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平成18年 6月 5日(月):初稿 |
○平成18年6月4日更新情報で、人身傷害補償担保特約について紹介しましたが、問題はこの特約によって補償される損害の中身です。約款では「当会社が保険金を支払うべき損害の額(以下、『損害額』と言います。)は、被保険者が傷害、後遺障害または死亡のいずれかに該当した場合に、その区分ごとに、それぞれ別紙に定める算定基準に従い算出した金額の合計額とします。」となっており、「適正な賠償額」となっておりません。 ○損害賠償金額基準に損保基準と裁判基準があり大きく乖離していることは繰り返し説明してきたところですが、果たして人身傷害補償担保特約による補償額が裁判基準で認められるかどうかは大変難しい問題で、今般、人身傷害補償担保特約による保険会社に対する保険金支払請求を受任したことをきっかけに約款を熟読して私なりに勉強して報告していきたいと思っております。 ○人身傷害補償担保特約は、自分が被害者になった場合、「加害者との示談解決を待たずに、過失割合にかかわらず定められた基準に基づいて算定した損害額を契約金額の範囲内でお支払いする特約」であり、極端な場合、自己の過失が100%即ち自損事故によって自分自身に生じた損害についての補償されます。 ○SAPの特約の中には自損事故特約もセットでついており、これと人身障害補償担保特約との関係の吟味も必要ですが、まだ不勉強でこれはさておき、過失有無を問わず補償されるのであれば、例えば自己によって生じた全損害額が1000万円で自己と相手方の過失割合がそれぞれ50%と認定され、1000万円の50%である500万円しか損害賠償が認められない場合、自己の過失分として相手方から回収できない500万円について、人身傷害担保特約に基づき保険金請求が出来ないかという問題があります。 ○この問題を検討するに当たっては自己によって生じた全損害とは法で自賠法と民法の不法行為責任として認められる適正な損害額とすれば裁判基準に従った損害になりますが、あくまで保険契約に基づく契約責任とすれば契約に定められた金額となりますので、約款熟読の上、適正な損害額まで補償の対象となるかどうかを慎重に吟味する必要があります。 ○約款では「定められた基準に基づいて算定した損害額」となっており、これを見る限り約款で定められた基準でありこれは保険会社基準を前提にしており、裁判基準にはならないように見えます。 ○更に約款には補償の最上限が「自賠責保険で認める金額」となっており、自賠責保険で認める金額とは、最終的には「適正な賠償額」であり、裁判基準で認められる金額ですが、自賠責保険支払基準は、裁判基準より遙かに下回っていることは繰り返し述べてきたとおりです。これをどう解釈するかも問題になります。何れにしても約款をじっくり検討する必要があり、今後、時間をかけて勉強していきます。 以上:1,176文字
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