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交通事故事件医療記録概観-診断書

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平成21年12月11日(金):初稿
○交通事故による損害賠償請求事件で,支払者である保険会社との争いが最もシビアになる典型例は後遺障害等級についての争いです。後遺障害等級の争いの中で最も多いものは、おそらくは頚椎捻挫等による神経症状についての、非該当、第14級、第12級の争いではないかと推測しています。また既往症がある場合、現在残された障害が、交通事故による傷害を原因とするのか、または、既往症を原因とするものなのかがシビアな争いになります。

○このように後遺障害内容・程度・原因等が争いになる場合、その判定のために医療記録を証拠として提出することが必須です。そこでこの医療記録の分類と注意点についての備忘録です。

診断書書式

□診断書
診断時点での患者の状況を記載するもの。
全治○週間等の将来の見通しも記載されるが、これはあくまで診療時点での予測に過ぎない。この全治○週間は私の経験では、その後の実際の治療期間より少なく記載される例が圧倒的に多い。
交通事故での治療について自由診療となり,保険会社が治療費を支払う場合は、被害者である患者の同意を得て、1ヶ月1回診断書を発行して貰い、合わせて、診療報酬明細書(以下、レセプトと言う)を取り寄せている。これは治療支払のための保険金支払要件であり、保険会社はこの診断書とレセプトの記載状況から治療打ち切り時期を探っている。

□診断書記載事項
・傷病者;傷病者を特定

・傷病名;医学上認められた傷病名
むち打ち症については、頚部損傷、頚椎捻挫、頚部症候群等多様な記載がなされている。
診断書は傷病毎に記載されそれぞれに対する治療開始日と治癒または治癒見込み日を記載する建前になっているが、実際には治癒見込み日の記載のないものも多い。

・症状の経過・治療内容及び今後の見通し
患者の主訴、客観的(他覚的)所見,治療内容、今後の見通しの記載がなされる建前であるが,実際例には、治療内容、今後の見通しの記載がないものも多い。ここでの記載では客観的(他覚的)所見が重要視されている。

・主たる検査所見
X-P、CT、MRI、MMT(筋力)、ジャクソンテスト、スパーリングテスト等の結果が記載。異常ありが(+)、異常なしが(-)。

・初診時の意識障害
脳挫傷等脳に対する損傷がある場合等に記載される。

・既往症及び既存障害
具体的な治療と交通事故との因果関係判定のために記載。

・後遺障害の有無
治療の最終時期に記載される例もあるが、通常の診断書には殆どの場合「未定」とされ、後遺障害診断書で記載される例が多い。

・入院治療と通院治療
入院日と通院日の日数を記載。

・ギプス固定期間
ギプス固定期間は、損害賠償算定上、通院(在宅治療)であっても入院と同視されるので注意が必要。

・付添看護を要した期間
付添看護料算定基礎となる要介護期間。通常はこの記載がないと付添看護料は認められない。

・医療機関以外の鍼・灸、マッサージ、カイロプラティック等の施術
その必要性についての医師の証明がないと損害が認められない場合もある。

診断書書式裏面

以上:1,236文字

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