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平成21年12月12日(土):初稿 |
○交通事故による傷害での治療が症状固定によって終了する時期においてなお障害が残っている場合、担当医師から自動車損害賠償責任保険後遺障害診断書を作成して貰いますが、この自賠責保険後遺障害所診断書記載内容が後遺障害の該当・非該当及び後遺障害等級を決定するに当たって大変重要な役割を果たしています。 自動車損害賠償責任保険後遺障害診断書書式 以下、記載項目で重要なものの備忘録です。 ・症状固定日 これは、損害賠償請求消滅時効、逸失利益算定の起算日になる大変重要なものです。複数の後遺障害診断書が作成された場合、どの日時が症状固定日になるか争いになる例もあります。 ・傷病名 傷病名が種々ある場合、全て正確に記載する必要があります。医師によって全て記載しない場合もあり、注意してチェックすべきです。 ・既存障害 これを見過ごす場合もあります。この記載を根拠に現在の障害が、この既存障害によるもので交通事故とは関係ないと認定されることがありますので、自分としては了解できない記載がされている場合、その根拠等を記載した医師に確認する必要があります。 ・自覚症状 これも医師によっては本人の訴えを丁寧に記載してくれない例もあります。特にむち打ち症の場合、各所の痛み、しびれ、めまい等種々の症状があり、可能な限り記載して貰う必要があります。 ・各部位の後遺障害の内容 ①精神神経の障害・他覚症状および検査結果 後遺障害認定に当たってはこの欄の記載が最も重視されます。神経症状で、非該当・第14級・第12級等の認定はここにどのように記載されているかによって判断が別れます。この欄には「知覚・反射・筋力・筋萎縮などの神経学的所見や知能テスト・心理テストなどの精神機能検査の検査結果も記入して下さい」と記載されていますが、医師によってその記載程度は相当異なりますので、例えば筋力検査、ジャクソンテスト、スパーリングテスト等の結果も丁寧に記載して貰うべきです。 ②胸腹部臓器・生殖器・泌尿器の障害 ③眼球・眼瞼の障害 ④聴力と耳介の障害 ⑤鼻の障害 ⑥そしゃく・言語の障害 ⑦醜状障害 ⑧脊柱の障害 運動障害イ頚椎部 ロ胸腰椎分 むち打ち症の場合、頚椎捻挫、頚椎症候群等の病名がつけられる場合が多いところ、頚部関節可動域が悪くなっている例が多いのですが、それでも頚椎部運動障害として頚椎可動域が測定されることが殆どありません。首の動きが悪いときはその旨を医師に訴えて測定して貰うべきです。 腰部打撲の場合、胸腰椎部可動域が悪くなっているにも拘わらず、この測定が見過ごされることが多くあります。整形外科医でもこれらの測定方法を熟知していない場合もあり、そのため「労災保険後遺障害診断書作成手引きVol.1紹介1」で紹介した財団法人労災保険センター発行「労災保険後遺障害診断書作成手引きVol.1・2」が出版されていますが、専門リハビリ医師でないと正確な測定方法が理解不十分な場合もあり、ここは要注意です。 荷重機能障害 ⑨体幹骨の変形 ⑩上肢・下肢および手指・足指の障害 欠損障害 関節機能障害 ここには、「関節可動域制限がある場合、日整会方式により自動他動及び健側患側とも記入して下さい」と記載されていますが、その記載が全くないか、あっても不十分な例が大変多く、これらを丁寧に記載して貰わないばかりに、認定されるべき後遺障害が認定されない例も多いので注意が必要です。 ・障害内容の増悪・緩解の見通し ここの記載も全くないか、あっても不十分な例が多く、シッカリチェックすべきです。 以上:1,449文字
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