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遷延性意識障害将来介護費用総額を月額53万円とした地裁判決紹介

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令和 2年12月18日(金):初稿
○遷延性意識障害等から自賠責1級1号後遺障害を残す15歳男子の将来介護費用を職業介護人分月額48万円で認め、両親分については日額5000円で平均余命まで認定した令和2年3月31日大阪地裁判決(自保ジャーナル2071号1頁)理由文を紹介します。

○介護費用だけで相当の金額となりますが、結論の約1億2819万円は低額になっています。その理由は、被害者原告の過失割合が40%に認定され、損害総額から4割も減額されたからでした。


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主   文
1 被告は,原告Aに対し,1億2818万9,794円及びこれに対する平成27年10月10日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
2 被告は,原告Bに対し,132万円及びこれに対する平成27年10月10日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
3 被告は,原告Cに対し,132万円及びこれに対する平成27年10月10日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
4 原告らのその余の請求をいずれも棄却する。
5 訴訟費用は,
(1)原告Aに生じた費用の50分の23及び被告に生じた費用の50分の22を原告Aの負担とし,
(2)原告Bに生じた費用の25分の6,被告に生じた費用の50分の1を原告Bの負担とし,
(3)原告Cに生じた費用の25分の6及び被告に生じた費用の50分の1を原告Cの負担とし,
(4)原告Aに生じた費用の50分の27,原告Bに生じた費用の25分の19,原告Cに生じた費用の25分の19,被告に生じた費用の50分の26を被告の負担
とする。
6 この判決は,第1項ないし第3項に限り,仮に執行することができる。

事実及び理由
第一 請求

1 被告は,原告Aに対し,2億3,766万0,926円及びこれに対する平成27年10月10日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
2 被告は,原告Bに対し,550万円及びこれに対する平成27年10月10日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
3 被告は,原告Cに対し,550万円及びこれに対する平成27年10月10日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。

第二 事案の概要等
1 事案の概要

 本件は,原告らが,後記2(1)記載の交通事故により人的損害及び物的損害を被ったとして,被告に対して,原告Aにおいては,民法709条,自動車損害賠償保障法(以下「自賠法」という。)3条に基づき,原告B及び原告Cにおいては,民法709条に基づき,損害賠償金及びこれに対する事故日である平成27年10月10日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求めた事案である。

2 前提事実

         (中略)

第四 当裁判所の判断
1 争点1(本件事故の態様,責任原因,過失相殺)について

(1)前記前提事実及び証拠によると,〔1〕被告は,本件東西道路を東から西方向に進行していたところ,別紙事故現場見取図の〔1〕地点で本件交差点を確認して,そのまま進行し,本件南北道路を南から北方向に進行していた原告と同図の[×]地点で衝突したこと,〔2〕被告車は衝突地点から約11.44メートル進行した同図の〔3〕地点で停止し,原告は衝突地点から約14.1メートル西側である同図の[イ]地点で転倒したこと,〔3〕本件事故により,被告車のフロントガラスが中央から左部分にかけて破損していたことが認められる。

(2)
ア 車両の運転手は,交差点に進入する際には,左右を注視し,交差点に進入する車両の有無及びその動静を確認しなければならない注意義務を負う。しかし,被告は,本件交差点に進入する際,本件交差点に進入する車両等の有無及びその動静を確認することなく,本件交差点に進入して本件事故を引き起こしたもので,本件事故によって原告らに生じた損害について,民法709条に基づき賠償する責任を負う。

イ 他方,原告も本件南北道路に進入する際には,本件東西道路を走行する車両等の有無及びその動静を確認すべきところ,その確認不十分なまま本件交差点に進入した過失が認められる。

ウ よって,本件は,過失相殺を行うべき事案であるが,本件事故が広路を走行する四輪車と狭路を走行する自転車の事故であること,本件交差点の形状からして,本件東西道路を横切る形で直進することを被告にとって予見しにくいことに照らし,原告Aの過失割合を40%,被告の過失割合を60%とするのが相当である。
 被告は,原告が被告車の方を全く注視せず相当な高速度で本件交差点に進入した旨,原告らは被告車が制限速度を15キロメートルから30キロメートル程度超過して本件交差点に進入した旨主張するが,いずれも,これを認めるに足りる証拠はなく,採用することができない。

