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関節の機能障害-関節可動域制限の評価方法2

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平成21年 5月 9日(土):初稿
「関節の機能障害-関節可動域制限の評価方法1」を続けます。

関節の機能障害の具体的評価方法
①関節の硬直
関節の完全硬直又はこれに近い状態。近い状態とは、関節可動域が原則として健側可動域角度の10%程度以下に制限されているもの。

②主要運動が複数ある関節-肩関節・股関節-の機能障害
ア関節の用廃とは、いずれの主要運動も全く可動しない又はこれに近い状態。
イ関節の著しい機能障害
主要運動のいずれか一方の可動域が健側可動域角度の2分の1以下に制限されたとき
ウ関節の機能障害
主要運動のいずれか一方の可動域が健側可動域角度の4分の3以下に制限されたとき

③参考運動を評価の対象とする場合
主要運動の制限可動域が上記2分の1または4分の3を原則として5度以内上回り、これだけでは著しい機能障害または機能障害と評価されないとき、当該関節の参考運動が2分の1または4分の3に制限されていれば、著しい機能障害または機能障害と評価する。

関節可動域の測定要領
①測定前に障害原因を明らかにすること

ア器質的変化によるもの
関節それ自体の破壊や強直
関節外の軟部組織(例えば阻血性拘縮)

イ機能的変化によるもの
神経麻痺、疼痛、緊張によるもの

②日本整形外科学会・日本リハビリテーション医学会策定「関節可動域表示ならびに測定法」に従う
原則として他動運動による測定値とするが、他動運動による測定値が適当でない場合、自動運動による測定値を参考として障害の認定を行う。
他動運動による測定値が適当でない場合とは、末梢神経損傷による関節を可動させる筋の弛緩性麻痺、関節を稼働させると我慢できない痛みが生じ自動では可動できないと医学的に判断される場合をいう。
③被測定者の姿勢と肢位に注意
被測定者の姿勢と肢位によって各関節の運動範囲が著しく変化するので、「関節可動域表示ならびに測定法」の「注意」欄に記載された姿勢、肢位の指示を守って測定する。

○関節可動域表示並びに測定法の原則
①基本肢位
概ね自然立位での解剖学的肢位を基本肢位として、その関節角度を0度とする。

②関節の運動
原則として直行する3平面、前額面、矢状面、水平面を基本とする運動。
以下の説明図は独立行政法人製品評価技術基盤機構人間特性データベースより引用
  

屈曲・伸展
多くは矢状面の運動で、基本肢位にある隣接する2つの部位が近づく動きが屈曲、遠ざかる動きが伸展。

外転・内転
多くは前額面の運動で、体幹や手指の軸から遠ざかる動きが外転、近づく動きが内転。

外転と内転
多くは前額面の運動で、体幹や手指の軸から遠ざかる動きが外転、近づく動きが内転。

外旋と内旋
肩関節及び股関節に関しては、上腕軸または大腿軸を中心として外方へ回旋する動きが外旋、内方へ回旋する動きが内旋。

回外と回内
前腕に関しては、前腕軸を中心にして外方に回旋する動き(手掌が上を向く動き)が回外、内方に回旋する動き(手掌が下を向く動き)が回内。

右側屈・左側屈
頸部、体幹の前額面の運動で、右方向への動きが右側屈、左方向への動きが左側屈。

右回旋と左回旋
頸部と胸腰部に関しては、右方に回旋する動きが右回旋、左方に回旋する動きが左回旋。

橈屈と尺屈
手関節の手掌面の運動で、橈側への動きが橈屈、尺側への動きが尺屈。

母指の橈側外転と尺側内転
母指の手掌面の運動で、母指の基本軸から遠ざかる動き(橈側への動き)が橈側外転、母指の基本軸に近づく動き(尺側への動き)が尺側内転。

掌側外転と掌側内転
母指の手掌面に垂直な平面の運動で、母指の基本軸から遠ざかる動き(手掌方向への動き)が掌側外転、基本軸に近づく動き(背側方向への動き)が掌側内転。

中指の橈側外転と尺側外転
中指の手掌面の運動で、中指の基本軸から橈側へ遠ざかる動きが橈側外転、尺側へ遠ざかる動きが尺側外転。

以上:1,561文字

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