平成25年10月24日(木):初稿 |
○入手が困難な超有名・人気芸能人のコンサートやプロ野球クライマックスシリーズや日本シリーズのチケットを転売目的で、一定量確保して転売する行為をする人を「ダフ屋」と呼びますが、先日、その刑事責任について質問されました。罪の重さはどのくらいで、また、転売する人だけでなく、「ダフ屋」からチケットを買った人は刑事責任が無いのでしょうかと言うものです。 ○平成18年秋からスタートした日本司法支援センター(法テラス)は、国選刑事事件を一手に引き受け、弁護士は同センターに登録しないと国選刑事事件を担当できなくなりましたが、当初、法テラス登録弁護士が不足して大変なのではと言うことで、執行部が一丸となって会員に法テラス登録協力を要請していました。しかし、平成25年現在は国選刑事事件が若手弁護士の貴重な収入源になっており、多くの若手弁護士が登録して、法テラス登録弁護士数は十分間に合った居るように感じます。 ○私も平成21年3月までは法テラスに登録していましたが、同年4月から刑事事件引退宣言を出して、法テラスの登録を止めました。その理由は、「私が刑事事件について引退表明した理由1」以下に記載したとおりです。なお、法テラスに登録しなくても私選刑事事件は自由に出来ますが、その後は、私選刑事事件も、原則として受任せず、時折、依頼があっても若い弁護士に紹介してきました。 ○そこで、先の「ダフ屋」に関する質問にも数年前に刑事事件を引退したことを理由に、知識が不正確であるとの言い訳をしながら、刑法には「ダフ屋」の責任規定はないので、おそらく特別に定められた取締法(特別刑法)で刑罰を科されているはずで、転売した人が責任を負うもので、買った人には刑事罰はないはずです、転売した人の刑の重さもせいぜい罰金くらいではないでしょうかと、ごまかして答えていました。 ○しかし、法律専門家である以上、ダフ屋の責任くらいシッカリと理解しておくべきと反省して、ネットで色々調べると、特別刑法ではなく、各都道府県のいわゆる迷惑防止条例でダフ屋の責任が規定されていました。以下、昭和42年10月16日宮城県条例第29号「公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例」からの、「ダフ屋」関連条文を抜粋します。 これによると、「ダフ屋」の刑事責任は「6月以下の懲役又は50万円以下の罰金」で、「若しくは公衆の列に加わつて買おうとしてはならない。」との規定から、「ダフ屋」か購入した者も責任があるのか、検討が必要であり、後日、気が向けば解説コンテンツを作成します(^^;)。 ****************************************** 第9条(入場券等の不当な売買行為の禁止) 何人も、入場券、観覧券その他の公共の娯楽施設を利用できる権利を証する物又は乗車券、指定券、寝台券その他の公共の乗物を利用できる権利を証する物(以下「入場券等」という。)を不特定の者に転売し、又は不特定の者に転売する目的を有する者に交付するため、入場券等を公共の場所又は公共の乗物において、買い、又はうろつき、人の進路に立ちふさがり、人につきまとい、人に呼び掛け、ビラその他の文書図画を頒布し、若しくは提出し、若しくは公衆の列に加わつて買おうとしてはならない。 2 何人も、転売する目的で得た入場券等を、公共の場所又は公共の乗物において、不特定の者に売り、又はうろつき、人の進路に立ちふさがり、人につきまとい、人に呼び掛け、ビラその他の文書図画を頒布し、若しくは提出し、若しくは入場券等を提示して売ろうとしてはならない。 第10条(座席等の不当な供与行為の禁止) 何人も、公共の場所又は公共の乗物において、不特定の者に対し、次の各号に掲げる行為をしてはならない。 (1)座席、座席を占めるための列の順位又は駐車の場所(以下「座席等」という。)を占める便益を、対価を得て供与すること。 (2)座席等を占め又は人につきまとつて、座席等を占める便益を対価を得て供与しようとすること。 第15条(罰則) 次の各号のいずれかに該当する者は、6月以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。 (1)第3条第1項第2号の規定に違反した者 (2)第9条の規定に違反した者 (3)第13条の規定による公安委員会の命令に違反した者 2 常習として前項第1号又は第2号の違反行為をした者は、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処する。 第17条(罰則) 次の各号のいずれかに該当する者は、50万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。 (1)第3条第1項第1号又は第2項の規定に違反した者 (2)第4条から第6条までの規定に違反した者 (3)第7条第1項の規定に違反した者 (4)第8条、第10条又は第11条の規定に違反した者 2 常習として前項の違反行為をした者は、6月以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。 以上:2,010文字
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