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平成28年 9月22日(木):初稿 |
○「被害者側弁護士のための顧問医制度が欲しい」の続きです。 「被害者側弁護士のための顧問医制度が欲しい」は、平成28年の現在からは、丁度10年前の平成18年7月30日初稿ですが、末尾に「現在10数件の交通事故訴訟事件を抱えていますが、弁護士依頼をする事案は、何れも『取扱困難事案及び解剖学参考文献紹介』で紹介した様に、交通外傷の内容、結果等に大きな難しい問題を含んでおり、相当な医学知識が必要です。そこで被害者側弁護士にも顧問医制度が必要性を痛感しており、これをどのように制度化するか、日弁連業革委員会で議論したいと思っています。」と記載していました。 ○「これをどのように制度化するか、日弁連業革委員会で議論したいと思っています。」なんて記載していましたが、結局、業革委員会では、議論に到りませんでした。交通事故事件を専門に扱っている日弁連交通事故センターで議論になっても良さそうなものですが、聞いたことがありません。過去に出席した交通法学会で交通事故訴訟事件の日本最高権威とも言える高野真人先生が、なんかの講演で被害者側の顧問医師が欲しいと訴えて正に同感と思ったことがありました。高野先生は保険会社側顧問もされており保険会社顧問医師は多数ご存じのはずですが、当時は、高野先生にも被害者側で協力頂ける医師はいなかったものと思われます。 ○交通事故事件で後遺障害が争いになる場合、患者として診察・診断を継続した主治医が、被害者側の立場に立って協力してくれても良さそうなものです。しかし、残念ながら、主治医が被害者側の立場に立って全面協力する例は稀にしかありません。「ある交通事故事件の顛末-予想外自賠責認定が始まり」で紹介した左目視力低下と交通事故による傷害との因果関係が争いになった事案では、外傷性視神経損傷との診断をした主治医が全面的に協力してくれましたが、これは稀な例です。 ○訴訟になるケースは、被害者側患者が重い・重篤な後遺障害だと主張するのに対し、加害者側保険会社が後遺障害は存在しない、仮に存在したとしても軽微で損害は少ないと争うものが殆どです。治療を担当した主治医としては、自分が治療して軽快したはずなのに重篤な後遺障害が残ったと主張されるのは、一般的には、意に沿わないと思われます。自分の診断・治療にけちをつけられ、極端に言えば、医療過誤まで主張されるのではと警戒すると思われます。 ○ですから、主治医としては自分の診断・治療行為に累が及ばないように被害患者の症状について、治癒しているはずだ、軽快しているはずだ、MRI写真・レントゲン写真等の結果は上々だと言いたくなる気持も分からないではありません。しかし、患者としては、主治医の治療によって、最もひどい症状より相当程度改善された、しかし、改善されない部分もあると主張し、主治医の治療に一定の効果を認めており、その治療に何らかのけちをつける気持など、通常は、ありません。ところが、主治医としては治ったはずなのに、治っていないと患者が言い張っていると捉えて不快感を持つものと思われます。 これらの点を克服して主治医に協力を取り付ける方法を如何にすべきかが先ず課題です。 以上:1,307文字
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