり、「自由と正義」解説を読んでも、私の解釈では、有償弁護士選びサポートサービスは、弁護士法第72条、弁護士職務基本規程いずれにも違反していません。しかし、異論はあるでしょうね(^^;)。 以上:1,431文字
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