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平成30年 5月26日(土):初稿 |
○「交通事故事件医療記録概観-自賠責保険後遺障害診断書」の続きです。 自賠責保険後遺障害認定申請手続は、所定の書式による自動車損害賠償責任保険後遺障害診断書が必須です。これがないと自賠責保険会社は、後遺障害認定申請を受け付けてくれません。この自賠責保険後遺障害所診断書記載内容が後遺障害の該当・非該当及び後遺障害等級を決定するに当たって大変重要な役割を果たしています。 ○交通事故発生時から症状固定まで、一人の医師に診察・治療を継続して頂き、その医師に自賠責後遺障害診断書を書いてもらうのが理想的です。しかし、実際には、症状固定に至るまでに複数の医師の診察・治療を受けることがお多く、その場合、自賠責後遺障害診断書を作成して頂く、医師は最終的な症状固定時期に治療して、症状固定時期の後遺障害内容を把握している医師に記載してもらいます。 ○問題は、医師によっては、事故直後から診察・治療していないので、当初症状が不明なので、現在の症状が交通事故によるものかどうか判断できないから、自賠責後遺障害診断書は作成できませんと断る医師も多いことです。真面目で慎重な医師程この傾向が強いと思われます。このような医師だけだと、複数医師の診察・治療を受けた場合、自賠責後遺障害診断書を作成してくれる医師がいなくて後遺障害認定申請ができないケースも出てきます。 ○しかし、実際は、事故当初からの診察・診断をしていなくても、自動車損害賠償責任保険後遺障害診断書の当院入院期間・当院通院期間を記載して、自賠責後遺障害診断書を記載してくれる医師も多くおり、その自賠責後遺障害診断書で後遺障害が認定されています。事故後相当期間を経てから診察・治療に当たった医師でも、一定期間通院を継続して信頼関係を築ければ、自賠責後遺障害診断書を作成してくれますが、その一定期間は、ケースバイケースです。 ○僅か1回の診察で、自賠責後遺障害診断書を記載してくれた医師もいましたが、これは例外で、私の感覚では、最短3ヶ月程度は診察・治療を継続しないと自賠責後遺障害診断書を作成してはもらえないと感じています。任意保険会社が既に症状固定時期を過ぎているとして治療費支払を打ち切った後、健康保険を使って自費治療を一定期間継続した後に自賠責後遺障害診断書を記載してくれる医師もいます。 ○前述の通り、医師によっては、事故当初から診察・治療していないので自賠責後遺障害診断書は作成できないとの立場の方もいます。そのような医師にあったら、兎に角、現在の症状についての診断書で宜しいですので、記載して下さいとお願いするしかありません。例えばその医師の診察・治療を事故日から6ヶ月経過後受け始めた場合、事故当初からの6ヶ月分はその間治療に当たった医師の医療記録を自賠責保険会社に提出すれば良いからです。 以上:1,160文字
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