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自賠責非該当両下肢関節機能障害を後遺障害12級7号認定地裁判決紹介

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令和 2年 6月13日(土):初稿
○原告が歩行中に、α県警察a警察署所属の警察官であるP7が運転する普通自動二輪車(被告車両)との間で、交通事故により負傷し、後遺障害が残存したなどと主張して、被告に対し、民法715条1項及び自動車損害賠償保障法3条に基づき、損害賠償を求めました。

○自賠責保険の被害者請求においては、「両下肢(股・膝・足)の関節機能障害については、当該部位に骨折等の外傷性の異常所見は認められず、また神経損傷等も認められないことから、関節可動域制限の原因となる客観的所見に乏しく、自賠責保険における後遺障害には該当しない」とされていました。

○これに対し平成31年3月1日京都地裁判決(交通事故民事裁判例集52巻2号273頁)は、f病院P8医師によると、「下肢機能低下の原因は、本件事故の受傷によって胸部及び腹部の損傷が著しく、長期臥床を余儀なくされたことによる廃用症候群である。原告のような高齢者の場合、長期臥床によって廃用症候群を生ずることは一般に経験する事象である。原告の両下肢機能障害と本件事故との間には医学的な因果関係があると判断する。」とされたことなどの事情を考慮すると、本件事故と原告の右足関節の機能障害との間には相当因果関係があるというべきであり、両下肢に中程度の筋力低下が認められることから、12級7号「1下肢の3大関節中の1関節の機能に障害を残すもの」に該当するものと認めました。

○なお、自賠責保険の被害者請求において,〔1〕右手指の機能障害について,【ア】右示指,中指の機能障害につき10級7号「1手のおや指以外の2の手指の用を廃したもの」に該当する,【イ】右環指の機能障害につき14級7号「1手のおや指以外の手指の遠位指節間関節を屈伸することができなくなったもの」に該当するものとして,これらが併合10級相当とされ,〔2〕腹部外傷後の胆のうの障害(肝損傷に伴う胆のうの摘出)について,13級11号「胸腹部臓器の機能に障害を残すもの」に該当するものとされていましたが、併合9級の結論は変わらないようです。

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主   文
1 被告は,原告に対し,674万0927円及びこれに対する平成27年3月2日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
2 原告のその余の請求を棄却する。
3 訴訟費用は,これを5分し,その2を原告の負担とし,その余を被告の負担とする。
4 この判決は,第1項に限り仮に執行することができる。

事実及び理由
第一 請求

 被告は,原告に対し,1103万0634円及びこれに対する平成27年3月2日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。

第二 事案の概要
 本件は,原告が歩行中に,α県警察a警察署所属の警察官であるP7(以下「P7」という。)が運転する普通自動二輪車(以下「被告車両」という。)との間で,下記1(1)の交通事故(以下「本件事故」という。)により負傷し,後遺障害が残存したなどと主張して,被告に対し,民法715条1項及び自動車損害賠償保障法(以下「自賠」という。)3条に基づき,損害賠償金1103万0634円(全て人損)及びこれに対する事故発生日である平成27年3月2日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める事案である。
1 争いのない事実等

         (中略)

2 争点
(1)事故態様,過失の有無及び割合
(2)後遺障害(両下肢の機能障害の有無)
(3)損害

3 当事者の主張

         (中略)

(2)後遺障害(両下肢の機能障害の有無)
(原告)
 原告は,本件事故により重篤な傷害を負い,集中治療室での入院加療が必要となり,また,リハビリのためf病院に転院した後も術後せん妄等を生じ,長期にわたる入院・臥床を余儀なくされた。さらに,本件事故による右肺挫傷ドレナージ術後,右胸水貯留に伴う呼吸機能障害も生じた。その結果,原告の両下肢(右股関節,右膝関節,右足関節,左股関節,左膝関節)の廃用が進み(廃用症候群),原告の両下肢には可動域制限や筋力低下が認められるようになった。
 かかる障害は,12級7号「1下肢の3大関節中の1関節の機能に障害を残すもの」に該当する。
(被告)
 否認する。
 原告の下肢には外傷を理由とする傷病は一切なく,原告が主張する両下肢の機能障害は,本件事故と因果関係のあるものではない。

         (中略)

第三 当裁判所の判断
1 事実経過


         (中略)

2 争点(1)(事故態様,過失の有無及び割合)について
(1)事故態様に関する補足説明


         (中略)


3 争点(2)(後遺障害)について
(1)右手指の機能障害について

 上記第二の1(2)ウのとおり,【ア】右示指,中指の機能障害(10級7号該当),【イ】右環指の機能障害(14級7号該当)が残存し,これらが併合10級相当であることが認められる。

(2)腹部外傷後の胆のうの障害について
 上記第二の1(2)ウのとおり,腹部外傷後の胆のうの障害(13級11号該当)が残存することが認められる。

(3)両下肢の機能障害について
ア 自賠責保険の被害者請求においては,「両下肢(股・膝・足)の関節機能障害については,当該部位に骨折等の外傷性の異常所見は認められず,また神経損傷等も認められないことから,関節可動域制限の原因となる客観的所見に乏しく,自賠責保険における後遺障害には該当しない」とされた。

イ 症状固定時の両下肢の関節可動域は上記1(4)ウ(ア)のとおりであった。股関節,膝関節及び左足関節については,関節可動域角度(他動値)が参考可動域角度の4分の3を下回っていないから,12級7号の関節の機能障害には該当しない。他方,右足関節は,関節可動域角度(他動値)が参考可動域角度の4分の3を下回っていた(45度÷65度=69.2%)。

ウ 廃用症候群とは,原疾患の治療中に,臥床などによる身体活動低下により引き起こされる病的状態(2次障害)を総称したものであるところ,2次障害であって当該部位に損傷が生じていなかったことから直ちに相当因果関係がないというべきではない。事故前後を通じての被害者の状況,事故による負傷の程度や治療期間等を具体的に考慮して,事故と障害との間の相当因果関係の有無を検討するのが相当である。

エ このような見地から検討すると,〔1〕原告の本件事故前の生活状況は上記1(1)のとおりであって,ホームヘルパーの生活支援を受けながらも,ADLは自立していたのに対し,本件事故後には,上記イのとおり,右足関節の可動域が低下し,また,上記1(4)イ~エのとおり,両足での立位保持や歩行が困難になるなどの機能低下が認められる。

 そして,〔2〕原告の負傷及び治療経過は上記1(3)(4)のとおりであり,4ヶ月以上の入院治療を要したところ,5日間にわたり気管挿管され,6日間にわたり集中治療室に入る必要があるほどの重傷であった。
 また,〔3〕f病院P8医師によると,「下肢機能低下の原因は,本件事故の受傷によって胸部及び腹部の損傷が著しく,長期臥床を余儀なくされたことによる廃用症候群である。原告のような高齢者の場合,長期臥床によって廃用症候群を生ずることは一般に経験する事象である。原告の両下肢機能障害と本件事故との間には医学的な因果関係があると判断する。」とされた。

 これらの事情を考慮すると,本件事故と原告の右足関節の機能障害との間には相当因果関係があるというべきである。

オ そして,両下肢に中程度の筋力低下が認められることから、12級7号「1下肢の3大関節中の1関節の機能に障害を残すもの」に該当するものと認める。

(4)まとめ
 以上によると,原告には,上記(1)~(3)の後遺障害が残存し,これらが併合9級相当であると認められる。 

4 争点(3)(損害)について


         (後略)


以上:3,263文字

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