平成18年 3月24日(金):初稿 |
○「申告外所得の主張自体は許されるがその立証は困難」で「申告外所得も所得自体が違法に得られたものでない以上、公序良俗や信義則に反するものとしてその主張が許されないと解することは出来ず、実務上は、申告外所得の主張自体は許される」と述べました。 ○現実に収入があっても、その所得が違法に得られた場合には、交通事故による傷害でその収入が得られなくなったとしても、違法収入部分は損害として認められないのが原則です。 ○問題はその違法の程度と、損害として認められない範囲です。例えば月収300万円のソープランド嬢が、交通事故で6ヶ月間休業を余儀なくされ合計1800万円の休業損害が生じ、事故前1年間は月収300万円あったことを預金通帳等で完全に証明した場合、何処まで休業損害として認められるでしょうか。 ○ソープランド嬢の収入は売春による収入であり、売春防止法第3条(売春の禁止)では「何人も、売春をし、又はその相手方となつてはならない。」と売春行為を禁止しており、一応、売春による収入は違法収入であると言えます。 ○しかし、売春防止法では、売春の勧誘、周旋、場所の提供等売春に至る準備行為や環境整備には罰則がありますが、売春自体には罰則がありません。売春自体は刑罰が科されないので違法性が低く、交通事故でその収入を失った場合、損害として認めても良いではないかと言う理屈も考えられますが、判例はソープランド嬢やファッションヘルス嬢の損害としては賃金センサス女子労働者の平均賃金の範囲でしか損害とは認めません。 ○営業に免許が必要な貨物運送業者の休業損害については、運輸大臣による自動車使用の制限または禁止の処分を受けていない以上は、無免許による営業収益の確実性及び永続性が不安定であることは考慮すべきでないという判例があります。 ○外国人が在留資格で制限された時間をオーバーして就労した収入、就労禁止条件に違反して就労した収入、不法残留期間中に就労した収入について、何れも休業損害を認めた判例があります。何れも収入があった事実を立証できたものであることは勿論ですが、在留資格違反の違法性は、休業損害認定に当たっては殆ど考慮されないようです。 ○不法残留は刑罰が科せられる違法性の強い行為ですが、就労した労務自体に売春のような違法性がない限り休業損害は認定される傾向のようです。 以上:968文字
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