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令和 3年 1月29日(金):初稿 |
○「人傷保険会社の自賠責保険金回収を加害者弁済とした高裁判決補足説明」を続けます。ここで「交通事故損害賠償請求事件において、上記のXの様に、X自身に過失割合50%もあるような事案では、人傷保険金受領の際、自賠責保険回収同意協定は絶対に締結しないことをアドバイスする必要があります。」と記載しておりました。 ○この自賠責保険回収同意協定は具体的にどのように締結されるのか調べてみましたが、交通事故が生じた場合、任意保険と呼ばれる交通事故保険契約を締結している保険会社に事故発生報告をします。現在の交通事故保険契約では殆どの場合人身傷害特約(人傷特約)に加入していますので、保険会社から人傷特約保険金を含む自動車保険金請求書兼一括払用委任状・同意書・確認書の送付を要求されます。 ○この自動車保険金請求書のサンプルの一つが以下のようになっています。「アクサダイレクト総合自動車保険人身傷害補償特約ご請求のご案内」から借用しました。 自動車保険金請求書 兼 一括払用委任状・同意書・確認書 ○○損害保険株式会社 御中 貴社に対し下記事故の保険金を請求します。また請求にあたり次の事項を確認し同意します。なお、本書のコピーも同等の効力を有するものと認めます。 ●対人賠償保険金請求の場合は自賠責保険金相当額を含みます。また、自動車損害賠償保障法に基づく保険金の請求受領に関する一切の権限を貴社に委任します。 ●人身傷害補償保険金、無保険車傷害保険金請求の場合は、保険金の額を限度として、私が有していた賠償義務者に対する損害賠償請求権および自動車損害賠償保障法に基づく損害賠償額請求権等が貴社に移転することを確認します。また貴社が、賠償義務者に対して求償する際に、保険金を支払うための資料を使用することに同意します。 ●人身傷害補償保険金、無保険車傷害保険金、搭乗者傷害保険金、自損事故保険金を請求する場合には、貴社または貴社が委託する者が医療機関に対し、私の検査、治療に関する説明及び診断書の発行、資料の借用を求めること、他の保険会社等に提出した診断書、診療報酬明細書、レントゲン等の資料の借用または写を受領することに同意します。 ●貴社が、本保険金請求に関する私の個人情報について、貴社の「お客様に関する個人情報の取扱いについて(プライバシー・ポリシー)」の記載事項の他、貴社が業務上必要とする範囲において個人情報を下記のとおり取得・利用・提供することに同意します。 ①貴社が、保険事故の原因・責任、損害の内容・程度等の確認のために、業務委託先(保険代理店、損害調査機関を含む)、医療機関および保険事故に関する関係先に対して個人情報の提供を行い、またはこれらの者から提供を受けること。 ※「保険事故に関する関係先」とは、保険事故の当事者、損害保険会社・共済、警察署、消防署、修理業者等をいいます。 ②貴社が、保険制度が健全に運営されることにより、保険金の支払いを正しく確実に行うために、(社)日本損害保険協会、損害保険料率算出機構、貴社関連会社、他の損害保険会社・共済等に個人情報の提供もしくは個人データの登録を行い、またはこれらの者から提供を受ける場合があること。 ※「貴社関連会社」とは、貴社の親会社である保険持株会社およびその子会社をいいます。 ③貴社が、再保険金の受領のために、再保険引受会社に個人情報の提供を行う場合があること(再保険会社等から他の再保険会社等への提供を含む)。 ○上記の同意条項のうち ●人身傷害補償保険金、無保険車傷害保険金請求の場合は、保険金の額を限度として、私が有していた賠償義務者に対する損害賠償請求権および自動車損害賠償保障法に基づく損害賠償額請求権等が貴社に移転することを確認します。また貴社が、賠償義務者に対して求償する際に、保険金を支払うための資料を使用することに同意します。 が、自賠責保険回収同意協定になります。 ○この「保険金の額を限度として」との文言は、人身傷害特約保険金の求償範囲について「上記保険金を支払った訴外保険会社は,保険金請求権者に裁判基準損害額に相当する額が確保されるように,上記保険金の額と被害者の加害者に対する過失相殺後の損害賠償請求権の額との合計額が裁判基準損害額を上回る場合に限り,その上回る部分に相当する額の範囲で保険金請求権者の加害者に対する損害賠償請求権を代位取得すると解するのが相当」とした平成24年2月20日最高裁判決見解からは、「私」にも過失がある場合は、「損害賠償金額のうち私の過失割合部分を超える保険金の額を限度として」と解釈されることになります。 以上:1,891文字
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