仙台,弁護士,小松亀一,法律事務所,宮城県,交通事故,債務整理,離婚,相続

旧TOPホーム > 交通事故 > 交通事故判例-その他後遺障害関係 >    

後遺障害非該当で逸失利益・慰謝料が認められた例1

   交通事故無料相談ご希望の方は、「交通事故相談フォーム」に記入してお申込み下さい。
平成22年 8月25日(水):初稿
○後遺障害非該当でも、労働能力喪失があったとして逸失利益や慰謝料が認められた事例を探していますが、平成20年11月4日横浜地裁判決(自動車保険ジャーナル・第1773号)がありましたので紹介します。
事案概要は以下の通りです。
・会社員の夫A運転車両に妻B(看護師)、長女C(高校生)が同乗し、交差点内で右折待ちで停止していたところに被告運転車両が追突し、Aらは、頚椎捻挫等の傷害で治療を継続し、Aは後遺障害14級が認定されるも、B、Cは後遺障害非該当とされた

・B、Cは自賠責では後遺障害非該当とされたが実質14級相当の後遺障害があるとしていずれも慰謝料を、Bについては更に逸失利益を請求した


 この後遺障害非該当事案についての裁判所の判断は以下の通りでした。2回に分けて記載します。

******************************************

第3 争点に対する判断
1 本件事故の態様(原告らの尋問結果)
 原告らは、原告Aの運転で、原告Bが助手席に、原告Cが後部座席に同乗して、買い物帰りに家族で食事をとるため、本件事故の現場で右折しようとし、前を走っていた車が信号機の表示に従って停止したため、原告車両も停止したところ、停止後、3ないし5秒後に、被告車両が追突した。

 原告Aは、バックミラーで被告車両が迫ってくる状況を見ていたので、危ない等と大声を上げ、ハンドルを握りしめ、足を踏ん張るようにしてブレーキを掛けた。本件事故により、原告車両は80㎝前方に押し出された((証拠略)の交通事故現場見取図の×~イ)。

 原告Bは、衝突の瞬間、思わず左手を突っ張ったが、左腕をどこかにぶつけて打撲し、原告Cは、後部座席から体が前の座席まで飛び出した。

 原告らは、本件事故直後は、首や肩、頭痛などを感じなかったが、帰宅してから又は翌日になって、上記症状を自覚した。

2 原告らの治療状況
(一)原告A(証拠略)
(1)原告Aは、本件事故の翌日である平成17年5月16日に頸部痛、頭痛を感じ、同月21日にB整形外科を受診した。痛みを感じながら、6日間の通院をしなかったのは、勤務先の酒類卸業が多忙で業務に追われていたためであった。

(2)原告Aは、平成17年5月21日から平成18年4月22日までの間、合計35日((3)を含む。)の通院をした。B整形外科への月別の通院回数は以下のとおりである。
 5月2回(21日、28日)、6月3回(9日、18日、25日)、7月5回(1日、2日、12日、16日、28日)、8月2回(9日、30日)、9月2回(10日、27日)、10月4回(1日、8日、14日、28日)、11月5回(5日、12日、18日、19日、26日)、12月2回(13日、27日)、1月2回(7日、17日)、2月2回(4日、7日)、3月2回(4日、31日)、4月1回(22日)

(3)検査と結果
 原告Aは、この間、平成18年1月28日相模原共同病院で頸部MRIを受診し、「C5/6を中心に椎間腔の狭小化、同レベル後方骨棘及び軽度の椎間板のbulgingが見られ、頸椎症の所見」と、3月3日北里大学東病院でMRIを受診し、C2歯突起に輝度変化を認めるが脂肪変性と、5月18日宇根岡脳神経外科において脳MRIを受診し、全く異常がないと診断された。
 これらの検査は、頭痛が継続していると訴えられたためである。

