平成17年 5月25日(水):初稿 |
○当HP交通事故の「私と交通事故」記載の通り私は交通事故事件に熱心に取り組んでいます。 弁護士業務改革シンポジウム運営委員会に所属し、平成17年10月7日金沢市の金沢全日空ホテルで開催する第14回日弁連業務改革シンポジウムにおいても「交通事故事件を弁護士に取り戻そう」との部門を担当しています。 ○昭和40年代前半までは交通事故事件が、弁護士業務のドル箱でした。東京地裁民事27部統計によると、昭和45年には交通事故訴訟の新受件数が2184件のところ、昭和58年には457件に激減し、平成15年でも1394件でかつての6割強に過ぎません。 ○この背景には、交通事故の発生件数自体の減少もありますが、決定的理由は昭和49年以降の示談代行付自動車保険の発売があります。示談代行付保険出現以前は損害賠償金の支払を受けるためには被害者側で積極的に動かなければならず、動くためには弁護士に相談・依頼することが多かったものが、示談代行付保険出現により、保険会社担当社員が被害者のもとを訪れ示談代行を行うため、被害者側が積極的に動く必要がなくなったのです。 ○保険会社にすると弁護士が関与する前に保険会社主導で早期に示談解決する方が賠償金支払額が少なくて済みますので積極的に示談解決を試み、示談代行担当員の中には、弁護士を依頼すると、その費用が高くつき、結局手取額が少なくなるとの正に弁護士業務妨害と言うべき誤った説明をする人も多くいます。 ○以上の理由で交通事故事件は、保険会社顧問等の一部弁護士を除いて弁護士業務のドル箱ではなくなりました。しかし1999年日弁連で行った弁護士に対するアンケート調査の結果、示談代行制度普及により殆どの交通事故事件がこの制度で弁護士関与無しで処理され、弁護士関与の場合と比較し相当程度低い賠償額で解決している実態が明らかになりました。 ○弁護士関与の場合の解決賠償額は裁判基準であり、法に基づく本来の公平・適切な賠償額となりますが、保険会社基準での賠償額は、保険会社独自基準による賠償額であり、一般的には法に基づく本来の公平・適切な賠償額には至りません。この事実は、被害者の本来の権利が守られていないことを示します。 ○私はこの事態は由々しき問題と思っており、単に弁護士の業務拡張の視点だけでなく、被害者の権利確保の見地からも日弁連として、積極的に取り組むべきと主張してきましたが、業務改革委員会としては、具体的動きはありませんでした。第14回日弁連業務改革シンポジウムでそのきっかけを作れればと思っております。 以上:1,053文字
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