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症状固定後の治療費

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平成20年 1月 5日(土):初稿
「休業損害と逸失利益の関係」で「症状固定とは、これ以上治療しても症状の改善が期待できない段階になったこと、簡単に言えばこれ以上は治りませんとなったときです。」と述べましたが、症状が固定すればこれ以上治療しても症状が変わらないので治療しても無駄であり、原則として治療が必要ないことになります。

○従ってこの理屈からすると症状固定後は治療費がかかることが無く、症状固定後の治療費が問題になることは無いはずです。ところが現実には症状固定診断後も治療を継続せざるを得ない場合があり、症状固定後の治療費も損害に含まれるのかどうかが問題になります。

○典型的な例は神経症状での症状固定です。例えば交通事故によるむち打ち症では半年乃至1年以上通院しても症状が完治せず頚部痛、頑固な肩こり、めまい等の症状が残っている場合、14級「局部に神経症状を残すもの」、12級「局部に頑固な神経症状を残すもの」等の後遺障害が認定される場合があります。

○この神経症状では残っている痛みを少しでも和らげ或いはこれ以上の増悪を防ぐため症状固定後も整形外科或いは整骨院等でマッサージ療法等の継続を希望する場合があります。しかし残念ながらこの神経症状の症状固定後症状悪化を防ぐための治療費は損害とは認められないケースが多いようです。

○症状固定後の治療費が損害として認められる要件は、症状固定後でも症状の内容、程度、治療の内容により、症状の悪化を防ぐなどの必要性があれば認められるとされており、神経症状の場合は、治療しなければ症状が悪化するとの特別の事情が必要であり、現実にはその事情が認められる例は少ないからです。

○症状固定後の治療費が認められる典型例は、四肢切断等による後遺障害があり、切断後の義足・義手等補助具作成のための入通院治療費などで、比較的重い後遺障害の場合認められるケースがあり具体例は以下の通りで、認められているケースは相当数あります。
・てんかん等による9級後遺障害について将来のてんかん予防悪化防止抗痙攣剤や検査費用
・頭痛・めまい・ふらつき等自覚症状を伴う失調生歩行等での5級後遺障害について将来の治療費・交通費・通院付添費
・中枢神経障害としての左上下肢片麻痺等外傷性てんかんによる併合2級後遺障害について症状固定5歳時から18歳までの二次的障害発症増悪防止のための治療費
・右大腿切断による4級後遺障害について毎月2回の定期検査・リハビリ等治療費の平均余命期間分
以上:1,015文字

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