平成21年 7月23日(木):初稿 |
○平成21年7月現在、交通事故事件を17件受任し、更に数件の相談予約が入っていますが、私の場合は全て被害者側です。希に任意保険未加入の加害者側の相談申込を受けることがありますが、交通事故相談の場合は、相談申込時点で加害者側か被害者側かを確認して、加害者側と判った場合、他の弁護士を紹介しています。加害者側の場合、最終的な損害賠償金額を可能な限り小さくする論理を主張しなければならず、不器用な私は、被害者側・加害者側の異なる論理構造を立場に応じて使い分けることに引け目を感じるからです。 ○保険会社の顧問をされている弁護士は、顧問保険会社から依頼される交通事故加害者側事件の他に保険会社関連保険代理店等の紹介で被害者側交通事故事件を扱うことも多く、最近は自動車総合保険に弁護士費用特約がついて被害者側になった場合の弁護士費用も保険金でカバー出来るようになったため顧問先保険会社から被害者側交通事故事件の依頼も増えているようで、保険会社の顧問をされている弁護士では、常時交通事故事件を50~60件抱えていると称される方も居ます。 ○私にとっても交通事故事件は、意気に燃える事件であり、現在扱っている事件の殆どは、後遺障害非該当認定を12級程度に、或いは14級認定を12~10級程度にアップする主張をしているもので、熾烈な医学論争がなされる大変難しい事件ばかりです。結構な手間暇がかかり、コスト的にはあまり合わないと感じる事件も多くありますが、どの事件も熱意を持って取り組んでいます。 ○交通事故を扱う弁護士のHPを見ると、「より重大な被害を被った方への対応を優先すべきとの考えから、相談を受け付ける範囲を高次脳機能障害、遷延性意識障害、脊髄損傷などの重度・中度後遺障害の案件」とか、「相談を受ける案件は任意保険対応で(1)死亡事案、(2)後遺障害等級1級~11級の認定済み事案、(3)上記等級の後遺障害が残存することが予想される事案」等に限定される方も居て、弁護士の敷居の高さの一端を見る思いです。 ○しかし私が交通事故相談を受けての感想は、特に鞭打ち症の方々で重篤な痛み等の障害を残していながら、自賠責からは器質的損傷がないとの理由で14級にも該当しないと認定されて、受けた苦しみからすると極めて低額の賠償金提示をされて悔しい思いをしている方々が多数居ると言う事です。たとえ後遺障害14級にさえ認定されない事案でも、弁護士が介入して裁判基準による主張をキチンと行うことで50万円の提案が150万円にアップする例も多くあります。 ○「交通事故事件の弁護士奪還を」に記載したように、「単に弁護士の業務拡張の視点だけでなく、被害者の権利確保の見地からも」後遺障害非該当の少額損害賠償金事案も含めて交通事故事件に弁護士が積極的に関与すべきと願っているところです。 以上:1,165文字
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