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後遺障害等級第11級7号脊柱変形労働能力喪失率20%認定地裁判決紹介7

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令和 5年 9月 6日(水):初稿
○「後遺障害等級第11級7号脊柱変形労働能力喪失率20%認定地裁判決紹介6」の続きで、同様に自賠責保険後遺障害等級第11級7号「脊柱に変形を残すもの」の労働能力喪失率20%を認めた令和4年7月20日さいたま地方裁判所川越支部(LEX/DB)を紹介します。

○原告は、別表第2の11級7号「脊柱に変形を残すもの」に該当する後遺障害を残し、労働能力喪失率20%、労働能力喪失期間43年として逸失利益約1735万円を請求しましたが、保険会社側は、労働能力喪失率を争い、労働能力喪失期間も最大5年と主張しました。

○判決は、原告は、後遺障害が残るため、整備士として稼働することができず、事務職として稼働していること、同期に入社した従業員と比べて昇給するのが遅れたこと等が認められ、労働能力喪失率は20%とし、原告の後遺障害の内容、医療記録から認められる原告の症状の変化に加え、証拠によれば、今後、原告の後遺障害が改善し、整備士として復帰できる可能性もあるというべきであり、医師作成の意見書には余裕をもって考えて受傷後5年で完全に復帰できると考える旨記載されているが、本件事故から5年以上経過しても現実には復帰できていないことをも考慮し、労働能力喪失期間は10年として、逸失利益は約764万円と認定しました。

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主   文
1 被告は,原告に対し,1354万8117円及びこれに対する平成28年7月24日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
2 原告のその余の請求を棄却する。
3 訴訟費用は,これを2分し,それぞれを各自の負担とする。
4 この判決は,原告勝訴部分に限り,仮に執行することができる。

事実及び理由
第一 請求

 被告は,原告に対し,2575万4830円及びこれに対する平成28年7月24日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。

第二 事案の概要
1 本件の概

 本件は,原告が,普通乗用自動車(以下「原告車両」という。)を運転中,被告が運転する普通乗用自動車(以下「被告車両」という。)に衝突され傷害を負った交通事故(以下「本件事故」という。)について,被告に対し,民法709条ないし自賠法3条本文に基づき,損害賠償金及びこれに対する遅延損害金の支払を求めた事案である。

2 前提事実

     (中略)

4 争点に対する当事者の主張
(1)原告の主張

     (中略)

(カ)逸失利益 1735万9913円
 原告は,平成26年3月にd大学校を卒業し,2級自動車整備士(以下「整備士」という。)の資格を取得してe株式会社で勤務していたのであり,基礎収入は,賃金センサス平成28年の産業計・企業規模計・高専短大卒・男性労働者・全年齢平均の年額494万7000円によるのが相当である。

 原告は,自賠法施行令別表第2(以下「別表第2」という。)の11級7号に該当する後遺障害を負ったものであり,労働能力喪失率は20%である。
 原告は,平成30年7月19日の症状固定当時24歳であるから,労働能力喪失期間は43年と見るべきであり,これに対応するライプニッツ係数は17.5459である。
494万7000円×20%×17.5459=約1735万9913円

     (中略)

(被告の主張)

     (中略)

(カ)原告の主張(カ)については,労働能力喪失率及び喪失期間を争う。原告の後遺障害については,3年で機能障害が完全に回復し,就労に影響を及ぼす期間は最大でも5年である。

     (中略)

第三 当裁判所の判断
1 本件事故により原告が負った傷害について


     (中略)

(6)逸失利益 763万9849円
 証拠(略)及び弁論の全趣旨によれば,原告は,平成26年3月にd大学校を卒業し,整備士の資格を取得してe株式会社で勤務し,平成27年の年収は354万3475円であったことが認められるが,原告が本件事故当時いまだ22歳であったこと,同社においては昇給の制度があること等を考慮すると,原告が将来賃金センサス平成28年の産業計・企業規模計・高専短大卒・男性労働者・全年齢平均の年額494万7000円程度の収入を得られる蓋然性があったと認められ,同金額を逸失利益算定のための基礎収入とするのが相当である。

 証拠(略)によれば,原告は,別表第2の11級7号に該当する後遺障害を負ったことが認められるところ,証拠(略)によれば,原告は,後遺障害が残るため,整備士として稼働することができず,事務職として稼働していること,同期に入社した従業員と比べて昇給するのが遅れたこと等が認められ,労働能力喪失率は20%と認めるのが相当である。

 原告の後遺障害の内容,証拠(略)の医療記録から認められる原告の症状の変化に加え,証拠(略)によれば,今後,原告の後遺障害が改善し,整備士として復帰できる可能性もあるというべきである。原告は,日々進歩する技術力に追い付くことができないから復帰する機会は事実上ない旨主張し供述するが,この点は自らの努力により補うべきものである。そして,医師作成の意見書には余裕をもって考えて受傷後5年で完全に復帰できると考える旨記載されているが,本件事故から5年以上経過しても現実には復帰できていないことをも考慮し,労働能力喪失期間は10年と見るのが相当であり,これに対応するライプニッツ係数は7.7217である。
494万7000円×20%×7.7217=763万9849円


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