平成21年 2月18日(水):初稿 |
○「ストーカー行為とは」で、つきまといを初めとするストーカー行為を説明しましたが、今回はストーカー行為の対象-相手方-について説明します。 ストーカー規制法第2条で「この法律において「つきまとい等」とは、特定の者に対する恋愛感情その他の好意の感情又はそれが満たされなかったことに対する怨恨の感情を充足する目的で、当該特定の者又はその配偶者、直系若しくは同居の親族その他当該特定の者と社会生活において密接な関係を有する者に対し、次の各号のいずれかに掲げる行為をすることをいう。」と定義し、ストーカー行為の対象は、恋愛感情その他の行為の感情等を持った特定の者は勿論のこと、その特定の者の「配偶者、直系若しくは同居の親族その他当該特定の者と社会生活において密接な関係を有する者」まで範囲を広げています。 ○「配偶者、直系若しくは同居の親族」は明確に特定できますが、「その他当該特定の者と社会生活において密接な関係を有する者」とは、本法草案提案者松村龍二議員説明によると、被害者の身上、安全等を配慮する立場にある者を言うものと思われ、学校の教師、職場の上司等がこれに該当します。 ○具体的事例としては、夫Aと不貞関係になり、夫Aに対する恋愛感情が満たされなくなった時に夫Aの妻Bに対し、無言電話等の嫌がらせを繰り返す不貞相手のC女の行動などが考えられます。この場合、妻Bに対して嫌がらせを行うことにより夫Aを心理的に追い詰めAB夫婦間の破綻を実現しようとするもので恋愛感情の対象である特定の者本人に対する行為だけ規制したのでは、法の目的を達せられないため密接な関係を有する者まで保護範囲を広めたものと思われます。 ○当事務所の取扱例で多いのは、逆のケースで夫Aに対する愛情が満たされないために夫Aの不貞行為相手方のC女に対し妻Bが無言電話等の嫌がらせを繰り返す例です。これもAに対する怨恨の感情を充足する目的でC女にストーカー行為を行うものですが、この場合はストーカー規制法で規制の対象になるストーカー行為には該当しないと思われます。Aの不貞相手C女が「その他当該特定の者と社会生活において密接な関係を有する者」とは評価出来ないからです。 ○世上良くあるのは過去にAに振られてAに恨みを持つAの元恋人のCが、Aの現在恋人Bに対し無言電話等の嫌がらせを繰り返す場合です。この場合、Bが「その他当該特定の者と社会生活において密接な関係を有する者」に該当するかどうかが問題になりますが、AB間が婚約中或いは同棲等の関係があれば該当するでしょうが、その段階に至らない前は判断は微妙になり難しいところです。 以上:1,084文字
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