旧TOP : ホーム > 交通事故 > 自賠責保険・任意保険の基礎 > |
平成18年 6月 6日(火):初稿 |
○自家用自動車総合保険(SAP)には無保険者傷害担保特約がセットでついておりますが、これが我々弁護士も交通事故事件を熱心に取り組んでいない場合、意外な盲点になっていました。無保険者傷害担保特約とは、アクサダイレクトの保険用語辞典では次のように解説されています。 「お車の運転者および同乗者に対する保険です。お車の運転中、対人賠償保険等がついていない車との自動車事故により、運転者や同乗者が死亡したり後遺障害を被り、かつ加害者から十分な賠償が受けられない場合に保険金が支払われます。」 ○この場合の保険金とは、約款によれば「法律上負担すべきものと認められる損害賠償責任の額」となっており、正に「適正な賠償金額」であり、無保険者傷害担保特約による保険金とは異なり、最終的には裁判所基準による賠償金額です。 ○この無保険者傷害担保特約は、前述の通り意外な盲点になっており、交通事故に熱心に取り組んでいない弁護士ではその存在を知らない方も多くいました。私自身、交通事故紛争処理センターの嘱託弁護士となり交通事故に興味を持ち、日弁連交通事故センターの研修会等の参加してその存在を教えて貰いました。 ○交通事故の被害者になった場合、不幸にして相手方は自賠責保険だけで任意保険をかけておらず、且つ交通事故事件で実刑判決を受け、刑務所に入った場合など自賠責保険金の限度でしか賠償を受けられません。例えば死亡事故の場合、自賠責保険金限度額3000万円は受領したが、裁判基準による適正賠償金額が6000万円であった場合、差額3000万円は加害者本人から回収することは先ず不可能です。 ○このような事例で相談を受けた場合、自動車保険について確認することなく差額3000万円は加害者本人から回収するしかなく、本人が財産がなく且つ刑務所行きでは諦めるしかありませんと回答したら、弁護士過誤になります。 ○このような場合私は必ず同居の親族が自動車を保有しているかどうか、保有しているなら自家用自動車総合保険(SAP)に加入していないかどうかを確認します。被害者と同居している親族が無保険者傷害担保特約付き保険に加入していた場合は、その保険会社に差額3000万円の支払を請求できるからです。 ○無保険者傷害担保特約の最大の問題点は保険金支払要件として被害者が死亡または後遺障害が生じた場合に限られることです。被害者がたとえ5年間も治療を継続しても最終的に後遺障害が発生しない場合、無保険者傷害担保特約は適用できません。 以上:1,030文字
|