平成17年 8月 5日(金):初稿 |
○久しぶりに知財の話題です。 人気アニメのキャラクターと著作権との関係について質問を受けたことがあり、私としては、キャラクター自体に著作物性を認めて良いのではと思っていました。 しかし、ポパイ・ネクタイ事件での最高裁判例は、キャラクター自体の著作物性を否定し、サザエさん事件での東京地裁判例は、キャラクター自体の著作物性には触れないで元の漫画の保護を介してキャラクター利用は著作権侵害に当たるとしています。 ○以下、キャラクターと著作権問答です。 (問い)お客様の注文により洗濯落ちしない特殊ペンでアンパンマン等の好みのキャラクターを手描きしたTシャツを作って販売することを企画しています。キャラクターだけでも著作物になるのでしょうか。 「キャラクターそれ自体は独立の著作物ではないと言われていますが、その元になった漫画の著作権によりキャラクターも著作物と同じように保護されています。」 (問い)キャラクターをTシャツに手描きすることは問題になりますか。 「キャラクターをTシャツ等に手描きすることはたとえ完全に同じに描かなくても、著作物の本質的な部分すなわち個性が表現されていれば、原著作物の複製に当たります」 (問い)複製することは何故問題なんでしょうか。 「複製権は著作権者に『専有』しますので、『私的使用』等例外的許可事由に該当しない限り、無断複製は著作権侵害になります。」 (問い)著作権侵害と言われないためにはどうすればよいのでしょうか。 「著作権者から複製についての許諾を得る必要があります。」 (問い)どうすれば許諾を貰えるのでしょうか。 「一般的には著作権者に許諾料支払を申出て複製許諾のお願いをすることになります。」 (問い)許諾料は、どのくらいなのでしょうか。 「キャラクターを描いた商品販売価格の数パーセントが相場と言われていますが、最終的には著作権者との合意出来る金額です。仮に3000円のTシャツとすれば5%で150円となります。」 (問い)もし著作権者の許諾を得ないでアンパンマン等のキャラクターを手描きしたTシャツを販売した場合、罰則はありますか。 「あります。この場合、著作権の侵害に当たり、5年以下の懲役若しくは500万円以下の罰金に処せられます。但し、親告罪ですから著作権者の告訴が必要です。大量に販売しない限り、告訴されることはないでしょうが、やはり、著作権者の許諾を貰っておいた方が無難でしょうね。」 以上:1,002文字
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