2 争点2(本件事故と相当因果関係を有する原告Aの損害)について
(1)人的損害


         (中略)


カ 後遺障害慰謝料 2,800万円
 原告Aに残存した前記前提事実記載のとおりの後遺障害の内容及び程度に照らすと,後遺障害慰謝料として2,800万円を認めるのが相当である。

キ 逸失利益 9,054万3,316円
 原告Aには,前記前提事実記載のとおりの後遺障害が残存し,逸失利益が認められる。
 基礎収入は,賃金センサス平成28年第1巻第1表の男・学歴計・全年齢の平均年収である549万4,300円とするのが相当である。
 また,上記後遺障害の程度から,労働能力喪失率は100%を認めるのが相当である。

 そして,労働能力喪失期間は,18歳から67歳までの49年間であるところ,既述のとおり,症状固定日である平成28年10月31日当時,原告Aは16歳であり,就労可能まで2年あることから,67歳まで51年のライプニッツ係数(18.3389)から18歳まで2年のライプニッツ係数(1.8594)を控除した数値を採用して,逸失利益を算定するのが相当である。
 よって,逸失利益は,以下の計算式のとおり9,054万3,316円となる。
549万4,300円×1×(18.3389-1.8594)=9,054万3,316円

ク 将来介護費用 小計1億2,828万1,234円
 弁論の全趣旨によると,原告Aは,令和2年1月7日,自宅に帰宅し,両親である原告B及び原告C,職業介護人らによって,介護,看護及び医療を受ける生活を開始したことが認められる。
(ア)q3病院(q4療護センター) 439万9,308円
 証拠(略)及び弁論の全趣旨によると,原告Aは,3年間,q3病院(q4療護センター)において療養したことが認められる。費用については,平成28年11月から令和元年10月までのうち,証拠が提出されている32ヶ月分の1ヶ月当たりの平均額である12万2,203円(=391万0,505円÷32ヶ月)に36ヶ月分を掛けた439万9,308円を認めるのが相当である。なお,これについては,損害が現実化しており,中間利息の控除は行わないのが相当である。

(イ)q5病院 20万3,950円
 証拠(略)及び弁論の全趣旨によると,原告Aは,q3病院(q4療護センター)を退院後自宅に帰宅するまでの,令和元年11月5日から令和2年1月7日まで,q5病院において介護を受け,その費用は,20万3,950円であることが認められる。これは,本件事故と相当因果関係を有する損害である。これについても損害が現実化しており,中間利息の控除は行わないのが相当である。

(ウ)職業介護人 9,392万0,256円
 証拠(略)によると,〔1〕q6支援センター作成の原告Aの介護計画案は,0.5時間の1人による身体介護が週1回,0.5時間の2人による身体介護が週13回,1時間の1人による身体介護が週5回,生活介護が週1回,訪問入浴が週1回の計画であったこと,〔2〕q6支援センター作成の介護給付費明細表では1ヶ月当たりの介護費用は69万1,540円とされていること,〔3〕上記明細表の単価については,0.5時間の1人による身体介護が2,490円,0.5時間の2人による身体介護が2,490円,1時間の1人による身体介護が3,930円,生活介護が1万1,110円,訪問入浴が1万2,500円であること,〔4〕原告Aは,令和元年12月26日,障害者総合支援法の規定により,障害支援区分「区分6」の認定を受け,1ヶ月当たり,居宅介護128時間,生活介護5日,1週間に1回の訪問入浴サービスが決定したことが認められる。

 上記明細表の単価(〔3〕)を前提として〔1〕の介護計画案に従って1ヶ月当たりの介護費用を算定すると,〔2〕の介護費用の半分以下になる。計画段階の費用と実際に要する費用が相違することは起こり得るとしても,2倍以上の格差が出ることは是認し難く,上記明細表の金額をそのまま採用することはできない。

