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脳脊髄液減少症、診療ガイドライン改定へ-大いに期待しています

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平成31年 3月19日(火):初稿
○交通事故後に脳脊髄液減少症が発症したとして自賠責後遺障害申請をしても、脳脊髄液減少症が後遺障害と認定されることは、私の経験では100%ありません。脳脊髄液減少症の発症自体が認められないことが殆どで、希にその発症が認められても交通事故との因果関係が認められず、いずれにしても自賠責保険実務では、脳脊髄液減少症が交通事故による後遺障害と認められることは、まずありません。

○脳脊髄液減少症に罹患された方は、ブラッドパッチ療法を数回受けている方が多いのですが、当事務所に相談に来られた方の殆どは、ブラッドパッチ療法で多少の改善はあっても、多くの症状が残ったままです。そこでその苦しみについての損害賠償を求めて相談に来られます。

○過去の裁判例で交通事故による脳脊髄液減少症の発症が認められた僅かの事案は、多くがブラッドパッチ療法で相当程度症状改善が認められたものです。ブラッドパッチ療法が効果を上げることは、脳脊髄液減少症が発症したからだとの論理です。逆に、ブラッドパッチ療法が殆ど効果がないということは、脳脊髄液減少症ではない他の原因による症状だとなり、脳脊髄液減少症の発症はないと認定されます。他の原因がハッキリしない限り、どれほど症状が重くても交通事故による損害とは評価されません。

○ブラッドパッチ療法は、脳脊髄液減少症の原因が、髄液の「漏れ」によるもので、その「漏れ」を防ぐ手段として自家血を注入して髄液「漏れ」の原因となる「硬膜やクモ膜に生じた穴」を塞いで「漏れ」をなくして脳脊髄液減少を改善するものです。ですからこの療法で改善されないということは、脳脊髄液の「穴」からの髄液「漏れ」がないすなわち脳脊髄液減少症は発症していないとの認定につながっていました。

○ところが、以下の「脳脊髄液減少症、診療ガイドライン改定へ 「事故で発症」理解されず」との産経新聞報道によると「荒木信夫・埼玉医科大教授によると、外傷が自律神経に作用して髄液をつくる力が低下するケースがある」とのことです。ということは脳脊髄液減少症の発症は、「穴」からの髄液「漏れ」によるものだけではなく、髄液が正常につくられなくなることも原因となることもあり、ブラッドパッチ療法が効果を上げないことだけをもって脳脊髄液減少症発症否認の理由にはならなくなります。

○問題は、「外傷が自律神経に作用して髄液をつくる力が低下する」ことにより発症する脳脊髄液減少症の診断基準です。この診断基準が明確になれば、ブラッドパッチ療法で効果を上げない多くの脳脊髄液減少症患者の福音となります。診断基準の「改定版は来年中の完成を目指す」とのことで、大いに期待しているところです。

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脳脊髄液減少症、診療ガイドライン改定へ 「事故で発症」理解され
産経新聞2/7(木) 18:56配信


交通事故の外傷などをきっかけに激しい頭痛やめまいを引き起こす「脳脊髄液減少症」の診断基準を明確化しようと、日本頭痛学会の医師らが、頭痛の診療ガイドラインの改定を検討していることが7日、分かった。脳脊髄液減少症は国の研究班による診断基準などがあるものの、一部の症例に対応していない。ガイドラインが改定されれば、これまで確定診断できなかった患者の治療や補償に影響する可能性もあり、救済の一助として期待がかかる。

脳脊髄液減少症は、15年ほど前に一部医師が外傷で発症すると指摘して注目されたが、否定的な医師も多く診断がばらついた。脳神経外科医中心の厚生労働省の研究班が平成23年、外傷による髄液漏れを認めた診断基準を公表。同省は28年、漏れを自分の血液で止める治療法「ブラッドパッチ」の保険適用を認めた。

この基準は画像で明確に漏れを確認できたものを陽性としているが、外傷後に症状が出ても漏れが写らない患者もみられ、漏れ以外の理由で髄液が減少する可能性が指摘されていた。
28年度から学会の神経内科医らも臨床を本格化。研究チーム代表の荒木信夫・埼玉医科大教授によると、外傷が自律神経に作用して髄液をつくる力が低下するケースがあると分かってきた。これら症例はブラッドパッチで完治しないこともあり、多くの保険会社は事故後の賠償をめぐる交渉で発症を否定する。

同チームの光藤尚(たかし)同大助教は「『漏れていないから同症ではない』という誤解が診断や裁判で混乱を招いている」という。
学会の診療ガイドラインは25年のものが最新。改定版は来年中の完成を目指す。荒木教授は「最新の知見を盛り込むことで専門外の医師らにも病態を理解してほしい」と話している。

■「理解されない苦しさ」
認知度が低い脳脊髄液減少症の症状を知ってもらおうと、支援団体は15日、東京都千代田区の衆議院第1議員会館でシンポジウムを開く。登壇する患者の女性は「理解されず苦しむ人はたくさんいる」と訴える。
愛知県碧南市の宮田和子さん(67)は、平成22年3月、軽乗用車で信号待ちをしていたところ、乗用車に追突された。大きな外傷はなかったが、3~4週間後から視界がギラギラと光って見え、冷や汗や頭痛など全身に異変を感じるように。整形外科で診察を受けたが異常は見つからない。症状を訴えても「更年期だ」「あなたは気にしすぎる」などといわれた。

事故から3カ月後、雑誌で脳脊髄液減少症の存在を知り「これだ」と直感。詳しい医師がいる総合病院で検査を受けると同症とわかり、治療を受ければ「つぶれた豆腐が角まで整っていく感覚」があった。
しかし当時、治療は保険適用外で、3回のブラッドパッチでかかった約90万円は自費に。加害者の保険会社に治療費を求めたが発症を否定され、逆に債務不存在確認を求める調停を起こされ訴訟にも発展した。

訴訟で加害者側は、症状の改善は医学的効果ではなく、治療を有効だと思うことで回復する「偽薬効果」などと指摘。「命がけで治療しているのに」と涙が出るほど悔しかった。昨年6月に和解したが、裁判所は発症を認めなかった。
目のギラギラや倦怠感(けんたいかん)は今も残る。それでも講演を引き受けたのはほかの患者や熱意ある医師らに出会ったから。「ここまで治していただいた私が、人ごとにしてはいけないと思う」

シンポジウムは午後3時から。問い合わせは脳脊髄液減少症患者・家族支援協会東京事務所(042・325・8225)
以上:2,618文字

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