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平成21年 3月 3日(火):初稿 |
(5) 以上のとおり、本件事故後、原告に、外傷性頸部症候群、低髄液圧症候群等が発症したものであるが、原告の担当医師の内2名が、本件事故と原告の症状との因果関係を認めていることに加え、原告が本件事故以前にかかる傷病を有していなかったこと、本件事故後に生じた他の原因でこれらの傷病が発現したことを認める証拠がないこと及び上記の医学的知見、とりわけ、軽微な外傷でも低髄液圧症候群等が発症すること、外傷から発症まで一定の期間が経過する場合もあること、頸椎捻挫と併発した低髄液圧症候群は、停車中の追突事故による例が多数を占めていることを総合すると、本件事故と原告の症状との因果関係は、これを認めることができるというべきである。 被告らは、軽微な本件事故により原告が上記傷病を発症することはあり得ないと主張するが、上記のとおり、原告車両及び被告車両の物損の状況は証拠上明確ではなく、また、原告は、事故の程度について、上半身全体を押されるような衝撃があったと供述しているものである。すると、これに加え、本件事故後に、原告に上記のような傷病が発症したことからをも斟酌すると、本件事故が、上記の傷病を発症し得ないような軽微なものであったとは、必ずしもいえない。 また、上記のとおり、戊田太郎は、本件事故で頸椎捻挫を発症することはありえないとするが、その根拠とするところは、本件事故が軽微であること、他の内因性による発症の可能性もあることにとどまるものでる。 (6) 以上によると、原告の上記症状は、本件事故によるものと認められる。 2 争点(2)について (1) 原告の治療経過について 証拠によると、原告は、本件事故の後平成16年9月15日までの間において、以下のとおり入通院したことが認められる。 ア T病院通院(甲71,73) 平成15年2月10日から同年3月17日まで通院 イ Sクリニック通院(甲72) 同年2月12日通院 ウ C医院通院(甲74ないし76,79、弁論の全趣旨) 同年3月24日から同年5月31日まで通院 同年7月15日から同年8月23日まで通院 平成16年9月7日から同月15日まで通院 エ Q病院入通院(甲3、78、弁論の全趣旨) 平成15年4月16日から同年5月14日まで通院 同年6月2日から同年7月1日まで入院 同月2日から同月10日まで通院 同月11日から同月14日まで入院 同月15日から同年11月30日まで通院 同年12月1日から同月13日まで入院 平成16年7月14日から同月28日まで入院 オ I病院通院(甲21、弁論の全趣旨) 平成15年7月31日から同年8月14日まで通院 カ P医院通院(甲23、48の2) 同年8月25日から平成16年9月1日まで通院 キ O病院入通院(甲9,10、弁論の全趣旨) 平成15年9月8日から同年10月11日まで入院 同年11月22日から平成16年9月15日まで通院 ク Gカイロプラクティック通院(甲52の2) 平成15年9月16日から同月26日まで通院 平成16年2月2日から同年7月2日まで通院 ケ Hカイロプラクティック通院(甲53の2) 平成15年9月29日から同年11月21日まで通院 コ J鍼灸院通院(甲51の2) 同年11月22日から同年12月13日まで通院 サ K治療院通院(甲54の2) 同年12月17日から平成16年1月4日まで通院 (2) 治療費 109万5341円 証拠によると、原告は、以下の治療費を要したことが認められ、その全額について、本件事故と相当因果関係のある損害と認める。 ア Q病院 治療代 42万4200円(甲19,46の1及び2) 薬代 8270円(甲20,46の3) イ C病院 治療代 1万9070円(甲22,47の1及び2) 薬 代 5652円(甲47の1及び3) ウ E病院治療代 8万1500円(甲23,48の1及び2) エ I病院治療代 820円(甲21) 薬 代 2010円(甲21) オ O病院 治療代 26万3600円(甲50の1及び2) 薬代 5万3000円(甲50の1及び3) カ J鍼灸院治療代 7000円(甲51の1及び2) キ Gカイロプラクティック 治療代 7万円(甲52の1及び2) ク Hカイロプラクティック 治療代 1万4000円(甲53の1及び2) ケ K 治療院 治療代 2万1000円(甲54の1及び2) コ M薬品 薬代 12万5219円(甲55の1及び2) (3) 入院雑費 14万4000円 上記認定のとおり、原告は、96日間入院したものであるが、弁論の全趣旨によると、原告が上記入院期間中、1日当たり1500円以上の入院雑費を要したことが認められるが、このうち、この入院の全期間、1日当たり1500円について、本件事故と相当因果関係のある損害と認める。 (4) 通院交通費 33万1830円 証拠によると、原告は、上記通院のために、以下の交通費を要したことが認められ、 その全額について、本件事故と相当因果関係のある損害と認める。 ア Q病院 8万5010円(甲24,46の1、4ないし6) イ C病院 5万1280円(甲24、47の1,4及び5) ウ E病院 14万9560円(甲24、48の1、3及び4) エ I病院 6400円(甲49の1ないし3) オ O病院 2万1400円(甲50の1、4ないし6) カ T病院 4180円(甲56の1及び2) キ J鍼灸院 800円(甲51の1及び3) ク Gカイロプラクティック 9280円(甲52の1及び3) ケ K治療院 3920円(甲54の1及び3) (5) 文書料 2万8400円 証拠(甲57の1ないし4)によると、原告は、2万8,400円の文書料を要したことが認められ、その全額について、本件事故と相当因果関係のある損害と認める。 (6) 休業損害 35万4767円 原告は、本件事故以前、母親の看病をしていたところ、平成15年2月9日から平成16年9月15日までは仕事もできない状態であったので、この間の休業補償が相当であると主張する。 証拠(甲8、原告本人)によると、原告は、大学を卒業し、平成10年4月から半年ほど就労したが、母の看病をするため、仕事を辞め、それからは、自宅で一日中母親の面倒を見ながら家事に従事する生活を続けていたこと、本件事故により、原告は、母の看病がほとんどできなくなったこと、母親は平成15年4月2日に死亡したことが認められる。 以上によると、原告は、母が死亡するまでの間、母親と同居して家事労働に従事していたことが認められるが、上記事実によると、本件事故により、その労働能力の70%の制約があったと認められるから、平成15年の賃金センサス女子労働者全年齢平均の年間賃金額である349万0300円を基礎とし、平成15年2月9日から同年4月2日まで、35万4767円を、休業損害として認める。 なお、原告の母が死亡した以降については、原告が、他人のために家事に従事していたことを認める証拠がないから、休業損害は認められない。 (7) 傷害慰謝料 230万円 上記入通院日数その他本件に現われた諸事情をも勘案すると、本件における慰謝料は、230万円とするのが相当である。 (8) 弁護士費用 40万円 弁論の全趣旨によると、原告は、本件訴訟の提起及び追行を原告訴訟代理人弁護士に委任し、相当の報酬を支払うことを約したことを認めることができるところ、本件事故と相当因果関係のある弁護士費用は40万円と認めるのが相当である。 3 以上によると、原告の請求は、主文掲記の限度でいずれも理由がある。 (口頭弁論終結日 平成17年2月2日) 福岡地方裁判所行橋支部 裁判官 岡口 基一 以上:3,174文字
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