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令和 3年 1月28日(木):初稿 |
○「人傷保険会社の自賠責保険金回収を加害者弁済とした高裁判決紹介」の続きで、その説明補足です。その説明として、 「控訴人Xと人傷社は、協定書により、本件事故による控訴人の被控訴人に対する損害賠償請求権は、自賠責保険への請求権を含め、支払った人傷保険金の限度で人傷社に移転する旨を合意して、人傷社は、控訴人Xに対し、人傷保険金として合計111万0181円を支払い、その後、自賠責保険から83万5110円を受領しています。しかしXは、協定書の一部無効を理由に、本件判決確定後、人傷社に対し、人傷社が受領した自賠責保険83万5110円の返還を求めることができないと、自己の過失部分を補填する保険金としての人傷保険の意味が無くなります。」と説明を加筆していました。 ○弁護士仲間の判例勉強会で、この判例を報告して説明したのですが、上記趣旨がうまく伝わりませんでした。そこで数値を最も解りやすく単純化した以下の例を考案しました。 X被害者、全損害額200万円、 Y加害者、過失割合は、X・Y各50% ZはXの人傷会社で、人傷保険金100万円をXに支払い、Xとの自賠責保険求償同意協定により、自賠責保険会社に100万円の求償請求をして100万円全額回収 Xは、本来Yに対し200万円×0.5=100万円を請求でき、且つ、人傷保険金100万円と合わせると損害全額200万円回収できるはず しかし、Zが協定を根拠に自賠責保険金から100万円を回収したため、令和2年3月19日福岡高裁判決の結論によるとYは100万円支払済みのためXに対する支払義務は消滅する 結局XはYから回収できず、Zから100万円回収しただけで終わる。 これはXとZ間の自賠責保険回収同意協定に問題があるから。 Zの人傷保険金100万円はXの過失部分損害100万円に充当されて、加害者側自賠責保険会社には求償請求が出来ないはずなのに、自賠責保険回収協定同意協定によって回収することできる。 この結果は、人傷保険の趣旨を没却させもので、問題である。 ○交通事故損害賠償請求事件において、上記のXの様に、X自身に過失割合50%もあるような事案では、人傷保険金受領の際、自賠責保険回収同意協定は絶対に締結しないことをアドバイスする必要があります。 以上:932文字
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