平成17年 5月24日(火):初稿 |
○Aさんの交通事故後の腰痛についての損害賠償請求の話を続けます。 問題となって第三腰椎左下関節突起骨折について当初診察したB整形外科医は当初撮影レントゲン写真からその存在を読み取れず、事故後2ヶ月後に腰部専門整形外科医Cさんの診察を受けて初めて当初から第三腰椎左下関節突起骨折が存在していたことが判りました。 ○裁判での証言でC医師は「腰部専門医の私だから読み取れるのであり、普通の整形外科医では読み取れない」とも断言しました。この時同じ整形外科医でも、脚部、腰部、腕部等部位によって診断・治療技能が全く違うことを知り驚きました。Aさんを担当したB医師は脚部の専門で腰部は余り得意でなかったようです。 ○我々弁護士でも分野によって又経験によってその技量は全く違います。顧客の立場からは弁護士も医師もその得意とする分野を広く開示することが重要と痛感しました。 ○C医師の証言で、問題の第三腰椎左下関節突起骨折は事故によって生じた事は立証できましたが、更に問題は現在のひどい腰痛と第三腰椎左下関節突起骨折の関係です。C医師は、「第三腰椎左下関節突起骨折は普通2,3ヶ月で完治し後遺障害が残ることは希である」とも証言されました。 ○C医師の証言当時事故から3年も経っており、第三腰椎左下関節突起骨折がどうなっているか、又現在の腰痛との関係を調べるためAさんはC医師の証言後、その診察を受けると、事故後3年経過時点では第三腰椎左下関節突起骨折はキレイに治っていること、更に現在の腰痛との関係は全く不明であることが判明しました。 ○当初担当のB医師がAさんの第三腰椎左下関節突起骨折について確定的診断をしたのが事故から3ヶ月後であること、事故直後Aさんは骨折特有の痛みを訴えていなかったこと、事故1ヶ月後のMRI検査で腰部に異常がなかったこと等が保険会社で事故と腰痛の因果関係を認めなかった理由でした。 ○事故によって生じた第三腰椎左下関節突起骨折を腰痛後遺障害の原因と主張したかったのですが、腰部専門C医師からキレイに治っており、現在の腰痛との関係は不明と診断されたのではどうしようもありません。 ○結局Aさんの裁判は請求額を大幅減額して和解しましたが、医師の専門による技量差の大きさを痛感させられた事件でした。弁護士も同じですが。 以上:946文字
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