平成24年 5月13日(日):初稿 |
○「拒否を無視して支払を強要する行為への対処法」を続けます。 支払要求をする相手方に対し、自分には支払義務がないと思っているので、支払は拒否する、どうしても支払を要求したいなら裁判所に訴えを出して要求して下さい、そこで堂々と争い、裁判官の判断を待ちましょうと言っても、これを無視して、支払を強要する行為の典型は、交通事故の物損の場合に見られます。 ○A運転自動車とB運転自動車が交差点の出会い頭に衝突して、お互い自動車が同程度の損害を受け、その修理費がお互い30万円だった場合、過失割合が同じだとすると、お互い痛み分けで事実上請求できません。厳格に言うと 民法第509条(不法行為により生じた債権を受働債権とする相殺の禁止) 債務が不法行為によって生じたときは、その債務者は、相殺をもって債権者に対抗することができない。 との問題がありますが、Aが、自分には過失がないとしてBからの請求を拒否しているのに、Bが何度も繰り返し、Aを訪問し、あるいは、電話で支払を請求する行為は、違法行為と評価できます。 ○Bとしては、この出会い頭衝突事故は、明らかにAの過失によって生じたのでAには30万円の損害賠償義務がありAに30万円支払えと請求する行為は自分の正当な権限の行使に過ぎず何ら違法性はない、悪いのは支払義務があるのに支払をしないAの方だと確信しています。 ○AとBの衝突が出会い頭ではなく、B自動車にA自動車が追突した場合で、AがBが急停車したため追突したので、悪いのはAではなくBだと主張するなど、客観的には明らかにBの言い分に分がある場合、BとしてはAについて、不合理な言い訳で支払を免れようとするとんでもない輩だと非難して繰り返し、支払要求をする場合があります。 ○支払を免れようとするAの態度が如何に悪かろうと、全く不合理な弁解をしようと、支払を拒否するAに対して無理矢理力尽くで支払を実現することは違法と評価されます。日本は法治国家であり、自力救済は禁じられているからです。こうした自力救済を容認すると、力が正義ということになり、実力行使を請け負う私的機関がはびこって社会秩序の維持が難しくなるためで、近代化にともない、権利のあるなしの判断や執行は裁判所によってなされるべきとされ、私人の介入を排したと説明されています。 ○ ○ 以上:953文字
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