仙台,弁護士,小松亀一,法律事務所,宮城県,交通事故,債務整理,離婚,相続

旧TOPホーム > 法律その他 > 思い出の事件 >    

ある交通事故事件の顛末-予想外自賠責認定が始まり

法律その他無料相談ご希望の方は、「法律その他相談フォーム」に記入してお申込み下さい。
平成22年 7月16日(金):初稿
○平成22年7月15日、平成16年10月の交通事故以来5年10ヶ月近く経過したある交通事故訴訟事件が、仙台高等裁判所で和解解決しました。Aさん(昭和36年6月20日生まれ、事故当時43歳)が私のHPを見て平成17年4月に依頼してきた事件です。Aさんからは、自分の訴訟体験が他の交通事故被害者の方に役立つなら詳しく紹介して下さいとHPで紹介することの承諾をされています。

○事案は、平成16年10月2日の交差点での側面衝突事故で、Aさんは事故の衝撃で右半身と右眼を強打し、平成17年4月に症状固定と診断され、自賠責後遺障害診断書を持参して、相談に来ました。その診断書には、右眼視力低下・視野狭窄で外傷性視神経症であり、右眼視力は0.05で回復可能性はないと記載されていました。健常の左眼視力は1.5であり、事故前は右眼も1.5でした。

○右眼視力0.05への低下だけで後遺障害は第9級確実であり、先ず自賠責保険請求手続から依頼され、平成17年5月に自賠責保険請求をしました。通常2ヶ月程度で結論が出るところ、5ヶ月も待たされ、同年10月にようやく結論が出ましたが、なんと、右眼視力低下は交通事故とは因果関係がないとされて、右肩について神経症状が14級に相当するだけとの結果でした。以下、当時の自賠責後遺障害等級認定書です。
結論:自賠等級別表第二第14級9号に該当と判断します。

理由:
1.右肩打撲後の右肩関節の重苦感の訴えについては、提出の画像上、右肩関節に骨折・脱臼や腱板損傷等の器質的損傷は認められず、神経学的にも有意な異常所見は得られません。しかしながら、医証上、関節拘縮の残存が所見され、長期の治療にも拘わらず、その症状は一貫していることから、将来に亘る症状の残存が捉えられ、「局部に神経症状を残すもの」として別表第二第14級9号に該当と判断します。

2.右肩関節の機能障害については、上記1のとおり、同部に骨折・脱臼や腱板損傷等の可動域制限の原因となる器質的損傷は認められないことから、非該当と判断します。

3.右眼球の障害については、後遺障害診断書上、右外傷性視神経損傷との傷病名で、右視力障害および視野狭窄が所見されていますが、「検査記録」において対光反応、前眼部・中間透光体・眼底、中心フリッカー値が正常と所見されており、視路、視中枢の障害も所見されていないことから、本件外傷と視力障害および視野障害との相当因果関係に乏しく、非該当と判断します。

以上1より別表第二第14級9号に該当と判断します。
○到底、納得できないAさんは、同年12月、右眼視力障害は第9級に相当するとして、加害者本人に対し約4400万円、自賠責保険会社に対し後遺障害9級と14級の差額の支払を求めて、仙台地方裁判所に訴えを提起しました。しかし、これが解決までに5年近く要するとは、当時は、全く予想もできませんでした。
以上:1,191文字

タイトル
お名前
email
ご感想
ご確認 上記内容で送信する(要チェック

(注)このフォームはホームページ感想用です。
法律その他無料相談ご希望の方は、「法律その他相談フォーム」に記入してお申込み下さい。


 


旧TOPホーム > 法律その他 > 思い出の事件 > ある交通事故事件の顛末-予想外自賠責認定が始まり