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婚姻成立要件-日本婚姻法との比較

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平成20年 2月24日(日):初稿
「スウェーデン婚姻法全文邦訳サイト発見」で「専修大学名誉教授菱木昭八朗氏の菱木スウェーデン法研究所スウェーデン主要家族法法令集(邦訳)にスウェーデン新婚姻法全文邦訳が掲載されていることが判明しました。」記載しておりましたが、これから何回かに分けて日本民法親族法の婚姻関係条文との違いを比較しながら、日本の婚姻法解釈を再検討していきます。

○先ず婚姻の成立要件です。
スウェーデン新婚姻法では第1及び4章で次のように規定しています。
第1章 婚姻(Aktenskap)
第1条 婚姻(aktenskap)は、1人の女と1人の男によって成立する。婚姻によって男女は夫婦(makar)となる。

第4章 挙式
第1条 婚姻は、親族またはその他、立会人の出席する挙式によって成立する。

第2条 婚姻当事者は、挙式に出席しなければならない。婚姻当事者は、挙式執行者からの質問に対して、それぞれその婚姻に同意している旨を確答しなければならない。確答が行われた後、挙式執行者は、婚姻当事者が夫婦になったことを宣言しなければならない。
 前項の規定に従って挙式が行なわれなかった場合、または挙式執行者が執行権限を欠いている場合、その挙式は無効とする。
 前項の規定よって無効となるべき挙式であっても、相当の事由がある場合、政府はその挙式を有効とすることができる。但し、無効婚から有効婚への転換は、婚姻当事者のいずれか一方からその申し立てがあった場合、婚姻当事者の一方が死亡している場合には、死亡した者の相続人からその申し立てがあった場合に限って、これを認めることができる。

第3条 挙式を行うことのできる者は、次の各号に掲げる者でなければならない。
1.スウェーデン国教会に所属する僧侶
2.「スウェーデン国教以外の宗教団体における挙式権限に関する法律」によって挙式を行うことが認められている教団の僧侶、およびその他の教団の主宰者
3.地方裁判所の判事
4.県から挙式執行権限を与えられている者(1993:304)


○以上の規定をまとめると、スウェーデン新婚姻法での婚姻の成立要件は、当事者、立会人、挙式執行者の出席する挙式において挙式執行者の確認・宣言によって成立し、この挙式執行者は、スウェーデン国教会等に所属する僧侶、地方裁判所判事、県認定挙式執行権限者等の一定の有資格者しかなれません。有資格者による婚姻意思の確認と宣言が必要であり、偽装結婚はやりづらい雰囲気です。

○これに対し日本民法での婚姻成立要件は以下の通りです。
第739条(婚姻の届出)
 婚姻は、戸籍法(昭和22年法律第224号)の定めるところにより届け出ることによって、その効力を生ずる
2 前項の届出は、当事者双方及び成年の証人2人以上が署名した書面で、又はこれらの者から口頭で、しなければならない。

 以上の通り日本では当事者と成年証人2名の署名した書面作成して役所に届け出るだけで成立するもので、実質婚姻意思のない偽装結婚が容易に可能で、実際、例えば日本居住資格を得るためだけの中国人女性と日本人男性の偽装結婚例など結構多く存在します。

○戸籍法に定める婚姻届での方法は以下の通りです。
第74条 婚姻をしようとする者は、左の事項を届書に記載して、その旨を届け出なければならない。
1.夫婦が称する氏
2.その他法務省令で定める事項

ここでの法務省令で定める事項とは戸籍法施行規則に次の通り定めています。
第56条 戸籍法第74条第2号の事項は、次に掲げるものとする。
1.当事者が外国人であるときは、その国籍
2.当事者の父母の氏名及び父母との続柄並びに当事者が特別養子以外の養子であるときは、養規の氏名
3.当事者の初婚又は再婚の別並びに初婚でないときは、直前の婚姻について死別又は離別の別及びその年月日
4.同居を始めた年月
5.同居を始める前の当事者の世帯の主な仕事及び国際調査実施年の4月1日から翌年3月31日までの届出については、当事者の職業
6.当事者の世帯主の氏名


○日本の婚姻届は、基本的には当事者2人揃って直接届出が原則ですが、都合が悪い場合は代理人でも可で、また、遠方の場合は郵送でもOKとされていますので、スウェーデン新婚姻法に定められた「婚姻当事者は、挙式執行者からの質問に対して、それぞれその婚姻に同意している旨を確答しなければならない。」と言うような実質的婚姻意思の確認はなされず、容易に婚姻は成立することになります。
以上:1,819文字

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