平成30年 1月12日(金):初稿 |
○久しぶりに刑事事件の話題です。 「私が刑事事件について引退表明した理由1」以下に記載の通り、私は平成21年刑事事件引退宣言をして、以来10年間刑事事件は担当しておらず、当然、刑事法廷にも入ることはなくなりました。刑事事件起訴状もこの10年間見ておりません。 ○ところが、起訴状を受け取った関係者から、突然、起訴状に記載されている「勾留中求令状」の意味を質問されました。確かに昔起訴状を受け取ったときに良くこの「勾留中求令状」の記載を見た記憶があります。しかし、突然、その意味を質問され、刑事訴訟法の条文も10年以上遠ざかり、スッカリ、忘れており、とっさに答えることができませんでした。40数年前の受験時代は、刑事訴訟法を選択し、当時東京都立大学教授で東北大に集中講義に来ていた小田中教授の講義を聴いて感激し、一応、得意科目だったのですが(^^;)。 ○そこでネット検索をすると「続・むささび日記」というブログの「求令状起訴」の説明を読んで少し思い出しました。以下、刑訴法必要条文備忘録です。()内文言は私の覚書です。 199条(令状逮捕) 検察官、検察事務官又は司法警察職員は、被疑者が罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由があるときは、裁判官のあらかじめ発する逮捕状により、これを逮捕することができる。 203条(検察官送致) 司法警察員は、逮捕状により被疑者を逮捕したとき、(中略)、留置の必要があると思料するときは被疑者が身体を拘束された時から48時間以内に書類及び証拠物とともにこれを検察官に送致する手続をしなければならない。 204条(検察官逮捕の勾留請求) 検察官は、逮捕状により被疑者を逮捕したとき、(中略)、留置の必要があると思料するときは被疑者が身体を拘束された時から48時間以内に裁判官に被疑者の勾留を請求しなければならない。 205条(司法警察員逮捕の勾留請求) 検察官は、第203条の規定により送致された被疑者を受け取つたときは、(中略)、留置の必要があると思料するときは被疑者を受け取つた時から24時間以内に裁判官に被疑者の勾留を請求しなければならない。 2 前項の時間の制限は、被疑者が身体を拘束された時から72時間を超えることができない。 (中略) 4 第一項及び第二項の時間の制限内に勾留の請求又は公訴の提起をしないときは、直ちに被疑者を釈放しなければならない。 第207条(裁判官勾留) 前3条の規定による勾留の請求を受けた裁判官は、その処分に関し裁判所又は裁判長と同一の権限を有する。但し、保釈については、この限りでない。 2 裁判官は、第一項の勾留の請求を受けたときは、速やかに勾留状を発しなければならない。 第208条(被疑者釈放) 前条の規定により被疑者を勾留した事件につき、勾留の請求をした日から10日以内に公訴を提起しないときは、検察官は、直ちに被疑者を釈放しなければならない。 60条(起訴後勾留) 裁判所は、被告人が罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由がある場合で、左の各号の一にあたるときは、これを勾留することができる。 一 被告人が定まつた住居を有しないとき。 二 被告人が罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由があるとき。 三 被告人が逃亡し又は逃亡すると疑うに足りる相当な理由があるとき。 2 勾留の期間は、公訴の提起があつた日から2箇月とする。特に継続の必要がある場合においては、具体的にその理由を附した決定で、1箇月ごとにこれを更新することができる。 第61条(勾留質問) 被告人の勾留は、被告人に対し被告事件を告げこれに関する陳述を聴いた後でなければ、これをすることができない。但し、被告人が逃亡した場合は、この限りでない。 逮捕中求令状 逮捕された被疑者が、まだ勾留されていない段階で起訴された場合は、検察官は、起訴状に「逮捕中求令状」と記載。この場合、裁判官は、勾留質問を行い、職権で勾留するか判断し、勾留しないときは直ちに釈放を命じる(同法280条2項)。裁判官の釈放命令に対して、検察官は準抗告をすることができる。 勾留中求令状(令状差替え) A事実で勾留中の被疑者を、これとは別のB事実で起訴し、B事実について被告人勾留を求める場合、検察官は、起訴状に「勾留中求令状」と記載。勾留は公訴事実(被疑事実)ごとに行われるので、A事実とB事実に同一性がない場合、A事実についての勾留はB事実についての勾留として引き継がれず、改めてB事実について勾留するか否かを判断する必要があるから。逮捕中求令状の場合と異なり、裁判官が職権を発動しない場合においては、不服の対象となる裁判が存在しないので、B事実についての勾留を求めて検察官は準抗告をすることができない。裁判官は、勾留質問でB事実について被告人の陳述を聴いた後でなければ勾留することができない(同法61条)。 以上:1,983文字
|