平成24年 5月12日(土):初稿 |
○「拒否を無視して支払を強要する行為の違法性-類型」の末尾に「弁護士を介入しても尚本人に対する請求が続けられる場合の対処法を別コンテンツで検討します。」と記載しておきながら、3年間もその後の検討を怠っておりました(^^;)。全く怠っていたわけではありませんが、検討してもなかなか考えがまとまらず、結論として放置状態でした。 ○ところが、今般、日弁連業革委員会で新分野PTで以下の「代理人依頼権確保に関する法律(仮称)の制定」についての検討を担当することになり、その前提として現行法規制の現状と問題点、さらに世界各国の立法例等の検討が必要になりました。この法律の制定の趣旨は以下の通りです。 憲法上、刑事被告人は、資格を有する弁護人を依頼する権利がある(憲法第37条第3項)。民事紛争においても、知識経験の劣る弱者にとって、資格ある権利擁護者である弁護士を選任する権利は、刑事事件に劣らず重要である。○このような一般規定があれば、弁護士業務は大変やりやすくはなりますが、先ず、現行規定での、実質的な代理人依頼権を確保に役立つ規定を「拒否を無視して支払を強要する行為の違法性-初めに」に思いつく範囲で、刑法、軽犯罪法、貸金業規制法、ストーカー規制法の中の関係条文を掲載していました。 ○拒否を無視して支払を強要する行為への対処法を類型毎に検討します。 1.貸金業者 貸金業法第21条第1項9号及び第47条の3(2年以下の懲役若しくは300万円以下の罰金)の規定により刑事告訴 普通の貸金業者の場合、弁護士介入後に本人請求することは先ずありません。 2.やみ金業者 やみ金業者も、金銭貸付を業として行っていますので、貸金業法の規制対象になり、上記貸金業規定による刑事告訴が出来ます。しかしその名の通り「やみ」ですから、実態が不明な場合が多く、現実には捜査もできず、警察も規模が大きく,実態解明の手がかりがないとなかなか動いてくれません。周囲に事情を話して電話が来ても相手にしないようお願いするしかありません。口座が明らかな場合、その銀行にやみ金口座と申告して凍結をかけるのが有効です。 3.男女間紛争 夫婦間で暴力を伴う場合であればDV保護法(配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法)によるDV保護命令申立をし、その他の場合、ストーカー規制法第2,3,13条(6月以下の懲役又は50万円以下の罰金)に基づく刑事告訴 必要に応じて刑法第223条強要罪(3年以下の懲役)、第249条恐喝罪(10年以下の懲役)等での刑事告訴。 4.その他怨恨等での弁護士無視 事業者の一般取引での債権取立については弁護士介入後もなお本人への直接請求は先ずありませんが、個人的信頼関係での貸付等については、弁護士を防波堤に立てたことに却って激怒して弁護士を外せと迫って本人直接請求が継続される場合もあります。 直接請求の程度がひどい場合は、強要・恐喝罪等での刑事告訴に加えて民事上の面会禁止等必要な仮処分の申立 以上:1,475文字
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