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労働者派遣・請負・委託・出向の違い等基礎の基礎

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令和 2年12月13日(日):初稿
○「労働者派遣と請負との違いの基礎の基礎-厚労省通達紹介」の続きです。労働者派遣が違法とされる場合、出向とすれば違法にはならないのではと質問を受けました。そこで、労働者を他の事業者の元で働かせる場合の法律構成について概要を整理します。

○民法上の典型契約は以下の通りです。
第623条(雇用)
 雇用は、当事者の一方が相手方に対して労働に従事することを約し、相手方がこれに対してその報酬を与えることを約することによって、その効力を生ずる。
第632条(請負)
 請負は、当事者の一方がある仕事を完成することを約し、相手方がその仕事の結果に対してその報酬を支払うことを約することによって、その効力を生ずる。
第643条(委任)
 委任は、当事者の一方が法律行為をすることを相手方に委託し、相手方がこれを承諾することによって、その効力を生ずる。
第656条(準委任)
 この節の規定は、法律行為でない事務の委託について準用する。
第657条(寄託)
 寄託は、当事者の一方がある物を保管することを相手方に委託し、相手方がこれを承諾することによって、その効力を生ずる。


○委託という用語は、上記643・656・657条に「相手方に委託し」と使われています。委託の日本語としての意味は、「 ゆだね任せること。人に頼んで代わりにやってもらうこと」とされていますが、民法上の典型契約の名称ではありません。しかし、委任・準委任・寄託等の契約を○○委託契約と使われることがあり、業務委託契約というような表現で、委任・請負・寄託・準委任をいずれも含むような契約もあります。

○出向という契約は、民法上の典型契約にはない雇用契約の一種です。出向は勤めていた会社(出向元)の社員のまま、子会社や関連会社などで業務を行うという働き方で、同じ会社内での配置転換や転勤などは「異動」ですが、「出向」は勤務する会社自体が変わり、「在籍出向」と「転籍出向」の2種類あり、出向元との労働契約を結んだまま出向先とも労働契約を結んで働くのが「在籍出向」、出向元と労働契約を解消して出向先とのみ新たに労働契約を結ぶのが「転籍出向」で、いずれも、出向者は出向先の会社で、出向先の会社の指揮命令系統で勤務することになります。

○派遣という契約は、民法上の典型契約にはない雇用契約の一種です。派遣は、派遣元・派遣先・派遣者三者が関わる働き方で、派遣者は派遣元と呼ばれる派遣会社と雇用契約を結び、働くのは派遣先の会社で、その派遣先の指揮命令系統で業務に従事します。しかし、その派遣先と派遣者間には雇用関係はありません。この点が「出向」との違いで、派遣者が働くのは派遣先ですが、給料の支払などは雇用契約先である派遣会社が行います。

○雇用は相手方が労働に従事、請負は相手方が仕事の完成に従事、委任は法律事務等事務に従事させることが目的となっていますが、現実には、その「従事」が、労働・請負・委任(委託)のいずれに該当するか不明な場合が生じます。特に労働に従事させ雇用契約が成立すると、使用者としての種々の制約が生じるため、雇用ではなく請負・委任(委託)だと主張される例が問題になります。いずれに該当するかは、その指揮命令・拘束程度等からケースバイケースで判断され、その判断基準が重要で、別コンテンツで説明します。
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