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10年ぶりの犯行

平成13年 6月10日(日):初稿
■初めに-鶴亀法律トピックコーナー再開の弁
 私は、平成9年からみみっと編集のお手伝いをし、平成10、11年と広報部長となっておりました。部長と言っても名前だけで部長らしい仕事はしてきませんでしたが、平成12年度になって広報部長職から解放されました。広報部長職にあったときは、部長職が忙しいことを口実に鶴亀法律トピックコーナーは休ませて頂いておりました。ところが部長職をやめると、トピックコーナーをさぼる口実がなくなりました。
 そこでいつまで続くか判らず、またセコイヤコーナーのような実際に有益な情報提供も出来ませんが、鶴亀法律トピックコーナーを再開し、一法律家として、法律実務の中で感じたことをご披露申し上げ、皆さんもご参考に供したいと思います。

■ある聾唖者の窃盗事件
 2年以上前になりますが、前回の記事である聾唖者の窃盗事件についてご紹介申し上げました。皆さん忘れているはずですので、簡単にあらすじを復習します。
 聾唖で生まれたKさんは、幼少で実母に捨てられ、父は獄中で死去し、育ての親の伯父には冷たく扱われ、6才で家出し、食べるために盗みを繰り返し、45才になるまで30年近く少年院、刑務所と社会を往復していました。
 それがA社長と巡り会い、初めて人の情愛に接し、ピタリと盗みをやめました。しかしA社長の会社が倒産し、失業したKさんは、55才になって10年ぶりに盗みをして捕まり、私はたまたま国選弁護を担当しました。

■最初の接見前の打ち合わせ
 刑事弁護人の役割は、被告人の立場から光を当てて裁判長に訴えることです。そのため刑事弁護を担当すると、先ず被告人に会いに行きます。これを接見と言います。Kさんの弁護人になるとすぐ保護司のBさん、手話通訳のCさん、福祉事務所係長Dさん達から連絡が来ました。接見に同行したいというのです。手話通訳は必要なので当然ですが、保護司さん、福祉係長まで接見に同行したいというのは初めての経験でした。
 私は有り難い話と受け入れ、先ず事務所でB,C,Dさんと打ち合わせをしました。そこでKさんの生い立ち、A社長との出会い等を聞き、45才から10年間も窃盗をやめていた事情に納得しました。
以上:908文字

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