平成21年 5月10日(日):初稿 |
○平成18年秋からスタートした日本司法支援センター(法テラス)では、国選刑事事件を一手に引き受け、弁護士は同センターに登録しないと国選刑事事件を担当できなくなりました。私は、「刑事弁護人の任務と私が刑事事件を避ける理由」に「最近数年間は私選刑事事件は原則として扱わず、義務的に国選事件を年間数件扱うだけで、刑事事件は積極的に取り組んでおらず、むしろ避けています。」と記載したとおり、刑事事件は余りやる気がありませんでしたが、義務感からやむを得ず平成20年度までは法テラスの国選弁護人名簿に登録し、年間5,6件の国選刑事事件を担当していました。 ○しかし、私は、平成21年4月から法テラスへの登録を止めました。執行部からは、仙台弁護士会会員全員に登録要請がなされており、さらにこの問題を担当する刑事弁護委員会委員が個別に各会員に電話で登録要請をしており、私個人にも要請がありましたが、キッパリお断りし、刑事事件は引退しますと表明しました。 ○平成21年5月21日から裁判員制度がスタートし、更に同日から被疑者国選制度も「短期1年以上」の重罪だけが対象だったものが「長期3年以上」即ち必要的弁護事件すべてが対象になり、国選刑事事件が急増し、全て日本司法支援センター(法テラス)経由で受任することになるため、多くの登録弁護士が必要になります。 ○私は、ここ3年程で仙台弁護士会会員数は、一気に60数名も増加したので、若い弁護士がどんどん登録して担当していけば十分と思っていましたが、執行部関係者の話では、登録弁護士が相当不足しているとのことです。ですから身勝手な私などは弁護士の風上にも置けない奴と非難されているはずですが、「弁護士の風上にも置けない弁護士」は私の従前からのキャッチフレーズであり、別にどうと言うことではありません(^^;)。 ○が、少々弁解させて頂くと、私が刑事事件を避ける理由の一つに、ここ2,3年接見が億劫になってきたことがあります。というのは、接見室は、被告人・被疑者接見室は、被疑者・被告人の位置と弁護士等面会の位置が、強化ガラスで仕切られており、音声が通じるのは,その強化ガラス仕切りの中央に開いた小さな穴の部分だけで、そのため被疑者・被告人の声が大変聞き取りづらくなってきたからです。 ○私は、補聴器を付けた耳をその穴の部分に押し当てて何とか聞き取りをしていましたが、しかし最近はこれでも聞き取りづらいことが多くなってきました。被疑者・被告人の中には小さな声でボソボソ何を言っているのか分からない話し方をする方もおり、そのようなときは大変苦労します。 ○私が担当した例では、ある被告人が、引き籠もりとなり母親から貰う僅かの小遣いで生活していましたが、生活に困窮し、コンビニ等で窃盗を繰り返し逮捕されました。私が接見に行くと、その方は全てに自信をなくして、顔を上げて弁護人を観ることが出来ず、顔を下げたまま消え入るような小さな声でしか話さず、何を言ってるのかサッパリ判りません。 以上:1,237文字
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