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体罰についての胸のすく最高裁判例登場2

平成21年10月 1日(木):初稿
「体罰についての胸のすく最高裁判例登場1」を続けます。
 公立小学校の教員Cが,女子数人を蹴るなどの悪ふざけをした小学2年生の男子を追い掛けて捕まえ,胸元をつかんで壁に押し当て,大声で叱った行為が,違法な体罰として、学校を管理するY市に対して一審で65万円、二審で21万円の国家賠償責任が認められて、市側が上告した事案について、平成21年4月28日最高裁第三小法廷判決(判時2045号)は、
Cの本件行為は,児童の身体に対する有形力の行使ではあるが,他人を蹴るというXの一連の悪ふざけについて,これからはそのような悪ふざけをしないようにXを指導するために行われたものであり,悪ふざけの罰としてXに肉体的苦痛を与えるために行われたものではないことが明らかである。Cは,自分自身もXによる悪ふざけの対象となったことに立腹して本件行為を行っており,本件行為にやや穏当を欠くところがなかったとはいえないとしても,本件行為は,その目的,態様,継続時間等から判断して,教員が児童に対して行うことが許される教育的指導の範囲を逸脱するものではなく,学校教育法11条ただし書にいう体罰に該当するものではないというべきである。したがって,Cのした本件行為に違法性は認められない。
と判示して,原判決中Yの敗訴部分を破棄し,同部分につき1審判決を取り消してXの請求を棄却しました。

○学校教育法11条では「校長及び教員は、教育上必要があると認めるときは、文部科学大臣の定めるところにより、児童、生徒及び学生に懲戒を加えることができる。ただし、体罰を加えることはできない。」と定められていますが、問題は但し書きの体罰禁止です。

○日本では、戦前も,教育令,小学校令,国民学校令において明文で体罰が禁止されていましたが,実際の運用は,多少の肉体的実力行使は「体罰」に当たらないと解されていたとのことです。ところが、戦後に至り、体罰は厳しく規制されるに至り,昭和23年に出された「児童懲戒権の限界について」と題する法務庁法務調査意見長官回答には,体罰の典型例として,殴る蹴るなど,身体に対する侵害を内容とする懲戒が挙げられているほか,被罰者に肉体的苦痛を与えるような懲戒も体罰に該当するとされ,例えば端座・直立等,特定の姿勢を長時間にわたって保持させるというような懲戒も体罰の一種であることが示されたとのことです。

○しかし私の小学生時代の昭和30年代は、繰り返し記載しているとおり、相当ひどい体罰が行われていました。私自身、何回か体罰を受けた経験がありますが、基本的に自分が悪いから体罰を受けて当然と思い、また教師に逆らうことなど出来ないと考えており、学校側に損害賠償請求するなんて感覚は全くありませんでした。特定の姿勢を長時間にわたって保持させるというような懲戒も体罰の一種とされましたが、宿題を忘れて授業時間中立たされることなど日常的に行われていたように記憶しています。

○それがいつしか体罰厳禁の世になったのは、体罰を受けた一部の親が学校側に損害賠償請求を出し、これが認められる事例が堆積してきた結果と思われますが、親が子供を叱らなくなり、子供が叱られる訓練がなされず、そのため教師に叱られるとオーバーに反応し、本件のように一寸叱られた程度で「夜中に泣き叫び,食欲が低下するなどの症状」になったりするなど子供がひ弱になったことも大いに関係するのではと思っております。私自身子供に対し甘いなと思うことが良くあり、もう手遅れかも知れませんが、時に厳しく接していきたいと思った次第です。
以上:1,470文字

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