 上記認定した事情,本件における原告Aの後遺障害の内容や程度等本件にあらわれた事情を考慮し,本件事故と相当因果関係を有する職業介護人による介護費用は1ヶ月当たり48万円を認めるのが相当である。
 また,原告Aは,症状固定後,職業介護人による介護を受ける前に,3年間介護を受けていたから原告Aの主張どおり3年分の中間利息は控除することになる。
 以上を前提とすると,職業介護人による介護費用は,以下の計算式のとおり9,392万0,256円となる。
48万円×12ヶ月×(19.0288[原告A主張の平均余命62年のライプニッツ係数]-2.7232[3年のライプニッツ係数])=9,392万0,256円

(エ)原告B及び原告C 2,975万7,720円
 原告Aの介護については,職業介護人によってされることが予定されているが,原告Aの後遺障害の内容や程度や状況に照らすと,原告B及び原告Cによる介護も必要である。職業介護人による介護で,原告B及び原告Cの負担は,一定程度軽減されることを考慮すると,日額は5,000円を認めるのが相当である。
 よって,原告B及び原告Cによる介護費用は,以下の計算式のとおり2,975万7,720円となる。
5,000円×365日×(19.0288[原告A主張の平均余命62年のライプニッツ係数]-2.7232[3年のライプニッツ係数])=2,975万7,720円

コ 症状固定後の見舞い交通費 221万6,800円
 証拠(略)及び弁論の全趣旨によると,原告B及び原告Cは,症状固定後も,34ヶ月間,原告Aの見舞いにq3病院(q4療護センター)へ赴いていたこと,1回の片道の交通費は8,150円であることが認められる。
 原告Aの症状に照らすと,症状固定後の見舞い交通費は,本件事故と相当因果関係を有する損害と認められるが,その頻度については,症状固定後であること等の事情に照らし,月4回が相当である。
 よって,症状固定後の見舞い交通費は,以下の計算式のとおり332万5,200円となる。
8,150円×2×4日×34ヶ月=221万6,800円

サ 住宅改造費 小計352万7,200円

         (中略)


ソ アないしセの合計 2億7,544万6,875円

タ 過失相殺後の金額 1億6,526万8,125円
2億7,544万6,875円×(1-0.4)=1億6,526万8,125円

チ 既払金 4,873万7,331円
 当事者間に争いがない。

ツ 既払金控除後の金額 1億1,653万0,794円

(2)物的損害
ア 原告車 1万5,000円
 証拠(略)及び弁論の全趣旨によると,本件事故により,原告車は全損となったことが認められるところ,損害としては1万5,000円を認めるのが相当である。

イ 過失相殺後の金額 9,000円
1万5,000円×(1-0.4)=9,000円

(3)人的損害及び物的損害の合計 1億1,653万9,794円

(4)弁護士費用 1,165万円
 本件事案の難易,本件訴訟経過,認容額等を考慮して,本件事故と相当因果関係のある弁護士費用としては1,165万円を認める。

(5)総計 1億2,818万9,794円

3 争点3(本件事故と相当因果関係を有する原告B及び原告Cの損害)について
(1)慰謝料 1人当たり200万円
 原告B及び原告Cは,本件事故で原告Aに生じた傷害及び残存した後遺障害によって,多大な精神的苦痛を受けたことが認められ,これに加え,今後の介護の負担等の事情も考慮し,慰謝料としては1人当たり200万円を認めるのが相当である。

(2)過失相殺後の金額 1人当たり120万円
200万円×(1-0.4)=120万円

(3)弁護士費用 1人当たり12万円
 本件事案の難易,本件訴訟経過,認容額等を考慮して,本件事故と相当因果関係のある弁護士費用としては12万円を認める。

(4)総計 1人当たり132万円

第五 結論
 よって,主文のとおり判決する。
大阪地方裁判所第15民事部
裁判官 古賀英武
以上:5,322文字

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