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平成30年12月19日(水):初稿 |
○「自賠法運行供用者責任を厳しく認定した最高裁判例紹介」の続きで、その54年前の判決で、運行供用者責任に関するドライブクラブ方式による自動車賃貸業者は運行供用者に当たらないとした昭和39年12月4日最高裁判決(判タ169号219頁、判時394号57頁)を紹介します。 ○ドライブクラブから自動車を借り受けた者がこれを運転使用中にひき起した事故について、ドライブクラブが自賠法3条の運行供用者にあたるかどうかは、多数説によれば、「自己のために自動車を運行する者」とは、通常自動車の所有者または使用者などのように、自動車の使用について支配権を有し、かつその使用によつて利益を受ける者を指称し、自動車の賃借人(たとえば自動車貸渡業者から自動車を借りた者)、自動車を預かる倉庫業者、委託販売業者、自動車整備業者、いわゆる陸送屋等をこれに含めており、自動車賃借人の賃借自動車運行中の事故については、所有者ではなくて賃借人がこれにあたり、賃借人が専ら同法の定める民事責任の主体となるものと解するようであり、同法の立案当局もそのように解していたことが窺われる(運輸省自動車局編、自動車損害賠償保障法の解説29頁、自動車保障研究会、自動車損害賠償保障法の解説25頁、宗宮・日本法学27巻2号28頁、海老名・綜合法学32号30頁、加藤・不法行為(法律学全集)45頁)と解説されています。 但し、自動車賃貸人も運行供用者責任を認めるべきとする説もあります(坂本・法律論叢36巻1号127頁) ******************************************* 主 文 本件上告を棄却する。 上告費用は上告人らの負担とする。 理 由 上告代理人○○○○の上告理由について。 論旨は、本件自動車による死亡事故につき、被上告会社が自動車損害賠償保障法三条にいわゆる自己のため自動車を運行の用に供した者にあたらないと判断した原判決には、同法条の解釈適用を誤まつた違法があるという。 よつて案ずるに、上告人らは、ドライブクラブを経営する被上告会社がその所有の本件自動車を訴外A(一審被告)に貸し付けたところ、同訴外人がこれを運転使用中に本件事故を起したものであり、被上告会社が自己のため自動車運行の用に供した者にあたると主張して、前記法条に基づく損害賠償を被上告会社に求め、被上告会社は、原審において、本件自動車は被上告会社所有の自家用自動車であるが、これを民法上の組合である訴外杉並ドライブ倶楽部に無償で貸与し、同倶楽部がこれを訴外Aに貸し付け、同訴外人がこれを運転中に本件事故を起したものであると争つたのに対して、原審は、本件事故がドライブクラブ経営者の賃貸した自動車の運行によるものであることが明らかであり、このようにドライブクラブ方式の自動車賃貸業者に対しては右事故につき自動車損害賠償保償法3条の規定による責任を負わせることはできないとして、被上告会社に対する上告人らの本訴請求を棄却したことが明らかである。 しかし、原審の認定によれば右のようないわゆるドライブクラブ方式による自動車賃貸業者から自動車を借り受けた者がこれを運転使用している場合には、自動車賃貸業者としては、借受人の運転使用についてなんら支配力を及ぼし得ないというのであり、このような場合には、右借受人のみが自己のため自動車を運行の用に供する者にあたるものというべく、従つて、右借受人が該自動車を運転使用中にひき起した事故については、自動車賃貸業者を以て前記法条にいわゆる自己のため自動車を運行した者にあたるとして、これに対し前記法案の定める損害賠償責任を負わせることはできないと解するのを相当とする。それゆえ、右と同趣旨の判断に立つて被上告会社に対する上告人らの本件損害賠償請求を理由がないとしてこれを棄却した原判決は正当であつて、これになんら所論の違法は存しない。 論旨は、右と異なる独自の見解を主張して原審の判断を非難するものであつて、採用し得ない。 よつて、民訴401条、95条、89条、93条に従い、裁判官全員の一致で、主文のとおり判決する。(裁判長裁判官奥野健一 裁判官山田作之助 草鹿浅之介 城戸芳彦 石田和外) 以上:1,738文字
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