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婚姻中住宅ローン返済不動産の財産分与の考え方を判断した地裁判決紹介

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令和 5年12月21日(木):初稿
○「婚姻中住宅ローン返済不動産の財産分与の考え方を判断した家裁審判紹介」の続きで、夫婦共有財産して購入した不動産に住宅ローンが残っている場合の財産分の方法を判断した平成9年4月14日横浜地裁判決(家庭裁判月報50巻7号90頁)関連部分を紹介します。

○原告妻が子の親権者を自らとし、共有不動産の原告持分を被告夫に移転登記するのと引換えに、被告に財産分与としての清算金として2560万円及び慰謝料の支払を求めました。これに対し、横浜地裁は、財産分与について、現在の不動産時価を4000万円とし、被告夫のローン残金合計金約900万円を差し引いた金額の6割に原告が返済すべき残ローン金を加えた金額2000万円を、原告共有持分を財産分与を原因として被告に所有権移転登記手続と引換に支払えと命じました。

○原,被告の持分を各2分の1として代金3200万円で本件不動産を購入し,購入代金は
①原告が原告マンション売却残金1000万円、
②原告マンションローン250万円を本件不動産購入ローンに振替え(現在残金95万円)
③財団法人○○から金510万円を借受けて完済し
④原,被告が連帯債務者となって,○○公庫から金740万円を借受け,現在残金は約金500万円
⑥被告は,勤務先から金680万円を借り受け現在残金は金300万円
⑦被告自己資金約300万円
で、原告妻が合計1760万円、原・被告共同で740万円(借入残金500万円)、被告680万円(借入残金300万円)と300万円
を負担し、不動産購入の原告の寄与分は6割、本件不動産の今現在の時価は,金4000万円と認定していました。

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主   文
一 原告と被告とを離婚する。
二 原,被告間の三女A(昭和59年11月1日生)の親権者を原告と定める。
三 被告は,原告に対し,原告が別紙物件目録1及び2記載の不動産の原告共有持分につき財産分与を原因として被告に持分全部移転登記手続をするのと引換えに,金2000万円を支払え。
四 被告は,原告に対し,金400万円を支払え。
五 原告のその余の請求を棄却する。
六 訴訟費用はこれ四分し,その1を原告の負担とし,その余を被告の負担とする。

事実及び理由
第一 原告の請求

一 主文第一,第二項と同旨
二 被告は,原告に対し,原告が別紙物件目録1記載の土地(以下「本件土地」という。)及び同目録2記載の建物(以下「本件建物」という。なお,本件土地及び本件建物をあわせて以下「本件不動産」という。)の原告共有持分について財産分与を原因として被告に持分全部移転登記手続をするのと引換えに、金2560万円を支払え。
三 被告は,原告に対し,金500万円を支払え。

第二 事案の概要
一 原告(昭和24年4月20日生)と被告(昭和23年1月11日生)は,昭和49年3月22日に婚姻の届出をした夫婦であり,原,被告間には昭和59年11月1日生の三女A(以下「三女」という。)がいる(昭和57年12月に出生した双子の長女,二女は,出生後間もなく死亡した。)。
(以上,甲1,4)
 原告は,横浜市に勤務する地方公務員であり,被告は,B株式会社(以下「B」という。)に勤める会社員(システムデザイナー)である。
(弁論の全趣旨)

     (中略)

四 争点
1 離婚原因の存否
2 三女の親権者
3 財産分与の算定,分与方法
4 慰謝料請求権の有無,その額

第三 証拠
 本件記録中の書証目録及び証人等目録各記載のとおりであるから,これを引用する。

第四 当裁判所の判断

     (中略)

5 原,被告は,原告が三女を懐胎中である昭和59年7月ころ,代金3200万円で本件不動産を購入し,原,被告の持分を各2分の1として所有権移転登記手続(本件建物については保存登記)をした。
 本件不動産を購入するにあたり,原告は,同年9月,原告マンションを代金1600万円で売却し,ローン残金を精算後の金1000万円を本件不動産購入代金の一部に充て,原告マンションのローンのために組んだ○○組合からの借入金250万円を本件不動産購入ローンに振替えた(現在,この借入金残は約金95万円である。)。
 また,原告は,同年7月,財団法人○○から金510万円を借受け,本件不動産に抵当権を設定したが,平成6年1月ころ,右借入金を弁済し,同年5月20日,右抵当権設定登記の抹消登記手続を了した。
 更に,原,被告は,昭和59年8月20日,連帯債務者となって,○○公庫から金740万円を借受け,同日,本件不動産に抵当権を設定した(平成9年4月現在,この借入金残は約金500万円である。)。
 また,被告は,勤務先であるBから金680万円を借り受けた(平成9年4月現在,この借入金残金は,約金300万円程度である。)。本件不動産購入に当たり,被告は,自己の預金約金300万円をこの購入代金に充てた。
 本件不動産の今現在の時価は,金4000万円を下ることはない。

     (中略)

三 前記認定事実に基づき,財産分与請求について判断する。
 前記認定したところを総合すれば,原告の寄与分は6割とみるべきである。したがって,本件不動産の時価である4000万円から原,被告のローン残金合計金約900万円を差し引いた金額の6割に原告が返済すべき残ローン金を加えた金額(約金2000万円となる。)を分与金としてを被告が原告に対して支払い,これと引換えに本件不動産の原告の持分を被告に対して移転登記手続をする方法によるのが相当と思料する(原,被告共同名義で借受けたローン残金は被告が負担することが前提である。)。

第五 結論
 以上の次第であるから,主文のとおり判決する(原告の慰謝料請求の一部を棄却する。)
以上:2,363文字

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