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全損害から人身傷害保険金相当額全額は控除できないとした最高裁判決紹介4

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令和 6年 8月10日(土):初稿
○「全損害から人身障害保険金相当額全額は控除できないとした最高裁判決紹介3」を続けます。
この判決の事案整理です。
事実経過
・平成28年5月2日午前3時24分頃、道路横臥中の亡Aが被告Y1運転車両にれき過
・同年同月午前3時12分頃、亡Aが被告Y2運転車両にれき過、亡Aは、救急搬送後死去
・亡A相続人は妻X1、子らX2~4


一審認定事実
亡Aの全損害8285万2813円
・道路横臥中の亡Aの過失割合30%と認定
・過失相殺の結果
X1損害3144万8484円(亡A損害+葬儀費用合計過失相殺、固有慰謝料・葬儀費用込み)
X2~4各1036万6161円(亡A損害過失相殺、固有慰謝料込み)
・平成28年12月28日までに、人傷社Zが、Xらに合計3000万円支払
・平成29年5月24日、Zは、X1自賠責保険会社から3000万円受領
・同年10月、Zは、Xらに3000万円支払
・平成30年1月11日、Zは、X2自賠責保険会社から3000万円受領
・X1損害3144万8484円を前提に遅延損害金算出し3000万円全額控除し損害残元本325万9854円と認定
・X2~4損害各1036万6161円を前提に遅延損害金算出し各1000万円全額控除し損害残元本96万0082円と認定
・弁護士費用はX1分32万円、X2~4分各9万円


過失相殺前の損害等まとめ
・亡A全損害額は8285万2813円、
・X1固有損害350万円(固有慰謝料200万円+葬儀費用150万円)
・X2~4各固有損害は固有慰謝料各100万円


過失相殺無しの場合
・X1損害額は、4492万6406円+遅延損害金236万3600円+弁護士費用172万円=4901万0006円
・X2~4損害額は、各1480万8802円+遅延損害金77万6628円+弁護士費用55万円=1613万5430円
・既払金合計6000万円についてX1は3000万円、X2~4は各1000万円を控除すると
X1は、1910万0006円
X2~4は、各613万5430円


○過失相殺をしない全損害額について支払を保障するのが人身傷害保険金の制度趣旨であり、令和5年10月16日最高裁判決はこの趣旨に沿って、亡A及びその遺族が、亡Aの過失割合を控除しない全損害額から支払金6000万円を控除して、結論の金額を導き出しました。第一・二審は、いずれも亡Aの過失割合30%相当額を差し引いた後の金額から人傷社支払保険金6000万円を差し引いたため結論の金額が大きく異なりました。人身傷害保険金の制度趣旨からは、最高裁判決が極めて妥当です。

○人傷社は、人傷保険金として合計6000万円を亡A遺族らに支払っていますが、その後、加害者2名の各自賠責保険会社から求償として合計6000万円を受領しており、結論として人傷社手出し分は無くなっていました。この最高裁判決の結果、加害者側任意保険会社が、遺族らに2500万円以上の追加支払が必要になって支払うも、自賠責への求償が出来なくなった分について、人傷社に対する求償の問題が生じます。
以上:1,246文字

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