(4)治療内容
 当初は、オステラック、ミオナール、セルベックス、アドフィード、ロルカム、テルネリン等の消炎鎮痛剤、筋弛緩剤、経皮鎮痛剤等の処方を受け、平成17年6月18日から理学療法(頸椎牽引、干渉波)を受けた。これは、同原告が主として頭痛を訴えていたためである。
 B整形外科のカルテには、たまに「不定期 頭痛」という記載や、pain(-)との記載がされているが、診断書(証拠略)に、「頸部 dullness(+) 頭痛が残りました」と記載されているとおり、平成18年5月の時点で、頸部のだるさと頭痛が症状として残った。
 なお、平成18年1月以降の通院回数が減少した理由は、仕事が多忙を極めていたために通院する時間が取れなかったというものである。
 また、事故から2年7ヶ月以上経過した現在においても、不定期ではあるが、頭痛に悩まされ、市販の鎮痛剤を常用している状態であるという。
 原告Aには、上記のとおり、頸椎症と診断されるMRI所見もあるが、本件事故以前には頸椎症と診断されたことはなく、また、頭痛の症状が現れたことはなかった。

(二)原告B
(1)原告Bは、平成17年5月20日から平成18年4月22日までの間、合計73日の通院をした。
 B整形外科の月別の通院回数は以下のとおりである。
 平成17年5月7回(20日、23日、26日、27日、28日、30日、31日)、6月15回(2日、3日、6日、9日、11日、13日、14日、16日、20日、21日、24日、25日、27日、28日、30日)、7月11回(1日、4日、5日、7日、8日、9日、12日、14日、15日、22日、28日)、8月5回(2日、6日、9日、19日、30日)、9月3回(1日、10日、27日)、10月4回(7日、11日、21日、28日)、11月6回(1日、4日、12日、18日、26日、29日)、12月5回(6日、12日、13日、20日、27日)、1月3回(17日、24日、31日)、2月3回(7日、17日、25日)、3月4回(4日、11日、17日、31日)、4月2回(14日、22日)

(2)この間、原告Bは、相模原共同病院で平成17年10月18日にMRI検査を受けたが、特に異常は見いだせなかった。

(3)治療内容
 原告Bは、ボルタレン、ミオナール、ナパゲルンローション等の消炎鎮痛剤、経皮鎮痛剤等の処方を受け、平成17年5月23日個別療法を受けた。10月28日からは、傍脊椎神経ブロック(麻酔注射)を受け、平成18年3月17日まで行われている。
 これは、同原告が主としてしびれや、頸部の苦痛を訴えていたためである。
 B整形外科の診断書には、頸部痛、頭痛が残りましたと記載されている(証拠略)。
 なお、平成18年1月以降の通院回数が減少した理由は、仕事、原告Cの受験に関係している。
 また、事故から2年7ヶ月以上経過した時点においても、不定期に頭痛、頸部痛に悩まされ、吐き気を催したりしているため、市販の鎮痛剤を常用している状態であるという。

(三)原告C
(1)原告Cは、B整形外科に平成17年5月21日から平成18年4月22日までの間、合計68日の通院をした。B整形外科への月別の通院回数は以下のとおりである。
 5月6回(23日、26日、27日、28日、30日、31日)、6月13回(2日、3日、6日、9日、11日、13日、14日、16日、20日、21日、24日、25日、30日)、7月9回(1日、4日、5日、8日、12日、14日、15日、22日、28日)、8月4回(2日、9日、19日、30日)、9月4回(1日、10日、20日、27日)、10月4回(11日、14日、21日、28日)、11月4回(1日、12日、26日、29日)、12月5回(6日、12日、13日、20日、27日)、1月3回(17日、24日、31日)、2月2回(17日、25日)、3月4回(4日、11日、17日、31日)、4月2回(14日、22日)

(2)原告Cは、平成17年12月16日、E病院で頸部MRI検査を受け、また、平成18年4月宇根岡脳神経外科で頭部MRI検査を受けたが、いずれも異常所見は認められなかった。

(3)平成18年1月以降の通院回数の減少は、受験準備等によるものである。

(4)同原告は、現在まで、アルバイト等をこなしていたが、だるさと時折の頭痛が残存するという。




以上:3,205文字

タイトル
お名前
email
ご感想
ご確認 上記内容で送信する(要チェック

(注)このフォームはホームページ感想用です。
交通事故無料相談ご希望の方は、「交通事故相談フォーム」に記入してお申込み下さい。


 


旧TOPホーム > 交通事故 > 交通事故判例-その他後遺障害関係 > 後遺障害非該当で逸失利益・慰謝料が認められた例1