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平成21年10月 2日(金):初稿 |
○「脳梗塞既往症による後遺障害発症後のむち打ち症事例6」を続けます。判決文紹介としては最後になります。 この事案は、先ず事故から3年前の脳梗塞による既往症との関係で新たに後遺障害が認められるかどうか大変難しく、更に同じく3年前の脳梗塞による既往症のため本件事故時は殆ど仕事らしい仕事がない事実上の無職無収入状態で休業損害、逸失利益ともどれだけ認められるか大変予想の難しい事件でした。 その上に過失相殺の問題、更に物損も平成4年登録で事故時の平成16年には既に12年も経過した自動車の全損であり、このような中古自動車の交換価値をどのように把握すべきかも困難で、難しい論点が詰まった事件でした。 それが過失相殺は被害者側1割り取られるも事実認定は被害者主張通り認められ、休業損害・逸失利益共予想より遙かに多く認められ、その前提として後遺障害第12級が明確に認められ、更に物損も12年経過車両で22万6800円認められ、私自身としては予想外の大勝利に終わりました。 しかし被害者である依頼者自身は、過失相殺が1割取られたことに憤慨し、一時は控訴も考えており、被害者となった場合の悔しさ、特にこの事件では加害者側で被害者の過失を強調して主張してきたこともあり、加害者に対する強い反発があり、被害者の思いを、痛感させられた事件でもありました。 この事件で後遺障害第12級が認められた最大の理由は、被害者主治医の全面的とも言える協力でした。この協力がなければ,既往症との関係で到底、交通事故による後遺障害とは認められないもので、主治医の協力体制構築が如何に重要かも痛感させられた事件でした。加害者側保険会社顧問医意見とそれに反論するための主治医の協力については後日別コンテンツで説明します。 **************************************** 5 争点(5)について (1)証拠(甲12)及び弁論の全趣旨によれば,被告Y1には,本件事故により,被告車両につき,24万8500円の損害が生じた(全損時価額)ことが認められるところ,本件事故についてのXの過失割合は,上記2のとおり,1割であるから,Xの賠償すべき額は2万4850円である。 (2)本件における事案の内容,請求額,認容額その他本件に顕れた事情によれば,被告の不法行為と相当因果関係のある弁護士費用は,1万円と認められる。 (3)上の合計額は, 3万4850円である。 6 争点(6)について Xは,本件事故により,後遺障害等級12級に相当する障害を負っており,また,Xには,後遺障害等級14級に相当する既存の障害があったのであるから,Xについての自賠責保険金額は,224万円(後遺障害等級12級の保険金額)から75万円(後遺障害等級14級の保険金額)を控除した149万円である。そして,本件事故によるXの人身損害の額は,上記4記載のとおりであるから,Xは,被告Y2に対し,上記のXの人身損害の額の範囲内で,上記の保険金額の限度において,損害賠償額の支払を求めることができる。 7 よって,Xの甲事件請求は,被告Y1に対し,不法行為に基づく損害賠償金として847万3066円及びこれに対する不法行為の日である平成16年6月11日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の各支払を求める限度で理由があるから認容し,その余の甲事件請求を棄却することとし,被告Y1の乙事件請求は,Xに対し,不法行為に基づく損害賠償金として3万4850円及びこれに対する不法行為の日である平成16年6月11日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の各支払を求める限度で理由があるから認容し,その余の乙事件請求を棄却することとし,Xの丙事件請求は,理由があるから認容することとし,主文のとおり判決する。 なお,甲事件についての仮執行宣言免脱の申立ては,相当ではないから却下する。 仙台地方裁判所第1民事部 裁判官 ○○○○ 以上:1,637文字
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